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東條 毅
1996 年 85 巻 8 号 p.
1189-1190
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
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粕川 禮司
1996 年 85 巻 8 号 p.
1191-1195
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
SLE,強皮症,多発性筋炎でみられる症状が混在し,抗ENA抗体高値で,ステロイド薬によく反応する疾患としてMCTDは誕生した.その後,抗nRNP(ENA)抗体の特異性,抗Sm抗体の併存,肺高血圧の高頻度発生,腎症の合併,予後が必ずしも良くない等の問題が生じて,疾患概念の独立性が批判されるようになった.しかし,抗nRNP抗体が持つ病態や臨床像には特徴がある.病像を再整理することにより,より明確なMCTDの位置づけが確立すると考えられる.
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三森 経世
1996 年 85 巻 8 号 p.
1196-1202
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDは抗UIRNP抗体によって規定される疾患である. MCTDの病態は抗UIRNP抗体の存在と密接に関係しているため,抗U1RNP抗体の産生機序の解明がMCTDの病因追求に重要である. MCTDの真の病因は未だ不明であるが, HLAやT細胞レセプターなどの免疫遺伝学的要因と未知の病原微生物感染などの環境要因に加え, U1RNPという自己抗原の特殊性が複雑にかかわり合って抗U1RNP抗体が産生され, MCTDという病態を発現するものと考えられる.
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澤井 高志, 村上 一宏, 宇月 美和, 三友 紀男
1996 年 85 巻 8 号 p.
1203-1207
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDの剖検症例を病理組織学的に検討した.死因としては肺高血圧症,肺線維症など呼吸器に関連した疾患の比率が高く,中枢神経系疾患,肝疾患がこれについだ.病理組織学的には血管型,間質型の肺高血圧症,高度の唾液腺炎,食道下部の内輪筋層の萎縮,線維化が目立つ一方,腎,甲状腺などの病変は軽度であった.全身臓器の変化を総合的にみた場合, MCTDは独自の病変,病態を示すものとして位置付けられた.
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志水 正敏
1996 年 85 巻 8 号 p.
1208-1212
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
混合性結合組織病(mixed connective tissue disease, MCTD)は近年の膠原病学の進歩に伴い確立して来た疾患概念であるが,最近では第一線の診療の場でも実用性のある病名として定着している. MCTDにおいては特徴的な臨床症状が一定の組合せで出現することが極めてユニークである. MCTDにおいては診断の手引きそのものが,他の膠原病における診断基準に比較してより本質的な役割を演じている.
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原 まさ子
1996 年 85 巻 8 号 p.
1213-1216
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDはnRNP抗体の存在があって始めて疑われ, SLE, PSS, PM/DMに特徴的に認められる検査所見の有無を臓器別,系統的に検査することにより診断される.鑑別診断のためには,一般的検査と他の疾患特異的自己抗体の検索が必要である.診断がついたらその臓器症状の程度を検索する.経過観察のためには現在認められる所見の推移の他に,新しい病変のみならず,合併症の存在を念頭において検査を進める. SLE, PSS, PM/DMに移行する例もあることから,診断についても常に見直しながら検査をすすめなければならない.
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全国調査の結果から
横田 俊平, 今川 智之, 森 雅亮, 満田 年宏, 相原 雄幸
1996 年 85 巻 8 号 p.
1217-1222
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
小児期発症MCTDの全国調査を実施し,臨床所見と治療方法の実態を解析した.先行的なRaynaud現象と抗RNP抗体陽性が全例に認められ,発熱,関節炎,皮疹,筋力低下などの症状で顕在化していた.検査所見では斑紋型抗体核抗体陽性,高γ-グロブリン血症,リウマトイド因子陽性が高頻度に認められ,合併症としてSjögren症候群が高頻度であった.初期治療はステロイド薬が中心的薬剤で,しかし1/10の例でNSAID単独で寛解維持されていた.
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秋月 正史
1996 年 85 巻 8 号 p.
