Chlamydia pneumoniaeは,呼吸器感染症の主要な原因菌の1つであり,市中肺炎の約10%に関与するとされている.近年,欧米における気管支喘息の急性増悪因子として,
C. pneumoniae感染症が注目されており,本邦の検討でも小児,成人を問わず発作時に
C. pneumoniaeが高頻度に関与していることが判明した.また,気管支喘息患者の
C. pneumoniae特異的IgG・IgA抗体保有率や幾何学的平均値は,健康成人に比べ有意に高く,喘息患者において
C. pneumoniaeの慢性刺激や再感染がこれらの増悪に関与しているものと考えられた.増悪の機序としては,特異的IgE抗体の存在や,ストレス蛋白による気道過敏性の亢進などが考えられている.さらに
C. pneumoniaeは, virusと異なり抗菌薬が有効であることから,これらの同定を行うことは初期治療のみならず症状改善後の持続感染や再増悪防止の面などからも非常に意義のあることと考えられた.
抄録全体を表示