日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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94 巻 , 10 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 橋本 博史
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2035-2037
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 西村 邦宏, 小柴 賢洋, 熊谷 俊一
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2038-2044
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Klempererが主に病理学的な観点から関節リウマチ(RA)から結節性多発動脈炎までの6疾患をまとめて膠原病と記載したのは1942年のことである.その後,新しい疾患概念の樹立とともに,多くの疾患が同様の病理学的及び臨床的特徴を有することから「膠原病あるいはその類縁疾患」に追加・分類され,現在ではその数は20~30種類にも及ぶ.しかしながら,膠原病の多くはいまだにその病因が不明であり,一つの検査を行うことで診断が確定できるような,決定的な検査法が存在しない.さらに,膠原病は相対的に患者数が少なく,かつ多因子疾患でありその発症や病態に人種差や個体差が大きいことから,疫学的なデータが乏しい.一般に,膠原病患者の多くは関節痛や筋肉痛を伴うことから,「リウマチ性疾患」としての側面を持つ.診断検査で重要なものには,白血球数,赤沈, CRPなどの炎症所見や自己抗体などの免疫検査であり,「自己免疫疾患」としての側面が反映されている.診断確定や病態把握のためには,画像診断や組織生検といった「結合組織病」としての側面を利用した検査が必要になる場合も多い.最終的診断は診断基準に当てはめて行うが,多くの臨床所見と検査を組み合わせざるを得ないため,それぞれの所見の存在意義や検査の基本的性能に関して客観的評価が重要である.このように膠原病の診断は,病歴や臨床所見の把握,基本的検査によるスクリーニング,さらに詳しい検査や診断基準による診断確定のプロセスを経て行われる.本稿では, Evidence Based Medicine (EBM)の概念とその診断の分野について概説し,膠原病診断のそれぞれのプロセスでEBMをどのように応用していくかを述べていきたい.
  • 大田 俊行
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2045-2051
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗CCP抗体や画像検査(関節MRI検査,関節エコー検査)が新登場し,それぞれがRA診療へ組み込まれるべくスタンバイの状態にある.抗CCP抗体陽性や画像検査による骨びらん像はRAの診断確率を一層高めることになり,特に早期RAの診断過程には欠かせない検査になると考えられる. RF検査は大部分の施設で定量検査へ移行しているが,試薬間差を反映した測定結果の不一致や偽陽性・偽陰性がみられ,けっして見過ごすことのできない問題である.
  • 川上 純, 玉井 慎美, 上谷 雅孝, 高尾 正一郎, 藤川 敬太, 青柳 潔, 江口 勝美
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2052-2056
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    単純骨X線は関節リウマチ(RA)の早期骨・関節傷害の検出には不向きだが,これら病変の描出には, MRIがきわめて有用である. MRIで描出される早期RAの骨・関節傷害には,滑膜炎,骨髄浮腫および単純骨X線ではわからない骨浸食があげられる.骨髄浮腫やMRIでの骨浸食は,単純骨X線での骨浸食の前駆病変と考えられており,早期RAの予後予測にも重要な所見である.私たちの前向き症例対照研究でも,骨髄浮腫は炎症反応や抗シトルリン化環状ペプチド抗体(抗CCP抗体)と正の相関を示し, MRIは, RAの早期骨・関節傷害の評価に有用な検査と考えられる.
  • 赤星 透
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2057-2063
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,核成分に対する自己抗体である抗核抗体の研究が進歩し,さまざまな対応抗原が同定されるとともに,疾患との関連性が明らかにされてきた.間接蛍光抗体法による抗核抗体のスクリーニング検査と, ELISA法などによる疾患特異的自己抗体の検査は膠原病の日常診療に繁用されている.これらの検査を有効に活用するためには,それぞれの抗核抗体の特異性を認識するとともに,抗核抗体検査の標準化を推進することが必要である.
  • 尾崎 承一
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2064-2072
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗好中球細胞質抗体(ANCA)はpauci-immuneの小型血管炎と密接に関連する自己抗体である.間接蛍光抗体法およびELISA法で測定されるが,血管炎の診断と評価にはこれら両方の測定法が重要である.顕微鏡的多発血管炎,アレルギー性肉芽腫性血管炎ではP-ANCA (MPO-ANCA)が, Wegener肉芽腫症ではC-ANCA (PR3-ANCA)が疾患標識抗体となる. ANCAは血管炎の診断や再燃のマーカーとして有用であるが,その評価においては他の臨床所見と併せて慎重に行わねばならない.
  • 三森 経世
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2073-2078
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    エビデンスに基づく我国の関節リウマチ診療ガイドラインが2004年に発表された.薬物療法のみならず,手術療法およびリハビリテーションについても記載され,個々の治療法についてはエビデンスレベルなどから勘案した「推奨度」が設定されている.薬物療法では抗リウマチ薬が中心となり,非ステロイド抗炎症薬およびステロイドを補助的に用い,診断より3カ月以内に抗リウマチ薬を開始することを強く推奨している.
  • 山中 寿
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2079-2083
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    新たな治療手段の開発とともに,関節リウマチ(rheumatoid arthritis,以下RA)の臨床は大きな変革期を迎えている.特に, window of opportunity(治療の好機)という概念の導入は,超慢性疾患であるRAにおいても早期治療が重要であることを強調している.しかしながら,発症後早期にRAを確実に診断することは容易ではなく,臨床の現場に混乱を来している.本稿では, RA早期治療の実際を検証する.
