日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
84 巻, 2 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 佐藤 信紘
    1995 年 84 巻 2 号 p. 175-176
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 荒牧 琢己, 清宮 康嗣
    1995 年 84 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副作用モニター報告,文献収集からみた薬物性肝障害の起因薬物として抗生物質,中枢神経薬,循環器薬が多数を占める.近年,肝ミクロソームのP450を中心とした薬物代謝に関する研究が発展し,その理解が薬物性肝障害の発生機序の解明のみならず,診断,治療,予防に不可欠であることを述べた.薬物性肝内胆汁うっ滞の機序,最近注目されている薬物性肝障害についても併せ言及した.
  • 中沼 安二
    1995 年 84 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物性肝障害の病理をウイルス性肝障害との差異の観点から,以下の3群に分け述べた.ウイルス性肝障害と区別困難なもの(急性薬物性肝炎,慢性薬物性肝炎+肝硬変,肝細胞のスリガラス変化),ウイルス性肝障害とやや異なるもの(胆汁うっ滞肝炎,肝実質の帯状の打ち抜き状の壊死,類上皮細胞肉芽腫など),ウイルス性肝障害とは異なるもの(純胆汁うっ滞,脂肪沈着等の物質沈着症,非アルコール性脂肪性肝炎,慢性肝内胆汁うっ滞など)である.肝生検での薬物性肝障害の病理診断は,種々の臨床的所見,全身状態,さらに先行する肝疾患の有無を考慮し,総合的になされるべきと考えられる.また,薬物性肝障害はありとあらゆる肝病変を呈し得るとされており,常に薬物性肝障害の可能性を念頭において,肝生検所見を取り,また病理診断を行う必要がある.
  • 常松 令, 石井 裕正
    1995 年 84 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    中毒性肝障害は臨床的にも重要な疾患で,薬物や飲酒が原因になるケースも少なくない.近年,これらの肝障害の-因に-酸化窒素を含む活性酸素種が関与していることが指摘され,さらに活性酸素除去機構は単に解毒作用を持つのみならず細胞のアポトーシスをおこす遺伝子の発現制御にも関連している可能性が指摘され始めている.さらに活性酸素種は細胞の癌化にも関連しているといわれ,本稿ではこれらのトピックスにつき解説した.
  • 筒井 ひろ子
    1995 年 84 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物アレルギー性肝障害の発症機構をその特徴的な所見別に検討した.本疾患の臓器指向性は,起因薬物が肝由来の蛋白と複合抗原を形成することにより決定される.この複合抗原に異常応答するT細胞は適正な抗原刺激で,胆汁流量を減少させる因子を産生し,これが本疾患の特徴的臨床所見である肝内胆汁うっ滞を説明するものと考えられた.また,この細胞は好酸球の分化・増殖因子であるインターロイキン5を多量に産生することから,これにより頻発する好酸球増加症が誘起されるものと考えられた.
  • 恩地 森一
    1995 年 84 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近,多くの新薬が開発され,薬物性肝障害の起因薬物と臨床像が変化している.薬物アレルギー症状の少ない症例が増加しているので,本症の診断には,十分な配慮が必要である.その診断方法として,リンパ球幼若化試験が普及しているが,偽陰性症例も多い.薬物のneoantigenやautoantigenに対する液性抗体の検出や,薬物代謝系酵素の遺伝子やその表現型の異常を分子生物学的なアプローチで検出することによる,新しい検査方法の開発が期待される.
  • ウイルス性肝病変との差異をめぐって
    宮崎 招久, 北見 啓之, 山口 泰, 佐藤 信紘
    1995 年 84 巻 2 号 p. 206-210
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物アレルギー性肝障害と急性ウイルス性肝炎について臨床像を比較検討した.年齢は薬物アレルギー性肝障害とC型急性肝炎で平均年齢が高かった.薬物アレルギー性肝障害では,アレルギー症状としての発熱・〓痒感・発疹・好酸球増加(特に10%以上)の出現が特徴的であった.肝機能検査成績では,急性ウイルス性肝炎群に比してトランスアミナーゼ値やTTTが低値を示し, ALPは高値を示す傾向がみられた.
