日本内科学会雑誌
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89 巻 , 5 号
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  • 小倉 剛
    2000 年 89 巻 5 号 p. 831-833
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 森 亨
    2000 年 89 巻 5 号 p. 834-840
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    日本の結核の蔓延は欧米に比して数10年遅れた水準に留まっており,近年は逆転上昇に転じている.そのなかで重症例の増加,集団感染など対応の困難な事例の増加がさらに混迷の度合いを深くしている.高率に感染を受けている高齢者人口の増加,医学的および社会経済弱者階層への発生の偏在がその主たる原困と思われるが,それへの十分な対応を行うことが緊急の課題であり,その中で臨床分野の果たすべき役割は非常に大きい.
  • 仲本 敦, 斎藤 厚
    2000 年 89 巻 5 号 p. 841-847
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    再興感染症の代表である結核は,なお年間40.000人以上もの新患者が登録される,わが国最大の感染症である.長らく結核対策の根幹を成してきた「結核予防法」は,平成11年4月施行の「感染症新法」とは独立して存続し,強化が図られることになった.結核の集団感染や院内感染の多発など様々な問題が提起される中,すべての臨床医が結核に関する知識を再確認し,診断技術の向上,院内感染の予防,患者発生への適切な対処などを図る必要がある.
  • 露口 泉夫
    2000 年 89 巻 5 号 p. 848-854
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核は慢性感染症である.しかしその病態は,マクロファージとヘルパーT細胞1 (TH1)が主体の遅延型アレルギーである.すなわち,結核菌体の刺激によりTH1指向性のサイトカインが感染局所に過剰産生され,菌体蛋白抗原特異的なTH1細胞が誘導される.その結果,マクロファージが活性化されて類上皮細胞, Langhans巨細胞を経て,結核結節や結核性空洞形成へと進む.
  • 大野 秀明, 河野 茂
    2000 年 89 巻 5 号 p. 855-861
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺結核の診断には,喀痰などの臨床検体から結核菌の証明が必要であり,結核菌検査法には塗抹染色法,分離培養法ならびに遺伝子診断法が本邦では主に用いられている.塗抹染色法では簡便かつ迅速性が,分離培養法では感度の高さが,また遺伝子診断法ではその両者を兼ね備えることが特徴である.また,薬剤感受性検査も結核症においては重要な検査法であり,肺結核が疑われる症例ではそれぞれの検査法を良く理解した上で診断,治療にあたることが臨床家に求められる.
  • 小場 弘之
    2000 年 89 巻 5 号 p. 862-867
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺結核症の画像所見は,気道散布性の乾酪性肉芽腫病変が反映されたものであり,滲出期から増殖期,線維化期病変までそれぞれの形態像に応じた特徴的所見を示す.胸部単純像では,散布巣を伴う多発性の結節影,浸潤影,空洞陰影が上肺野優位に認められ, CTを用いることによりさらに確実な診断が可能である.実際の診療では,胸部単純像の所見から結核を疑うことが重要であり,常に排菌の可能性を念頭においた対応が必要である.
  • 杉山 幸比古
    2000 年 89 巻 5 号 p. 868-873
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ツベルクリンは結核菌を発見したKochによって作られた,結核菌の培養濾液であり,その後,蛋白成分の精製が行われpurified protein derivative (PPD)と名付けられた. PPDによるツベルクリン反応で,結核菌に対する感染の有無の診断, BCG接種の技術評価が行われる.日本では発赤径10mm以上を陽性としている.ツ反応の判定に際しては,その「促進現象」や「ブースター現象」といったものをよく理解し,判定する必要がある.
  • 千酌 浩樹, 清水 英治
    2000 年 89 巻 5 号 p. 874-883
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核性胸膜炎診断のために,最も簡便に施行できるのが試験穿刺による胸水の臨床検査である.しかし,塗沫,培養といった細菌学的方法では確定診断が得られることは少ない. adenosine deaminase (ADA)が感度,特異度ともに高い検査であるが,膿胸, RAに伴う胸水,悪性リンパ腫,胸膜中皮腫などでも上昇する可能性がある. interferon-gamma (IFN-γ)を併用すれば特異性を高めることができる.結核性胸膜炎の治療が長期間にわたることを考えると,ほとんどの例で組織学的診断を試みることが必要となる.従来よりこの方法としてCope針による胸膜生検が行われてきた.多くの組織片を採取し,施行を繰り返すことで陽性率を高めることができるものの,非直視下生検であることに起因する効率の低さ,危険性などの欠点を持っている.そこで最近ではvideoscopeによる局所麻酔下胸腔鏡検査が試みられるようになってきた.われわれの経験でも侵襲性が低く診断感度の高い優れた検査であり,今後胸膜生検針による生検に替わりうる検査であると考えられる.
