日本内科学会雑誌
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85 巻, 6 号
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  • 池田 康夫
    1996 年 85 巻 6 号 p. 793-794
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 長尾 忠美
    1996 年 85 巻 6 号 p. 795-800
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    輸血療法に際しては,まず問診により,受血者に副作用を及ぼさないような供血者を選択する.ついで各種の検査を施行し,不適正な血液を除外する.現時点においても,輸血には何等かの副作用を伴うので,輸血の適応を十分に考慮し,不必要な輸血を避けるべきである.輸血の実施に際しては,血液型不適合輸血などの事故防止のため,決められた手順にしたがって,慎重に行う.ひとたび副作用が出現した時は,迅速に適切な処置を講じるべきである.
  • 安川 正貴
    1996 年 85 巻 6 号 p. 801-805
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    赤血球輸血は,血液の酸素運搬能を改善し,組織への酸素供給を十分行えることを目的に実施される.慢性貧血における赤血球輸血の一般的適応は,ヘモグロビン値が7g/dl未満の時であり,それ以上の患者には通常輸血の必要はない.慢性貧血に対しては,赤血球濃厚液を使用し,老人や心不全患者に対しては時間をかけて輸血する.一般に,鉄欠乏性貧血,悪性貧血,自己免疫性溶血性貧血などでは高度の貧血でも輸血の必要はなく,薬物療法により速やかな改善が期待できる.大量出血による急性貧血では,血圧,呼吸・心拍状態などに注意し,赤血球濃厚液と全血を適宜併用する.止むを得ず院内採血する場合には,輸血後graft versus host disease防止のため近親者からの輸血は避け,輸血前に製剤に放射線照射を実施することが望ましい.
  • 品田 章二
    1996 年 85 巻 6 号 p. 806-810
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血小板製剤の使用基準の公表後, 2年経た1995年は日赤PC製剤中,成分採血由来が95.4%を占め,大きく変貌した.血小板数2万/μl以下で,出血している病態が適応とするが,数は絶対条件でなく,急峻な減少期や出血症状の強弱を重視する場合もある.臨床医は輸血の時期と単位数を的確に判断し,製剤の適正使用に積極的でありたい.輸血前後の患者血小板数から,補正血小板増加数(CCI)を求め,その効果を客観的に評価すべきである.
  • 櫻川 信男
    1996 年 85 巻 6 号 p. 811-817
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血友病および類似疾患の止血には欠損凝固因子の補充が必要であり,分子生物学,遺伝子工学の発展で成分輸血が行われている.一方,各種ウイルス感染をスクリーニングしたヒト血漿で化学処理や加熱処理を施してもウイルス感染の危険性は完全に否定できない.この有限で貴重なヒト血漿を素材とする本製剤は後天的にも補充を必要とする病態や生理機能低下を有する高齢者への投与も増加している今日では十分な注意の下で使用することが肝要である.
  • 菊池 修一, 小山 哲夫
    1996 年 85 巻 6 号 p. 818-823
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アルブミン製剤は,最も早くから利用されている血液製剤のひとつで,主に血漿浸透圧の調整や,循環血漿量の保持を目的として使われる.加熱処理されていてウイルス感染の危険性も少なく,入手も比較的容易であるため,ともすれば過剰投与になりやすい.しかし血液製剤の国内自給が未だ困難で,かなりの部分の原料を輸入に頼っている現在,適正な使用法を心がける必要がある.常に効果を評価しながら投与していくことが大切である.
  • 宮良 高維, 斎藤 厚
    1996 年 85 巻 6 号 p. 824-828
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    免疫グロブリン分画の投与は,低または無ガンマグロブリン血症の患者の感染症予防の目的で施行されてきた.近年では感染防御能の低下した症例の難治性感染症や,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)等の免疫学的機序により生じた疾患の一部でも極めて有用であるため治療に用いられている.静注用製剤ではIgGの重合防止の処理法で製剤間での特性に若干の差が存在する.応用によっては新しい感染症,抗炎症治療の道が開かれる可能性がある.
