日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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93 巻 , 10 号
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  • 冨岡 玖夫
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2055-2058
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 山内 広平
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2059-2065
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の診断には一過性の喘鳴を伴う呼吸困難という特徴的な症状や高調性連続性ラ音の聴診所見が重要である.客観的な指標として気流制限の変動や薬剤による気道の可逆性の証明及び気道過敏性の亢進は喘息診断の根拠となる.更に喀痰中好酸球増多や呼気中一酸化窒素の増加,血中アレルゲン特異的lgEの存在は喘息診断の補助となる.また慢性閉塞性肺疾患や喘息類似の呼吸器症状を呈する疾患との鑑別診断が必要である.
  • 増山 敬祐
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2066-2072
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎はIgEを介したI型アレルギーにて発症し,原因抗原はハウスダスト・ダニや花粉によるものが多い.小児では典型的な症状を訴えないこともあり,合併する副鼻腔炎の有無にも配慮する.診断は,問診,鼻鏡検査,鼻汁好酸球検査,副鼻腔X線検査によりアレルギーの疑いがあれば皮膚テストや血清IgE抗体検査などの抗原検索を行う.鼻誘発テストは直接的診断法であるが,その使用は限られているのが現状である.
  • 片山 一朗
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2073-2078
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎の診断・治療と予防は近年大きな社会問題となっている.日本皮膚科学会の診断基準案の提唱により標準的な診断,治療,患者指導が行われるようになり患者のQOL (quality of life)の向上に貢献している.病因論,病態解析に関しても,症候群としてとらえる考え方が提唱され,アLルギー機序と非アレルギー機序によるアトピー性皮膚炎の存在が認知されるようになり,今後診断,治療の考え方に大きな影響を与えることが予想される.
  • 宇理須 厚雄
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2079-2084
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    食物アレルギーの原因食物の診断方法には問診,皮膚テスト(プリックテスト,アトピーパッチテストなど),血清特異的IgE抗体価,好塩基球ヒスタミン遊離試験,除去試験,経口負荷試験などがある.食物経口負荷試験が最も信頼性が高い方法であるが生体に対して行う検査であるため危険性を伴うので慎重に実施しなければならない.その意味でも,さらに診断精度が高いin vitro検査法の改良や開発が今後の大きな課題である.
  • 相原 道子
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2085-2090
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    重篤な薬物アレルギーで生じる中毒性表皮壊死症とStevens-Johnson症候群は,細胞障害性T細胞により皮膚・粘膜に壊死性変化をきたすことから,皮膚病理組織学的診断が重要である.また,抗けいれん薬などの特定の薬剤投与後に全身の紅斑と肝障害などの臓器障害をきたす薬剤性過敏症症候群では,ヒトヘルペスウイルス(HHV)-6の再活性化が認められることから,抗HHV-6体価測定やPCRによるHHV-6DNAの検出が診断に有用である.
  • 本島 新司
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2091-2099
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特異的IgE抗体の皮膚を用いた検出法にはプリックテスト(類似のものとしてスクラッチテスト)と皮内反応がある.皮膚試験は特別な装置が不要,迅速に診断でき,感度もよいが,多くの要因が結果に影響を与えうる.検者間のばらつきを少なくするために専用の針が開発されている.スクリーニングには市販のアレルゲンエキスを用いることが多いが,食餌アレルギーの診断には,新鮮な材料を用いたプリック・プリックテストが有用である.
  • 石井 彰
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2100-2107
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    試験管内IgE抗体測定法には多くの種類があるが,大きく分けると,単項目・同時多項目特異的IgE抗体と総IgEの測定システムを備えているもの(CAP, AlaSTAT,オリトンIgEなど),単項目特異的IgE抗体と総IgE測定のみのもの(ルミワード),同時多項目特異的IgE抗体測定のみのもの(MAST-26, QAS)に分けられる.それぞれの検査法の特徴をよく把握し,目的に応じて使い分けることが重要である.
  • 駒瀬 裕子
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2108-2115
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ヒスタミン遊離試験は末梢血好塩基球上の抗原特異IgE抗体にアレルゲンを反応させて遊離されるヒスタミンを測定する.特異的IgE抗体測定に比して感度はやや劣るが,生体内でおこる即時型反応に最も近いと考えられる.アトピー性皮膚炎やペットアレルギーでのアレルゲン同定や食物アレルギーの負荷試験の時期の決定に有用である. IgE抗体を介したヒスタミン遊離が起こらないlow-responderでは診断が困難である.
