製薬技術の進歩により,薬効の優れた薬品が開発され,患者,医師もその恩恵に浴することが出来るようになっているが,一方,その副作用も同時に問題になっている. NSAIDのように薬効と副作用は隣り合わせであることもあり,また,抗生物質による腎障害の場合,重症感染症の治療が腎障害より優先されることも臨床ではしばしば遭遇する.このような場合も含めて,起こるかもしれない腎障害を念頭においてその薬剤を使用するのと,無自覚に使用するのとでは,予防的処置の有無,腎障害の程度,発症後の対処の仕方などでの点において数段の格差がある.このような意味で,リスクファクター,腎障害を引き起こしうる薬剤の認識,はこれからますます重要になっていくと思われる.
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