日本内科学会雑誌
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86 巻, 6 号
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  • 松田 保
    1997 年 86 巻 6 号 p. 881-882
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 高橋 芳右
    1997 年 86 巻 6 号 p. 883-888
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液凝固因子および凝固阻止因子は,止血機構および血栓形成機序において重要な役割を果たしており,その異常により出血傾向および血栓傾向が生ずる.血液凝固反応は内因系凝固と外因系凝固に分けて考えられてきたが,実際の凝固反応はほとんど組織因子を介して惹起される.凝固制御機構としては,アンチトロンビンーグリコサミノグリカン系,プロテインC-トロンボモジュリン系,組織因子経路インヒビターが重要である.
  • 坂田 洋一
    1997 年 86 巻 6 号 p. 889-896
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血栓が長期に存在すると,組織に虚血性障害を惹起する.血栓除去の機構の一つとして線溶反応系がある.生理的線溶反応は循環血中ではなく,フィブリンなどの場に因子が結合濃縮されて進行する.この場の動的な変化とインヒビタによる反応の制御機構,そしてその破綻による血栓傾向について概説した.
  • 高山 博史
    1997 年 86 巻 6 号 p. 897-902
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血小板は初期の血栓形成に中心的役割を演じている.血管内皮細胞が障害をうけると血小板は内皮下組織に粘着し,さらに活性化されると凝集し,この際,貯蔵顆粒内容物を放出する.一方で膜脂質由来の生理活性因子も遊離する.これらの血小板機能の生じ方はずり応力の強さにより影響を受ける.このように血小板血栓が形成される過程で止血のみならず,血小板は凝固,炎症,免疫,血管新生,組織修復といつた様々な現象に関与している.
  • 居石 克夫
    1997 年 86 巻 6 号 p. 903-910
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ヒトの虚血性臓器病変の発生病態とその診断,治療における血液・血管壁相互反応の重要性が臨床的に再認識され,注目されている.本稿では,動脈硬化を基盤として発生する血栓形成機序について血管内皮細胞の機能と関連させつつ病理形態像,とくに動脈血栓形成に密に関連する硬化内膜の組織因子の局在,粥腫の破綻ならびに硬化内膜の血管新生とその機序について概説した.
  • 和田 英夫, 坂根 祥裕
    1997 年 86 巻 6 号 p. 911-914
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞,肺梗塞症,播種性血管内凝固症候群などの血栓症では,止血系マーカーによる早期診断が必要である.凝固系活性化マーカーのトロンビンーアンチトロンビン複合体や可溶性フィブリンモノマー,線溶系活性化マーカーであるプラスミンープラスミンインヒビター複合体, D-ダイマー,血小板活性化の指標であるPセレクチン,血管内皮細胞障害マーカーであるトロンボモジュリンなどが早期診断に有用である.
  • 1)播種性血管内凝固症候群(DIC)
    岡嶋 研二
    1997 年 86 巻 6 号 p. 915-922
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    播種性血管内凝固症候群(DIC)は,様々な重篤な病態に合併し,その病態生理は基礎病態の種類に応じて多様である. DICの共通した病態は微小血栓形成を伴う微小循環障害である. DICの治療薬剤の選択はそれぞれの病態に応じてなされるべきで,微小循環障害の原因が微小血栓形成ならば(産科病態など),抗凝固薬剤を,また,その原因が活性化白血球による血管内皮細胞障害であるならば(重症感染症など),活性化白血球に対して抑制作用を有する抗凝固薬剤を用いることが重要である.
  • 2)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
    末廣 謙, 日笠 聡, 垣下 榮三
    1997 年 86 巻 6 号 p. 923-928
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)は全身の血栓性細血管障害を病態とし,血小板減少,細血管性溶血性貧血,動揺する精神・神経障害,発熱,腎障害の5徴候を特徴とする症候群である.その病因として血小板活性化または血管内皮細胞の障害が考えられている.かつてTTPは予後不良の疾患であったが,現在は血漿輸注と血漿交換を主体とした治療により救命率はかなり改善してきた.
  • 3)溶血性尿毒症症候群(HUS)
    中島 充, 吉岡 章
    1997 年 86 巻 6 号 p. 929-933
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    溶血性尿毒症症候群(HUS)は赤血球形態異常を伴う溶血性貧血と血小板減少,急性腎不全を三主徴とする症候群である.下痢や血便などの前駆症状の後に発症する典型的HUSと前駆症状を伴わない非典型的HUSとがある.いずれも突然,乏尿や浮腫,顔面蒼白,紫斑などの重篤な症状が出現し,血小板減少, Hb低下,間接ビリルビン, GOT, LDH, BUNおよびCrの上昇をみる.血液塗抹標本で破砕赤血球がみられる.
