日本内科学会雑誌
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88 巻, 7 号
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  • 藤田 拓男
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1181-1183
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 江藤 澄哉
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1184-1188
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高Ca血症を来す病態は原発性副甲状腺機能亢進症(I°-HPT)と悪性腫瘍に伴う高Ca血症(MAHC)で全体の約80%を占め,両者の比率は同等である.次いでビタミンD製剤の過剰投与によるビタミンD中毒,症例数は少ないが家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH)がある.多彩な臨床症状・病歴の注意深い観察は診断のきっかけとなる. MAHCでは症状が急速に進行し,高Ca血症が直接死因となり得る. I°-HPTではPTHの上昇, MAHCはHHMとLOHに大別され,前者でPTHrPの上昇が見られる.症状の少ないFHHはCca/Ccr値の著明低値で確診される.
  • 平田 結喜緒
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1189-1194
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    低Ca血症に伴う症状は四肢のしびれ感やちくちく感といった軽い知覚異常からテタニーや痙攣といった神経・筋症状まで様々である.また先天性PTH不応症のように特徴的な体型から疑診される.したがって患者からのちょっとした症状や徴候からも低Ca血症を疑い,積極的に血中のCa, P,アルブミン濃度を測定し,心要であれば血中intact PTHを測定することが,本症を見逃さないコツである.
  • 新美 仁男
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1195-1200
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リンは細胞内の量が多く,急性の病態ではリンの細胞内外の移動によって血清リン値はかなり変動し,必ずしも細胞内のリン量を反映しない.さらに血清リン値は低年齢ほど高値であることに注意する.
    リンの代謝異常では,変動が急激に起ったとき以外に臨床症状を呈することは少い.そこで血清リン値の異常をみた場合には,まず血清カルシウム値の変動も考慮しながら腎機能障害の有無,副甲状腺機能状態の変化を検討し,鑑別診断を進めねばならない.
  • 羽根田 俊, 長谷部 直幸, 菊池 健次郎
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1201-1205
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    マグネシウム(Mg)は細胞内に多く存在して生理的に重要な役割を果たしている.従って, Mgの欠乏状態や過剰状態では多彩な症状を呈するので, Mg代謝異常を正確に把握することは臨床上非常に重要である.しかし, Mg代謝異常は単独で存在する場合もあるが, Ca, K, Pなどその他の電解質異常と合併して認められる場合も多く,電解質異常を認める際には必ずMgも同時に測定することによって, Mg代謝異常があるか否かを確認する必要がある.
  • 1)原発性副甲状腺機能亢進症
    杉本 利嗣
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1206-1211
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性副甲状腺機能亢進症の発症機構や病態の重症度と遺伝的素因との関連などについて多くの知見が集積されつつある.一方血清カルシウム測定のルーチン化に伴い,本疾患が無症候性で発見される頻度が急増してきている.本疾患の唯一の根治的治療法は病的副甲状腺の摘除であるが,無症候例に対する対応が問題となってきている.最近カルシウム感知受容体作働薬が開発され,保存的治療への道が開かれる可能性がある.
  • 2)悪性種瘍に伴う高カルシウム血症
    池田 恭治
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1212-1217
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高カルシウム血症は,悪性腫瘍患者の末期に見られる腫瘍随伴症候群の一つで,ほとんどの場合,腫瘍が過剰に産生する副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)が,骨吸収(骨からのカルシウム動員)と腎におけるカルシウム再吸収を促進することにより起こる.癌患者に見られる高カルシウム血症は,慢性に経過する原発性副甲状腺機能亢進症と異なり急速進行で,腎不全や意識障害などをもたらし癌患者のQOL (quality of life)を損ねる危険が大きいので,血漿PTHrP濃度を測定して速やかに診断し,生理食塩水によるカルシウム排泄促進とビスフォスフォネートによる骨吸収の抑制を直ちに開始する必要がある.