  • 大場 秀夫, 沖本 二郎, 川根 博司
    2000 年 89 巻 5 号 p. 884-888
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺結核は,近年その罹患率の上昇とともに再び注目を集め,再興感染症としての側面が注目されている古くて新しい疾患である.日常診療に携わる一般臨床医にとって,その存在に注意し,日々の診療活動を行うことが求められている.この稿では,プライマリケア-一次医療-を中心とした肺結核の現況,外来診療における注意点等について概説を試みた.
  • 柳生 久永, 中村 博幸, 松岡 健
    2000 年 89 巻 5 号 p. 889-893
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核症の罹患部位は肺が最も多い.しかし結核症は全身感染症で,決して肺に限局するものではない.肺以外の部位の結核症を総称して肺外結核と呼ぶ.結核菌は主としてリンパ行性,血行性などの経路で全身諸臓器に播種する.内科医はリンパ節,胸膜,髄膜,腸,副腎等の肺外結核に遭遇する可能性があることから,これらの病態を熟知し,迅速かつ的確な診断治療の実践が要求される.
  • 岡本 竜哉, 菅 守隆
    2000 年 89 巻 5 号 p. 894-898
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,病院内での結核集団感染がマスコミ等で取り上げられ社会問題となっている.我が国では高齢者を中心にして今なお結核患者が存在する一方,若い医療従事者のほとんどは未感染者であり,ひとたび排菌患者が発生しその診断が遅れることで院内集団感染が起こりやすい状況にあることを,強く認識しなくてはならない.本稿では感染性結核患者が発生した際の定期外検診を含めた具体的な対応について概説する.
  • 西村 一孝
    2000 年 89 巻 5 号 p. 899-902
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核緊急事態宣言が出され結核に対する一般的知識が必要とされている.この項では,結核診断へのアプローチ,わが国における結核対策の現状,病診連携のための方策,あるいは問題点などについて解説した.
  • 西岡 安彦, 曽根 三郎
    2000 年 89 巻 5 号 p. 903-910
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核に対する化学療法では多剤併用療法が基本となる. 1996(平成8)年4月より「結核医療の基準」が一部改正され初回標準治療にピラジナミド(PZA)を含む6カ月の短期強化化学療法が正式に導入された.すでに欧米では標準療法として行われており, PZAの強い抗菌力を考えると今回の改正のもたらす治療的意義は大きい. PZAを初期の2カ月間に限って投与量1.2~1.5g/日で併用することによって肝障害の発生頻度を抑え安全に使用できるようになった.今後積極的に使用することが望まれる.
  • 塚口 勝彦, 成田 亘啓
    2000 年 89 巻 5 号 p. 911-915
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Directly Observed Treatment, Short-course (DOTS)は患者の抗結核薬服用を直接監視し短期化学療法を遂行することである. WHOは塗抹陽性患者の発見率70%,治癒率85%を目標に,結核撲滅に必要な5要素からなる総合結核対策を策定しDOTS戦略としている. DOTS戦略は結核高蔓延途上国で採用可能な唯一の有効な施策で,費用対利益効果も優れているが,わが国での適応は対象を厳密に選択する必要がある.
  • 大塚 盛男, 関沢 清久
    2000 年 89 巻 5 号 p. 916-920
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    BCGは,結核ワクチンとして世界中で広く用いられているが,接種の意義については長年議論がされてきた.最近の研究から,結核性髄膜炎や粟粒結核などの重症結核に対する予防効果が明確となり,重症結核の多い乳幼児における接種の意義は明らかになった.一方,再接種については有効性が証明されておらず,見直し議論が活発になっている.また,医療関係者に対する接種の意義も,今後検討されるべき課題として残っている.
  • 永武 毅
    2000 年 89 巻 5 号 p. 921-925
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    多剤耐性結核治療もまた多剤併用療法が基本であり,限られた抗結核薬の中でどれだけ感受性のあるものが残っているかが治療の成否につながる.その為の早期診断情報として今後の発展が期待されているものに耐性遺伝子診断の進歩がある.一方,抗結核作用や組織移行にすぐれた新しい抗結核薬の登場も待たれるが,当面は現存する薬物を工夫することで困難な耐性結核治療に立ち向かう他ない.
  • 板橋 繁, 佐々木 英忠
    2000 年 89 巻 5 号 p. 926-930
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高齢者の結核は治療せねばならない疾患である.たとえ本人が治療を拒否したとしても何とか説得して治療を受けてもらわなければならない.なぜなら高齢者の結核患者は重大な感染源であり,ここから若いあるいは幼い世代の結核患者が生ずるからである.悪いのは結核であって患者ではない.患者・家族にそれをよく理解して頂き,長期にわたる治療を完遂していかなければならない.
