日本内科学会雑誌
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85 巻, 12 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 日野原 重明
    1996 年 85 巻 12 号 p. 1975-1976
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 柏木 哲夫
    1996 年 85 巻 12 号 p. 1977-1982
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Informed consent (IC)は本来的には, ICC (inform, communication, consent)であるべきであり,同時にISC (inform, share, consent)でもあるべきである.コミュニケーションやsharing (分かちもつこと)をしないで,一方的に情報をgive (与える)だけでは,一方的な告知になり,その後のケアにつながらない.告知の前に患者や家族との十分なコミュニケーションを取ることが重要である.
  • 星野 一正
    1996 年 85 巻 12 号 p. 1983-1987
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1970年代から不治の病で生命維持装置を付けられて延命されるのを拒む風潮が高まり,リビング・ウイルで意思表示することを認めたカリフォルニア州自然死法の制定以来,自然死・尊厳死が広まった.一方,自主的判断で自発的積極的安楽死あるいは自殺幇助を医師に要請する自己決定権を求める運動も盛んになり,新しい安楽死論議が高まってきた.第三者の同情や思い入れで他人の生命を絶つ慈悲殺は殺人行為であるのに行われている.
  • 池永 昌之, 恒藤 暁
    1996 年 85 巻 12 号 p. 1988-1993
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    末期がん患者においては,インフォームドコンセントと自己決定権の普及により,延命処置が再検討されるようになってきた.またその一方で,残された命を苦しみなく自分らしい生活を送るための緩和医療が発展してきている.これまで延命処置や症状緩和は主治医の個人的な経験に基づいて行われることが多かったが,今後,科学的な研究の必要性が高まってくるであろう.そして,生命予後の推測や医学的処置の転帰について検討することは,患者の病態に合った正確な診断と対応に貢献することになるであろう.
  • 山根 清美
    1996 年 85 巻 12 号 p. 1994-1999
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    在宅ターミナルケアは家族の負担はあるものの患者にとっては贅沢な医療である.現在の日本で在宅医療を行うには,まだまだ多くの問題がある.しかしながら,患者,家族がそれを望む以上,医療者も行政もそれに応えるシステムをつくる時期にきていることも事実である.在宅ターミナルケアでは患者のみならず家族の身体的・精神的ケア,インフォームドコンセント,また臨死期の対応など多くの課題を抱えている.本稿ではそれらについて考察した.
  • 浅井 篤, 福井 次矢
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2000-2004
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    インフォームドコンセントは「誰が決めるか」を最大の争点とし,「患者が決める」ことを結論とした理念である.わが国におけるターミナルケアや真実告知に関する人々の希望と目的は多様である.倫理的に何が正しいかについて普遍的な原則がない現在,インフォームドコンセントそれ自体に関する希望も含め,すべての医療決断の段階で,患者の希望を生かしたターミナルケアが必要である.
  • 岡安 大仁
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2005-2009
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Saunders Cが1967年にロンドン郊外に近代ホスピスを創設したことによって,ホスピス運動は,火の如く世界に広がりつつある.ここでは,ホスピスの具体例から解説するとともに,近代ホスピスの由来と働きの目標を述べ,さらに5つのタイプについても簡述した.さらにホスピスの教育が,今後の医学,看護教育に果たす役割りについてもふれ,また,ホスピスの研究が単に症状緩和にとどまらないことを強調した.
  • 堀越 昇, 相羽 恵介, 伊藤 良則, 高橋 俊二
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2010-2014
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    がんのターミナルステージにおいては,症状の進行とその程度によって,多くの症状がみられる.そのうち癌性疼痛について,きたしやすいがんの種類,原因,治療,また末期にみられる不穏,苦悶状態に対する症状のコントロールについて述べた.次に私たちが治療を行った原発進行・再発乳がん症例のうち,肺転移・胸腹水貯留例の臨床像,剖検例の病変での拡がり・死因についても触れ,内科医としてのがんの臨床研修に,乳がんは大事な疾患の1つであると考える.
  • 武田 文和
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2015-2020
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    がん患者の痛みは治療できる症状であり,治療すべき症状である.治療法の主役は鎮痛薬の使用であり,モルヒネが大きな役割を果たす.すべてのがん患者を痛みから解放すべく確立された安全で有効率の高いモルヒネ投与法の実際を解説する.このがん疼痛治療法の普及活動はWHOの主導によって行われており,どの科の医師にも活用できる.がん患者に発生する一部の痛みには鎮痛薬が効かない.そのときの治療法も述べる.
