日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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93 巻, 7 号
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  • 福原 資郎
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1287-1288
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 柴田 弘俊
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1289-1293
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液事業の課題は輸血副作用を克服し,いかに安全な輸血医療を展開することが出来るかであり,献血制度の成立,各種検査法の導入を経て血液製剤の安全性は飛躍的に向上してきたが,遡及調査をきっかけにスクリーニング検査の高感度化のみでは完全な対応は不可能であることが明らかになり,日本赤十字社では検査技術の改良のみならず,献血制度の改善,不活化等の新技術導入等, 8項目の安全対策を今後予定している.
  • 血液新法の制定と薬事法改正の意義
    清水 勝
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1294-1300
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液新法が制定され,医療関係者の責務として,適正使用の推進,副作用情報の収集と報告とが義務付けられた.さらに, 1999年に厚生省の局長通知として出されている「輸血療法の実施指針」と「血液製剤の使用指針」とが,法第九条に基づく基本方針(告示)の中に明確に位置付けられ,法的な根拠を得たことにも注目すべきである.この法では,総ての血液を献血により国内自給することが謳われ,その達成には適正使用の推進が必須であり,その推進には医療機関内における輸血業務の体制整備が必要とされる.さらに,今回の改正薬事法により義務付けられた患者へのインフォームドコンセントを通じて,国内献血由来のアルブミンなどの血漿分画を積極的に使用して行くことも,献血による国内自給を達成する上で,医療関係者の重要な責務になった.
  • 倉田 義之
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1301-1307
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国においては人口の高齢化が急速に進み,献血人口が減少するとともに輸血の需要は増加傾向にある.近い将来には輸血用血液の需給の逼迫が懸念される.需給の逼迫を改善するには血液製剤の適正使用がもっとも肝要である.輸血は副作用を伴うこともあるので輸血の適応があるか否かは慎重に検討する必要がある.血液疾患においてはHb7g/dlを維持するように輸血を行う.輸血後は輸血効果(Hbの上昇)を確認する.
  • 半田 誠
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1308-1314
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血小板輸血の適応は,血小板の量的・質的異常による出血の予防と治療である.血小板数の輸血基準値(/μl)は,内科的予防投与で1万,外科的予防投与と治療投与で5万である.製剤の保存は室温,振とう条件下で3日間と厳重な管理を要する.輸血後血小板数の増加が予想値を大きく下回る場合は(輸血不応状態),その原因を評価して対応する.アレルギー反応や発熱反応などの即時型副作用の頻度が高いので注意する.
  • 高田 昇
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1315-1322
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    新鮮凍結血漿の使用は血液凝固能の改善が主な目的で,とりわけ濃縮凝固因子製剤がない先天性欠乏症や肝不全などの複合凝固因子の欠乏症が対象となる.臨床現場では循環血漿量の改善や維持を目的としたものなど不適切な使用が続いている.必要な成分を高純度に濃縮して提供する血漿分画製剤は,血液の有効利用の面でも望ましい.適正な使用を普及させるにはエビデンスに基づいたガイドラインを提供する努力が必要である.
  • 嶋 緑倫
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1323-1332
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在わが国で使用されている凝固因子製剤は第VIII因子製剤,第VIII因子/von Willebrand因子複合体製剤,第IX因子製剤,プロトロンビン複合体製剤,活性型プロトロンビン複合体製剤,遺伝子組み換え型活性型第VII因子製剤,第XIII因子製剤,フィブリノゲン製剤などである.製剤の純度や安全性は向上しているが,新たな遺伝子組換え型製剤の導入,ヒトパルボウイルスのように不活化困難なウイルス伝搬の問題や適正な使用法,適正な投与量および保険外適応の使用などの課題が残っている.
  • 比留間 潔
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1333-1338
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アルブミン製剤の使用目的は循環血漿量と膠質浸透圧の維持である.血圧低下などを伴う急性の病態では血清アルブミン3.Og/dLを,慢性の病態では2.5g/dLを目途に必要量を計算して使用する.我が国ではアルブミン製剤の60%以上を輸入に頼っており使用過剰が指摘されている.蛋白質源としての栄養補給,脳虚血,単なる血清アルブミン濃度の維持,末期患者への使用は不適切とされ,真に必要な時に限って用いるべきである.
