心原性ショックを来す疾患で多いのは広範囲急性心筋梗塞である.心エコー図上,左室心筋の広範な壁運動異常を認める.それに合併する心室中隔穿孔,重症僧帽弁逆流,乳頭筋断裂,左室自由壁穿孔等も体表面および経食道心エコー・ドプラー法を用いて診断される.拡張型心筋症,心筋炎,僧帽弁狭窄症以外の弁膜症末期でも左室収縮障害を来し,心エコー図上左室が著明に拡大し,壁運動がびまん性に低下する.心タンポナーデでは心膜液貯留と右室壁の拡張期虚脱が認められる.肺塞栓,原発性肺高血圧では右室が拡大し,右室圧上昇の所見が認められる.心臓粘液腫,閉塞性肥大型心筋症も心エコー法により診断できる.心エコー法は心原性ショックの迅速診断に有用である.
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