  • 高野 進
    1996 年 85 巻 6 号 p. 829-833
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    (1)輸血後肝炎の頻度は全体として著しく減少している. 10単位を輸血した場合の頻度は従来の約10%から,現在では0.9%に減少している.これは主に第二世代HCV抗体と高力価HBc抗体による献血者スクリーニングの成果である. (2) HIV感染も献血者スクリーニングでほぼ阻止されている.抗体が陽性化するまでのwindow periodの供血者から感染する可能性があるが,その頻度は10万分の1以下と推定される. (3) HTLV-Iも献血者スクリーニングでほぼ阻止されているが,院内採血による輸血では抗体チェックがぜひ必要である. (4)免疫抑制療法などで免疫能が低下したrecipientではサイトメガロウイルスによる間質性肺炎, EBウイルスの腫瘍原性が問題となる.
  • 伊藤 和彦
    1996 年 85 巻 6 号 p. 834-838
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    典型的輸血後GVHDはT cell-mediated GVHDで急性な臨床経過をとり死亡する.ほとんどの症例は典型例であるが,回復して死亡しない非定形症例も少数ながらある.一方,臓器移植後T細胞機能を抑える免疫抑制薬投与患者では,抗体産生によって障害を示すB cell-mediated GVHDが発症する.臓器移植後長年経過した患者でミクロキメラ現象が観察されている.このように程度の異なるキメラが存在し,複雑な現象を示すことが明らかになりつつある.
  • 別所 正美
    1996 年 85 巻 6 号 p. 839-843
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    エリスロポエチン(Epo)の臨床応用は腎性貧血から開始されたが,その適応は貧血を主症状とするさまざまな疾患に広がりつつある.特に,従来,輸血に頼らざるをえなかった難治性貧血の一部にEpoにより貧血の改善する症例が存在することが判明し,これら疾患への応用も期待されている.ここではこのようなEpoの臨床応用の現状について概説した.
  • 桜田 恵右
    1996 年 85 巻 6 号 p. 844-849
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    難治性血液疾患や癌化学療法後では白血球減少状態をきたし,致命的な感染症併発の頻度が高い.これにたいし従来は白血球輸注や各種抗生物質などで治療してきたが,最近,白血球(好中球)増加作用を示す造血因子が用いられるようになり,疾患の予後は著しく改善している.本稿ではこれら造血因子の内, G-CSF, M-CSF, GM-CSFにつき利点と欠点などにつき概説した.
  • トロンボポエチン(C-Mp1リガンド)
    藤本 幸示, 河北 誠
    1996 年 85 巻 6 号 p. 850-856
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,赤血球系造血因子のエリスロポエチン,好中球に特異的な顆粒球コロニー刺激因子が臨床応用され,劇的な効果が証明されたのに対し,血小板産生を特異的に刺激する造血因子の同定は遅れていた.しかし, 1994年遂にトロンボポエチン(TPO)が遺伝子クローニングされた. TPOは強力かつ特異的に血小板産生を刺激するので,副作用も少ないと予想され,臨床医が悩まされてきた癌の化学療法,骨髄移植,放射線照射など血小板減少を来たす病態の治療に劇的な効果が期待されている.
  • 上田 孝典, 和野 雅治
    1996 年 85 巻 6 号 p. 857-861
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液疾患の輸血では,各疾患の病態に応じ必要な成分のみを輸血する.赤血球輸血の最低基準値はHb 5~6g/dlにおく.血小板輸血の目標は,慢性疾患で10,000/μl,出血時や化学療法後は20,000/μl,重症の出血や手術時は50,000/μlとする.播種性血管内凝固では,ヘパリンに加え,新鮮凍結血漿及びアンチトロンビンIII製剤を投与する.輸血はあくまで補助療法であり,原因療法を怠ってはならないが,他方臓器移植の一面もあり重要である.