  • 岸本 裕司
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1339-1344
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    輸血後肝炎は献血者の肝炎スクリーニング検査の進歩により著しく減少したが,検査方法には検出限界があり,輸血後肝炎をなくすことはできない.特にB型肝炎は感染初期のウインドウ期が長く,また,微量のウイルスを保有するキャリアーが存在するため,核酸増幅検査を実施しても感染を検出できないことがある.スクリーニング検査の現状と課題を理解し,輸血の際は患者にそのリスクについて説明し,理解と同意を得なければいけない.また,輸血後は患者の追跡調査が必要である.
  • 長田 広司
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1345-1351
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本邦における輸血による感染症に対しての対策は,血液事業に積極的に導入されてきたことにより成果をあげ,スクリーニング検査対象の輸血感染症は激減した.しかし,検出感度以下の微量のウイルスによる感染や現時点での検査の対象外のウイルス,細菌,原虫等による感染リスクは存在し,特に諸外国との活発な国際交流による新たな輸入感染症が問題となってきている.
  • 西郷 勝康, 寮 隆吉
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1352-1357
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    致死的輸血合併症である輸血後移植片対宿主病(輸血後GVHD)は,免疫機能が正常であってもHLAの一方向適合の輸血時に発症する可能性がある.島国である本邦ではそのような組合せが諸外国に比し高く,多くの不幸な転帰をとった症例が報告された.放射線照射による予防法が確立されたが,今後も緊急時輸血や臓器移植などに際して発症する可能性が否定できない.また血液製剤への放射線照射の安全性についてはさらに検討の余地がある.
  • 甲斐 俊朗
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1358-1363
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    溶血性副作用とは輸血赤血球が患者体内で破壊されたり,溶血した血液が輸血された場合の副作用をさす.免疫学的機序により発症する前者が重要で不適合輸血によって起こる.発症時期により即時型および遅発型に分類される.即時型溶血副作用の大部分は過誤によるABO不適合輸血により生じ重篤な血管内溶血を起こす.遅発型溶血は2次免疫反応により発症し血管外溶血を起こす.原因抗体はRh系に対するものが多い.
  • 芦田 隆司
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1364-1369
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    輸血に伴う非溶血性副作用は蕁麻疹や発熱などの軽症の症例が大部分を占めるが,アナフィラキシー(様)ショック,血圧低下,呼吸困難といった重症例や,輸血関連急性肺障害,血液製剤の細菌汚染による死亡例もみられる.安全で適正な輸血療法を行うためには,副作用を減らすべく適切な予防策を講じるとともに,輸血時には十分に患者観察を行い,副作用が発症した場合には迅速かつ適切な治療が行わなければならない.
  • 脇本 信博
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1370-1375
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,同種血輸血の危険性は減少しているが,献血者のHIV陽性率が増加しつつある,将来の献血血液の不足も予想されている,などの理由から今後も貯血式自己血輸血の必要性は高い.ところが自己血輸血にも採血時の血液の汚染や返血時の取り違え事故などの危険性がある.したがって, 1)細菌汚染や血管迷走神経反射のない採血, 2)温度管理のできる保冷庫での保管, 3)当該患者自身の血液の返血,の3点を念頭に貯血式自己血輸血を実施する必要がある.
  • 佐竹 正博
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1376-1381
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    保存前白血球除去は輸血による発熱反応・同種免疫・サイトメガロウイルス感染などを少なくする有効なてだてであり,近日中にすべての血小板製剤に対して導入がはかられる予定である.病原体不活化技術は,ウイルスや細菌の輸血感染症に関する血液製剤の安全性を高める最終的な手段であるが,多くは核酸を修飾する物質を用いるものであるので,その安全性には十分配慮しつつ導入を検討していかなければならない.
  • 佐川 公矯, 東谷 孝徳
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1382-1391
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    輸血過誤によるABO異型輸血の実態が,日本輸血学会による全国調査によって明らかになった.全国の大病院の約20%が異型輸血を経験していた.原因は,輸血用血液バッグの取り違え,血液型判定ミス,患者の取り違えなどが多く,輸血過誤の当事者としては,看護師,医師,検査技師の順に多く関わっていた.この結果に基づいて,日本輸血学会は,輸血過誤防止対策として,輸血実施手順書と不適合輸血治療マニュアルを作成し,全国の病院での普及に努めている.