  • 高松 純樹
    1997 年 86 巻 6 号 p. 934-940
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    凝固線溶阻止因子が先天的に欠損ないしは分子異常による機能異常のために血栓性素因を呈することが認識され現在では多数の患者も見い出され注目されてきている.これらには先天的にアンチトロンビンIII (AT III),プロテインC (PC), S (PS)の欠損や分子異常症,またプラスミノゲン欠乏異常症,異常フィブリノゲン血症などがある.
    さらに我が国では非常にまれと考えられている活性化プロテインC抵抗性は欧米における先天性血栓傾向の主要な原因となっている.これらはいずれも若年発症,反復性,家族性に起こること,大部分が深部静脈血栓症であることなど特徴ある臨床像を示すことからとくに注目されている.
  • 1)抗リン脂質抗体症候群と血栓症
    松田 重三
    1997 年 86 巻 6 号 p. 941-946
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗カルジオリピン抗体(aCL)やループスアンチコアグラント(LA)で代表される抗リン脂質抗体(aPL)は,全身性エリテマトーデスや抗リン脂質抗体症候群に出現し,動静脈血栓症や習慣性流早産などの原因となるリン脂質に対する自己抗体である. aPLが血栓症をもたらす機序は, aPLの内皮傷害,血小板活性化,凝固因子産生増強,線溶因子産生抑制あるいは抗線溶因子作用などが推察されるも, aPL産生機序とともに不明である. aPL陽性者全てに血栓症が合併するとは限らず,その既往のある患者など,リスクに応じて抗血栓療法を実施する.
  • 2)糖尿病と血栓病
    海津 嘉蔵
    1997 年 86 巻 6 号 p. 947-952
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者は血栓性疾患を合併しやすい.具体的には腎症合併早期より線溶低下が生じ,腎症の進展と共に,凝固の亢進が生じる. GFRが30ml/分以下に低下すると,血小板凝集能が亢進する. GFR10ml/分以下で凝固・血小板凝集能が更に著しく亢進し,易血栓となる.従って,この時期には強力な抗血栓療法が必要である.透析導入されてしまうと易血栓性状態は非糖尿病患者と同等程度には改善されるが,なお,易血栓状態は続く.
  • 3)高脂血症と血栓症
    朝倉 英策
    1997 年 86 巻 6 号 p. 953-958
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高脂血症症例においては,凝固活性化状態(血中F1+2およびFVIIcの上昇),線溶抑制状態(血中PAIの上昇)にあり,基盤にある動脈硬化とあわせて血栓傾向の原因になっているものと考えられる.高脂血症治療薬の投与により凝固活性化状態は是正されるが,線溶抑制状態は是正されず,後者のためには肥満の改善が重要とされている.抗血栓療法の併用は,高脂血症患者の予後を改善する上で有用と思われる.
  • 中川 雅夫
    1997 年 86 巻 6 号 p. 959-964
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    従来,血栓症の発症予防あるいは治療に種々の抗凝固薬が使用されてきたが,近年,血液凝固機序の詳細な検討とともにvascular biologyの領域でめざきしい研究の進歩がみられる.血栓症のみならず種々の疾患の病態形成に血液凝固因子を含めた諸因子と血管壁との相互関係が密接に関連していることが指摘されている.こうした背景から,抗血栓療法の一端をになう抗凝固療法についても検討が加えられており,抗凝固薬の開発にも新しい展開がみられる.
  • 宮崎 浩二, 東原 正明
    1997 年 86 巻 6 号 p. 965-971
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血小板は,止血・血栓形成の中心的役割をなし,抗血小板療法は,血栓症の進展阻止,再発予防などに広く行われ,一定の評価を得ている.これは,アスピリン,チクロピジンを中心とした大規模研究による.近年,血小板機能の研究が進み,このほかにも,さまざまな抗血小板薬が開発されてきており,特に血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaの特異的阻害薬などは,効果が期待されている.