  • 3)家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症
    田中 弘之
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1218-1221
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症は,軽症の原発性副甲状腺機能亢進症としばしば誤診される疾患であるが,通常良性の疾患であり様々な臨床症状において原発性副甲状腺機能亢進症とは異なる.本疾患は細胞外の2価の陽イオンを感知するカルシウム受容体遺伝子変異のヘテロ接合体で発症する.本受容体の機能を理解することによって本疾患の病態の理解は容易である.
  • 4)多発性内分泌腫瘍症1型および2A型
    吉本 勝彦
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1222-1227
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia, MEN)のうち,副甲状腺腫瘍による原発性副甲状腺機能亢進症はMEN 1型およびMEN 2A型に認められる. MEN 1型においては,副甲状腺病変が最も出現頻度が高く,しかも若年で発症する. 1997年に単離されたMEN1遺伝子の胚細胞変異は約90%のMEN 1型症例に認められ,癌抑制遺伝子としての性質を有する,副甲状腺腫瘍を含めた一部の散発性腫瘍においても体細胞変異が認められ,腫瘍化に関与していること明らかにされている. MEN 2A型においては副甲状腺病変は約10%に認められるが,血清カルシウム値は正常のことが多い. RET遺伝子変異検出による保因者の遺伝子診断,それに基づく予防的甲状腺全摘術の有用性が確立されている.
  • 5)高力ルシウム血症クリーゼの治療
    佐藤 幹二
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1228-1232
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高カルシウム血症クリーゼには,悪性腫瘍によるものと原発性副甲状腺機能亢進症によるものが多い.ともに脱水が著明で,腎機能障害が進行しているので,まず補液を十分に行い,尿量を2リットル以上確保することが重要である.さらに,両病態ともに破骨細胞による骨吸収が亢進しているので,ビスホスフォネート剤を一回,点滴静注し,骨吸収を抑制する.なお,治療開始前にintact PTHとPTHrP (N末端部フラグメント)を提出しておくこと.
  • 1)特発性およびその他の副甲状腺機能低下症
    水梨 一利, 古川 洋太郎
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1233-1237
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    PTH分泌不全による副甲状腺機能低下症には,頸部手術などの誘因が明らかなもの, PTH遺伝子の異常による家族性副甲状腺機能低下症, Ca受容体に対する自己抗体が検出されるものなどと,これらの誘因や基礎疾患の明らかでない特発性副甲状腺機能低下症がある.治療に際しては,ビタミンD投与後に高Ca尿症を来しやすいことから, Ca再吸収が低下していると考えられ,尿中Ca排泄量に注意しなければならない.
  • 2)偽性および偽性偽性副甲状腺機能低下症
    山本 通子
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1238-1244
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    偽性副甲状腺機能低下症(PsH)は,副甲状腺ホルモン(PTH)に対する不応症で,しばしば円形顔貌,低身長,中手骨や中足骨の短縮,皮下骨腫など, Albright遺伝性骨形成異常症(AHO)と称される所見を合併する. PsHの血縁者にはAHOの身体所見を有するが副甲状腺機能低下症を示さない症例が認められ,偽性偽性副甲状腺機能低下症と呼ばれる. PsHは臨床像や検査所見の差異によっていくつかの病型に分類されるが,各病型におけるPTH不応の機序についてはまだ不明な点が多い.
  • 3)腎性骨ジストロフィーと続発性副甲状腺機能亢進症
    深川 雅史
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1245-1250
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腎不全患者では,低カルシウム血症が補正され,生理量の活性型ビタミンD製剤が投与されているにもかかわらず, PTH分泌が亢進し,副甲状腺過形成が生ずる.これは副甲状腺のビタミンDに対する抵抗性,カルシウムイオンに対する感受性の異常,リンの直接作用などによる考えられており,病態に基づいた治療法が開発されている.一方,腎不全では骨のPTHに対する抵抗性も存在するので, PTH分泌の抑制目標は正常人と異なる.
