日本内科学会雑誌
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92 巻, 4 号
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  • 橋本 浩三
    2003 年 92 巻 4 号 p. 545-547
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 中村 嘉夫
    2003 年 92 巻 4 号 p. 548-554
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,マウスの下垂体の発生・分化に関わる転写因子群が発見されたが,ヒトでもこれらの転写因子異常により先天性複合下垂体ホルモン欠損症が生じることが明らかになった.リンパ球性下垂体炎はリンパ球性下垂体前葉炎とリンパ球性漏斗下垂体神経葉炎に大別され,共に自己免疫疾患と考えられているが,最近下垂体の組織由来の異なる前後葉に炎症が生じるリンパ球性汎下垂体炎という概念が提唱され,その病因論が問題となっている.
  • 岩崎 泰正, 吉田 昌則
    2003 年 92 巻 4 号 p. 555-561
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    バゾプレシンは生体の水代謝を調節するkey hormoneとして,血漿浸透圧を一定に保つべく厳格な分泌調節を受けている.バゾプレシンの欠乏は口渇・多飲・多尿を主徴とする中枢性尿崩症を発症するが,高張食塩水試験等を用いた的確な診断とともに.基礎疾患(炎症・腫瘍など)の有無を明らかにすることが極めて重要である.また心因性多飲症との鑑別も治療方針を選択する上で欠かせない.バゾプレシンの作用障害による腎性尿崩症に対しては,今後有効な治療薬の開発される可能性がある.一方バゾプレシンの不適切分泌に起因するSIADHは,抗鬱剤(SSRI)による発症が報告されており注意が必要である.近い将来,バゾプレシン受容体拮抗剤が水利尿薬として治療に用いられることが期待される.
  • 豊田 長興, 天野 佐織, 前田 章雅, 西川 光重
    2003 年 92 巻 4 号 p. 562-569
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能亢進症を来す代表的な疾患はBasedow病である. Basedow病と鑑別が必要な疾患として,無痛性甲状腺炎および亜急性甲状腺炎などが挙げられる.一方,甲状腺機能低下症を来す代表的な疾患は慢性甲状腺炎(橋本病)である.これらの疾患は,ガイドラインに従って診断するのが簡便である.潜在性甲状腺機能低下症は,高コレステロール血症または機能低下症状を認めるときには補充療法をするのが望ましい.
  • 井上 大輔
    2003 年 92 巻 4 号 p. 570-576
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副甲状腺ホルモン(PTH)はCa代謝調節を担う主要なホルモンであり,活性型ビタミンDと協調的に腸管,腎,骨という標的臓器に作用することにより細胞外液のCa濃度を一定に保っている.したがって,高Ca・低Ca血症の主な原因はこれらのホルモン作用の過不足,あるいは各Ca代謝臓器の異常に基づくCa出納の変化である.本稿ではCa代謝異常の診断と治療について概説する.
  • 宗 友厚
    2003 年 92 巻 4 号 p. 577-582
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    比較的まれな疾患と考えられてきた原発性アルドステロン症の頻度が想像以上に高いことが示唆され,スクリ一ニング方法や確定診断法を再認識し啓蒙する必要に迫られている.発見頻度が明らかに増加している副腎偶発腫の取り扱いも集約されつつあり,特に心血管リスクが高いpreclinical Cushing症候群に注意を払う必要がある.またCushing症候群の病因解明による内科的治療の可能性も期待される.
  • 藤枝 憲二
    2003 年 92 巻 4 号 p. 583-588
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    性腺疾患には,思春期早発症と思春期遅発症(性腺機能低下症,性分化異常症を含む)とがある.思春期早発症は,特に小児期に重要であり,思春期遅発症は,小児期から成人に至るまでのいずれの時期でも遭遇する疾患である.近年のゲノム医学の進歩に伴い性腺疾患の責任遺伝子が同定され,それにより確定診断が可能となるとともに,またその分子病態も明らかにされてきた.
  • 土井 隆一郎, 今村 正之
    2003 年 92 巻 4 号 p. 589-595
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膵内分泌腫瘍は一般に予後が良いと考えられているが,インスリノーマを除く膵内分泌腫瘍は悪性腫瘍と考えて治療する必要がある.選択的動脈内刺激物注入試験によって術前に正確な局在診断を行ったうえで治療戦略をたてる.転移臓器はリンパ節と肝臓が主であり遠隔転移や腹膜播種は少ない.ガストリノーマは微小病変でもリンパ節転移をきたすため,手術時のリンパ節郭清は必須である.肝転移は根治的切除または可及的なdebulkingが有効である.遺残病巣が存在する場合は抗癌剤やソマトスタチンアナログによる治療が有効で生命予後は良い.切除不能な多発肝転移で薬物療法が無効な場合は試験的治療として肝移植を考慮する.