  • 新谷 憲治
    1997 年 86 巻 6 号 p. 972-980
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    線溶療法は,線維素溶解現象を利用して速やかに血管内に形成された血栓を取り除き,虚血性障害をできるだけ少なくする目的で行われる.リコンビナントのプラスミノゲンアクチベータ(PA)製剤が開発され,急性心筋梗塞症をはじめとする多くの血栓性疾患でその臨床的有用性が認められつつある.発症後治療が開始されるまでの時間が血栓溶解療法の成否を決定する.フィブリン特異的PA活性を示すt-PA製剤を用いても,完全な血栓の溶解を達成するためには,大量の投与が必要であり,全身線溶の亢進をきたし,出血の副作用を発現する危険も指摘されている(特に抗凝固薬を併用する場合).現在,種々の血栓性疾患に対して新しいPA製剤による血栓溶解療法が試みられており,その理論的な背景,治療上の問題点,臨床的成績など線溶療法の最近の動向について解説した.
  • 丸山 征郎
    1997 年 86 巻 6 号 p. 981-985
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    トロンビンが各種細胞に働く際の受容体がトロンビン受容体(thrombin receptor, TR)である. TRは膜を7回貫通したG蛋白共役型で,トロンビンはTRの細胞外N末端側を限定分解する.すると新たにむき出しになったN末端がアゴニストとして働くというユニークな構造をしている. TRはトロンビンによる血小板凝集,血管内皮細胞活性化,血管平滑筋細胞の遊走・増殖などに関わり,血栓や種々の血管病変に関係するものと考えられる.
  • 半田 誠
    1997 年 86 巻 6 号 p. 986-992
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血小板の粘着は血管内皮下に存在する粘着蛋白すなわちコラーゲンなどの細胞外マトリックス構成成分やvon Willebrand因子(vWF)などの固相化した血漿蛋白を標的として達成される.その中で, vWFとGPIb-IX複合体は血流存在下での血小板粘着を支持するために不可欠な可逆的結合を仲介する.その結果, RGD配列受容体であるGPIIb-IIIa複合体が活性化され,流れに抵抗して細胞は局所に固定される.
  • 一瀬 白帝
    1997 年 86 巻 6 号 p. 993-998
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    プラスミノゲンは血栓を分解する線溶反応の鍵となる酵素であり,これと高い相同性を持つアポリポプロテイン(a)はLp(a)に含まれる高分子蛋白質である.前者の分子異常症は日本人に多く,静脈血栓症を合併し易い.症例の95%以上の変異型はDNA診断で容易に判定できる.高Lp(a)血症は動脈硬化の危険因子であり,血中濃度は分子量とアポ(a)遺伝子の5'領域の塩基配列の多型性によって規定されている.
  • 井上 礼子, 伊東 康子, 西宮 実, 宮崎 重武, 森内 昭, 坂田 利家
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1033-1035
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.平成7年8月より意識消失発作が出現し近医受診.低血糖(20mg/dl),肝機能障害を指摘され入院AFP 4366ng/ml, PIVKA-II 50AU/ml以上, CTで肝右葉全体を占める多発性の低吸収領域を認め,経皮的肝生検で肝細胞癌と診断. TAEを施行したが,肝不全のため死亡. IGF-II 294ng/mlと低値であったが,大部分が大分子量IGF-IIであり, IGF-II/IGF-Iが27.3と上昇し,剖検肝腫瘍のRTPCR法においてIGF-II mRNAの発現が認められた.また, TAE後, AFPとともにIGF-II/IGF-Iは低下した.以上より,本症の低血糖発作機序の1つとして腫瘍の産生するIGF-IIの関与が示唆された.
  • 吉窪 誠司, 木村 圭志, 水足 謙介, 加茂 章二郎, 前田 和弘, 小畑 伸一郎
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1036-1038
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の男性.慢性C型肝炎と診断され,平成7年5月31日IFN治療目的にて入院. 6月16日よりIFN-α2b10MUを6回/週×4週, 3回/週×12週の計16週投与の予定で開始した.投与後13週頃から右上肢の不随意運動を認めた.神経学的検査にて舞踏病様運動と診断し,画像検査にて他の原因が否定され, IFNによる舞踏病様運動と診断した. IFNにより舞踏病様運動を呈した症例はまれであり,留意する必要があると考え報告した.
