日本内科学会雑誌
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93 巻 , 8 号
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  • 水澤 英洋
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1503-1505
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 久富 昭孝
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1506-1512
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスの主な原因は, 1型糖尿病の新規発症,インスリン治療中断,感染症などの身体的ストレス,過剰な栄養摂取(特に清涼飲料水)などである. 1型糖尿病に多いが2型糖尿病,正常耐糖能でも発症する.インスリン作用障害とグルカゴン作用過剰が,脂肪分解(lipolysis)の機序でケトン体の主な原料となる脂肪酸を肝に供給し,肝でのケトン体産生を亢進させる.高ケトン血症は浸透圧利尿の機序で高度の脱水と電解質異常を招き意識障害にいたる.診断には血液・尿検体での迅速・正確なケトン体陽性所見の確認が必要であるが,救急の際に,注意すべきいくつかのピットフォールがある.治療は,補液,インスリン持続静注,電解質特にK補給が原則である.診断・治療開始の遅れは,病態によっては致命的な不幸な転機を招く可能性が高く,可能であれば意識障害の出現前に重症化を未然に避けなくてはならない.
  • 板東 浩
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1513-1518
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    非ケトン性高浸透圧性昏睡(nonketotic hyperosmolar coma, NKHC)は,糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic Retoacidosis, DKA)に比して,高齢者や重篤例が多く,腹痛が少ないエビデンスが得られ,年齢と浸透圧の程度が転帰予測の因子となる. NKHCの合併症として横紋筋融解,腎不全,血栓症があり,最近の治療法として,輸液およびインスリン,カリウムの管理,予防としてsick dayの教育などが挙げられる.
  • 清野 弘明, 平泉美 希子
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1519-1524
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病に伴う意識障害の鑑別の1つとして,乳酸アシドーシスも念頭に置く必要がある.意識障害を来たした糖尿病患者で乳酸アシドーシスを疑う所見としては,血液ガス分析にてpH7.35以下のアシドーシスを認めること,尿ケトン体が陰性, Anion gap=(Na-CL-HCO3)が25mEq/1以上ある場合,乳酸値,ピルビン酸値を測定する必要がある.特に,メトホルミン使用患者での全身倦怠感や意識障害では,乳酸アシド-シスも考慮することが大切である.
  • 福田 尚文, 谷澤 幸生
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1525-1531
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病の治療は合併症を防ぐ目的でより厳格な血糖コントロールが求められている.一方で厳格な血糖コントロールは重症低血糖の危険を増す.糖尿病患者の一部では,低血糖に対する拮抗反応が欠如し,また警告症状の出現しない場合(無自覚性低血糖症)があり,このような患者では低血糖昏睡を起こす危険度は高い.低血糖昏睡に至る病態生理をよく理解することは厳格な血糖コントロールを行う上で重要である.
  • 小林 祥泰
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1532-1538
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子であり, 1.8~6倍のリスクとされている.しかし,筆者らの脳ドックでは必ずしも独立した脳卒中発症のリスクではなかった.糖尿病を合併した脳卒中は予後不良であることが報告されており,脳卒中データバンクでもこれを示唆する結果であった.糖尿病は脳梗塞の危険因子であると共に予後不良因子でもある.また,高面圧との合併が脳卒中のリスクを高めており,高血圧単独例よりも厳格な降圧治療が必要である.
  • 亀田 亘
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1539-1544
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    かつては稀な疾患とされていた延髄梗塞が, MRIの登場により,発症時に診断可能な症例が増えてきている.我々は1996年から2000年までに東北地方の35施設で, MRI検査にて梗塞巣を確認しえた延髄梗塞214例を集め,その疫学,臨床像, MR画像上の特徴について調査した.そして,糖尿病が延髄内側梗塞発症の危険因子である可能性が示唆された.
  • 永井 知代子
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1545-1550
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病性舞踏病は,近年注目されている糖尿病性神経障害である.高齢者に突然発症する舞踏運動/バリズムで,頭部MRI上被殼を中心とする大脳基底核にT1強調画像で高信号を呈する.血糖コントロールとハロペリドールなどにより不随意運動は改善し,予後は良好である.発症機序は明らかではないが,大脳基底核の虚血・点状出血・代謝異常などが考えられている.これを契機に糖尿病がみつかる場合もあり,神経合併症として重要である.