  • 岸 不盡彌
    2000 年 89 巻 5 号 p. 931-936
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核対策はまず感染性結核患者の早期発見と迅速適正な医療が必須であるが,感染して発病のリスクが高い集団における発病予防もきわめて重要である.それには, BCG接種と化学予防があり,後者は既感染者で発病の危険性が高い者に対して抗結核薬INHを投与して発病を防止するものである.結核発病阻止率でみた化学予防の有効性は,内外で報告されているが,その適応,服薬法,副作用を知り,過不足のない対応が必要である.
  • 宍戸 真司
    2000 年 89 巻 5 号 p. 937-941
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国においては,以前にはあまり目立たなかった成人の集団感染や院内感染の増加がみられている.結核への関心がうすらぎ,若者の結核既感染率が低下しつつある現状において,このような現象が今後予期せずに今までに増して生じる可能性がある.結核の感染予防で最も大切なことは早期診断と適切な治療を行うことである。また,今まであまり重視されていなかった院内感染対策を抜本的に見直すことが急務となっている.
  • 下方 薫
    2000 年 89 巻 5 号 p. 942-945
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国の医療現場では,現時点において結核患者に遭遇する機会は決して少なくない.医療施設には多くの健康弱者が外来受診するとともに入院治療を受けており,医療機関で結核患者が発生した場合にその与える影響は大きなものがある.また医療関係者における結核罹患率は高いことが知られている.結核患者の発生を未然に防ぐべく予防面で十分に配慮するとともに,結核患者が発生した場合にも混乱することなく迅速な対策と対応がとれるように,医療現場での結核教育は重要である.
  • 野中 由美, 清藤 千景, 高野 義久, 伊藤 清隆
    2000 年 89 巻 5 号 p. 980-982
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性. 1カ月以上持続する発熱と腰痛を主訴に当科入院.血液検査にて炎症反応を認め,発熱時の血液培養からGemella haemolysans (G. haemolysans)を3回検出した. Gaシンチグラフィで下部腰椎に異常集積を認め, MRIでL4・L5にT1で低信号, T2で高信号の病変を認めた.以上より同菌を起因菌とする極めて稀な化膿性脊椎炎と診断した.
  • 玉屋 早穂子, 伊原 千尋, 辻 和雄, 南野 正隆, 前川 直子, 松本 禎之, 今井 輝国
    2000 年 89 巻 5 号 p. 983-985
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.平成9年12月より徐々に食欲不振,筋力低下が出現し甲状腺機能低下を指摘され補充療法を受けたが改善せず,上肢帯筋萎縮及び筋力低下を著明に認め来院.入院後精神症状,低血糖,低Na血症が出現し, ACTH単独欠損症と診断した.副腎不全に筋萎縮をきたしステロイド補充により改善を認めたという報告は本症例以外にもあるがその機序は不明である.ステロイドにより筋組織の同化作用が認められたという点で非常に興味深いと考えられた.
  • 安藤 仁, 久田 幸正, 土山 智也, 山下 竜也, 山黒 勉, 下田 敦, 西村 泰行, 岩田 章, 長田 清明
    2000 年 89 巻 5 号 p. 986-988
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は33歳,女性.尿管結石にて当科入院.慢性腎不全及び高尿酸血症,高脂血症を認め, CT上,両側の腎結石,肝腫瘍を伴う肝腫大を認めた.一卵性双生児の姉にも尿管結石の既往があり,検査上も妹と同様の所見を認めた.糖原病I型を疑い遺伝子解析を行った結果, G727T変異を認め糖原病Ia型と診断した.小児期に明らかな低血糖症状がない場合,本例のようにそれぞれ単独の疾患として見過ごされている例もあると思われた.
  • 平田 哲生, 岩下 秀彦, 真喜志 知子, 與那嶺 吉正, 宇高 眞智子, 座覇 修, 金城 渚, 外間 昭, 佐久川 廣, 金城 福則, ...
    2000 年 89 巻 5 号 p. 989-991
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.下痢,体重減少を主訴に近医受診し,低蛋白血症を指摘され精査加療目的で当科紹介入院となった.下部消化管内視鏡検査で回腸末端部に狭小化,浮腫,発赤を認め,同部位よりの生検組織と便中より糞線虫を検出した.また,入院時αlアンチトリプシンクリアランスは111ml/dayと高値であり,糞線虫症による蛋白漏出性胃腸症と診断した.アイバメクチンを投与し下痢,低蛋白血症は改善した.