  • 神宮 希代子, 吉澤 篤人, 越野 健, 川名 明彦, 豊田 恵美子, 小林 信之, 工藤 宏一郎
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1039-1041
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は37歳男性.平成7年12月上旬より咽頭痛,咳嗽,発熱が出現.同月14日,発熱,呼吸困難を主訴として入院となった.胸部X線像で両肺にびまん性に粒状影を呈し,著明な低酸素血症が認められたため,同日,人工呼吸器管理となった.血清抗マイコプラズマ抗体価(CF)が128倍と上昇していたこと,気管支鏡検査にて採取した痰から有意な細菌を検出しえなかったことなどからマイコプラズマによる肺炎,細気管支炎を疑いclarithromycin (CAM) 800mg/日にステロイドを併用し良好な経過を得た.入院10日後に抗体価が2048倍以上となり,マイコプラズマ肺炎・細気管支炎と診断した.マイコプラズマ肺炎は比較的予後良好な疾患とされているが,人工呼吸器管理を必要とする劇症例の報告も散見される.重症化には肺局所における免疫過剰反応が関与しており,本症例のような重症例には抗生物質とステロイドの併用療法が有効であると考えられた.
  • 古市 賢吾, 月岡 幹雄, 大田 聡, 高桑 浩, 伊勢 拓之, 橋本 直輝, 横山 仁, 小林 健一
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1042-1044
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.肺炎罹患後に咳,血痰を主訴に来院.臨床所見より肺胞出血と診断した.進行する腎機能障害, p-ANCA陽性,腎生検上pauci-immune型半月体形成性腎炎の所見を認め,急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と診断した.メチルプレドニゾロンならびにサイクロフォスファマイドパルス併用療法を行い,腎機能および肺胞出血の改善をみた.当科における肺胞出血を伴ったRPGN5例の経験ではいずれも先行感染を伴うpauci-immune型であり高齢発症例に死亡例を認めた.このような症例では早期にメチルプレドニゾロンパルス療法を含めた積極的な治療が必要と考えられた.
  • 相澤 久美子, 高橋 創, 山本 裕康, 加藤 尚彦, 川口 良人, 酒井 紀, 都野 晋一, 銭谷 幹男, 戸田 剛太郎
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1045-1047
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    28歳,男性. HBe抗体陽性キャリア. 1990年透析療法を開始, 94年5月生体腎移植を行った.移植時, GOT, GPT, DNAポリメラーゼ(DNA-p)は正常であった. 95年10月DNA-pが陽性となり, 96年1月肝機能が悪化し入院となった.免疫抑制薬増量およびIFN療法にて肝機能は改善したが, 96年5月1日感染症にて死亡した. HBキャリアの腎移植の適応,および移植後の肝炎増悪への対処などについて示唆に富む症例と考えられ報告した.
  • 簑田 清次
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1048-1054
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原核細胞から哺乳類細胞にいたるまで最もアミノ酸配列が保存された蛋白の一つであるストレス蛋白は,免疫原性が非常に強いことが明らかとなった.この保存と免疫原性を兼ね備えていることにより,この蛋白は免疫と寛容の接点に位置していると考えられ,自己免疫疾患における役割が研究された.臓器特異的自己免疫疾患の動物モデルにおける研究が多く認められるが,現在のところ,ストレス蛋白の重要性は状況証拠にすぎない.
    慢性関節リウマチでは従来,結核菌のhsp60に対する免疫反応が報告されていたが,われわれの最近のデータでは,大腸菌のhsp60が主要な抗原であり,他の種のhsp60に対する免疫反応は交叉反応である可能性がある.慢性関節リウマチにおける腸内細菌の重要性を示唆していると考えている.
  • 針原 康, 幕内 雅敏
    1997 年 86 巻 6 号 p. 1055-1061
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本邦の生体部分肝移植例は総計で約450例に達し,胆道閉鎖症を中心とする小児胆汁うっ滞性肝疾患が約80%を占め,代謝性肝疾患,肝硬変や劇症肝炎などがそれに次いでいる.その5年生存率は約80%であり,欧米の成績と比較しても優れたものといえる.生体部分肝移植を施行するためには患者に肝移植の適応があること,適当なドナーがいること,必要な費用の負担ができることが条件となる.生体部分肝移植では脳死臓器の公平な分配のために設けられた基準には縛られないため,移植の適応や時期を柔軟に考えることが可能である.しかしながら一方ドナーの選択範囲が狭いため血液型,グラフトサイズや肝機能などの問題で適当なドナーが得られず,生体部分肝移植を断念せざるを得ない場合も起こっている.肝移植しか残された治療法のない患者さんたちの期待に応えるためには脳死肝移植も併せて実施できる体制を整えなければならない.
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