赤血球輸血は,血液の酸素運搬能を改善し,組織への酸素供給を十分行えることを目的に実施される.慢性貧血における赤血球輸血の一般的適応は,ヘモグロビン値が7g/dl未満の時であり,それ以上の患者には通常輸血の必要はない.慢性貧血に対しては,赤血球濃厚液を使用し,老人や心不全患者に対しては時間をかけて輸血する.一般に,鉄欠乏性貧血,悪性貧血,自己免疫性溶血性貧血などでは高度の貧血でも輸血の必要はなく,薬物療法により速やかな改善が期待できる.大量出血による急性貧血では,血圧,呼吸・心拍状態などに注意し,赤血球濃厚液と全血を適宜併用する.止むを得ず院内採血する場合には,輸血後graft versus host disease防止のため近親者からの輸血は避け,輸血前に製剤に放射線照射を実施することが望ましい.
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