日本内科学会雑誌
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85 巻, 2 号
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  • 宮本 昭正
    1996 年 85 巻 2 号 p. 161-162
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 足立 満, 美田 俊一
    1996 年 85 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の定義として今迄多くのものが,提唱されてきている.これらの中で比較的良く知られているものにCiba Foundation Guest Synposium (1958年),アメリカ胸部疾患学会(1962年)の定義がある.これらの定義では広範囲な気道狭窄やその可逆性および気道過敏性亢進など喘息の機能的な面が強調されていた.しかし,近年気管支喘息は多くの炎症細胞が関与する慢性の気道炎症であり気道壁のリモデリングなど器質的病変をも伴うことが認識されてきている.
  • 佐野 靖之
    1996 年 85 巻 2 号 p. 168-173
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    我国の喘息発症頻度は成人,小児とも30年前に比して最近は2~3倍の増加の報告が多く,大気汚染,気密化された建物,食品添加物,ペットの飼育など様々な要因が挙げられる.喘息死も増加の報告が散見され各国で喘息治療ガイドラインの作製が盛んとなっている.大発作既往群(near-death群)との比較において喘息死の背景因子も明らかとなり,重症,コントロール不良群, near-deathの既往を有する群での危険性が高く,在宅,救急車の中での死亡が多く,受診の遅れがみられることより,これらを来たさないガイドラインに沿った治療が必要といえる.
  • 森田 寛
    1996 年 85 巻 2 号 p. 174-177
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息にみられる気道炎症の機序に近年関心が寄せられている.気道炎症はアトピー型,非アトピー型を問わず全ての喘息に存在する.アトピー型喘息の気道にはアレルギー性炎症が認められるが,その基礎にはIL-4, IL-5, IL-13を産生するTh2細胞の誘導がある. IL-4, IL-13はB細胞に作用してIgEを産生させ, IL-5は好酸球の分化・増殖および活性化を誘導する.一方,非アトピー型喘息における気道炎症の機序については不明の点が多い.
  • 大田 健
    1996 年 85 巻 2 号 p. 178-183
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    喘息の基本病態として気道炎症が明らかとなり,炎症性メディエーターの関与が注目されている.ヒスタミン,プロスタノイド,ロイコトリェン,血小板活性化因子はいずれも喘息で増加し,気道収縮作用を認めるが,拮抗薬や合成阻害薬を用いた研究では,ロイコトリエンの関与が最も明らかで,プロスタノイドであるトロンボキサンや血小板活性化因子については部分的な関与に止まることが示唆されている.
  • 石岡 伸一
    1996 年 85 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は,持続性の気道炎症を背景とした疾患であり,多数の炎症細胞およびサイトカインが関与することが知られている. IgEの産生にはIL-4, IL-13が促進的に働き, IFN-γは抑制的に働く.肥満細胞の増殖には, SCFが必要である.また,アレルギー性炎症の中心細胞である好酸球に対しては, IL-5がその活性化に強く関わっている.将来的には特異的抗サイトカイン療法も期待される.
  • 福田 健
    1996 年 85 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    喘息患者の気道では,好酸球, Tリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤,気道上皮の剥離,粘膜・粘膜下の浮腫,上皮杯細胞増殖,粘膜下腺過形成,基底膜肥厚,平滑筋肥大などが認められる.これらの炎症所見は,程度の差こそあれ,発症初期も含む大部分の喘息患者に共通したものであり,臨床症状や呼吸機能,かつては遺伝的素因に基づくと考えられていた気道過敏性とも密接に関連していることが明らかになってきている.
  • 中川 武正
    1996 年 85 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の診断基準は未だ確立されていないが, 1993年に発表された「気管支喘息の診断と治療ガイドライン」には“診断の目やす”が示されている.この中には,症状,呼吸機能, IgE抗体,気道炎症などに関わる項目が含まれており,臨床上有用なものと考えられる.今後,各種サイトカインの測定などが臨床応用されれば,より詳細な病態診断が可能になることであろう.
  • 秋山 一男
    1996 年 85 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息が気道の慢性炎症性疾患であると定義され,喘息治療薬がこれまでの気管支拡張薬から抗炎症薬である吸入ステロイド薬に主役が代わってきた感がある.これらを踏まえ1990年頃から各国で喘息診断・治療のガイドラインが刊行され,それらをまとめる形で「喘息の診断と管理のための国際委員会報告」,次いで喘息管理の国際指針[喘息管理・予防のグローバル・ストラテジー] NHLBI/WHOワークショップレポートが刊行された.
