日本内科学会雑誌
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85 巻, 1 号
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  • 篠山 重威
    1996 年 85 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 大久保 信司, 竹越 襄
    1996 年 85 巻 1 号 p. 4-6
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在CCUが進歩し,各旋設でのCCUにおける不整脈監視システムが普及し,急性心筋梗塞症における急性期致死的不整脈に対するすばやい対応が可能となったため不整脈による死亡率は激減した.しかし現在でも急性心筋梗塞症による院内死亡率は10%前後を認め,死因の多くは心原性ショックである.本稿では,心原性ショックの定義と診断基準について述べた.
  • 杉町 勝, 砂川 賢二
    1996 年 85 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心機能低下が原因である心原性ショックは心不全の極型ともいえる.心原性ショックでは悪循環(特に冠循環を介する悪循環)に陥り体液漏出や心抑制因子も関与する.心原性ショックを含む心不全では圧反射を介する心臓と動脈系の釣り合った調節機構が破綻し血管抵抗や心拍数の過剰な上昇が起こる.また圧反射の減弱も実効的にはこの効果を助長し悪循環を増悪させる.
  • 小川 久雄, 吉村 道博, 泰江 弘文
    1996 年 85 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックとは,急激な心ポンプ機能の低下のために高度の組織灌流低下を来す循環不全状態である.その時の体液性変動としては,交感神経系の賦活化によるepinephrineやnorepinephrineの分泌の増加やrenin-angiotensin-aldosterone系の賦活化が挙げられる.さらに,心臓からナトリウム利尿ペプチドの分泌が増加する.代謝変動としては,組織低酸素血症が生じ,エネルギー補給のために嫌気性解糖が盛んになり,血中の乳酸が増加してアシドーシスを招来する.
  • 高野 照夫, 青木 聡
    1996 年 85 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞によるショックの発症後6時間以内CCU収容の割合は, 1982年と最近3年間(1989~1991年)とほぼ同じであったが,死亡率は70.9%に対し56.0%と減少傾向にあった.これらを収容時間帯に分析すると,発症4時間以内では73.5%と54.2%で両群間で有意差を認めなかったが,最近3年間の方が低値を示した.また冠血行再建療法は非施行群に比し,生存率が有意に高かった.再梗塞によるショックは3.2±1.7病日に起り,予後が著しく悪いので,この対策も重要である.
  • 齋藤 宗靖
    1996 年 85 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックは心筋の収縮力障害に基づくショックで,その原因の大部分を急性心筋梗塞が占める.心原性ショックの診断には収縮期血圧の低下(90mmHg未満,あるいは通常の血圧より30mmHg以上低下)および末梢循環不全兆候(時間尿量20ml以下の乏尿,意識障害,末梢血管収縮など)によって行われる.ショックの重症度把握には血圧を含む心・血行動態,動静脈酸素飽和動脈,尿量,血中乳酸値などが重要である.
  • 松崎 益徳, 笠岡 俊志
    1996 年 85 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックに対しては,観血的動脈圧およびSwan-Ganz法による血行動態のモニタリングが治療方針の決定や治療効果の判定のために不可欠である.近年.モニタリング技術の進歩によって,圧情報のみならず混合静脈血酸素飽和度や心拍出量の連続測定が可能となり,重症患者の循環管理より厳密に行うことができるようになった.
  • 渡邉 佳彦
    1996 年 85 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックは血行動態のモニタリングによって自ずから重症度とその治療方針が決定されるが,原因疾患によって重症度の判定,治療の選択もかなりの修飾をうける.臨床検査はショックの原因疾患の究明と多臓器不全の合併などの重篤な病態を速やかに診断するのに不可欠なもので,心電図,胸部X線写真,血液検査,血液凝固能検査,動脈血液ガス分析,生化学検査,心エコー検査などが実施される.とくに多臓器不全を予防するとともに,その発生を看過しない注意が救命につながる.
  • 木佐貫 彰, 田中 弘允
    1996 年 85 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックを来す疾患で多いのは広範囲急性心筋梗塞である.心エコー図上,左室心筋の広範な壁運動異常を認める.それに合併する心室中隔穿孔,重症僧帽弁逆流,乳頭筋断裂,左室自由壁穿孔等も体表面および経食道心エコー・ドプラー法を用いて診断される.拡張型心筋症,心筋炎,僧帽弁狭窄症以外の弁膜症末期でも左室収縮障害を来し,心エコー図上左室が著明に拡大し,壁運動がびまん性に低下する.心タンポナーデでは心膜液貯留と右室壁の拡張期虚脱が認められる.肺塞栓,原発性肺高血圧では右室が拡大し,右室圧上昇の所見が認められる.心臓粘液腫,閉塞性肥大型心筋症も心エコー法により診断できる.心エコー法は心原性ショックの迅速診断に有用である.