  • 1)くる病と骨軟化症
    藤枝 憲二
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1251-1257
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    くる病は古くからその存在が知られている疾患である.ビタミンD欠乏性くる病は栄養状態の改善,ビタミンD摂取の勧奨によりすでに過去の病気となっていたが,最近アトピー疾患治療に伴う食事制限を誘因として発症する乳児例の増加をみている.一方遺伝性疾患である家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病,ビタミンD依存性くる病I型及びII型の責任遺伝子がcloningされ,分子遺伝学的・分子生物学的病態解析が進められている.
  • 2)骨粗鬆症
    稲葉 雅章
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1258-1264
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    骨粗霧症は,組成に変動がなく骨量が減少した状態で,海綿骨骨梁の細小化や離断でその連続性が失われ,骨の脆弱性が増し易骨折性を示す疾患である.骨強度は,量(mass),質(quality),および構造(geometry)の3つの要素に依存しているが,臨床的診断は, dual energy X-ray absorptiometry (DXA)による骨量の測定によりなされる.
    高齢化とともに本症の罹患率が高まり,本疾患に基づく病的骨折やそれに伴う社会経済的コストの増大が予想されている.治療は,骨構造の荒廃が起こった後では,骨強度の回復が見込めず,骨折予防を中心とした運動や薬物療法が第一選択となる.日常の栄養素摂取や転倒防止対策なども一般に周知徹底することが重要で,このための社会的な教育・予防対策の確立が緊急の課題である.
  • 1)副甲状腺ホルモンとカルシウム感知受容体
    福本 誠二
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1265-1270
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副甲状腺カルシウム感知受容体(CaSR)は,副甲状腺ホルモン(PTH)分泌調節に必須の分子として同定されたG蛋白共役受容体である.細胞外Caが副甲状腺CaSRに結合すると,細胞内Ca濃度の上昇とPTH分泌抑制がもたらされる. CaSRの変異や発現異常は,各種Ca代謝異常症の病因となることが明らかにされた. CaSRは副甲状腺に加え,腎,脳など各種臓器に発現が認められるものの,そのCa代謝以外への作用には不明な点が多い.
  • 2)副甲状腺ホルモン関連蛋白とその作用
    大津留 晶, 山下 俊一
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1271-1276
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)は,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の原因物質として発見された. PTHrPのN端は副甲状腺ホルモン(PTH)と高い相同性を有し,いずれも共通のPTH/PTHrP受容体に結合し,作用を発揮する.しかし,副甲状腺より分泌され,血中カルシウムレベルを調節するホルモンであるPTHに対し, PTHrPはあらゆる臓器の様々な細胞より,時に応じて分泌され,生理的には主にパラクライン・オートクライン的に作用している.事実その受容体は全身に幅広く分布している.このためPTHrPの生理作用は不明な点が数多くあったが,発生工学的手法などの発展に伴い骨・軟骨系の新知見を始め,その機能の実態が徐々に明らかにされつつある.
  • 3)ビタミンDの生成と作用
    絹田 恵子, 清野 佳紀
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1277-1282
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ビタミンDの分子作用メカニズムの解明は,ビタミンDレセプター遺伝子欠損マウスによる研究で最近めざましく進歩している.今までによく知られているカルシウム代謝調節因子としてだけでなく,免疫調節,細胞の分化増殖調節,さらに性腺に及ぼす影響等さまざまな新しい作用が解明されつつある.しかし,依然としてビタミンD欠乏症が存在することも特記しておかなければならない.ビタミンD生成と新しい作用について述べる.