1223-1227
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
一人の患者に複数の膠原病の特徴的な症状が見られることはまれではない.かかる重複現象の解釈について研究者の意見の相違がある.よく使用されるオーバーラップ症候群やMCTDにも考え方に違いがあるものと考えられる.慶大内科の定義では前者の生命予後者のそれに比し有意に優れていた.膠原病重複現象はかかる臨床意義に加え自己抗体産生機序や組織障害機序など病因の追求に大切な手かがりであると考えられる.
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長沢 浩平
1996 年 85 巻 8 号 p.
1228-1232
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDはRaynaud症状と手指腫脹を基本症状としてPSS, SLE, PM/DMの症状を異なった比重で合わせもつため,治療は画一的には行なえない.治療方針の決定には病型に分類をすることが便利である.多くの場合ステロイド薬を使用するが,投与量は病型によって異なる.予後の悪い進行性の肺高血圧には大量のステロイド薬と抗凝固薬などを用いる.フォローする上では病型の変化に注意することと,肺高血圧の管理が重要である.
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田中 廣壽
1996 年 85 巻 8 号 p.
1233-1236
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDは予後が比較的良好な疾患単位と考えられていた.たしかに全身性エリテマトーデス(SLE),および多発性筋炎(PM)様の症状は副腎皮質ステロイド薬(GC)に反応する.しかし皮膚硬化,肺線維症などの強皮症(PSS)様症状やRaynaud現象はかかる治療に抵抗性である.また,肺高血圧症例の予後は悪く,その早期診断法・治療法の開発が望まれている.
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国枝 武義
1996 年 85 巻 8 号 p.
1237-1243
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
近年のMCTD調査研究班による研究を始めとした自己免疫疾患に関する研究の進歩から,予後の悪い合併症として肺高血圧症(PH)があることが判明した.その発生頻度は各種膠原病のうちMCTDで最も多く,その治療対策が急がれている.膠原病におけるPHの治療として,現時点で考え得る治療法とその成績について述べた.この方面の治療法の確立を願うものである.
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岡田 純
1996 年 85 巻 8 号 p.
1244-1247
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDは,神経症状を呈することは比較的まれな疾患である.しかし,強皮症の一部に三叉神経障害がみられることが報告され,当初は,強皮症の神経症状として注目された.しかし, MCTDの疾患概念が提唱されてからは,本症状は,強皮症よりはMCTDまたはU1RNP抗体を有する強皮症にみられることが明らかにされた.現在では,三叉神経障害はMCTDに特徴的にみられる神経症状であり, MCTDの初発症状または経過中に出現し,通常は消失することは少ないと考えられている.
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平形 道人, 中村 邦夫, 三森 経世
1996 年 85 巻 8 号 p.
1248-1253
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
間質性肺病変・漿膜炎は,ともにMCTDに最も高頻度に認められる臓器病変である.間質性肺病変は重要な予後因子であり,その病態より(1)慢性間質性肺炎・肺線維症型, (2)縮小肺型, (3)急性間質性肺炎型, (4) BOOPの4つの病型に分類され,治療法が決定される.一方,心外膜炎・胸膜炎を主とする漿膜炎は,ステロイド治療が効果的で,予後は比較的良好とされる.しかし,症例により多彩な経過をとり,心エコー・胸部CT検査を含めた注意深い経過観察が必要である.
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高崎 芳成
1996 年 85 巻 8 号 p.
1254-1258
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDでは一般に腎病変を有す例は少なく,軽症に経過するとされている.しかし,蛋白尿や尿細胞円柱などの出現率は比較的高率で,なかには治療抵抗性のネフローゼ症候群に至る症例も認められる.また,腎病理組織像における糸球体病変もSLEに比較し,軽症型が多いものの基本的に相違はない.定型的なSLEに比較し,比較的少量のステロイド薬に良く反応を示す.しかし,その重症度に応じ適正な投与量を決定する必要がある.
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吉田 俊治, 小野 真奈美, 濱本 龍生
1996 年 85 巻 8 号 p.