  • 渡辺 淳, 白土 邦男
    1996 年 85 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックはそれ自体極めて重篤な状態であり,刻々と変化する病態である.ショック過程が一旦始まればその予後は極めて不良であることに異論はない.これまでの臨床報告によれば急性心筋梗塞後の心原性ショックの予後の決定因子は治療法の選択と成功,その導入の時期によって大きく異なるとされている.早期の大動脈バルーンパンピング導入と再灌流療法の成功によって明らかな生存率の改善が報告されている.また心筋炎による心原性ショックは急性期を循環補助によって克服すれば比較的予後は良好であるとされている.
  • 長谷部 直幸, 菊池 健次郎
    1996 年 85 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心原性ショックに対する応急処置は,速やかにかつ効率よく適用されることが重要である.まず,ショック状態からの早急な回復とその後の原因疾患に対する適正な治療の迅速な導入を図るべきである.除細動を含む心肺蘇生術の実施と,病態に適合した救急薬品の使用がその基本であり,これに各種のインターベンションや緊急外科手術など,原因疾患に応じた適切な治療の時宜を得た実践が不可欠である.
  • 野々木 宏
    1996 年 85 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞症の院内死亡率は低下したが,ポンプ失調による死亡はいまだに高率である.特に心原性ショック例の予後は不良であり大動脈内バルーンポンプ法などの補助循環を使用しても保存的治療では80%近い死亡率である.これまでの報告から早期の確実な再灌流療法は,その予後を改善する可能性がある.したがって経皮的人工心肺法による確実な補助循環下に冠動脈形成術を施行することが現時点での最善の方法であると考えられる.
  • 安部 治彦, 黒岩 昭夫
    1996 年 85 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    不整脈によるショックは,特に基礎心疾患を有する患者にみられる場合が多く,緊急治療を要する場合もある. III群抗不整脈薬を含めた薬物治療,徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療,及び高周波カテーテルアブレーションによる頻脈性不整脈の治療は有用である.さらに,致死性頻脈性不整脈の治療として植え込み型除細動器(ICD)も有力な治療法として期待されている.
  • 経皮的心肺補助装置(PCPS)の使用をめぐって
    和泉 徹, 小川 祐輔
    1996 年 85 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ショックを伴う重症心筋炎に対する急性期治療にPCPS (経皮的心肺補助装置)の導入が注目を集めている,自験4症例を総括すると, 5日間以内に離脱出来る様な症例では相応しい結果を上げられると期待される.しかし,長期間にわたる場合には,血栓症や血流障害,それに肝障害や腎障害などの合併症の克服が大きな課題となる. PCPS装置の改良とPCPS離脱困難例への新しい対処法が待たれている.
  • 木之下 正彦, 三ッ浪 健一
    1996 年 85 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心タンポナーデは心ずしもショックを伴わないが,心不全によるショックと間達えられやすい.最近は血栓溶解療法,新しいデバイスによる冠動脈形成術等の導入により心タンポナーデの頻度は増加している,診断は心エコーが最も簡便で優れた方法であり,奇脈も非常に重要な所見である.治療は心膜穿刺術,心膜切開術,経皮的バルーン切開術が行われるが,その適応は個々の症例で検討すべきである.内科的には血管内容量を増加する治療を行い,利尿薬の投与は禁忌である.
  • 矢野 捷介
    1996 年 85 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高齢者の循環器疾患では加齢に伴う心臓の予備能力低下のために循環動態が容易に増悪し,ショックに陥りやすい.高齢者の心原性ショックは高齢者の臨床的特徴を反映して非定型的病態を呈するのみでなく,治療に対する反応も個人差が大きく,副作用が生じ易い.したがって,高齢者における心原性ショックの治療は高齢者の臨床的特徴を熟知して注意深く行う必要がある.
  • 児玉 和久, 平山 篤志
    1996 年 85 巻 1 号 p. 82-87
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞等の心疾患による心原性ショックに対する治療とし,大動脈バルーンパンピング(IABP)や簡易型人工心肺(PCPS)が用いられるようになり,従来救命できなかった心破裂や広範囲梗塞例を救命し得るようになってきた.今後,早期に使用することでさらに成績が向上するであろうが,これらの装置は装着により血行動態を安定化させ,その間に根治的治療を施行するという治療までのブリッジが基本である.
  • 川名 憲一, 住田 晋一, 芦野 和博, 高崎 泉, 後藤 英司, 塩之 入洋, 梅村 敏, 石井 當男, 藤本 健吉, 大内 秀紀, 穂坂 ...
    1996 年 85 巻 1 号 p. 110-112
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は48歳男性.高血圧,糖尿病を指摘され,平成4年12月,血液生化学的検査,画像診断にて左副腎褐色細胞腫と診断された.悪性褐色細胞腫を疑い化学療法を施行したが無効であった.腹部血管造影時,右腎血管性高血圧と診断された.本症例は左褐色細胞腫と右腎血管性高血圧を合併したまれな症例であり,かつ経過中膵仮性〓胞によると思われる癒着で褐色細胞腫の治療に難渋した. PTRA施行により,血圧,血漿レニン活性は低下傾向を示した.