  • 保澤 総一郎
    1996 年 85 巻 2 号 p. 205-209
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,気管支喘息が病型・重症度を問わずアレルギー性炎症と呼ぶべき気道炎症による慢性疾患であると定義された.その結果,現在使用しうる最も強力な抗炎症薬であり,かつ副作用の少ない吸入ステロイド薬が喘息治療におけるfirst line drugとなり,わが国をはじめ各国の喘息治療ガイドラインにおいて喘息治療の中心となっている.吸入ステロイド薬を導入する際には,その喘息治療における位置付け,使用法の実際,副作用について患者教育を十分に行うことが重要である.
  • 黒沢 元博, 五十嵐 康, 宮地 良樹
    1996 年 85 巻 2 号 p. 210-215
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    β2アドレナリン受容体作動薬は,急性の喘息発作の寛解,運動誘発喘息の予防に極めて有効な薬物である.長時間作用型のβ2アドレナリン受容体作動薬は,夜間の喘息発作予防に有効である.長時間作用型のβ2アドレナリン受容体作動薬は1日2回のregular useで用いられるべき薬物である.急性の喘息発作に対しては,短時間作用型,ないしは比較的長時間にわたり作用するβ2アドレナリン受容体作動薬が用いられる.
  • 藤村 政樹
    1996 年 85 巻 2 号 p. 216-221
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗アレルギー薬とは喘息発作予防薬であり,発作治療薬ではない.抗アレルギー薬には, 1)メディエーター遊離抑制薬, 2)H1-拮抗薬, 3)トロンボキサンA2(TXA2)阻害薬, 4)スルフィドペプチド・ロイコトリエン(s-LT)阻害薬, 5)サイトカイン阻害薬があり,それぞれ作用機序が異なるために喘息治療薬としての特色がある.それらの特色を知ることにより,より有効な使い方ができる薬物である.
  • 田村 弦
    1996 年 85 巻 2 号 p. 222-226
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近発表された全ての喘息に関するガイドラインでは,喘息患者の管理は客観的な気道狭窄,現時点ではPEF値に基づいて行うことが推奨されている.その最大の理由は,健常者に比べて喘息患者は気道狭窄を過小評価し,重篤な発作を経験している患者ではさらにこの傾向が強くなることによる.呼吸生理学的には, PEFは信頼性に乏しい指標と考えられてきたが,機動性に富むPEF測定はその欠点を補って,余りあるものと考える.
  • 榊原 博樹
    1996 年 85 巻 2 号 p. 227-233
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息はアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ阻害をトリガーにして発症する.アスピリンだけではなく,すべての非ステロイド性抗炎症薬が喘息発作を惹起する.アスピリン喘息の頻度は成人の通年性喘息の9.8%と推定できる.ただし,病歴から診断できるのは60%の症例である.診断を確定するためには負荷試験が必要である.コハク酸エステル型ステロイド薬が喘息を誘発したり増悪させたりすることがある.
  • 藤村 直樹
    1996 年 85 巻 2 号 p. 234-239
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    職業性喘息は産業の変遷とともに原因物質も移り変わり,動植物抗原からイソシアネートなど低分子化合物が増加している.診断にはPEFR連続測定による作業曝露に関連した気流閉塞の証明が有用である.診断と対策の遅れは,永続的な気道過反応性と喘息症状の遺残をもたらす.曝露の消滅が最良の対策であり,抗炎症薬による薬物治療は非特異的気道過反応性を抑制するが,特異的抗原吸入誘発は抑制せず,環境曝露対策の不十分さを他の治療で補完してはならない.
  • 平田 一人, 田中 繁宏, 少路 誠一
    1996 年 85 巻 2 号 p. 240-244
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Cough variant asthma (CVA)は,慢性咳嗽のみを主訴とする疾患の1つであり,気道過敏性の亢進や気管支拡張薬やステロイド薬が有効であり気管支喘息との共通点が多い. CVAの中には典型的な喘息に移行する症例があり,喘息の異型や非定型と考えられるが, CVAのみの症例もあり,今後気道炎症を中心とするCVAの病態生理の解明が期待される.
  • 藤川 いづみ, 鄭 東姫, 矢ケ崎 史治, 山本 克也, 長田 薫, 浜口 裕之, 三宅 祥三
    1996 年 85 巻 2 号 p. 271-273
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性で主訴は発熱.末梢血で単球増加症と骨髄に大型異型細胞の集塊を認めた.さらに動揺性の精神神経症状も出現, angiotropic lymphomaが疑われた. VEPA療法が著効し,一時寛解を得たが,間質性肺炎合併後に再燃し,死亡.剖検で,全身の最小血管内にB細胞抗原陽性の腫瘍細胞の増殖が認められた.原因不明の単球増加症の病因として, angiotropic lymphomaも考慮する必要があると考えられた.
