慢性呼吸不全の安定期における治療目標は,呼吸困難,喘息症状,咳,痰など主要な呼吸器症状を緩和し,できるだけ急性増悪を回避することである.さらに,肺機能の経年的な低下を最小とすること,合併症の予防をはかること, QOLの高い状熊で生存期間の延長を図ること,を目標とすべきである.慢性呼吸不全の長期的な治療では,服薬指導,運動療法,酸素療法,理学療法,栄養指導など疾患,増悪予防に関する幅広い,包括的な治療が効果を上げる.本稿ではこれを「包括的呼吸リハビリテーション」と呼んだが,このような治療方針は特に高齢者の慢性呼吸不全に対して効果的である.また肺容積減小術,肺移植術,前後の基本的な呼吸リハビリテーション・プログラムとなるものである.
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