日本内科学会雑誌
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87 巻 , 5 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 山下 孝, 谷田 憲俊, 福田 能啓
    1998 年 87 巻 5 号 p. 785-793
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 木村 健, 佐藤 貴一
    1998 年 87 巻 5 号 p. 794-800
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    今世紀初頭には既にその存在が考えられていたHelicobacter pylori (H. pylori)は, 1983年になってやっと明らかにされるに至った. H. pyloriは,現在では上部消化管疾患の病原因子として重要な位置を占めている.この十数年で,菌の性状,病原性,感染者の病態,治療法等につき,基礎,臨床ともに研究が急速に展開してきた.しかし, H. pylori感染に関してまだ不明なことも多く,今後さらに検討が必要である.
  • 中澤 晶子
    1998 年 87 巻 5 号 p. 801-807
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1997年はHelicobacter pylori研究の歴史において全ゲノム配列が公開された記念すべき年である.本菌についてこれまでに観察され解析されてきた研究成果をゲノム情報に重ねてみると,疑問点のいくつかについてヒントが得られる.本稿ではH. pyloriの細菌学の最近の話題として,全ゲノム配列の簡単な紹介ならびに抗原変換と定着性について解説を試みた.
  • 高木 敦司, 三輪 剛
    1998 年 87 巻 5 号 p. 808-812
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H. pyloriのウレアーゼや空胞化サイトトキシンなどの病原因が胃粘膜障害において重要な役割を有することが明らかにされている.しかしながら菌株によって疾患特異性を有するものはいまだ認められていない. H. pyloriゲノムの解析により機能の未知な遺伝子が多数存在することが明らかにされ,消化性潰瘍や胃癌,胃MALTリンパ腫などの多様な疾患とH. pyloriとの関係を今後明らかにすると期待される.
  • 杉山 敏郎, 浅香 正博
    1998 年 87 巻 5 号 p. 813-818
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国におけるH. pylori感染者は6000万人以上であり,感染者のすべてが組織学的胃炎を呈するが,その一部のみが胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃MALTリンパ腫,胃癌となる.かかる疾患の多様な病態は細菌因子に加えて宿主因子あるいはそれらの相互作用が関連している.宿主因子は感染の成立,胃炎の形成,慢性炎症の成立と病態,炎症反応と免疫反応などの局面で検討されている.また,慢性感染の成立には特異な免役機構や自己免疫機序も推定されている.
  • 福田 能啓, 山本 憲康, 奥井 雅憲, 新谷 繁之, 坂上 隆, 澤田 幸男, 田村 和民, 下山 孝
    1998 年 87 巻 5 号 p. 819-825
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H. pylori感染と胃・十二指腸疾患との関連性が明らかとなりつつある.疾患との因果関係を確立するためには感染動物モデルによる病態解明が必要である. H. pylori感染による胃炎・消化性潰瘍・胃癌・MALTリンパ腫などの疾患者の再現を目指して,動物モデルを用いた感染実験が試みられている.
  • 春間 賢
    1998 年 87 巻 5 号 p. 826-831
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H. pylori感染は胃粘膜の炎症のみならず萎縮とも関連があることが明かとなり,胃炎の診断と治療は大きく変わりつつある.胃炎を世界共通の場で系統的に診断するためにシドニー分類が考案されたが,我が国における胃炎は所見が多彩であり,シドニー分類に従って診断するには問題も残されている.一方, H. pylori感染は若年層では低下しつつあり,従って,これに起因する組織学的胃炎の頻度も将来的には減少する可能性がある.
  • 鈴木 雅之
    1998 年 87 巻 5 号 p. 832-836
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    強力な酸分泌抑制剤の出現により急性潰瘍の治療法はほぼ確立した.しかし,潰瘍治癒後の再発に対しては長期にわたる投薬以外有効な治療手段はなかった.そうした中, Helicobacter pylori除菌が潰瘍の再発を抑制し,潰瘍症の治療において経済的にも優れていることが明らかにされた.欧米ではH. pylori感染性の消化性潰瘍は初発例でも除菌することが推奨されている.しかし, H. pylori潰瘍の病態生理が完全に明らかにされていない現在,無条件な除菌には消極的な意見も見られる.