  • 関口 定美, 池淵 研二
    1996 年 85 巻 6 号 p. 862-870
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年における,わが国の血液事業に与えられた課題は血漿分画製剤の献血による自給と,より安全を求めた血液製剤の供給である.血液の献血による自給は輸血用血液製剤は100%に,凝固因子製剤でもほとんどを献血で確保できる現在では,むしろ,その視点は血液の安全性に移されており,わが国の血液事業はあきらかに“量から質”への転換の時期に至っている.安全な輸血を求める以上,現状では同種血輸血の回避と自己血の推進をすすめねばならず,この範囲に血液事業が存在すると考えてよい.今後,ヒト血液によらない多くの代替血液輸血法が開発されることが予想されるが,とくに人工血液,造血サイトカインなどによる輸血の代替療法が近いうちに現実のものとなるであろう.しかし,これらの新技術はヒト血液による輸血を否定するものではなく,多岐選択的治療として共存して行くものと考える.より安全なヒト血液を求めると同時に今こそ献血の重要性を理解しなければならない.
  • 面川 進
    1996 年 85 巻 6 号 p. 871-878
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    善意の献血による血液が有効に利用されるために,各医療機関では輸血の適応を厳格にし,過剰な血液準備や不必要な輸血を避ける必要がある.そのためには,輸血部(輸血管理部門)の設置で血液製剤の徹底した管理を行い廃棄血液の削減を計ることはもちろんであるが,それに加え輸血部が中心となった各臨床科医師への輸血療法の教育,指導や積極的なT & S (type & screan), MSBOS (maximum surgical blood order schedule)システムの導入,そして自己血輸血の推進が重要である.
  • 小寺 良尚
    1996 年 85 巻 6 号 p. 879-885
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    難治血液疾患に高い確率で治癒をもたらす同種骨髄移植の機会を広げる日本骨髄バンクは60000人を越えるドナープールを擁し,これを介した非血縁者間骨髄移植が毎日約1例の割で実施されている.白血病に於けるリスク別生存率70~35%は,同じカテゴリーのNMDP (米国骨髄バンク)のそれらより, 10~15%くらいずつ優れており,非血縁者間骨髄移植がわが国では欧米以上に効率の良い治療法になる可能性を示唆している.
  • 原田 実根
    1996 年 85 巻 6 号 p. 886-891
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    骨髄から末梢へ動員される末梢血幹細胞(PBSC)を大量に採取し,これを骨髄破壊的治療後の造血再構築に利用する末梢血幹細胞移植(PBSCT)は,白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍だけでなく,乳癌,卵巣癌,精巣癌などの固型腫瘍に対する集学的治療としてほぼ確立されており,期待できる成績が得られつつある. PBSCTが自家骨髄移植より有利なことから,同種骨髄移植の代替法として同種PBSCTの臨床応用が積極的に進められている.
  • 小島 元子, 奥野 よしえ, 横山 純
    1996 年 85 巻 6 号 p. 922-924
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は, 66歳の女性.高血圧を呈し,血中と尿中カテコールアミン(CA)高値.腹部CT上右副腎近傍に腫瘍あり,摘出により後腹膜神経節神経腫(節神経腫)と診断.術後発作性高血圧あり, CA高値.左側節神経腫の疑い強く,右腎動脈二分枝症を合併. CA分泌過剰を示す成人の節神経腫本邦第1例である.
  • 阿部 聖裕, 山本 浩三, 高田 康徳, 伊東 亮治, 近藤 圭一, 藤野 俊, 藤岡 精二, 平澤 泰, 横山 彰仁, 河野 修興, 日和 ...
    1996 年 85 巻 6 号 p. 925-926
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の男性.咳,痰を主訴に当科に入院した.胸部X線写真およびCT写真で右上肺野の浸潤影と左胸腔の慢性膿胸を認め,右S3からTBLBを施行し肺胞上皮癌と診断した.本症例は血清CA19-9が高値を示し,また右S3および画像上,浸潤影を認めない他区域の気管支洗浄液中のCA19-9も著明な高値を示したため,肺内転移があるものと考え,外科的切除術は施行せず,化学療法を中心に治療した.
