症例は37歳男性.平成7年12月上旬より咽頭痛,咳嗽,発熱が出現.同月14日,発熱,呼吸困難を主訴として入院となった.胸部X線像で両肺にびまん性に粒状影を呈し,著明な低酸素血症が認められたため,同日,人工呼吸器管理となった.血清抗マイコプラズマ抗体価(CF)が128倍と上昇していたこと,気管支鏡検査にて採取した痰から有意な細菌を検出しえなかったことなどからマイコプラズマによる肺炎,細気管支炎を疑いclarithromycin (CAM) 800mg/日にステロイドを併用し良好な経過を得た.入院10日後に抗体価が2048倍以上となり,マイコプラズマ肺炎・細気管支炎と診断した.マイコプラズマ肺炎は比較的予後良好な疾患とされているが,人工呼吸器管理を必要とする劇症例の報告も散見される.重症化には肺局所における免疫過剰反応が関与しており,本症例のような重症例には抗生物質とステロイドの併用療法が有効であると考えられた.
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