  • 熊谷 桃子, 斎藤 大三, 小野 裕之
    1998 年 87 巻 5 号 p. 837-842
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H. pylori感染と胃悪性疾患との関連についても随分研究が進んできた.胃癌においては,両者の因果関係を立証するための大規模な介入研究が進行中であり,またH. pylori感染が可能となったスナネズミを用いた発癌実験が進められている.実際の臨床の場では, H. pyloriの除菌はlow-grade MALT (mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫の病態改善に有用であり,その改善率は約70%である.しかし,症例数および経過観察期間の蓄積により,本療法施行における諸問題も挙げられつつある.
  • 原澤 茂
    1998 年 87 巻 5 号 p. 843-850
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H. pylori感染とnon-ulcer dyspepsia (NUD)との関連は不明であり,議論の多いところである!器質的疾患を除外するというNUDの概念の面からはH. pyloriの感染は本来は除外されるものと考えるが,胃炎スコアやIL-8の面からは, NUDの概念に抵触しないと考えることが主流である. NUDの病態は各類型で多少異なるものの,消化管運動異常が中心となるが, H. pylori陽性のNUDは胃排出能の遅延はみられないし, prokineticsが無効のことが多い.最近ではH. pyloriと内臓知覚異常などの研究がみられている.
  • 川野 淳
    1998 年 87 巻 5 号 p. 851-855
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori (H. pylori)と上部消化器疾患以外の疾患との関連が疑われ種々の疫学的検討や除菌効果が検討され,報告されている.なかでもH. pylori感染と虚血性心疾患はchlamydia pneumoniaeとともに最近最も注目されている.しかし,実際の機序は不明の部分が多く更に検討が必要であるが原因不明の疾患においてH. pylori除菌により上部消化器疾患以外の疾患も減少するのであれば除菌も一考するに値する.本稿ではH. pyloriと関連が疑われ検討された疾患について概説したが日本での検討は少なく,大規模研究も必要だろう.
  • 屋嘉 比康治, 中村 孝司
    1998 年 87 巻 5 号 p. 856-862
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pyloriの診断法には内視鏡を用いて行われる侵襲的な方法と内視鏡を必要としない非侵襲的な方法がある.内視鏡を用いて行う診断は, 1.培養法, 2.組織鏡検法, 3.迅速ウレアーゼテスト, 4.フェノールレッド散布法, 5. DNA診断など主に生検組織を用いる方法で行われている. Helicobacter pylori感染症が感染症である限り,胃粘膜局所に原因菌を証明することは必要なことであり,培養法などはゴールドスタンダードな検査法と言えよう.本稿では日常的に広く用いられている培養法,組織鏡検法,迅速ウレアーゼテストについて著者らの成績を示してその特徴や有用性,方法について解説する.
  • 後藤 暁, 藤森 一也, 金児 泰明, 赤松 泰次
    1998 年 87 巻 5 号 p. 863-867
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pyloriの血清診断,尿素呼気試験は非侵襲的で,感染診断のスクリーニングには十分な精度がある.血清抗体価は除菌成功後は経時的に低下することから,治療後のモニタリングにも有用である.血清ペプシノーゲン値も治療に伴い早期から変動し,治療効果の指標の一つとなり得る.尿素呼気試験は測定法等に解決すべき点は残されているものの,その正確性から除菌判定のスタンダードとされている.
  • 青山 伸郎
    1998 年 87 巻 5 号 p. 868-880
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori (H. pylori)感染の表現型はB型胃炎であり,消化牲潰瘍や悪性腫瘍は感染例の一部にしか過ぎない.しかしH. pylori除菌治療により組織学的胃炎は劇的に改善し,消化性潰瘍再発は有意に抑制され, H. pylori除菌療法は上部消化管疾患の治療に不可欠であると言って良い.本稿は除菌の適応・方法・判定の3項につき現在までの変遷を軸に概観を網羅した. H. pylori除菌療法は本邦では未だに保険診療適応外ではあるが,広い分布を有する本誌読者の一助になれば幸いである.