  • 小杉 眞司
    2003 年 92 巻 4 号 p. 596-602
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    多発性内分泌腺腫症2型(MEN2)の原因は癌遺伝子RETの活性化型変異であり,多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)の原因は癌抑制遺伝子MEN1によることが明らかとなった.いずれの疾患についても遺伝子診断を行うことにより,患者本入の確定診断と血族の発症前診断が可能となり,その情報をもとにした新しい診療が行われる.特に,発症前診断については従来無かったものであり,十分な遺伝カウンセリングの後に行われなければならない.
    MEN1とMEN2は全く異なった疾患であることにまず留意する必要がある.いずれも原因遺伝子が同定され,遺伝子診断が臨床応用可能となってきた.
  • 中里 雅光
    2003 年 92 巻 4 号 p. 603-608
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    グレリンは,主に胃の内分泌細胞で産生される脂肪酸化されたペプチドである.成長ホルモン分泌促進に加え,摂食亢進作用をもつ.胃から分泌されたグレリンは,迷走神経胃枝求心路の末端にある受容体に結合し,その生理情報は延髄を介して,最終的に視床下部へ伝達される.グレリンは視床下部でも産生され,シナプス形成を介して種々の中枢作用を有する.グレリンの発見は,胃が消化機能だけでなく,神経を介した情報伝達系によりエネルギー代謝にも機能していることを明らかにした.
  • 下村 伊一郎, 船橋 徹, 松澤 佑次
    2003 年 92 巻 4 号 p. 609-615
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    過食・運動不足という現在の生活習慣は,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症といった代謝異常症候群を発症させる.脂肪組織は,生活習慣に応じて,量的・質的に最もダイナミックに変化する組織である.近年,脂肪組織が生理状況に応じて種々の内分泌因子(アディポサイトカイン)を産生・分泌し,糖・脂質代謝,動脈壁の恒常性維持に重要な役割をはたしていること,生活習慢の変化によるアディポサイトカインの産生異常が,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症を引き起こすこと,そして血中アディポサイトカイン濃度の是正が上記疾患群の治療に結びつくことが証明された.
  • 山田 祐一郎
    2003 年 92 巻 4 号 p. 616-620
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    小腸に存在し,食物の摂取後に放出されインスリン分泌を惹起するインクレチンとして, GIPとGLP-1が知られている.いずれも受容体欠損マウスが作製され,従来知られていたインスリン分泌促進作用のみならず様々な作用を有し,糖代謝の恒常性の維持に働いていることが明らかとなってきた.特にGIPについては糖尿病発症との関わりが, GLP-1については糖尿病治療薬としての役割が注目されている.
  • 高柳 涼一, 河手 久弥
    2003 年 92 巻 4 号 p. 621-628
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    遺伝子の転写調節機構研究の進歩により,器官の発生分化に関与する転写(調節)因子の同の同定と機能解析,また,転写因子である核内受容体の作用機構研究が急速に進展している.これに伴い,従来,特発性あるいはペストレセプター障害とされていた内分泌疾患の病態が明らかにされつつある.この中でステロイド不応症の中にコアクチベーター病が確立された.また,従来の生化学的手法に加えて,リアルタイム画像解析による核内受容体異常症の解析も新知見を得る新しい研究法となりつつある.
  • 越山 裕行
    2003 年 92 巻 4 号 p. 629-634
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血管と骨に共通の液性因子,すなわち広義のホルモンが,存在する証拠が揃いつつある.さらに最近では,骨と脂肪(脂質)の間にも連関のある事実が明らかとなりつつある.これらは,ホルモンが多彩な作用を持つ典型例であり,現在の内分泌学のフロンティアともいうべき領域を形成している.この領域での進歩は,血管・骨・脂肪のそれぞれの病態の理解に役立つだけでなく新しい薬剤の開発にもつながる可能性を秘めている.
  • 三崎 麻子, 小谷 智美, 清野 弘明, 山口 日吉, 木村 美奈子, 宮口 修一, 山崎 俊朗, 菊池 宏明, 阿部 三隆
    2003 年 92 巻 4 号 p. 659-661
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は33歳,女性.分娩後13日目に悪心,嘔吐,口渇,多飲が出現し,意識混濁となった. Kussmaul呼吸を認め,血糖値1196mg/dl,動脈血にてpH7.122, BE-23.5mEq/1,糖尿病性ケトアシドーシスと診断.初診時のHbA1cは6.3%と高血糖との乖離を認め,尿中C-ペプチド(CPR) 1.6μg/日,血中CPR<0.2ng/mlとほぼ完全なβ細胞機能の廃絶を認めた. Glutamic Acid Decarboxylase (GAD)抗体は陰性であり,本例は分娩後に発症した非自己免疫性劇症1型糖尿病の症例と考えられ報告する.
