日本内科学会雑誌
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87 巻, 8 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 池田 康夫
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1449-1450
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 金倉 譲
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1451-1456
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞は,機能も形態も異なる様々な成熟血球に分化できる“多分化能”と自分自身を複製する“自己複製能(self-renewal)”という特徴を兼ね備えた細胞である.造血幹細胞は自己複製することにより自分自身を維持しつつ,各種血液細胞に増殖・分化することにより,全血球系の細胞を枯渇することなく供給し続ける.近年,造血幹細胞の単離も可能となり,増殖・分化の制御機構も明らかになりつつある.また,造血幹細胞移植術が普及し,遺伝子治療の標的細胞としても造血幹細胞は注目されている.
  • 小寺 良尚
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1457-1463
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1960年代後半に確立された近代的骨髄移植はその後造血幹細胞源が多様化し造血幹細胞移植として様々な疾患に治癒を目指し得る治療法として適用されている. HLA遺伝的適合同胞間骨髄移植のスタンダードリスク白血病における5年生存率は50~70%,再生不良性貧血においては80%以上であり,非血縁者間骨髄移植の成績もこれに迫っている.最近では自家,同種末梢血幹細胞移植の伸びが著しく,又臍帯血移植が始められた.
  • 池田 和真, 原田 実根
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1464-1469
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性白血病の治療の選択肢として化学療法に加えて,患者自身の造血幹細胞を用いる自家造血幹細胞移植,健常人(血縁・非血縁)をドナーとする同種造血幹細胞移植があり,また,移植される造血幹細胞源によって,骨髄移植,末梢血幹細胞移植,臍帯血移植がある.個々の症例に,最適な治療法が迅速に行えるように施設や造血幹細胞バンクを整備し,臨床研究を進めていくことが必要である.
  • 高橋 聡
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1470-1476
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄性白血病は同種造血幹細胞移植療法によってその根治が期待できる一方で,致死的な治療関連合併症の頻度は,その移植適応を考える上で無視できない問題点となっている. CMLの診療を行なうにあたっては,診断後早期から造血幹細胞移植を念頭におき, (1)患者側の要因として年令,全身状態,感染症や臓器障害などの合併症についてのリスクを確認すると共に, (2)疾患側の要因として病期,初期治療に対する反応性について十分に把握し, (3)ドナー検索および造血幹細胞ソースについて,常に考慮する必要がある.
  • 坂巻 壽
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1477-1482
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    重症再生不良性貧血でのHLA一致の同胞間骨髄移植の成績は小児・成人共に良好であり,治療の第一選択となるが,非血縁者間移植は同胞間移植より成績は劣っている.骨髄異形成症候群(MDS)はheterogenousな疾患群であり,それぞれの移植時期について明確な基準があるわけではないが,根治的治療法である造血幹細胞移植の可能性を念頭においた治療を行うべきである.
  • 田野崎 隆二
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1483-1487
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    低悪性度群を除く非ホジキンリンパ腫,ポジキン病および多発性骨髄腫において,造血幹細胞移植を用いた超大量療法の有効性が証明されている.適応は,中等度非ホジキンリンパ腫では, i)治療に感受性のある初回再発, ii)初回部分寛解, iii)予後不良の第1寛解期,ホジキン病は再発早期,多発性骨髄腫では,若年で,前治療が少なく,治療反応性が良好な場合である.診断時に,造血幹細胞移植の可能性を念頭においた治療戦略を立てる必要がある.
  • 島崎 千尋, 中川 雅夫
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1488-1494
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自家末梢血幹細胞移植の導入により,成人領域の固形癌においても乳癌,肺小細胞癌,卵巣癌などで治癒をめざした大量化学療法が実施されている.さらに, CD34陽性幹細胞移植や反復末梢血幹細胞移植などの新しいアプローチも試みられている.しかし,その適応や臨床的有用性については未だ確立されたわけではない.現在,多くの無作為比較試験が進行中であり,これらの結果によりその有用性が明らかにされるであろう.
  • 権藤 久司
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1495-1501
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞移植後の感染症は,造血不全と免疫不全を背景に発症し,放射線照射や超大量化学療法による移植前治療と移植片対宿主病(GVHD)などの同種免疫反応が深く関与している.強力な抗生物質・抗真菌薬・抗ウイルス薬の導入,信頼性の高い迅速診断法の開発,予防対策の進歩によって,造血幹細胞移植の安全性は大きく向上した. GVHDなどの危険因子を有する症例における感染症の予防および治療が今後の課題である.