  • 古谷 武文, 立石 睦人, 原 まさ子, 柏崎 禎夫, 竹内 恵
    1996 年 85 巻 6 号 p. 927-929
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は28歳男性, 25歳頃より爪先立ち困難,下腿筋の萎縮を自覚. 3年後,筋原性酵素の上昇を指摘された.下肢遠位筋優位の筋力低下,筋萎縮を認め,さらに筋生検で炎症細胞浸潤を認めたことから,多発性筋炎が疑われ,ステロイド治療を行うも軽快しなかった.筋疾患の家族歴もなく,筋ジストロフィーとして非典型的であったが,ジストロフィン分析で異常が証明され, Becker型筋ジストロフィーと診断し得た症例を報告した.
  • 斉藤 和之, 児玉 和久, 河野 幹彦, 柳沼 淑夫, 斎藤 宗靖
    1996 年 85 巻 6 号 p. 930-932
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    兄が35歳,弟が26歳で急性心筋梗塞を発症した.兄弟とも複数の冠危険因子を有し, Reavenの提唱するsyndrome Xに該当した.内臓脂肪型肥満と低HDLコレステロール血症が特徴的であった.また母親にもIIb型高脂血症を認め,家族性複合型高脂血症の家系と考えられた.共通の遺伝的背景のもと,類似した環境因子のためsyndrome Xの病態を呈し,その結果,兄弟ともに若年にて心筋梗塞という破綻を来したものと考えられた.
  • 城 由起彦, 中村 宇大, 橋口 衛, 野見山 賢介, 永松 明男, 赤木 公博, 藤井 一朗, 久岡 正典, 橋本 洋, 藤島 正敏
    1996 年 85 巻 6 号 p. 933-935
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性.検診にて肝腫瘍(径3.3cm)を指摘され,各種血液,画像検査による診断は困難であり吸引針生検で,類上皮型血管内皮腫epithelioid hemangioendothelioma(EHE)と診断した.経皮的エタノール注入療法(PEI)を行い, 1年後腫瘍は明らかに縮小(径2.3cm)した.本症例は早期に診断されたEHEであり,肝腫瘍を鑑別する際に,本症の可能性も考慮する必要があると考えられた.
  • 赤星 透
    1996 年 85 巻 6 号 p. 936-941
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫疾患は,自己に対する免疫学的寛容が破綻することにより生じる疾患である.最近,新たに見い出されたFasとFasリガンドは,アポトーシスと呼ばれる細胞死を制御するサイトカインとその受容体である. FasとFasリガンドは免疫学的寛容の成立に関与する因子の1つである.このFasとFasリガンドのシステムに異常が生じることにより,自己免疫疾患が発症することが証明された.慢性関節リウマチをはじめとする膠原病では,さまざまなサイトカインの発現が亢進している.これらのサイトカインは,膠原病の病態形成に重要な役割を担っている.本邦でも,サイトカインの制御による慢性関節リウマチの治療の試みが進められている.
  • 山口 悦郎, 檜澤 伸之, 川上 義和
    1996 年 85 巻 6 号 p. 942-947
    発行日: 1996/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アトピーの合理的な定義は定まっていないにもかかわらず,近年連鎖解析によるアトピー遺伝子の染色体における座位に関する報告が見られる.アトピー遺伝子は高親和性IgEFc受容体β鎖ないしその近くの遺伝子であるという英国からの報告があるが,追認されてはいない.一方,血清総IgE値を規定する遺伝子が,染色体5q31にあるという報告がある.しかし我々の相関解析では,染色体11q13にもそのような遺伝子が存在する可能性がある.今後の検討によりアトピーの分子論的機序が明らかにされ,それに基づいてアトピーの新たな定義が定まることが期待される.
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