  • 辻 文生, 東田 有智
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2116-2121
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息をはじめとする炎症性気道疾患において,気道から直接の情報を得ることは病態の解明,として疾患の診断・治療をするうえで必要不可欠なものである.近年では簡便性に優れ,在現性があり,そして非侵襲的な高張食塩水吸入による誘発喀痰を用いて気道炎症の評価が行われている.また, ECPは好酸球顆粒蛋白であり,喀痰中そして血清中のECP濃度の測定は気管支喘息のモニタリングに有用である.
  • 近藤 直実
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2122-2129
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー疾患は,遺伝的要因と環境要因とが絡み合って発症する.アレルギー疾患の発症には家族集積性ないしは遺伝的集積性が認められることからアレルギー疾患の発症には何らかの遺伝子が関わっていると考えられる.アレルギーの病態の多様性からアレルギーの病因となる遺伝子は多彩と考えられる.
    アレルギーの遺伝子診断の位置づけとして, 1つはそれにより遺伝因子を予知し,環境対策を講ずることにより発症を予防することへの応用であり,今1つはアレルギーの多彩な病因病態の中から個々の患者における病因病態を明らかにしてオーダーメイド治療への応用である.本稿では現在までのアレルギーの遺伝子解明の成果をふまえ,アレルギーの遺伝子診断の可能性について倫理の問題も含めて概説した.
  • 安枝 浩
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2130-2136
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息をはじめとするアレルギー疾患は,環境中のアレルゲンの曝露を受けてそのアレルゲンに感作されることによって発症する抗原特異的な疾患である.感作の成立や症状の発現には生活環境中のアレルゲン量が密接に関わっている.環境アレルゲン量を測定することの意義は,汚染の実態,曝露の実態を把握し,その効率的な低減化策,回避策を確立してアレルギー疾患の一次予防,二次予防に寄与することにある.
  • 田中 裕士, 田中 康正, 田中 宣之, 藤井 偉, 田中 紳太郎, 阿部 庄作
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2137-2143
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血清,血漿,尿,喀痰,呼気凝縮液など非侵襲的に得られる検体を用いて,気道炎症性メディエーターを測定することが可能となってきた.しかし,現在それらの測定によって他の疾患との鑑別を行うことは難しく,病態解析,薬剤の効果判定などに用いられ,有用なものであるが臨床応用されていない.今後は気道炎症をより特異的に,より簡便に測定できる新しいメディエーターが発見され臨床の現場でも応用されることが期待される.
  • 須甲 松伸
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2144-2148
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    食事のあとに運動してアナフィラキシー症状を起す疾患を食物依存性運動誘発アナフィラキシーという.食物アレルギーにより発作の準備状態に入り,運動が刺激となって肥満細胞からヒスタミンが遊離して発症する.原因食物は,エビ・カニの甲殻類,コムギ,果実類が多い.発作予防は原因食物の回避と食後の運動制限である.
  • 赤澤 晃
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2149-2152
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ラテックス・フルーツ症候群(latex-fruit syndrome)は,ラテックスアレルギー患者が果物摂取でしばしば遭遇する即時型アレルギーである.その原因は,ラテックスアレルゲンとアボガド,クリ,バナナ,キウイなどのアレルゲン蛋日質との交叉反応性に起因している.ラテックスアレルギー患者を診た場合あるいは突然果物アレルギーを訴えてきたときには,果物アレルギー,ラテックスアレルギーの存在を考えて検査を進める必要がある.
  • 岡田 千春, 宗田 良
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2153-2158
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    化学物質過敏症は微量な化学物質に反応して多彩な症状を呈する疾患群と考えられているが,病態も不明な部分が多く診断基準が確立されたとは言い難い.そこで,診断目的で環境クリーンルームにおいて微量の化学物質の負荷テストを行い61.1%の陽性症例を認めた.また,客観的指標として負荷テスト前後のSuperoxide desmutase (SOD)活性の変化や脳内酸素状態の変化が有用である可能性がある.
  • 上田 暢男, 中西 徳彦
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2159-2165
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    JGL2003はEBMを重視したGINA2002を参考として整合性を図った上で完成されたものであり,幾つかの点でわが国のガイドラインとGINAの共通性が増している.すでに,ガイドラインの普及により喘息悪化による入院・救急受診の著減,適切な診断,重症度分類に基づき急性期の対応に終始することだけでなく,患者教育を通じてより良きパートナーシップの確立のもと,喘息日誌, PEFを通じ自己管理ができるよう指導し,喘息死を防ぐことが最も重要である.喘息の定義,診断基準は必ずしも確立されているとはいえないが,炎症論を中心とした今日の喘息治療に関しては火事を起こさない方がよい(予防).火事が起これば早く消すこと(早期治療→喘息死を防ぐこと)に要約されるJGL2003の更なる啓蒙活動が,病院内だけでなく病・病,病診連携,更に地域におけるチーム医療体制のもと具体化されることが強く望まれる.