  • 黒田 純也, 木村 晋也
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1392-1397
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ドナーリンパ球輸注(DLI)は,同種造血幹細胞移植後の白血病再発に対し,細胞免疫学的な抗腫瘍効果を期待してドナーのリンパ球を追加輸注する細胞療法である. DLIは慢性骨髄性白血病に対しては良好な治療効果をもたらすが,他の造血器悪性腫瘍に対する効果は十分とは言えない.今後, DLIを先端的細胞療法として確立させるためには,作用機序に関する基礎的検討および治療戦略に関する臨床的検討が必要である.
  • 正木 浩哉, 松原 弘明, 高橋 伯夫, 岩坂 壽二
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1398-1403
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    再生医学・医療のひとつとして,慢性閉塞性動脈硬化症(ASO), Buerger病,狭心症などの血管疾患に対する血管内皮前駆細胞を用いた血管再生・新生療法が臨床応用されている.末梢血管疾患に対しては2000年からの約4年間で100名を超える症例で実施され,約55%の有効率を認めている.しかし,まだ,症例数は十分とはいえず,長期効果や安全性の評価といった課題もある.
  • 輸血部門の変革を求めて
    前川 平, 笠井 泰成
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1404-1410
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    細胞治療(cell therapy)とは,輸血,造血幹細胞移植,細胞免疫療法,再生治療,遺伝子治療などのヒト細胞を輸注,移植することにより行う治療法の総称である.これらの治療に用いる細胞は,細胞プロセッシングという一定のルールに基づいた過程を経て作製されなければならない.わが国では,この細胞プロセッシングのルールづくりが遅れており,先端医療の開発を進めるために早急に整備されなければならない.
  • 西村 香苗, 浅羽 宏一, 丸山 博, 橋本 浩三, 武田 京子, 前田 隆
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1434-1435
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝障害を合併したBasedow病の29歳女性を経験した.肝障害に関しては前医にて肝生検を含めた精査を受けるも確定診断には至らず,当初はBasedow病による肝障害と考えていたが,甲状腺機能が改善しても肝障害が持続した為,精査したところ血中銅,セルロプラスミンが低値であった為,再度肝生検施行し,肝組織中銅濃度が高値であることよりWilson病と診断した. Basedow病に合併した肝障害で鑑別に苦慮した一例であり報告した.
  • 廣瀬 和徳, 星野 晃, 福岡 敬晃, 高橋 正彦, 泉 雅之, 中尾 直樹, 衣斐 達, 佐橋 功
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1436-1438
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    58歳,女性.緩徐進行性の歩行障害.高度の変形性頸椎症と脊柱管狭窄,頸髄MRIでT2高信号変化より頸椎症性頸髄症を疑ったが,胸部X線で肺門部拡大あり.他のサルコイドーシス(サ症)の身体・血清学的所見は陰性.しかし縦隔内リンパ節生検でサ症を確認.診断治療を目的に副腎皮質ステロイドを投与し,神経・画像所見は寛解した.頸椎症性頸髄病変の存在例に一つでもサ症の所見が陽性時は,サ症の内科的治療を優先すべき点を強調した.
  • 山本 久史, 田嶋 克史, 亀田 亘, 佐藤 裕康, 軽部 宏紀, 加藤 裕一, 秋葉 次郎, 原田 裕子, 山本 雅一, 加藤 丈夫
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1439-1441
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,男性.両眼瞼腫脹を契機に両眼瞼・眼窩内,下垂体腫瘍を発見された.眼窩腫瘍生検の結果, marginal zone B-cell Lymphoma of MALTと診断され,汎下垂体機能低下症,尿崩症を伴っていた. CHOP療法後,両眼瞼・眼窩内腫瘍は消失,下垂体腫瘍も縮小した.化学療法により尿崩症は不変であったが,下垂体前葉機能は改善した.
  • 秋田 光洋, 岡 岳文, 高村 俊行, 梶山 晃雄, 白木 照夫, 斎藤 大治
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1442-1444
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    マレイン酸メチルエルゴメトリンは分娩や流産術後に子宮収縮を保つため,産婦人科領域では頻用されている薬剤である.われわれは児娩出後に投与した同剤により,冠攣縮をきたし急性心筋梗塞症まで至った例を経験した.同薬剤は冠攣縮誘発試験にも用いられることから,産科領域での使用時にも冠攣縮を生じる可能性があるが,心筋梗塞まできたした例は稀であるため報告した.