  • 平賀 一陽, 横川 陽子
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2021-2026
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    WHO3段階除痛法の第1段階の鎮痛薬であるアスピリン(非ステロイド性抗炎症鎮痛薬: non-steroidal anti-inflammatory drugs=NSAIDs),および第2段階の燐酸コデインの適応と副作用, NSAIDsとモルヒネとの併用療法の効果について記載した. WHO3段階除痛法の第3段階はモルヒネ±NSAIDsになっているが,禁忌でない限り必ずNSAIDsを併用することががん患者の痛み治療のポイントである.
  • 久保 千春
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2027-2031
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    がん患者は,身体的苦痛だけでなく精神的苦痛を伴っている.患者のQOL (quality of life)を向上させるためには,抗うつ薬,抗不安薬,睡眠薬などの向精神薬を適切に使用することが重要である.うつ状態,不安,不眠などの精神症状の正確な評価を行い,症状に応じて向精神薬を用いる.これらの薬物の使用法について概説する.これらの薬物とともに,精神的援助が大切である.
  • 栗原 稔, 松川 正明, 山本 亘, 佐藤 温, 長 俊宏, 赤澤 修吾
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2032-2038
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年抗がん薬の開発,使用法の工夫で,ターミナルステージでも抗がん薬の使用で,抗腫瘍効果や症状の緩和効果がみられる例もある.しかし,抗がん薬は両刃の剣で常に副作用に注意する必要がある.特に骨髄障害(白血球減少にはG-CSFが有効),消化器障害(悪心・嘔吐には5-HT3拮抗薬が有効),心肺機能障害,腎機能障害などが問題となる.これらの症状と対策のあるものを略記した.各抗がん薬の副作用を熟知して早めに対処することが肝要である.
  • 志真 泰夫, 下山 正徳
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2039-2044
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    がん専門病院では,がんの病名,病状の説明は日常的な診療行為となっている.患者が希望する病名,病状についての情報や伝え方,伝えた後の支援態勢について,現状と問題点がアンケート調査で明らかになっている.末期がんの患者についても,緩和ケア病棟やホスピスでは,病名,病状の説明が広く行われつつある.今後は,「がん告知マニュアル」などの作成により,がん告知の質的向上をめざす必要がある.
  • 高宮 有介
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2045-2052
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    当院では1992年より緩和ケアチームを組織し活動している.緩和ケアチームは専門病棟を持たず,疼痛緩和などの症状コントロ一ルをはじめ,精神的ケアや家族のケアなど緩和ケアのコンサルテーションを行うサービスである.緩和ケアチームの活動の紹介とともに,院内アンケートの結果も踏まえ,チームの問題点と今後の展開について報告した.また,英国とカナダの緩和ケアチームの紹介と当チームとの違いについても言及した.
  • 岡田 定, 西崎 統
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2053-2057
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    当院主治医57人を対象に,癌の病名告知の現状と今後の病名告知のあり方に関するアンケート調査を行った.回収率は84%であり,告知率50%以上の医師が44%を占めた.告知率が高いのは,内科系よりも外科系,患者数の多い群,最初に本人に告知する群であった.今後の病名告知は,積極的に推進し,癌の診断時に,より正確な病名を,配偶者よりもまず患者に行うべきだが,家族の考え方が問題になるという考えが主流であった.
  • 馬庭 幸二, 大串 文隆, 市川 和加, 葉久 貴司, 中村 陽一, 清水 英治, 曽根 三郎
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2073-2074
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.発熱,下肢のしびれを主訴に受診.白血球増加,炎症反応の亢進,腎機能障害をみた.腎生検にて糸球体における半月体形成,微小動脈炎がみられ,血清中P-ANCA陽性であり顕微鏡的多発動脈炎と診断し, mPSLパルス療法を行い一時的改善をみた.尿中IL-8値は治療前に高値を示したが臨床症状の改善とともに低下し,顕微鏡的多発動脈炎において,その疾患活動性,治療効果の指標としての有用性が示唆された.
  • 石井 卓, 小畑 俊郎, 渥美 進一, 林 敏昭, 得能 徹也, 牧口 祐介, 高橋 裕樹, 今井 浩三, 上條 桂一
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2075-2077
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は, 64歳,女性. 59歳に近医にて橋本病と診断された.平成7年1月,悪心,嘔吐とともに全身の色素沈着出現. ACTHの上昇を伴う副腎皮質ホルモンの分泌低下を認め,持続的ACTH負荷試験にて低反応を示し, CT上,副腎の石灰化,腫大がないことより,橋本病に特発性Addison病の合併したSchmidt症候群と診断された.また,涙液,唾液分泌の低下及び組織学的に唾液腺炎の所見を認め, Sjögren症候群の合併と診断した. Schmidt症候群にSjögren症候群を合併した多腺性自己免疫症候群(polyglandular autoimmune syndrome; PGA)は極めてまれであり,かつ本症例は自己免疫疾患の家族歴を有し, HLA-DR4を示した点からも,遺伝的素因が発症に関与している可能性が示唆された.