  • 井桁 之総, 菅 貞郎, 柚木 和太, 佐藤 周三, 美原 盤
    1996 年 85 巻 1 号 p. 113-114
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.頭痛,発熱,意識障害で発症した.髄液所見でリンパ球優位の細胞数の増加を認め,培養で結核菌が同定された.頭部CTでは水頭症を, MRIでは脳底槽にGd増強効果を認めた.経過中,水頭症の進行とともに低体温を呈し,髄液ドレナージ術後,速やかに改善した.本例は結核性髄膜炎に水頭症を合併し,視床下部障害による低体温を呈した貴重な1例と思われ報告した.
  • 中村 政彦, 石川 るみ, 相沢 一徳, 野田 嘉明, 瀬戸 俊邦, 加賀 美年秀
    1996 年 85 巻 1 号 p. 115-117
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例1は65歳男性.早期刺激で誘発可能な右室起源の心室頻拍発作を繰り返し,造影で右室の著明な拡大と壁運動低下,流入路下壁のdyskinesisを認め左心機能は正常だった.症例2は34歳,症例1の長男.心室性期外収縮の連発,右室の高度の拡大と壁運動低下,流出路から心尖部のakinesisを認めた.右室生検で共に脂肪変性,線維化を認め,症例1にリンパ球浸潤を認めた.症例1は焼灼術施行後頻拍発作なく遺伝性やウイルス感染も示唆された.
  • 福島 聖二, 本間 覚, 松尾 汎, 林 富貴雄, 後藤 葉一, 対馬 信子
    1996 年 85 巻 1 号 p. 118-120
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.胸部大動脈弓に存在する径60mmの真性動脈瘤を外来観察中に,大動脈瘤遠位部から腎動脈上に及ぶ大動脈解離を発症した. entry tearは動脈瘤遠位側辺縁に認められた.偽腔は胸痛発症2時間後には開存していたが, 13時間後にはほぼ血栓閉塞した.胸部真性動脈瘤に大動脈解離が合併し,偽腔の血栓閉塞の過程がとらえられた興味深い1例と考えられた.
  • 井上 啓司, 加藤 周司, 計良 夏哉, 里田 雅彦, 森本 聡, 寺田 幸治, 立川 弘孝, 加藤 隆弘, 井田 和徳
    1996 年 85 巻 1 号 p. 121-122
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性. 1980年に結節性硬化症(TS),腎血管筋脂肪腫(R-AML)と診断された.その後, R-AMLの自然破裂に伴い徐々に腎機能が低下した. 1993年11月再破裂を契機に腎不全,心不全が増悪し,血液透析を施行したが, 1994年7月R-AMLの破裂による腹腔内出血で死亡した. TSに両側腎全体のR-AMLを合併し,進行性の腎不全を呈する症例では,可能であれば,透析を前提とした腎動脈塞栓術・腎摘出術または腎移植を早期に考慮すべきものと考えられた.
  • 長谷 麻子, 織茂 智之, 荒畑 喜一
    1996 年 85 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    炎症性筋疾患のうち代表的な3疾患(多発筋炎: PM,皮膚筋炎: DM,封入体筋炎: IBM)をとり上げ,その臨床・病理学的特徴について述べるとともに,これらの疾患の病態解明に関する最近の研究成果を紹介した.現時点ではこれら3疾患の原因は不明であるが,いずれも自己免疫機序による筋崩壊が生じている傍証が得られている.すなわちPMとIBMについては細胞障害性T細胞(CTL)による筋線維の崩壊が, DMについては免疫複合体と補体を介した血管障害による筋線維の虚血が存在する.さらにT細胞レセプターの解析やCTL内顆粒の研究を通じて, PM, IBMにおける免疫学的機序が明らかになりつつある.なお, IBMの成因におけるprion蛋白やβ-amyloid蛋白の関与も検討されている.
  • 中田 光
    1996 年 85 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 1996/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    後天性免疫不全症候群(AIDS)の流行に伴ない,合併する結核感染の増加が問題となっている.進行が速いばかりでなく,治療後も日和見感染の頻度が増加し,予後を悪化させることが指摘されている.また,肺外結核が多く,症状が非特異的で, X線像も非定型的であるため,見逃がされやすい.喀痰からの菌の検出率が低く,ツベルクリン反応もエイズの進行とともに陰性化するという問題がある.治療は,感受性菌であれば通常の化学療法によく反応するが,耐性菌の合併も増加しているので注意を要する.ハイリスクグループにはINHによる予防が勧められている.
  • 1996 年 85 巻 1 号 p. 152
    発行日: 1996年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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