  • 佐藤 竜吾, 久保田 利博, 村上 和成, 藤岡 利生
    1998 年 87 巻 5 号 p. 881-885
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年, Helicobacter pyloriの除菌治療に用いられるクラリスロマイシンとメトロニダゾールに対する耐性菌が増加しており世界的にも問題となっている.また除菌後に逆流性食道炎などの上部消化管病変が増えることが最近報告されている.そして除菌後に固有胃腺の萎縮が治るか否かという問題は,形態と機能の両面から重要である.これらの除菌後の問題点を明らかにしていくことは,除菌治療をさらに進歩させるとともに,除菌の適応を考えるうえでも大切である.
  • 井本 一郎, 足立 幸彦
    1998 年 87 巻 5 号 p. 886-891
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H. pylori感染に対するワクチン療法は主に動物モデル(マウスなど)で試みられており,抗原としてウレアーゼ,アジュバントとしてコレラトキシンなどが有望視されている.しかし,ヒトでの応用は未だ萌芽的なレベルに留まっている. H. pyloriは胃という特殊な環境に適応した細菌で,宿主の免疫機構を巧みに逃れるシステムを獲得している.したがって,ワクチン開発には様々な解決しなければならない問題が残されている.
  • 浜田 久之, 宮副 誠司, 堤 卓也, 島 正義, 山口 康平, 山口 義彦, 江口 勝美
    1998 年 87 巻 5 号 p. 919-921
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は38歳男性. 30歳時よりインスリン非依存性糖尿病にて経口血糖降下薬の投与を受けていた. 37歳時,誘因なく水様下痢を発症. 1日6~7回,夜間に多く1年程続き便失禁を伴ったため精査目的にて平成8年9月当科に入院した.糖尿病性下痢症と診断し,ロペラミド,耐性乳酸菌等を投与したが効果なく,コレスチラミン単独投与により,症状の著明な改善が見られた.コレスチラミンは腸管内で胆汁酸と結合し,腸管内における胆汁酸の瀉下作用を抑制するため糖尿病性下痢症に有効と考えられ,本症の治療の1つとして試みる価値があろう.
  • 可野 裕章, 織田 茂哉, 広瀬 真, 河野 雅和, 岡村 幹夫, 谷 知子, 南 美枝子, 横川 晃治, 原口 正史, 安成 憲一, 吉川 ...
    1998 年 87 巻 5 号 p. 922-924
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性.感冒症状の後,うっ血性心不全と腎不全を呈したために入院. CT, MRIとアドステロールシンチでは左側原発性アルドステロン症の所見であったが,血漿レニン活性高値が本症に合致しないために,静脈サンプリングと腎動脈造影で原発性アルドステロン症と診断した.本症は血管合併症を起こさず,予後は良好であると本来考えられていたが,本症例では高血圧のために,高血圧性心臓病と腎硬化症,網膜症の多臓器合併症を呈したと考えられた.
  • 清水 達也, 城 大祐, 米倉 克紀, 池ノ内 浩, 原田 和昌, 高橋 利之, 竹中 克, 小俣 政男, 伊藤 梅乃
    1998 年 87 巻 5 号 p. 925-927
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性.心エコー図上,右Valsalva洞に接する腫瘤像を,大動脈造影上,石灰化を伴う腫瘤像とその内部に右Valsalva洞より流入する少量の血流像を認めたため,内部が血栓化した右Valsalva洞動脈瘤と診断した.本疾患は10~40歳代に破裂により発症することが多いが,本症例は著明な内部血栓と石灰化により高齢に至るまで無症候に経過した,まれな一例であると考えられる.
  • 朝田 真司, 岩本 和也, 中島 譲, 坂上 憲生, 山口 正信, 谷 明博, 河野 通一, 小林 伸行, 明山 燿久, 小島 義平
    1998 年 87 巻 5 号 p. 928-930
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.突然の喀血とともに呼吸困難を訴え,胸部X線上両側肺野にびまん性陰影を認めるようになり,急激な経過で呼吸不全に陥った.また左拇指先端部に壊死が出現し,皮膚組織診より結節性多発動脈炎(PN)の確診が得られた.人工呼吸管理下にステロイド,サイクロフォスファミドの投与により劇的に呼吸状態の改善が得られ,救命しえた.肺胞出血が原因と考えられる呼吸不全を来たした興味あるPNの症例を経験したので報告する.