  • 岡本 幸市
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1551-1555
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病に合併してみられる脳神経障害の多くは単ニューロパチーであり,四肢にみられる多発ニューロパチーに比べて発現頻度は低いが,日常診療ではそれほどまれではない.脳神経障害としては動眼神経と外転神経麻痺による眼筋麻痺が最も多く,突然の発症で,多くは数カ月以内に完全に回復する.その成因としては脳神経の栄養血管の閉塞による虚血性神経障害であると一般に考えられている.糖尿病に合併する脳神経障害について概説した.
  • 馬場 正之
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1556-1562
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ポリニューロパチーは(1)上肢より下肢優位の, (2)左右対称性の感覚障害を特徴とし,診察では(1)アキレス腱反射の低下・消失と(2)振動覚低下の確認が重要である.臨床的に明らかな筋力低下・筋萎縮,自律神経症状は,進行期の徴候と理解すべきである.糖尿病性神経障害は緩徐に進行する末梢神経変性疾患であり,無症候期から顕性化の予防に努める必要がある.しびれ感や異常感覚,疼痛の第1選択薬は三環系抗うつ薬である.
  • 日下 博文
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1563-1566
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病性筋萎縮症は糖尿病でみられる末梢神経障害としては比較的まれなものである.典型的には一側下肢近位部の疼痛,筋力抵下,筋萎縮を呈する.突然疼痛で発症し,遷延性の経過をとり,強い痛みと麻痺が持続する.特異な臨床像からひとつの疾患単位であると考えられているが,その病因や病変の局在についてはいまだ意見の一致をみない.しかし,最近免疫療法(γグロブリン療法,副腎皮質ホルモン,免疫抑制薬,血漿交換)の有効性が指摘されている.
  • 中里 良彦, 島津 邦男
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1567-1572
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病による自律神経障害は,心血管系,消化器系,泌尿器系障害のほか,瞳孔異常,発汗異常など全身の多臓器にわたる.この中には無自覚性低血糖,致死性不整脈など放置すれば,生命予後に直結するものや,起立性低血圧,無緊張性膀胱,糖尿病性胃麻痺など患者のquality of lifeを著しく損なわせるものが存在する.糖尿病診療にあたる医師は,生じうる自律神経障害を周知し,その程度を客観的総合的に評価するとともに,各臓器症状に応じた治療が必要である.
  • 大門 真
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1573-1578
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    セルロプラスミン(Cp)遣伝子異常が病困である遺伝性セルロプラスミン欠損症(Hereditary ceruloplasmin defidency: HCD)は神経疾患と位置づけられているが,多くの症例で糖尿病の合併が認められる.これは, Cp遺伝子異常が糖尿病の病態に何らかの影響を与えている事を示唆している.本稿では, Cp遺伝子異常と糖尿病の病態との関連として考えられている点につき概説する.
  • 宮嶋 裕明
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1579-1584
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    無セルロプラスミン血症は,基底核,小脳歯状核をはじめ脳に鉄が過剰沈着することを特徴とし, 40歳代から徐々に小脳性の運動失調,構音障害を来し,ジストニアなどの種々の不随意運動を呈してくる.症状は比較的軽度であるが緩徐進行性で, 50歳代後半より認知機能障害,痴呆が出現する.パーキンソニズムをきたすこともある.神経症状の発現には沈着した鉄による脂質過酸化の亢進やミトコンドリアの機能障害が関与している.
  • 川並 透
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1585-1590
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    遺伝性セルロプラスミン欠損症は,脳,肝,膵に鉄沈着を生じる疾患である.脳病変は, (1)神経細胞の脱落, (2)主にアストロサイトへの鉄沈着,および, (3)アストロサイトの特殊変化(アルツハイマーI型グリアとスフェロイド様変化)が主な病変である. (1)~(3)の病変は,脳内の部位により様々な程度で出現し,特に基底核の病変が強い.本症の神経病理から,脳内鉄代謝と過剰鉄による脳組織障害の病態が解明されてきた.