  • 森下 剛久
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1502-1509
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性GVHDは皮疹・下痢・黄疸を特徴とする症候群であるが,宿主と移植片の免疫学的相違によるものだけでなく,非免疫学的機序による障害も合併するため,それらとの鑑別診断が臨床上重要な意味を持つ.従来の重症度分類のもつ種々の問題点が指摘され,新しい分類法が提唱されている. FK506の登場によりGVHDのリスク別予防戦略が可能となってきたが,治療に関しては初回治療の効果判定およびそれに基づく二次治療の標準化が必要である.現在の慢性GVHDの重症度分類は予後の推定には必ずしも有用でないため,臨床研究に基づく改訂が望まれる.
  • 岡本 真一郎
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1510-1515
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    骨髄バンクはボランティアドナーの安全とプライバシーを守りつつ,その善意を移植を必要とする患者に中立・公平な立場で供給する機関である.現在32カ国に37の骨髄バンクが存在し,約480万人のドナーが登録され,この非血縁者ドナーからの移植も全世界で盛んに施行されている.非血縁者骨髄移植ではドナー検索から移植までに一定期間を要し,移植免疫反応に伴う合併症の頻度・重症度が増すので,疾患・病期によってはその成績は血縁者間骨髄移植よりも悪いが, HLAのDNAタイピングや効率良いドナー検索システムの導入によってその成績向上を期待し得る.また,国際間での非血縁者間骨髄移植を円滑かつ効率良く遂行するためのバンク間の国際協力体制の確立も今後の重要な課題である.
  • 甲斐 俊朗, 原 宏
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1516-1521
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臍帯血移植は,ドナーに対する負担がなく,前もって検査を済ませた臍帯血が凍結保存してあり,コーデイネートも不要なため患者の状況に応じた時期の移植が可能である.また,臍帯血中のT細胞は未熟なため重症の移植片対宿主病は起こりにくい.本年4月に健康保険適応となり今後症例が増加すると思われるが,成人への応用,更には現存する地域臍帯血バンクのネットワーク化,公的バンクの設立・運用など残された課題も多い.
  • 森島 泰雄
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1522-1525
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    日本骨髄バンクを介して年間約400人の非血縁者間骨髄移植が実施されているが,ドナーと患者の間に立って骨髄採取,移植までを地区調整委員会事務局,調整医師とともにコーディネートするのがコーディネーターの役割である.コーディネートの実際とその役割につき述べる.
  • 小澤 敬也
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1526-1531
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞は遺伝子治療の理想的な標的細胞と考えられ,造血幹細胞移植技術をベースとした臨床応用としての遺伝子治療法の確立が期待される.幾つかの単一遺伝子病等に対しては遺伝子治療臨床研究が既に実施されているが,まだ明瞭な臨床的効果は得られていない.遺伝子導入効率が低すぎるのがその主因であり,それを解決する技術的ブレイクスルーが求められている.我々は,新規テクノロジーとして選択的増幅遺伝子の開発を進めている.
  • 真砂 玲治, 福間 尚文
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1555-1556
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    59歳,女性.全身性エリテマトーデスで27年間の免疫抑制療法によりcompromised hostとなり,重症サイトメガロウイルス感染症に罹患. ganciclovir投与中は改善,中止後再発することを反復している.臨床上, CMVantigenemia法が早期診断に有効であった.本症例のCMV持続感染が潜伏感染よりむしろ慢性感染の経過をとり, CMV持続感染発症病理を考えるうえで興味深いと考える.
  • 花房 規男, 藤城 光弘, 大坂 顯通
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1557-1559
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.貧血の精査を目的に入院.溶血所見とNAPスコア低値より発作性夜間血色素尿症(PNH)を疑ったが, Ham試験と砂糖水試験では診断がつかず,白血球表面のグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)蛋白の発現を欠失したクローンをフローサイトメトリーにより同定しPNHと診断した.溶血と直接関連する赤血球だけでなく,白血球のGPI蛋白の発現を解析することにより, PNHの診断は可能である.
  • 大坪 寛子, 宇都宮 保典, 池田 雅人, 海渡 健, 川村 哲也, 細谷 龍男
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1560-1562
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は高カルシウム血症と腎障害を主訴に入院し, IgD-k型多発性骨髄腫と診断された35歳男性.初回腎生検ではTamm-Horsfall蛋白陽性円柱を含む多数の蛋白円柱と広範かつ高度の尿細管間質障害を認めたが,治療後骨髄形質細胞数が減少し,腎障害が改善した時点で再度行った生検では前記腎病変の改善が認められた.本例では骨髄腫の治療後に腎組織病変の改善が確認され,骨髄腫腎の形成機序を推察する上で興味深い症例と思われた.