  • 藤澤 正寿, 大賀 雅信, 濱田 敬史, 加藤 宏司, 橋野 達也, 松本 朗, 池田 久雄, 今泉 勉, 青柳 成明
    1998 年 87 巻 5 号 p. 931-933
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は36歳女性.結核性胸膜炎で加療中に心不全をきたし入院.精査の結果,結核性収縮性心膜炎によるうっ血性心不全と診断した.経過中,胸部造影CT,経食道心エコー図で右房内に腫瘤が認められ心膜剥離術,右房内腫瘤摘出術を施行し,摘出した腫瘤は壁在血栓と確認された.右房内血栓は稀な合併症であるが,肺梗塞等により致死的となる可能性があり,収縮性心膜炎においてもその存在に留意すべきと考え報告した.
  • 藤山 重俊, 田中 基彦
    1998 年 87 巻 5 号 p. 934-940
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Vibrio vulnificusは好塩性で河口に近い海岸の海水中に見出されるVibrio属の細菌で,生の魚介類からの経口感染,あるいは海水による皮膚創傷からの経皮感染が主な感染経路である.本菌感染症は,敗血症や皮膚病変をきたし,急激な経過を辿る予後不良の疾患である.本症の大半を占める原発性敗血症型は50~60歳代の男性に多く,発症時期は5月から10月に限られ,基礎疾患としで慢性肝疾患,とくに肝硬変を有する.魚介類の生食後ほぼ24時間以内(多くは7~8時間)に高熱が出現し,続いて腹痛,下痢,嘔吐などの消化器症状,さらに四肢に多い疼痛とその部を中心とした浮腫,紅斑,水疱,蜂窩織炎などの皮膚病変を認めた後,ショック状態となることが多い.すなわち,肝硬変などの慢性肝疾患患者が,夏季に,魚介類の生食もしくは海水との接触後に,急激な経過で敗血症症状とともに蜂窩織炎や水庖などの皮膚病変を認めた場合には本症を強く疑う必要がある.確定診断は血液や皮膚病巣などから菌を分離,同定する事によってなされるが,本症が疑われたら早急にテトラサイクリン系や第3世代セフェム系抗菌薬の投与を行うことが何より重要である.
  • 関口 定美
    1998 年 87 巻 5 号 p. 941-949
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在,市販されている血液の人工物は組み替え第VIII因子のみであるが,開発研究の最も集中しているのは,赤血球の代替物である人工的酸素運搬体ないしは人工赤血球である.酸素運搬の素材はヘモグロビンを使うが,高酸素結合能,低体内停留時間を改善する必要がある.このため,ヘモグロビンの分子内架橋あるいは修飾を行うか,リポソーム人工膜にヘモグロビンを包埋する.現在,米国で第III相試験が実施されているのは前者の非細胞型のもので臨床適応は近いが酸素運搬能のある輸液の感が強い.
  • 馬渕 宏
    1998 年 87 巻 5 号 p. 950-957
    発行日: 1998/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高コレステロール血症は動脈硬化の原因疾患であり,コレステロールは動脈硬化の原因物質である.コレステロールやトリグリセライドなどの脂質は血中ではアポ蛋白と結合してリポ蛋白を形成している.血清リポ蛋白代謝経路に関係したアポ蛋白,リポ蛋白レセプター,酵素,脂質運搬蛋白の遺伝子はほとんど解明されており,これらの遺伝子異常により多数の遺伝性高脂血症が発症する.家族性高コレステロール血症は最も重要な高脂血症であり,その成因はLDL-レセプター遺伝子異常にある.本症の約70%は冠動脈疾患で死亡する.高コレステロール血症の治療の進歩は目覚ましく,とくに我が国で発見されたHMG-CoA還元酵素阻害剤は現在世界的で最も処方されているコレステロール低下剤である.本剤による冠動脈疾患の一次予防,二次予防を実証する臨床試験が相次いで発表されており,高コレステロール血症の的確な管理により冠動脈疾患が半減する日も近いと期待される.
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