小児期は,成長発達の著しい時期であり,それにともない血液にも大きな変化をもたらす時期である.即ち,出生とともに肺呼吸を開始し,低酸素状態から高酸素状態に移行し,造血は抑制される.その後の身体の発育速度は大きく,循環血液量の増加も大きく,鉄は常に欠乏に傾いている.また,思春期には男性ホルモンの影響で,ヘモグロビン値・赤血球数などの正常値も変化する.一方では,初感染の機会も多く,免疫系の発達も起こっており,好中球数・リンパ球数の正常値や比率も年齢により変化する.このように,年齢とともに正常値も変化し,好発する疾患も変化し,鑑別診断の順位も年齢層により異なりうる.更に大切なこととして,治療法の選択にも,この成長発達を極力妨げないように配慮する必要がある.通常の学校生活から長期間遠ざかることそのものが,小児の健全な発達にマイナスとして作用しうる訳である.
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