消化吸収試験の中で最も基本的かつ重要なものは,糞便脂肪量の定量, D-xylose試験, V. B12吸収試験である.吸収不良症候群では脂肪の消化吸収が最も強く障害されるため,糞便脂肪量の定量が消化吸収の有無やその程度を知るために最初に行う検査である.更に消化吸収障害を起こす原因決定のため, D-xylose試験, V. B12吸収試験,更にBT-PABA(PFD)試験等が有用な試験である.なお,蛋白漏出の有無を知る試験としては,現在α1-antitrypsin clearanceがよく用いられている.
症例は45歳,女性.顔面紅斑,四肢近位筋の把握痛,筋力低下,各種自己抗体陽性,筋生検で炎症細胞浸潤とragged red fiberを認め,ミトコンドリア筋症と皮膚筋炎の合併と診断した.ステロイド投与で症状改善したが,減量後再び増悪した.再度の筋生検では炎症所見は乏しく皮膚筋炎は寛解状態と診断した.初発時ミトコンドリア筋症の診断は難しく,皮膚筋炎を合併した興味ある症例と考えられる.