1259-1264
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDで90%以上にみられる末梢循環障害には, Raynaud現象や皮膚潰瘍などがある. Raynaud現象陽性者では指尖部の皮膚温は低く冷水負荷後の回復も遅い.出現時期や出現部位からRaynaud現象は疾患により特徴がみられる.血管拡張薬と抗血小板薬による治療効果の検討では, Raynaud現象には経口薬で52%に改善がみられた.一方,末梢潰瘍病変には経口薬は無効で,プロスタグランジン製剤の点滴やアルガドロバンの併用が有用であった.
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柏木 平八郎
1996 年 85 巻 8 号 p.
1265-1268
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
MCTDに特徴的な全身性エリテマトーデス,多発性筋炎および強皮症の3要素が混在する臨床像は,発病後炎症性所見が漸次鎮静化する一方で,強皮症様の所見が徐々に増強する傾向がある.死因としては肺高血圧症が最重要で,全体の約26%を占め,呼吸不全,心不全などがこれにつづく.生命予後はSharpらの最初の予想程良好でなく,全身性エリテマトーデスと比較して大差ない.
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米津 真由美, 佐藤 圭, 道又 敏夫, 関口 利和, 森 昌朋, 星野 洪郎, 村上 博和
1996 年 85 巻 8 号 p.
1293-1294
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症症は64歳,女性.一次型
M. avium感染症の診断で当科受診中に持続的な白血球及び著明なCD4
+Tリンパ球の減少を認め,その原因となりうるHIV感染, HTLV感染及び血液疾患等の疾患を認めず, idiopathic CD4
+T-lymphocytopeniaの診断に至った.本症候は国内では未だにほとんど報告を認めないが,抗酸菌感染症等の日和見感染の症例中に潜在する可能性がある.
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鈴木 貴博, 仁科 恭一郎, 横田 敏彦, 濱本 博美, 土山 芳徳, 清野 哲司, 池田 弘, 小西 明美, 井上 武紀, 島村 淳之輔, ...
1996 年 85 巻 8 号 p.
1295-1297
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は44歳,男性. C型慢性肝炎に対してインターフェロン投与中に低カリウム血症と四肢の脱力にて入院,電解質の補正にて症状は軽快した.本例では甲状腺機能,甲状腺自己抗体の検討の結果,投与前の抗マイクロゾーム抗体(MCHA)は陽性であり,インターフェロン投与によって周期性四肢麻痺を初発としてBasedow病を発症したものと考えられた.
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大平 直人, 永作 大輔, 前田 圭子, 吉田 慎太郎, 杉本 喜久, 内田 和則, 三浦 裕司, 上田 敬一, 蔦本 尚慶, 木之下 正彦 ...
1996 年 85 巻 8 号 p.
1298-1300
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
サルコイドーシスは類肉芽腫を特徴とする原因不明の全身性疾患である.本邦においては心サルコイドーシスの割合が高くまた死因として重要である.しかし本症が生前に診断される割合は低い.今回我々は他臓器に異常所見を認めず心筋生検のみで確定診断し得た心サルコイドーシスの1例を経験した.患者はステロイド薬,ジギタリス, ACE阻害薬にて心機能の著明な改善を認めている.
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佐藤 澄子, 棟田 慎二郎, 小林 卓正, 松本 勲, 越智 博文, 山下 順章
1996 年 85 巻 8 号 p.
1301-1303
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は71歳,男性.画像所見から両側性の傍正中視床・視床下部梗塞と診断した.責任血管として傍正中視床動脈が考えられた.本症例では下方への頭位変換眼球反射の欠如を伴う垂直注視麻痺が認められ,上方向は核上性麻痺,下方向は核性麻痺と考えられた.このため頭位変換によっても下方を見ることが出来ず,日常生活動作が著明に障害された.本症例は傍正中視床動脈の支配領域やその垂直眼球運動障害の発症機序を考える上で興味ある症例と考えられた.
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石川 裕泰, 古谷 正伸, 大蔵 勝弥, 秋山 達朗, 原田 昌彦, 長谷 弘記, 西澤 茂樹, 平井 寛則, 矢吹 壮, 山口 徹, 宮地 ...