  • 國吉 政美, 池田 公明, 高野 総一郎, 大久保 明, 馬場 崇, 田添 明彦, 土師 正文, 原 泰寛
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1563-1565
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,女性.上腹部痛にて発症し,好酸球増加(7052/μ1)と胆道系酵素優位の肝障害を認めた.腹部超音波, CTで胆嚢壁肥厚及び肝内胆管軽度拡張,大腸内視鏡で好酸球浸潤を伴う多発潰瘍を認めた.抗生物質投与は無効で,自己免疫性疾患や寄生虫感染等を認めず,好酸球性胃腸炎・胆嚢胆管炎と診断.プレドニゾロン投与にて,蓍明な改善を認めた.好酸球性胆嚢胆管炎の報告は少なく,貴重な症例と思われた.
  • 多田羅 竜平, 小林 充, 中村 紀子, 鈴木 康正, 磯野 理
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1566-1567
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臭化ジスチグミンによるコリン作動性クリーゼを5カ月間に3例経験した. 3例とも長期臥床患者であり,進行癌,胃瘻,腸瘻造設を受けた等など全身状態は不良であった.過去の報告と比べ低用量で発症しており,また1例は長期投与例であった.全身状態不良例への臭化ジスチグミン投与にあたっては本症の発現に十分注意し,本症発症後は副交感神経刺激症状とコリンエステラーゼ低値に着目し,速やかに診断を下すことが重要である.
  • 羅 智靖, 鈴木 祐介
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1568-1576
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,免疫グロブリンレセプター(FcR)の分子的解析が急速に進み,アレルギー性炎症のカスケードの再定義がなされつつある.本稿では,種々の炎症の局面において中心的役割を果たすFcR分子の性質,およびアレルギー全般における重要性について触れ,特に糸球体腎炎におけるFcRの役割を概説した. FcR関連ノックアウトマウスを用いて,古典的実験腎炎である馬杉腎炎をFcRの視点から再評価した.その結果馬杉腎炎の惹起には機能的FcRの発現が必須であることが判明した.同時に,抗体・免疫複合体は複数の病的側面を有し, FcRに依存しない経路も独立に存在し,それはレニン・アンジオテンシンシステムと密接に関与していることも確認された.このほか,ループス腎炎の自然発症モデルであるNZB/W F1マウスにおいても,その発症にFcRが重要であることが明らかとなり,いままで古典的炎症の範疇で捉えられてきた免疫複合体型糸球体腎炎の病因の究明,また治療戦略上においてもFcRを巡る新しい可能性が示唆された.
  • 小野 眞弓, 桑野 信彦
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1577-1587
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    がんの進展(浸潤・転移)に面管新生が深く関与することが,多くのヒト固型腫瘍において明らかにされつつある.がん血管新生の機序の分子的背景やその構築様式の特異性を把握することによって, “がんの進展”の診断ならびに治療の新しい展開が期待できる.
  • 三浦 傅, 阿部 豊彦
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1588-1594
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋自体に虚血侵襲に対する防御機転がある.主なものに心筋ischemic preconditioning(IP)や冬眠心筋などが知られ,心筋IPとの係わりで仮死心筋も重要である.心筋IPとは,短時間の心筋虚血が先行すると,続いて生じる長時間の心筋虚血時の心筋障害は軽減し,心筋梗塞や重篤な不整脈の発生が減少する病態である.不安定狭心症のように短時間の心筋虚血が反復する場合にもIP効果を認める. 1回の虚血侵襲でみる仮死心筋でも,心機能を低下させ心仕事量を減らすことにより心筋障害の進展を遅延させるべく対応するとも解釈される.また,冬眠心筋も重要である.短期間と長期間とでその病態は少しく異なり,前者では虚血心筋の形態変化はなく,冠血流量の回復後まもなく心筋収縮能は回復する.後者では,筋原線維減少,ミトコンドリア変形,グリコーゲン貯留,コラーゲン線維網増加などの形態変化を生じ,冠血流回復後もある期間残存するため,心筋収縮能回復にはある程度の時間を要するが,基本的には可逆性である.
  • 石田 博
    1998 年 87 巻 8 号 p. 1595-1600
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)は自己免疫疾患の一種で,膠原病の中では患者が最も多い慢性炎症性疾患である.多くのRA患者が,罹病年数とともに関節の機能障害を来たし,日常生活動作が低下する.しかし,現在の薬物治療や外科治療では, RAの自然経過を根本的に変えることはできないと考えられている.そこで,筆者らは難治性RAの病態を是正するために, RAにおけるTH1/TH2バランスの概念を導入することを提唱している.すなわち,難治性RA病態は主としてTH1優位の免疫応答により形成されるため,これをTH2優位の免疫応答に変移させることができれば,根本的な病態改善につながると考えれる.実際,インターロイキン(interleukin: IL)1-receptor antagonist(IL-lra)・抗TNFα抗体・抗IL-6受容体抗体やIL-10などのRA患者に対する有効性が報告されている.ヨーロッパでは抗TNFα抗体+IL-10の治験が開始され,相加的有効性が認められている.
  • 1998 年 87 巻 8 号 p. 1621
    発行日: 1998年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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