  • 南 貴子, 土井 豊, 哲翁 裕邦, 馬場 是明, 瀬戸 信二, 鈴木 伸, 早野 元信, 矢野 捷介, 南 恵樹, 押渕 英展
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2078-2080
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.褐色細胞腫の診断で副腎摘出術を施行し2年後に再発を認めた.転移は肺,肝,骨に多発性に認め手術は困難と考えサイクロホスファマイド,ビンクリスチン,ダカルバジンのCVD療法を施行した.治療開始後ノルアドレナリン低下と血圧安定化および転移巣縮小を認め, CVD療法開始後1.5年間生存中である.悪性褐色細胞腫にCVD療法が効果を示した症例と考え,本例を含めた本邦16例のCVD療法の成績を検討し報告した.
  • 紀平 幸彦, 木村 睦, 西 亨, 酒井 哲郎, 柳下 俊邦, 嶽山 陽一, 片桐 敬, 橋本 東児, 松井 青史, 村田 升
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2081-2082
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性で,突然の胸背部痛を訴え,右半身の血流障害を認め,緊急CT上大動脈弓部より総腸骨動脈分岐部までのStanford B型大動脈解離と診断し,閉塞している右総腸骨動脈以下の血行再建のため,総腸骨動脈分岐部でcatheter fenestrationを施行し,良好な再疎通を得た.大動脈解離の急性期動脈閉塞の合併例は緊急性が高く,臓器虚血を伴い致死的になる場合も少なくないため,留意すべきと考え報告した.
  • 土井 賢, 岡本 美弘, 佐藤 明, 秋山 淳一, 小池 朗, 伊藤 宏, 廣江 道昭, 丸茂 文昭, 井川 昌幸, 青沼 和隆
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2083-2085
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は35歳の男性.頻拍発作の精査目的で当科に入院した.冠動脈造影では左冠動脈に石灰化を伴う冠動脈瘤を,左心室造影では左室下後壁の壁運動の低下を認め川崎病後遺症に合併した陳旧性心筋梗塞症が強く疑われた.電気生理学的検査では複数種の持続性単型性心室頻拍が誘発されたが,薬物療法およびカテーテルアブレーションで頻拍の抑制に成功した.心室頻拍を契機に発見された冠動脈瘤の一例として示唆に富むと考えられた.
  • 宮澤 輝臣, 山木戸 道郎
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2086-2090
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近の5年間に高度気道狭窄31例に全身麻酔下に主に硬性気管支鏡にてレーザーやバルーンで気道拡張術を施行後, Dumonステントを留置した.全例ともステント留置により内腔保持が可能となり気道閉塞は回避できた.合併症としてステントの移動,ステント内への気道分泌物の貯溜やステントが接触する両端の部位の肉芽形成などがあった.しかし全例とも合併症を切り抜け,それ以上にステント留置で劇的に呼吸を楽にすることによるQOLの向上を認め有用であった.
    また欧米で新たに開発され使用され始められている各種気道ステント(ST, Protora, Dynamic, Mintec, Nitinol Boston, Nova, Covered Wall, Noppen Screw-thread, Cragg Nitino1, Memotherm Nitinol)について最新の知見を紹介した.
  • 北村 諭
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2091-2095
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胸腔鏡は局所麻酔下でも施行可能であり,内科医でも安全に施行できる.しかし,気胸の治療や肺生検のためには全身麻酔が必要であり,この場合には外科医による外科的胸腔鏡が必要となる.胸腔鏡は特に胸水貯留症例には必須の検査であり,本法により診断率は著明に向上する.自然気胸に対しても胸腔鏡下の処置は侵襲性が少なく,有力な治療法となる.経気管支肺生検などで確診できないcoin lesionやびまん性肺疾患の診断にも胸腔鏡下肺生検は威力を発揮する.因みに胸腔鏡下肺生検施行時の血中エラスターゼ, IL-6値を測定したところ,肺損傷を惹起するような有意な上昇はなかった.
  • 『剖検所見の内科臨床研修へのフィードバックに関する調査』報告
    福井 次矢, 前川 宗隆, 山本 和利, 黒川 渡, 青木 則明, 白水 倫生, 梶山 徹, 岸野 美奈子, 浅井 篤, 藤村 聡
    1996 年 85 巻 12 号 p. 2096-2105
    発行日: 1996/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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