  • 川崎 寛中, 村脇 義和
    1995 年 84 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物性肝障害は通常起因薬物の投与を中止することにより速やかに改善するので,薬物性肝障害の治療にあたって最も重要なことは,できるだけ早期に診断し,起因薬物の投与を中止することである.血液生化学検査でトランスアミナーゼの高値やビリルビンの上昇,プロトロンビン時間の延長などがみられるときは入院を勧める.著明な肝実質障害を伴うものでは劇症化へ移行する危険性があるので,頻回に血液生化学検査を行って病態を的確に把握することが肝要である.
  • 成因,病態,治療をめぐって
    梶山 梧朗
    1995 年 84 巻 2 号 p. 216-220
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年登場した高脂血症治療薬(抗脂血薬)のなかには肝LDLレセプターを増加させ,コレステロールを肝に増加させるものがある.肝でコレステロールは胆汁酸に変化し,また一部はコレステロールのままで胆汁中に排出されるが,薬物によってはコレステロールのまま排出させる量を増加させ,その結果コレステロール過飽和胆汁が形成される.クロフィブラート(系)薬物がその代表的なものである.本稿ではその成因,自験症例,治療について触れ,さらにその予防または治療として定期的腹部超音波検査を推奨する.
  • 本間 達二
    1995 年 84 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    各種の薬物による膵炎の報告が増えている.膵炎を合併するといわれる薬物をその発症機序とともに概説した.また,近年の膵炎発症機序のトピックスである活性酸素, PG, NOなどについても解説し,関連する治療法(放射線照射,輸液,血液透析)での留意点も指摘した.
  • 加嶋 敬, 村瀬 正樹, 片岡 慶正
    1995 年 84 巻 2 号 p. 226-229
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物性膵炎の病態は,ほとんどの場合,アルコール性や胆石性膵炎などと変わるところはなく,診断,治療,予後についても同様に考えてよいと思われる.治療は起因薬物の投与中止に始まり,一般に予後は良好とされるが,しばしば診断が遅れ,重症化する可能性がある.また,投与薬物は基礎疾患の治療に必須であることも多く,長期経過の上で問題が生じることが予想される.
  • 川野 淳, 辻 晋吾, 増田 栄治, 鎌田 武信
    1995 年 84 巻 2 号 p. 230-234
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物による胃病変の発生は特に消炎鎮痛薬(NSAIDs)によるものがよく知られている.これらの薬物は高齢者に頻用されまた比較的長期間に亘って投与されることが多く,本薬による消化管粘膜障害は臨床上重要な問題となっている.またアルコール摂取による消化管病変も日常よく遭遇する.本稿ではこれらの薬物による胃病変発生機序を胃微小循環障害の面から述べた.すなわち,ラット及びヒトにインドメサシンやアルコールを投与し,胃粘膜血行動態を検討した結果,これらの薬物は胃粘膜内エンドセリンの増加と胃粘膜微小循環障害を惹起し,病変発生につながることを述べた.
  • 老人への対応を含めて
    浅木 茂
    1995 年 84 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    治療に用いられているNSAIDや抗生物質,ステロイド薬,制癌薬などによる胃粘膜障害の発生が知られている.高齢化社会を迎え,老年者の増加とともに,この薬物性胃粘膜障害の発生件数が増えている. NSAID投与RA例の実に60%以上に何らかの上部消化管粘膜障害を認め,胃潰瘍は15.5%の発生頻度で,瘢痕も含めると23.5%と高率であった.活動性出血や露出血管例は内視鏡的止血が行われる.出血を示さない例には防御因子薬を主にH2ブロッカーが併用されるが,老年者では肝機能や腎機能などの薬物代謝や排泄を考慮した用量の設定が必要である.