  • 真嶋 隆文, 高木 千恵子, 小池 雄太, 重本 道香, 山田 敬行, 赤城 格
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2197-2200
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は73歳女性.心不全の原因となった心房細動にコハク酸シベンゾリンを使用した際,低血糖が出現した.シベンゾリンによる低血糖の機序としてはATP感受性K+チャネル閉鎖によるインスリン分泌亢進が考えられており,本例でのインスリン分泌負荷試験の評価もそれに矛盾しなかった.また本例のような腎機能正常例でのシベンゾリンによる低血糖症の報告は少なく,その他ATP感受性K+チャネル作用薬併用の影響等も考えられた.本例はシベンゾリンの臨床的留意点や,その低血糖発症機序に関する有意義な症例と思われた.
  • 黒住 知宏, 清元 秀泰, 近藤 直樹, 森脇 久美子, 原 大雅, 松原 啓介, 清元 加代, 藤岡 宏, 安岐 康晴, 河野 雅和, 佐 ...
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2201-2203
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    56歳,女性.遺伝子診断にて淡蒼球ルイ体歯状核赤核変性症(dentaterubral-pallidoluysian atrophy, DRPLA)と診断されていた.ネフローゼ症候群を呈したため,腎生検を施行し巣状糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis, FSGS)と診断し,ステロイドパルス療法にて不完全寛解に導入できた. DRPLAは稀な症例であり,過去メサンジウム増殖性糸球体腎炎の合併例が報告されているが, FSGSの合併例は初めてであるので報告した.
  • 則井 久尚, 中村 好男, 西下 伸吾, 杉山 斉, 槇野 博史
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2204-2206
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    41歳,男性.二次性高血圧の精査にて入院.高血圧の原因として,腎性,腎血管性,内分泌性を示唆する所見は認めなかったが,重症の睡眠時無呼吸が認められた. nasal CPAPの開始直後より,無呼吸の消失とともに血圧コントロールの著明な改善を認めた.重症の睡眠時無呼吸が高血圧の成因に深く関与すると考えられた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 山下 浩司, 野見 山淳, 高橋 徹, 安藤 寿彦, 鶴 政俊, 松原 淳, 佐藤 穣, 谷澤 幸生, 畑尾 克裕, 村上 一生
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2207-2209
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.肺結核と骨髄異形成症候群(MDS: RAEB-II)を同時に診断された.肺結核治療後に同種末梢血幹細胞移植を施行した.移植により骨髄異形成症候群は寛解を得た.さらに移植に伴う免疫不全にもかかわらず,抗結核薬の併用により,肺結核の再燃なく治療可能であった症例である.
  • 七條 加奈, 関本 悦子, 三原 愛, 大田 加与, 田中 洋一, 大島 隆志, 柴田 泰伸, 橋本 年弘, 尾崎 修治, 安倍 正博, 松 ...
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2210-2212
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,男性.発熱,頸部リンパ節腫脹を主訴に受診し,リンパ節生検でホジキンリンパ腫(nodular sclerosis, stage IVB)と診断された. ABVD療法を6クール施行後,領域放射線照射療法で完全奏効(CR)となったが4年後に再発.難治性であったが, 2回のautologous peripheral blood stem cell transplantation (auto-PBSCT)施行によりCRに至り, 1年2カ月後の現在もCRを維持している. tandem transplantationは再発・難治性ホジキンリンパ腫に有効であると考えられた.
  • 井町 仁美, 村尾 孝児, 忽那 則子, 村岡 都美江, 吉田 和也, 永尾 幸, 阿部 博, 松原 修司, 石田 俊彦
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2213-2215
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    HELLP症候群は妊娠中毒症のうち,溶血(Hemdysis)・肝細胞障害(Elevated Liver enzyme)・血小板減少(Low Platelet count)主徴とした,母児予後不良の症候群である.今回我々は妊娠分娩時HELLP症候群を発症し,それを契機に汎下垂体機能低下症をきたした症例を経験したので報告する.
  • 保田 晋助, 小池 隆夫
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2216-2222
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗リン脂質抗体症候群とは,免疫学的検査あるいは凝固学的検査によって抗リン脂質抗体が検出され,動静脈血栓症または妊娠合併症を生ずる疾患である. Sapporo Criteria (1998)により診断するが,血小板減少や溶血性貧血,重症型の劇症型抗リン脂質抗体症候群など多彩な症状を呈す.抗リン脂質抗体は実際にはリン脂質上のリン脂質結合蛋白を認識しており,その代表的なものがβ2-グリコプロテインIとプロトロンビンである.抗リン脂質抗体が血栓症を引き起こす原因は明らかになっていないが,凝固異常の他に動脈硬化の促進や,血管内皮細胞の活性化などが考えられている.治療については,低用量アスピリンに加え,動脈血栓に対しては抗血小板剤,静脈血栓に対してはワーファリン,習慣流産にはヘパリンが主に用いられる.病態究明,診断技術の確立,また新しい治療法の開発も積極的に行われている.