1996 年 85 巻 8 号 p.
1304-1306
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は48歳(症例1)と76歳(症例2)の女牲で低血糖ならびに低Na血症の精査目的で入院となった.内分泌学的検索の結果, ACTH単独欠損症と診断した.また両症例ともにFT3, FT4は正常範囲内であったが血中TSHが上昇していた.症例2ではTRH負荷試験に対してTSHの過剰反応を認めた.両症例に対してコルチゾール補充をしたところ血中コルチゾール,尿中17-OHCSの改善とともに甲状腺機能は正常化した.甲状腺機能低下を合併したACTH単独欠損症ではコルチゾール補充後の甲状腺機能の変化の観察が必要と思われた.
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五味 秀穂, 久保 仁, 東條 克能, 柴崎 敏昭, 酒井 紀
1996 年 85 巻 8 号 p.
1307-1308
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は31歳,女性. 1983年に周期性四肢麻痺と皮下出血で発症.当科入院し,尿細管性アシドーシス(RTA)及び特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断. RTAに対し各種治療を試みるも効果なく,右腎動脈塞栓術で約3分の1を塞栓し得たが,隔日でカリウム(K) 150mEqの点滴補充を必要とした. ITPに対し各種免疫抑制療法等を施行したが,最終的には月1回の血漿交換とmPSL (metyl prednisolone)の内服により血小板数は2~10万/μlであった.入院11年後の1995年,積極的治療として左腎及び脾臓同時摘出術を行った結果,血清Kは補充なしで3~4mEq/
lを維持可能となり,血小板数も50~60万/μlとなり,外来通院可能となった.
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笠貫 宏
1996 年 85 巻 8 号 p.
1309-1318
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
心臓突然死の80~90%は心室細動(VF)ないし心室頻拍(VT)によると考えられているが,抗不整脈薬やカテーテルアブレーションや手術によるVT/VFの予防には限界がある.そのVT/VFによる突然死の予防を目的として電気的除細動器を体内に植込み, VT/VFを自動的に感知し,作動させるという植込み型除細動器(ICD)は画期的な治療法である. 1980年の臨床応用に始まり現在は第3世代の時代となり,欧米では植込み症例数は年間数万人に達している.わが国では1990年から臨床試験が行われ, 1996年4月ようやく保険適用が認められており,今後, VT/VFによる突然死予防の最終的治療法として普及していくものと考えられる.
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宮崎 純一
1996 年 85 巻 8 号 p.
1319-1324
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
外来性遺伝子を導入したトランスジェニックマウスにより, 1つの遺伝子の役割を個体の生理的な活動の中で研究することが可能となった.糖尿病研究の分野においても盛んに使われ,特にインスリン依存性糖尿病(IDDM)の発症過程を研究する目的でさまざまなトランスジェニックマウスが作られてきた.その1つは,膵島で異種抗原,サイトカイン, MHC抗原などを発現させることにより, IDDMモデルマウスを作製し,自己免疫過程の一部を再現するという方向性であり,もう1つはIDDMモデルマウス(特にNODマウス)に疾患発症に関係すると考えられる遺伝子を導入したときの効果を検討するという方向性であった.これらのトランスジェニックマウスはβ細胞に対する自己免疫の分子機構やMHC抗原の役割,疾患感受性遺伝子などについて貴重なデータを提供してきた.
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早坂 清
1996 年 85 巻 8 号 p.
1325-1330
発行日: 1996/08/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
Charcot-Marie-Tooth病は緩徐進行性の四肢遠位筋の筋力低下と萎縮を主徴とする遺伝性ニューロパチーである. 2型に分類され, 1型ではミエリンの障害が一次的と考えられており, 1A型(PMP22遺伝子変異か17p11.2-p12の遺伝子重複), 1B型(Po蛋白遺伝子変異),およびX型(Connexin 32の遺伝子変異)などの病因遺伝子が解明された. 2型の主因は軸索の障害にあると考えられているが病因遺伝子は不明である.
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