  • 山口 克宏
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1591-1596
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    セルロプラスミン欠損症は,網膜変性の鑑別診断として眼科領域においても重要な疾患である.本症患者の網膜色素上皮細胞は,セルロプラスミン欠損のため二価基鉄酸化作用が機能せず,その結果細胞から血中への鉄の輸送が妨げられ,細胞内への鉄の沈着が起こる.検眼鏡的には後極部を均一に覆うようなfleckが観察され,周辺部では変性萎縮を生じ特異な眼底異常を呈する.
  • 太田 喜久子, 公文 義雄, 石橋 綾子, 高尾 俊弘, 橋本 浩三
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1622-1624
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.関節リウマチの加療中,全身倦怠感に続き,意識障害が出現し,検査にて膿尿,低Na血症を認めた.抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)及び尿路感染症と診断し,水制限,抗生剤投与を行い,意識障害及び低Na血症は消失した.経過中低Na血症時に血清IL-6の一過性の上昇を確認した.尿路感染によるIL-6増加がSIADH発症の原因であると考えられ,文献的考察を加え報告する.
  • 倉富 暁子, 木下 英吾, 鷹尾 まど佳, 中村 智恵, 岡山 哲也, 初瀬 真弓, 武田 諭司, 村頭 智, 田邊 進一, 山田 千尋, ...
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1625-1628
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例1は肺結核による右肺全摘施行25年後に右胸膜から巨大な腫瘤が発生.腫瘍生検の結果「膿胸関連リンパ腫」と診断.難反応性で14カ月後に死亡.症例2は橋本病の経過中に甲状腺に腫瘤が出現,頸部リンパ節生検で甲状腺リンパ腫と診断. CHOP療法及び放射線療法により約2年半寛解を維持している.両者は「慢性炎症を基盤に発生する悪性リンパ腫」の概念に合致しており,これらについて報告する.
  • 伊東 範尚, 大石 充, 宮崎 竜志, 楽木 宏実, 荻原 俊男, 藤村 晴俊, 井原 義二
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1629-1631
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    座位不能という重症起立性低血圧にて発症し,心不全,ネフローゼ症候群,吸収不良症候群,末梢神経障害を呈し,神経生検にてAL amyloidosisの確定診断を得ることが出来た.高用量デキサメサゾン療法にて座位可能までQOLを改善することが出来た症例であり文献的考察を加えて報告した.
  • 牧原 典子, 豊田 一則, 岡田 靖, 今山 修平, 安森 弘太郎, 井林 雪郎
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1634-1636
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.発熱と意識障害に続いて,全身に散在する疱疹と痙攣が出現した. MRIで右側頭葉の出血性病変と脊髄病変を認め,髄液では単核球が増加し水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)のDNAが陽性であった.血清・髄液ともVZV IgM低値, IgG高値であった. VZVの再活性化による髄膜脳脊髄炎と診断しアシクロビル等で治療したが,経過中に薬剤性腎不全や肺炎を併発した.悪性腫瘍やhuman immunodeficiency virus感染の合併はなかった.免疫不全状態にない健常成人に,中枢神経系病変を伴う全身性の汎発性帯状疱疹が発症することは稀であり,診断・治療ともに苦慮した症例であった.
  • 近藤 誠, 山本 裕康, 池田 雅人, 堀口 誠, 宇都宮 保典, 細谷 龍男
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1637-1638
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.アルコール性肝障害にて通院中に末期腎不全となり血液透析を開始したところ,高アンモニア血症を伴う意識障害を頻回に認めた.肝性脳症に対する治療に抵抗性を示したため腹部造影CTを施行し,上腸間膜静脈から右腎静脈への短絡路を同定,バルーン閉鎖下逆行性経静脈的塞栓術にて改善した.透析導入後に高アンモニア血症を伴う意識障害を呈する場合, portal-systemic shuntの存在を考慮すべきである.
  • 中尾 尚之, 勢納 八郎, 春日 弘毅, 鳥山 高伸, 川原 弘久
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1639-1645
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最新の高血圧治療ガイドラインは,多くのエビデンスに基づいて,第一に,腎障害を伴う症例では,厳格な降圧をすみやかに行うこと,第二に,第一選択として腎疾患と心血管疾患に対して有用なレニン・アンギオテンシン系(RAS)阻害薬を使用すべきこと,第三に,降圧が不十分な時は他薬の併用をためらわず行うべきであると勧告している.しかし,この勧告の元になった研究の結果は必ずしも勧告を直接支持しているわけではない.そこで,本概説では主要な臨床研究を提示しその研究結果からどのようにして勧告が導かれたのかを検討する.ついで,個々の降圧薬のエビデンスを具体的に検討する.最後に,まとめとして現状の問題点を述べる.