  • 吉田 豊, 村田 有志
    1995 年 84 巻 2 号 p. 241-248
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物による腸管病変には特異的なものはなく,種々のものがみられる.臨床像も多彩で,時に重篤な事態になる場合もあり,注意が必要である.発症機序に関しては十分に解明されていない場合も多いが,ここでは病態等から炎症性腸炎惹起型,潰瘍・穿孔形成型,虚血性腸炎惹起型,吸収障害型,感染性壊死性腸炎惹起型,腸管運動障害型およびその他に分類して,起因薬物とその発症機序について考察する.
  • 八尾 恒良, 松井 敏幸
    1995 年 84 巻 2 号 p. 249-253
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物による腸管病変のうちその因果関係が明らかなものは抗生物質起因性腸炎一偽膜性大腸炎,出血性腸炎, MRSA腸炎である.そのほかにもNSAIDs,サイアザイド系誘導体,塩化カリウム,経口避妊薬,抗悪性腫瘍薬,免疫抑制薬などが腸管病変を起こし得る薬物として知られている.以上の病変の臨床像について述べ,薬物と腸管病変の因果関係は必ずしも単純ではなく,薬物以外の要因と重なってはじめて発現する可能性を述べた.
  • 計良 夏哉, 中川 克, 山崎 正貴, 溝渕 一哉, 岩崎 吉伸, 辻 肇, 中村 泰三, 中川 雅夫
    1995 年 84 巻 2 号 p. 282-283
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性.硬膜下血腫術後に発症した敗血症にminocyclineを投与し,一旦は解熱し,炎症反応の改善も認めたが,再度発熱した.身体所見,胸部X線写真上に異常所見はなかったが,末梢血好酸球増加とGaシンチグラフィーにて両肺野の異常集積を認めた. TBLBにて間質に広汎な好酸球の浸潤を認め,好酸球性肺炎と診断した.
  • 木下 道廣, 松本 圭司, 市川 桂二, 鷹津 良樹, 尾野 亘, 竹村 元三, 藤原 久義
    1995 年 84 巻 2 号 p. 284-286
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    53歳,女性.感冒様症状につづいて,数日後にうっ血性心不全を呈した.同時に,呼吸筋麻痺,両上下肢の筋力低下,腱反射の低下を認め, IABP,人工呼吸器管理の治療を要した.心内膜心筋生検より心筋炎の所見を認めた.また電気生理学的検査により,急性軸索型Guillain-Barré症候群と診断した.本例は,軸索型Guillain-Barré症候群を合併した劇症型心筋炎と考えられ,集中治療により軽快した1例である.
  • 中野 恭幸, 八木田 正人, 新木 英薫, 藤田 正憲, 小中 義照
    1995 年 84 巻 2 号 p. 287-289
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    22歳,男性. 6年前より成人発症Still病(AOSD)にて通院中であったが,発熱・頭痛を主訴に来院.項部硬直が認められ,細菌性髄膜炎が疑われたため,抗生物質の投与等を行ったが,症状は次第に悪化.ステロイド・パルス療法を開始したところ,症状は急速に改善した. AOSDはまれに髄膜炎等の中枢神経症状を伴うことがある.本症例も,ステロイドに反応したことより,結果的にはAOSDの急性増悪と考えられた.
  • 板谷 聡実, 石森 正敏, 宅野 洋, 宗 友厚, 武田 則之, 石塚 達夫, 安田 圭吾
    1995 年 84 巻 2 号 p. 290-292
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Laurence-Moon-Biedl (LMB)症候群では先天的腎形態異常を含め,腎合併症が高頻度に存在するとされているが,腎組織検討症例は少なく,本症の腎障害の詳細については不明な点が少なくない.今回,尿細管性アシドーシス(RTA)と腎障害を合併し,腎生検にて高度な尿細管間質炎所見を呈し, RTAとの関連が示唆されたLMB症候群の症例を経験したので報告する.