  • 西影 裕文, 斎藤 彰, 中野 豊, 堀江 知恵子, 服部 忠和, 山本 順之祐, 小竹 千晶, 宮 一朗, 沼野 正浩, 折原 明
    1996 年 85 巻 2 号 p. 274-275
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    天疱瘡を合併したFisher症候群に免疫吸着療法を施行する機会を得た.症例は73歳,男性.既往歴は肺気腫および尋常性天庖瘡.肺気腫にて入院中,眼球運動障害,失調歩行などが出現し,深部反射の消失などからFisher症候群と診断した.免疫吸着療法施行後, Fisher症候群の症状は軽快したが,天庖瘡が悪化した. Fisher症候群,天疱瘡はともに血漿交換療法の適応があるが,合併症例での施行例は報告がなく,貴重な症例と考えられた.
  • 川田 泰伸, 廣 高史, 福田 信二, 作村 俊浩, 松崎 益徳, 岡田 和好
    1996 年 85 巻 2 号 p. 276-278
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎(C型)の治療としてインターフェロンα(IFN)の投与により失神発作を繰り返し, IFN中止後もQT延長,心室性頻拍症,心室細動をおこし,また房室ブロックが進行し,ペースメーカー植込みを施行,その後ペーシング閾値の上昇,心拡大,心尖部心室瘤,心不全症状等の多彩な心症状を呈した症例を経験した. IFN投与による副作用としての心症状はまれであるが,特に高齢者への投与時には十分な注意が必要と思われた.
  • 佐藤 晶, 勝井 郁, 本間 篤, 小池 亮子, 田中 正美, 田中 恵子, 辻 省次
    1996 年 85 巻 2 号 p. 279-281
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は24年の経過をもつ難治性,ステロイド依存症の重症筋無力症の45歳女性.ステロイドの大量持続療法中に球麻痺・筋力低下が悪化し呼吸管理を要した.メチルプレドニゾロン大量療法,免疫吸着療法は一時的効果しか得られず, cyclophosphamide, azathioprineは副作用のため使用できなかった. ciclosporinと大量ヒト免疫グロブリンを投与したところ,症状は約1週間で改善に向かい,その後も効果は安定していた.これらは難治例に試みる価値のある治療と考えられた.
  • 三浦 直哉, 竹中 孝, 井上 仁喜, 堀本 和志, 山中 剛之, 関口 守衛
    1996 年 85 巻 2 号 p. 282-284
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は39歳男性,気管支喘息にてプレドニゾロン5mg/日を長期内服中であったが, 39°C台の発熱と全身倦怠感を訴え,胸部X線像にて心拡大,心エコー図にて左室壁運動低下を認めた.末梢血好酸球増加が持続し,心筋生検にて両心室に心内膜の著明な浮腫性肥厚と心筋内好酸球浸潤を認めた.経過中,指趾に好酸球性皮膚炎を併発した.
  • 猿田 享男
    1996 年 85 巻 2 号 p. 285-291
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ある一定濃度のインスリンの存在下で,正常に発揮されるインスリン効果がみられない状態がインスリン抵抗性である.当初は,肥満者やインスリン非依存性糖尿病患者等,ある特殊な病態にみられる変化と考えられていたが,最近になって,想像された以上に多くの疾患がこの病態に関与していることが明らかとなった.さらにインスリン抵抗性を基礎病変として,糖代謝異常のほか,高脂血症,高血圧,血液凝固系の異常等の諸変化をきたし,動脈硬化の進展から,脳・心血管系疾患の発症に密接に関与する病態として注目されるようになった.このような諸病態を総括する名称としてsyndrome X, deadly quartet,あるいは本稿のテーマとなっているインスリン抵抗性症侯群等が提唱されている.さらにこのような病態を呈するものでは,内臓に過剰な脂肪蓄積を呈することが多いことから,内臓脂肪症侯群なる概念も提唱されてきている.
  • 山口 惠三
    1996 年 85 巻 2 号 p. 292-296
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ペリシリンの発見はグラム陽性菌感染症の治療に劇的な効果をもたらしたが,耐性菌の出現は着実に進行し,その臨床効果は次第に失われていった.その中で肺炎球菌は長い間高い感受性を示し,とくにペニシリンは優れた治療薬として長期に亘って使用されてきた.しかし, 1965年に初めてペニシリン耐性肺炎球菌が臨床材料より分離され,その後世界各地からも報告されるようになり注目された.これらの耐性株に対するペニシリンGのMIC値は0.1~1.0μg/mlと比較的低く,臨床的にはペニシリンの大量投与がなお有効であった.ところが, 1977年,南アフリカで報告されたペニシリン高度耐性株(MIC:≧2.0μg/ml)は,同時にテトラサイクリン,クロラムフェニコール,エリスロマイシン,クリンダマイシン, ST合剤などのいずれかに耐性を示す多剤耐性株であり治療上問題となった.これらの耐性株は,本邦においてもかなり高頻度で分布しており, βラクタム薬にも交差耐性を示し化学療法に対する反応が鈍いことから近年にわかに注目を浴びることになった.
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