  • 小川 春美, 北濱 眞司, 皆川 晃伸, 鈴木 美穂, 今井 富彦, 和田 誠基, 飯高 誠, 片山 茂裕
    2003 年 92 巻 4 号 p. 662-664
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,男性.前頸部腫脹,発熱,動悸で来院した.超音波検査は亜急性甲状腺炎を支持せず,甲状腺自己抗体は陽性を示した. 123Iシンチグラムでは甲状腺への取り込みが見られず,バセドウ病は否定的であった.本例では自己免疫性甲状腺疾患を基礎に破壊性の機序が加わり,さらに経過中に甲状腺受容体阻害抗体が高値となり,甲状腺機能の低下が導かれたと考えられた.
  • 佐川 かよ, 立石 睦人, 樋上 聡美, 梶山 浩, 佐藤 秀一, 古川 みどり, 原 まさ子, 鎌谷 直之
    2003 年 92 巻 4 号 p. 665-667
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,男性.両膝関節痛を主訴に入院.両膝関節炎,炎症反応の軽度上昇以外には身体所見,一般検査所見に異常なく,リウマトイド因子,抗核抗体は陰性だった.明らかな消化器症状も認めなかったが,下部消化管内視鏡にて直腸~S状結腸のアフタ性病変.回盲部潰瘍を認め,大腸生検組織にて上皮性肉芽腫を認めたことからCrohn病と診断された.血清反応陰性多関節炎の診断における腸管病変検索の意義について報告する.
  • 平山 とよ子, 兼重 裕, 岡原 聡, 安達 靖代, 鈴木 朝子, 青木 繁雄, 仲川 尚明, 矢花 剛, 今井 富裕, 松本 博之
    2003 年 92 巻 4 号 p. 668-670
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例: 30歳,女性.両親は糖尿病で母親に感音性難聴あり.幼児期より難聴, 27歳時意識障害発作,糖尿病初発.インスリン使用で血糖は安定したが,軽度筋力低下,筋萎縮を自覚.白血球検索でミトコンドリアDNA (mt-DNA) (A→G) 3243に10%の変異を認めた. IgM, IgG型風疹抗体価は持続陽性.脳波でθ波の出現,画像上脳萎縮は著明.筋生検では特徴的なragged red fiber (RRF)を認めた.
  • 臨床上必須の感染症学的考察
    岩本 愛吉
    2003 年 92 巻 4 号 p. 671-676
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    先人たちの英知や身を削る努力によって,病原性の高い微生物による感染症は数多く制圧され,感染症による死亡者数は20世紀の間に激減した.ひとたび制圧あるいは根絶された感染症に対して人々は無防備になり,予防,診断,治療,研究開発等の予算も大幅に削減あるいは中止される.一方で, 20世紀の間にもたらされた科学技術の進歩によって,微生物の分離培養,大量培養,遺伝子改変等は極めて容易となり,わずかの知識と経験により,極めて危険な微生物を武器として加工することも可能である.悪意,憎悪,敵対心などに満ちたテロリストたちが,人類の多大な努力の結果制圧された感染症を使って人を襲う.これまで局地的であったテロもグローバリゼーションに伴い,規模,地域等の予測が立たなくなっている.天然痘や炭疽など,危険な病原体の知識と感染症学的な対応についての知識は,極めて重要なものとなっている.
  • 峯石 真
    2003 年 92 巻 4 号 p. 677-683
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年ミニ移植といわれる,免疫抑制剤を中心とした前処置によって同種造血幹移植を施行する方法が開発されて,同種移植は様変わりしたといえる.高齢者や臓器障害のある患者も同種移植を受けられるようになったばかりか,移植前処置の強度による影響や,混合キメラ, GVHDといった移植の根本的な問題に対しても新しい知見が得られるようになってきた.のみならず,ミニ移植での主たる抗腫瘍効果, GVL (Graft-versus-Leukemia)/GVT (Graft-versus-Tumor)効果は固形腫瘍に対しても有効な場合があるので固形腫瘍そなどにも同種移植が適応されるようになり,血縁HLA一致ドナー以外からのミニ移植も開発されるに及んで,さらに新しい発展の要素を見せてきている.
  • 塚本 浩, 長藤 宏司, 堀内 孝彦, 原田 実根
    2003 年 92 巻 4 号 p. 684-690
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞移植術の進歩に伴い, 1990年代半ばより難治性自己免疫疾患に対し,末梢血幹細胞移植(PBSCT)が臨床応用されるようになった.シクロフォスファミドを中心とした超大量免疫抑制療法によって骨髄と末梢血の自己反応性リンパ球を根絶した後に自己末梢血由来の純化CD34陽性細胞のみを移植し,新たに分化したリンパ球により免疫系を再構築することにより,自己抗原に対する免疫寛容の回復を目指す治療法である.欧米では全身性硬化症,関節リウマチ,多発性硬化症,全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患500例以上に対し,臨床第I/II相試験が行われ,期待できる成果が得られている.全体の治療関連死亡率は7%であったが,疾患や大量免疫抑制療法の違いによってバラツキがみられている.現在,前述の4疾患については,臨床第III相試験が進行中,または予定されている.今後,治療法の至適条件を確定することによって,本療法の有効性,安全性の向上が期待される.
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