  • 峰 隆直, 福武 尚重, 小亀 孝夫, 鈴木 洋, 小正 尚裕, 大柳 光正, 安冨 栄生, 岩崎 忠昭, 西山 利正, 荒木 恒治
    1995 年 84 巻 2 号 p. 293-295
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例. 59歳.男性.発熱にて発症.入院時白血球数23400/μl (peak 33800/μl),好酸球26% (max 78%),肝機能異常を認めた.血清学的沈降反応にてイヌ回虫抗原に沈降線を認め,イヌ回虫幼虫移行症と考えチアベンダゾール投与を行ったところ,白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症は牛レバーの生食により感染し,チアベンダゾールが有効であったイヌ回虫幼虫移行症の興味深い1例と考えられた.
  • 近藤 圭一, 棟田 慎二郎, 今村 陽一, 松本 勲, 小田 秀也
    1995 年 84 巻 2 号 p. 296-297
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,女性. 11年前より経口避妊薬を内服していた.内服を中止して1カ月後,腹痛,血便を主訴に当科を受診し,注腸造影,大腸内視鏡により虚血性大腸炎と診断した.経口避妊薬の影響と考えられた血小板凝集能の亢進と血漿レニン活性(PRA)の高値を認めた.安静,絶食にて経過観察したところ, 10日後には腸管浮腫の改善が認められた. PRAは約2カ月後,血小板凝集能は約3カ月後に正常化した.
  • 細谷 泰久, 西田 修, 原田 秀樹, 日下 輝年, 波田 重英, 坂 洋一, 堀井 充, 大野 辰治, 杉山 建生, 井上 文彦, 中井 ...
    1995 年 84 巻 2 号 p. 298-300
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は生来健康な32歳男性.平成5年1月30日早朝より右上腹部痛を自覚し当院受診.血液,尿検査にて白血球11100/μl,逸脱膵酵素の上昇(血中アミラーゼ3128U,尿中アミラーゼ65000U)を認め,腹部USおよびCT検査で膵頭部の腫大,上腸間膜静脈から門脈本幹に拡がる血栓を認めた.急性膵炎及びそれに伴う門脈血栓症と診断し,膵炎の治療と並行してヘパリンの投与を行い門脈血栓の消失を確認した.急姓膵炎の経過観察において腹部USおよびCT検査が有用であるが,その実施に当たっては,門脈血栓の合併の可能性をも考慮する必要があると思われた.
  • 石岡 伸一, 山木戸 道郎
    1995 年 84 巻 2 号 p. 301-306
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    サイトカインは,リンパ球,マクロファージなどの細胞から産生される免疫反応・炎症を調節・制御する因子である.多種類のサイトカインが発見され,呼吸器疾患においてもサイトカインがその病態に関与する事が明らかとなり,あるいは治療に応用されている.主要サイトカインとしては,インターロイキン(IL-1~IL-10),インターフェロン,コロニー刺激因子(CSF),腫瘍壊死因子(TNF)などが知られている.肺線維症においては線維芽細胞増殖に対し, PDGFとIGF-Iが重要な働きをしている事が知られている.サルコイドーシスにおいては, TNF-α, IL-6, PDGF, GM-CSFが肺局所で増加し,肉芽腫形成に関与していると推測されている.気管支喘息では, IL-5は好酸球を活性化し, IgE産生については, IL-4, IL-5, IL-6が促進的に, IFN-γが抑制的に働く.肺癌の治療にはG-CSFが使用されている. ARDSにおいてはTNFの役割が注目されている.
  • 椎貝 達夫, 大和田 章
    1995 年 84 巻 2 号 p. 307-311
    発行日: 1995/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    初期腎不全では蛋白制限の程度は0.6g/kg理想体重/日目標で良い.蛋白制限を実行するコツは主食を特精米やでんぷん米など低蛋白の特殊食品に置き換えることである.尿蛋白排泄量の少ない慢性糸球体腎炎などでは0.9g/kg/day程度の楽な蛋白制限でも腎不全進行が止まることが多い.蛋白制限が実行できれば食塩制限(7g/日以下),リン制限も同時に実行できる.またこの程度の蛋白制限では栄養障害が生じることはまずない.
feedback
Top