  • 4)その他の話題(1)副甲状腺過形成および腫瘍発生の分子生物学
    五十嵐 徹也
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1283-1286
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副甲状腺の過形成は細胞外刺激因子あるいは,生殖細胞を介して伝えられた変異などが原因で生ずるポリクローン性び漫性病巣である.一方,腺腫あるいは癌は体細胞変異に基づくモノクローン性の結節性病変である.近年,癌抑制遺伝子と考えられる多発性内分泌腺腫症の責任遺伝子MEN1が同定され,その産物meninは核内転写因子であること,その変異は非家族性の副甲状腺腫瘍ばかりか,その他の組織の腫瘍の原因ともなりうることがわかってきた.
  • 4)その他の話題(2)腫瘍性骨軟化症
    宮内 章光
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1287-1290
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腫瘍性骨軟化症(oncogenic osteomalaciaまたはtumor induced osteomalacia)は腫瘍(骨,軟部腫瘍(中胚葉由来が多い))によりビタミンD抵抗性骨軟化症が発現する疾患である.腫瘍の完全摘出により低リン血症,骨軟化症が治癒する特徴をもつ.本邦,欧米を含め100余例の報告があり,骨,軟部腫瘍以外にも肺癌,前立腺癌などによるものの報告がある.腫瘍から産生される液性因子により,リン利尿,ビタミンD活性化抑制がおこると考えられている.このリン利尿物質は未同定であるがphosphatoninと命名されており, X連鎖性低リン血性くる病(XLH)と同一の原因物質であるという仮説が有力である.
  • 大久保 亮子, 吉田 哲也, 木村 暢宏, 大隈 健司, 森岡 英次, 久野 修資, 田村 和夫, 鈴宮 淳司, 坪井 義夫
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1321-1323
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    5年前にCastleman病と診断され甲状腺機能低下症を合併した51歳女性を報告する.表在性リンパ節腫脹を初発とし経過と共に浮腫,色素沈着,剛毛,感覚異常,振動覚の低下,肝脾腫などを認め, POEMS症候群とのオーバーラップが示唆された.治療としてCP (cyclophosphamide, prednisolone)療法を行い諸症状は改善傾向を示した.
  • 申 偉秀, 豊岡 照彦, 楊 偉東, 上條 敦子, 小早 川直, 大庭 成喜, 青柳 昭彦, 杉浦 清了, 百村 伸一, 小俣 政男
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1324-1325
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性,心不全症状および糖尿病が悪化して入院.心臓カテーテル検査で拡張型心筋症と診断,白血球・生検心筋からミトコンドリアDNA3243位のアデニン→グアニン点変異が検出された.この変異はMELAS型脳筋症の原因遺伝子として知られるが,本症例は脳筋症を呈さずに高度の心機能低下,糖尿病,難聴を呈し,心筋症患者におけるミトコンドリアDNA検索の重要性を示す症例と考え報告した.
  • 田中 裕滋, 後藤 浩之, 牧田 慶久, 小林 由直, 越山 肇, 千田 豊, 木村 光政, 島地 泰敏, 足立 幸彦
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1326-1328
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は23歳,未婚女性.持続する高熱で当科へ入院し,抗生物質投与で改善せず,婦人科を受診し,卵巣嚢腫破裂が疑われ,緊急開腹術が施行された.大網の生検で結核性腹膜炎と診断され,抗結核療法にて軽快した.合併していた結核性卵管留腫は一時増大したが,治療開始三カ月で消失した.結核性腹膜炎は通常緩徐な経過を辿るが,本症例では進行が急速であり試験開腹に到った.急速に進行する腹膜炎の原因としても結核は留意すべきと考え報告した.
  • 藤本 昌代, 上田 容生, 余 美彗, 森山 啓明, 櫻井 孝, 岡野 裕行, 永田 正男, 横野 浩一
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1329-1331
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    73歳,女性. 13年前に膵体部グルカゴノーマを外科切除. 5年前に腹腔リンパ節再発を外科切除し経過良好であったが,血清グルカゴン値・血糖値の再上昇を認めた.ホルモン検査,負荷検査,画像検査により肝臓への多発性転移を疑われた.腹腔内血管造影にて確定診断し, transcatheter arterial embolization (TAE)を施行したところ,血清グルカゴン値,血糖値の低下を認め極めて有効であった.