  • 久保 惠嗣, 石坂 彰敏
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1646-1653
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性肺損傷(acute lung injury, ALI)および急性呼吸窮迫(促迫)症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)は,種々の原因の存在下に発症する透過性亢進型肺水腫で全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome)に基づく多臓器不全の一症状と考えられている.その臨床像は治療抵抗性の急性呼吸不全で,胸部画像上両側肺の浸潤影を呈する.左心不全は除外される.肺の陰影の分布は必ずしも均一ではなく,正常肺および正常に近い部分も存在する.このように不均一な病巣の分布が生じているため,陽圧換気による人工呼吸療法をおこなうと正常肺領域の肺胞に過度な膨張がおこり,それによる肺損傷(ventilator-induced lung injury)がARDSの病態をさらに悪化させることが解ってきた.従って, ARDSの人工呼吸管理には肺保護的な戦略が必要となる.現時点では,一回換気量は10ml/kg以下で,気道内圧は最高35cmH2Oまでとし,場合によってはPaCO2が60~80Torr程度までを容認するpermissive hypercapniaが妥当な呼吸管理とされている.高頻度換気や肺理学療法は多施設臨床試験で有用性はみられていないが試みる価値はありそうである.
  • 田中 良哉, 齋藤 和義
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1654-1659
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    関節リウマチ(RA)に代表される膠原病治療の分野では,ステロイド薬に加えて,抗リウマチ薬や免疫抑制薬,さらに, TNF-α抗体などの生物学的製剤が開発され,画期的な臨床効果をもたらした.しかし,ステロイド薬や免疫抑制薬の多くは,主に細胞性免疫機能を低下させ,結核を含む細菌,カリニを含む真菌,ウイルス,寄生虫などの日和見感染症の基盤となる.日和見感染症の合併は生命的予後を左右するため,臨床症候に常に留意して早期診断を心掛け,予防投与を含めて適切な治療の早期開始が肝要である.また,ウイルス,細菌,カリニ感染症は, PCR法を用いたDNA診断が普及しつつある.今後,日和見感染症に対する治療法の進歩に加え,日和見感染症に対する早期診断法,一次予防基準・指針の設定が重要な課題であると考えられる.
  • 左近 賢人, 永野 浩昭, 門田 守人
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1660-1665
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対する局所療法の目覚ましい進歩に比し,化学療法のそれは充分とは言えない.しかし, Stage IVのような進行肝細胞癌でも多剤併用の肝動注療法などにより高い奏効率が報告されるようになった.特にlow dose FP (5-fluorouracil, cisplatin)や経皮的肝灌流,あるいは高度門脈浸潤例(Vp3以上)に対するインターフェロンα (IFNα)併用肝動注化学療法などが試みられ,長期生存例も見られている. IFNα併用動注化学療法では約5割の症例に奏効例が見られ,手術成績をも凌駕している.しかし,いずれもパイロット的な検討が多く,エビデンスに基づいた標準的治療とは言いがたい.さらに肝細胞癌に対する肝移植も可能となり,肝外転移巣に対する有効な化学療法の開発がより一層重要となっている.
  • 河 敬世
    2004 年 93 巻 8 号 p. 1666-1672
    発行日: 2004/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高熱が持続し,汎血球減少や肝機能障害,播種性血管内凝固症候群(DIC),商フェリチン血症,高トリグリセリド血症などの検査所見を特徴とし,骨髄をはじめとするリンパ網内系組織での組織球の増殖と血球貪食がみられるものが血球貪食症候群(Hemophagocytic Syndrome, HPS)である. HPSには一次性のものと二次性のものがあり,一次性HPSの予後は不良で致死的経過をとる.二次性HPSは,軽症のものから再燃を繰り返し進行するもの,劇症で多臓器不全から死に至るものまで異質性のみられるのが特徴である.本症の多様な病態は,種々の原因によるT細胞およびマクロファージの異常活性化による高サイトカイン血症に起因することが明らかとなってきた.原因ならびに基礎疾患の有無,重症度に応じた適切な治療が行われるようになり,重症型の予後も改善されつつある.
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