関節リウマチ(RA)に代表される膠原病治療の分野では,ステロイド薬に加えて,抗リウマチ薬や免疫抑制薬,さらに, TNF-α抗体などの生物学的製剤が開発され,画期的な臨床効果をもたらした.しかし,ステロイド薬や免疫抑制薬の多くは,主に細胞性免疫機能を低下させ,結核を含む細菌,カリニを含む真菌,ウイルス,寄生虫などの日和見感染症の基盤となる.日和見感染症の合併は生命的予後を左右するため,臨床症候に常に留意して早期診断を心掛け,予防投与を含めて適切な治療の早期開始が肝要である.また,ウイルス,細菌,カリニ感染症は, PCR法を用いたDNA診断が普及しつつある.今後,日和見感染症に対する治療法の進歩に加え,日和見感染症に対する早期診断法,一次予防基準・指針の設定が重要な課題であると考えられる.
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