  • 松本 桂輔, 宍戸 友明, 佐藤 栄美, 及川 博介, 荒川 雅博, 石田 秀一, 佐々木 康彦, 高橋 祐子, 佐野 徳久, 高瀬 圭, ...
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1332-1333
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.右鎖骨の病的骨折で発症,その後反復性の血性胸水貯留による呼吸困難が出現した.徐々に骨融解は進行し,右鎖骨より肩甲骨,下位肋骨にまで及んだ.鎖骨部骨生検において骨基質の消失と異型性を伴わない内皮細胞からなる洞様血管の増生を認め, massive osteolysisと診断したが,呼吸不全のため死亡した. massive osteolysisは進行性の骨融解を特徴とする原因不明の疾患であるが,稀な一症例として今回報告する.
  • 青木 泰子
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1334-1340
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    感染防御能の低下したcompromised hostでは様々な病院感染症が見られる.健康人には感染を惹起しない弱毒微生物による日和見感染症も起きやすく,起因微生物は抗菌薬や消毒薬に耐性を示すことが多い.病院感染には患者間,医療従事者,および病院環境からの水平感染と,自己保有菌による内因性感染があり, compromised hostにおける感染では後者の比重が高い.
    典型的なcompromised hostである好中球減少者の発熱では診断確定前に抗菌薬投与を開始するempirical therapyを行う必要がある.適用には治療開始前の評価,初期治療に用いるべき薬剤,初期治療に対する反応も含めての再評価,薬剤の変更や投与期間などについてevidence basedな方針を定めるべきである.院内肺炎,血管カテーテル感染などの病院感染に特徴的な感染症に対しては,市中感染症とは異なる病態や起因微生物を考慮して対処する必要がある.
  • 土屋 尚之, 徳永 勝士
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1341-1348
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病を含むリウマチ性疾患の多くは複数の遺伝要因と環境要因の相互作用により発症に至る多因子疾患と考えられる.多くの多因子疾患同様,リウマチ性疾患においても疾患感受性遺伝子の解析が近年活発化している.これまでに,候補遺伝子を用いた関連研究から, SLEにおいて, HLA,補体, Fcγ受容体IIa, IIIa,マンノース結合蛋白, IL-10などの多型との関連が示唆されているが,人種をこえて確認されているものは少ない. RAにおいては, HLA-DRβ鎖のshared epitopeをコードするHLADRB1アリルとの関連が人種をこえて確認されているが, HLA以外の感受性遺伝子は未だ不明である.一方,いずれの疾患においても,罹患同胞対を用いたgenome-wide linkage analysisの結果が最近相次いで報告され, HLAを含む多数の領域が感受性遺伝子を含む候補領域として報告された.今後,感受性遺伝子の同定は急速に加速すると思われる.
  • 有山 襄
    1999 年 88 巻 7 号 p. 1349-1353
    発行日: 1999/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    MRCPは無侵襲で造影剤を使用することなく,膵胆道が描出できる方法である.原理は強いT2強調画像を撮像すると,静止液体である胆汁と膵液は高信号,周囲臓器の肝・膵などは低信号に描出され, 2次元, 3次元で画像を再構成するとERCPと同様の像がえられる.機器の進歩によって短時間で空間分解能の良好な画像がえられるようになり,臨床で広く応用されるようになった. MRCPは超音波に次いで膵胆道疾患の2次スクリーニング検査として位置づけられる.無侵襲で膵胆管像が描出されるので,患者にとって福音である. ERCPが施行困難な症例でも容易に膵胆管像がえられ,膵胆管閉塞部の上流と下流が描出される特徴があり,膵胆道疾患の早期診断にきわめて有効である.われわれの施設ではMRCP導入後,診断的ERCPの件数が大幅に減少した.
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