  • 兵頭 隆幸, 薬師神 芳洋, 岩政 喜久恵, 酒井 郁也, 長谷川 均, 安川 正貴, 藤田 繁
    2000 年 89 巻 5 号 p. 992-994
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性. 1997年11月右肩関節に皮膚腫瘤,左膝関節に骨破壊が出現.生検にて両病変部にリンパ球の腫瘍性の浸潤を認めた.免疫組織染色およびフローサイトメトリーによる解析では,皮膚・骨ともに小型のCD8陽性T細胞が約9割を占めB細胞は1割に満たなかった.一方,腫瘤組織を用いたサザンブロット解析ではTcR遺伝子の再構成は認めず, IgH遺伝子の再構成を認めたことから本症例をCD8+-T-cell-rich B-cell lymphomaと診断した.
  • 光延 文裕, 御舩 尚志, 谷崎 勝朗
    2000 年 89 巻 5 号 p. 995-1002
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    閉塞性肺疾患では,薬剤を直接気道へ到達させる方が速やかな効果の発現が期待でき,かつ投与量も少量ですむので全身的な副作用を軽減することができる.しかし吸入すること自体,特に正確に吸入することには,患者のある程度の理解力が必要であり,患者に正しく吸入方法を修得してもらうための患者指導が重要になってくる.従来,わが国では吸入療法は十分浸透せず,使用の簡便な経口薬が主体を占めていたが,今後は吸入薬の占める割合が増加するものと思われる.近年発表された気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)のガイドラインにおいても吸入療法の重要性が強調されている.さらに新しい薬剤送達系としてドライパウダー吸入(dry powder inhaler: DPI)が導入され,従来の加圧式定量噴霧式吸入器(pressurized metered-dose inhaler: pMDI)に比較して有効であることが示されている.今後,閉塞性肺疾患の治療法として吸入療法が普及し,その重要性が増すと考えられる.
  • 前田 隆, 岩崎 信二, 西原 利治, 大西 三朗
    2000 年 89 巻 5 号 p. 1003-1010
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    PBCは自己免疫学的機序にもとづくき,小葉間胆管の破壊により惹起される慢性肝内胆汁うっ滞である.疾患特異的に検出される抗ミトコンドリア抗体(AMA)の対応抗原の分子生物学的解析を糸口にして,病因に関する新しい知見が集積されつつあるが,その本態は未だ不明である.本症は皮膚掻痒で初発することが多く,黄疸は出現後消退することなく漸増し,終末像である胆汁性肝硬変の治療法は肝移植のみである.皮膚掻痒,黄疸などの症状を欠く無症候性PBCの予後は概ね良好であるが,その約10%は進行性でありウルソデオキシコール酸などによる治療が有効とされている. AMA陰性,抗核抗体陽性で組織学的にPBCの胆管病変を有する症例に対して,自己免疫性胆管炎という新たな疾患概念が提唱されている.また, PBC症例のなかで自己免疫性肝炎の臨床像,病理像を同時に有する症例はoverlap syndromeとして取り扱われ,ステロイドなどの免疫抑制剤が奏功するとされている.
  • 甲斐 俊朗, 原 宏
    2000 年 89 巻 5 号 p. 1011-1017
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在までに世界中では1,000例を越す臍帯血移植が行われ,わが国でも150例を越えるようになった.多くは小児を対象として行われているが最近では成人移植例も増えつつある.その多くがHLA不適合移植であるにもかかわらず重症の急性移植片対宿主病の発生頻度が少ないことが明らかになったが,一方生着不全が大きな課題であることも明らかになった.現在の所,小児白血病に対しては骨髄移植と比べ遜色のない成績が得られているが,成人移植例や,非腫瘍性疾患に対する成績は移植関連死が多く,未だ十分なものとは言い難い.今後,その成績の向上のためには,生着不全を防止するための前処置の改良や造血幹細胞・前駆細胞のex vivo expansionの実用化,さらには移植後の免疫不全の長期化防比や再発に対する治療・生着不全予防のための臍帯血リンパ球の培養増殖とその臨床応用等の基礎的な研究が望まれる.
  • 榊原 隆次, 服部 孝道
    2000 年 89 巻 5 号 p. 1018-1024
    発行日: 2000/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    排尿機能には膀胱に尿をためる蓄尿機能と排出機能とがあり,複雑な神経系の支配下にある.神経障害で起こる排尿障害を神経因性膀胱neurogenic bladderといい,糖尿病性ニューロパチー,腰椎症,パーキンソン病,脳血管障害など様々な疾患が原因となる.本稿では下部尿路の神経機構,排尿機能検査について述べ,次いで神経因性膀胱の対処法について述べる.
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