  • 辻田 美保, 山本 寛二, 伏見 智久, 矢崎 正英, 池田 修一, 洞 和彦
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1445-1447
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性.頭痛,視力低下で発症.著しい高血圧,意識障害,痙攣,溶血性貧血,血小板減少,腎不全を呈し,悪性高血圧症および血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と診断した. MRIで後頭葉を中心にT2高信号病変を認めたが,降圧療法,血漿交換にて症状・病変は消失し, reversible posterior leukoencephalopathy syndrome (RPLS)と考えられた. TTP合併RPLSのMRI所見を経時的に観察できた貴重な症例と思われる.
  • 伊藤 修, 上月 正博, 中嶋 郁子, 佐藤 和人, 野村 隆, 工藤 健一, 伊藤 貞嘉
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1448-1450
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は甲状腺・副甲状腺全摘後の65歳女性.ビタミンD製剤の服用中にサイアザイド系利尿薬を降圧目的に投与されたところ,腎機能障害が出現した.高Ca血症と腎組織所見から高Ca血症性腎症と診断した.両薬剤の中止,生理食塩水とfurosemideの投与により血清Ca濃度は正常化し,腎機能も改善した.本症例はサイアザイド系利尿薬とビタミンD製剤の相互作用により発症・遷延した高Ca血症と考えられ,文献的考察を加え報告する.
  • 廣田 誠一
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1451-1458
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在の消化管間葉系腫瘍の分類では, gastrointestinal stromal tumor (GIST)はその大部分を占める腫瘍として認識されている.以前にはほとんどが平滑筋腫瘍と考えられていた消化管間葉系腫瘍が,このように認識されるに至るまでには一時的な混乱もあった.分類の議論に終止符を打ったのは,分類の決め手と考えられるc-kit遺伝子産物(KIT)がほとんどのGISTにおいて発現し,さらにはそのc-kit遺伝子にGISTの腫瘍化の原因と考えられる突然変異が高率にみられることが明らかになったことである.最近では腫瘍化の原因であるこの変異型KITを阻害する分子標的薬を用いて,再発・転移を来した悪性GISTに対する治療が行われ,高い奏功率が得られることが明らかとなり, KITの発現をマーカーとしてGISTの診断を正確にすることが必須となっている.
  • 恒藤 暁
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1459-1465
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国の緩和医療は, (1)ホスピス・緩和ケア病棟, (2)全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会, (3)日本緩和医療学会, (4)緩和ケアチーム, (5)在宅ケアの5領域を通して確実に広がってきている.ホスピス・緩和ケア病棟のある施設数は, 2004年5月現在, 130施設, 2,463病床となった.全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会では,ホスピス・緩和ケアを行う施設の質の向上とホスピス・緩和ケアの啓発・普及を目標に活動している.日本緩和医療学会では,会員数の増加に伴い,研究や教育への取り組みが活発になってきている.緩和ケアチームは, 2002年4月に診療報酬項目として「緩和ケア診療加算」が新設されてから,その活動が始動している.在宅ケアでは,そのニーズはますます高まっており,各地域ごとのネットワーク構築が重要になっている.今後,緩和医療の実践・教育・研究がバランス良く行われていき,さらに発展していくことが期待されている.
  • 清野 精彦, 高野 照夫, 説田 浩一
    2004 年 93 巻 7 号 p. 1473-1479
    発行日: 2004/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性心不全症例にみられる心機能悪化や組織学的心筋障害に,潜在性心筋傷害(ongoing myocardial damage)が関与している可能性について検討する.慢性心不全症例を対象に,急性冠症候群の診断に導入されている心筋筋原線維由来のトロポニンTと細胞質可溶性分画由来の心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)を測定することにより, NYHA分類が重症なほどOMD検出頻度が増大すること, OMD群は長期予後が不良であることが明らかにされた. Cox比例ハザードモデルにより多変量解析すると,トロポニンT, H-FABP,左室駆出率,性(男性)が独立した心事故予測因子であった.特に,急性増悪からの回復期以降もOMDとBNP高値が遷延する症例で予後が不良であった. OMDの機序を明らかにし, OMDの抑止に向けた治療戦略を構築する重要性を提唱したい.
  • 2004 年 93 巻 7 号 p. 1490
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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