  • 袖山 信幸, 水澤 英洋
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2223-2230
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床的側面からプリオン病の検査,治療,疫学の最新の知見について概説した.日本のCreutzfeldt-Jakob病(CJD)サーベイランス調査における脳波,脳MRI, 14-3-3蛋白の感度は71%から75%で類似していたが, neuron specific enolaseは58%と低値であった.施行率は検査によって大きく異なり脳波は99%と高かったが, 14-3-3蛋白は36%と低値であった.文献的には脳MRI拡散強調画像の優れた有用性が報告されており,今後のCJD診断において重要性を増していくと考えられた.尿中プロテアーゼ抵抗性プリオン蛋白と報告されていたものは細菌の細胞外膜蛋白の可能性が高いことが判明した.治療の面ではキナクリンの経口投与やペントサンポリサルフェート脳室内持続投与で有効性を認めたとする研究を紹介した.輸血によって感染した疑いのある変異型CJDと牛アミロイド型海綿状脳症の症例を紹介し,英国の変異型CJDの最近の減少傾向を呈示した.
  • 大野 章
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2231-2239
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    20世紀後半に出現したMRSA, PRSP, VREなど治療の難しい抗菌薬耐性菌は, 21世紀になり多剤耐性化がさらに進行している.また多剤耐性緑膿菌感染症の出現,多剤耐性結核菌の猛威なども含め,抗菌薬耐性菌の問題は21世紀に入り,多剤耐性化という新たな段階を迎えているように見える.このような現状に対し,既存抗菌薬の誘導体合成を中心とする従来の対策では限界があり,それに代わる新たな対策が求められる.当然のことながら,耐性菌の出現を抑制する抗菌薬の使用法の工夫や,より充実した院内感染対策はなお有効である.しかし本稿ではゲノム解析やタンパク工学などの著しい発展を背景とした,新たな抗感染症ターゲットを探索する方法を紹介し,また過去に研究され忘れられた抗感染症療法である細菌ウイルスファージを用いた療法,あるいは有用な乳酸菌群投与により耐性菌の体内での出現,定着を抑制するプロバイオティックスによる予防法などを21世紀の新たな耐性菌対策として取り上げた.
  • 佐藤 武
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2240-2245
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内科疾患にうつ病を合併すると,内科疾患の転帰(予後)に大きな影響を与える.その臨床特徴は,アルコール症の家族歴のない患者で比較的急性に生じるうつ病,いわゆる反応性うつ病に類似し,薬物治療への反応もよく予後も良好であるといわれている.回復のプロセスは,内科疾患に罹患し,機能障害を有する患者の場合,まずショックから否認,否認から抑うつ反応,抑うつ反応から自立に対する反応,自立に対する反応から適応というプロセスをとる.このようなプロセスは癌告知から受容のプロセスも同様であるが,どの時点を評価するかによって,当然うつ病の合併率は異なる.これまでの報告では,癌患者の30~40%にはうつ病あるいは適応障害があると診断される. 6以上の抑うつ症状を有する患者は5以下の患者と比較して生存率が有意に低下していると報告されている.内科疾患とうつ病に関する最新情報として,高齢者のうつ病,サイトカインおよび内分泌機能などとの関連を紹介した.
  • 岡崎 和一, 高御堂 祥一郎, 松下 光伸, 山本 伸, 久保田 佳嗣
    2004 年 93 巻 10 号 p. 2246-2252
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年注目されている自己免疫性膵炎の概念・病態とともに,診断基準2002における,膵画像,血液,病理所見についてのべた.画像上は膵腫大と膵管狭細像が特徴である.血液学的には,高γグロブリン・IgG血症,各種自己抗体を認める.疾患特異的自己抗体は不明であるが,導管抗原,脱炭酸酵素,ラクトフェリンなどに対する自己抗体が報告されている. IgGのサブクラスであるIgG4高値例を高頻度に認めるが,病態生理における意義は不明である.病理組織学的には形質細胞・T細胞優位のリンパ球浸潤が著明であり,閉塞性静脈炎も認めることが多い.膵腺房よりも膵管周囲の線維化・炎症性変化が強く,膵管狭細像を反映するものと考えられる.硬化性胆管炎,唾液腺炎,後腹膜線維症などの合併を高頻度に認める.自己免疫性膵炎に合併する硬化性胆管炎は原発性硬化性胆管炎と異なる病態と思われる.治療はステロイドが奏功するが用法・用量については今後の検討を要する.
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