  • 亀田 秀人
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2084-2091
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    分子生物学の進歩が結実した生物学的製剤は,免疫や炎症に関与する分子特異的に作用し, RA治療に画期的な進歩をもたらした.特にTNF阻害療法は, RAの治療目標を寛解にシフトさせ,関節破壊の完全な抑制あるいは一部修復を現実にした.次々と新しい治療が導入される転換期を迎え, RA患者の高まるニーズに応えるため, RAの病態,評価法,副作用対策に習熟し,生物学的製剤を適切に使いこなすことが必要不可欠となった.
  • 諏訪 昭
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2092-2098
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ステロイド薬は,強力な抗炎症作用,免疫抑制作用を有し,膠原病の種々の病態に対する基本的な治療薬である.ステロイド薬にはいろいろな種類があり,各薬剤の作用時間,薬理作用などの特徴から,症状,病態にあわせて,これらを使い分ける必要がある.また,投与量,投与方法を工夫し,必要量を最短期間用いることで,最大の効果を引き出し,副作用を最小限に抑えることが可能となる.実践的なステロイド薬の使用法をまとめた.
  • 金井 美紀
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2099-2104
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病・リウマチ性疾患に対する治療法として,ステロイド薬や抗リウマチ薬などに抵抗性の場合,種々の免疫抑制薬が試みられ,有効性が示されている.特に血管炎,急性間質性肺炎などの病態は,早期よリステロイド薬とともに,免疫抑制薬の併用投与が必要である.特に近年では,シクロフォスファミドの間歇大量静注療法(IVCY)は副作用が少なく,種々の病態に有効性が認められ,注目されている.しかし,骨髄抑制,感染症,生殖障害など各薬剤に共通した重篤な副作用もあり,使用に際しての適応の選択を十分に検討し,投与後の定期的検査も十分に行う必要がある.
  • 鈴木 康夫
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2105-2111
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リウマチ性疾患の骨格系合併症としてステロイド性骨粗鬆症,大腿骨頭壊死や関節リウマチ(RA)に伴う骨粗鬆症が挙げられる.ステロイド性骨粗鬆症は患者数が多く,若年者や男性にも発症することから予防治療が重要である.我が国でも予防治療ガイドラインが発表され,薬物療法に対して一定の基準が示された. RAでは高齢,疾患活動性,ステロイド治療など骨粗鬆症の危険因子を複数持つ症例では,積極的治療的介入が必要である.
  • 田中 良明, 猪熊 茂子, 瀬戸口 京吾, 矢嶋 宣幸
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2112-2118
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病リウマチ性疾患では肺合併症がしばしば認められ,なかでも間質性肺炎は予後およびADL・QOLの規定因子として重要である.間質性肺炎は,関節リウマチ,全身性硬化症,多発性筋炎,皮膚筋炎,顕微鏡的多発血管炎などで高率に認められる.薬剤性肺炎では,原因薬剤の中止が必須であるため,肺障害を見た場合には常に鑑別にあげる必要があり,特に重篤になりうる薬剤性肺炎の特徴を把握しておく必要がある.
  • 渥美 達也
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2119-2124
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病に合併する血栓性疾患は多くあるが,とりわけ重要な病態は抗リン脂質抗体症候群と血栓性血小板減少性紫斑病である.前者は後天性血栓傾向として最も頻度が高く,高率に血栓を再発することが問題である.的確な診断と再発予防のための長期的予防が重要である.後者は発症頻度は高くないが,致死的病態としてよく知られる.血漿交換療法により予後が飛躍的に改善した.
  • 遠藤 平仁, 田中 住明
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2125-2131
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺高血圧はMCTD, SScなど強皮症スペクトラムに多く合併する.病態として(1)原発性肺高血圧症(IPAH)と類似(2)血管炎による(3)慢性肺血栓塞栓による(4)間質性肺炎による肺血管床減少に分けられる.予後は極めて悪く突然死,心不全で死亡する.治療は(1)血管拡張薬(2)抗凝固療法(3)心不全治療(強心薬,利尿薬) (4)在宅酸素療法があげられる.原発性肺高血圧(IPAH)と異なり副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬が有効な例も報告されている.近年治療薬としてPGI2持続静注療法やエンドセリン-1受容体拮抗薬が承認され,予後改善が期待できる.
  • 稲葉 雅章
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2132-2138
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    関節りウマチ(RA)患者では, RA疾患自体による死亡率の上昇は認められないものの,平均寿命の短縮が知られている.生存期間短縮の主たる原因として,心血管事象の発生率が正常人に比し有意に上昇にしていることが疫学研究で確立している.最近,動脈硬化が炎症に伴って起こることが認識されていること,および,骨吸収亢進が動脈硬化の促進に関与していることが報告されている. RAは関節を場とする慢性炎症性疾患で,かつ骨粗鬆症も合併することからこれら因子が関与する可能性が考えられる.さらに,身体活動性の維持が動脈硬化の進行に保護的に作用することから, RAに伴う身体活動性低下の関与も想定される.今回, RAで動脈硬化が進行しているか否か,また,その主たる関与因子について概説を試みる.
  • 松本 美富士
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2139-2145
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    線維筋痛症(FM)は全身の運動器の慢性疼痛とこわばりを中心症状とし,疲労感,抑うつ,睡眠障害など多彩な身体,精神・神経症状を呈する原因不明のリウマチ性疾患である.直接生命予後に影響しないが,機能予後(ADL, QOL)は著しく悪い.欧米で比較的頻度が高く,プライマリケアレベルで適切に対応されている.本邦ではこれまで認知度が低かったが,最近になってFMが注目されるようになり,本邦でも比較的頻度の高いことが確認され,内科診療においても重要な疾患となってきた.
  • 田中 良哉
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2146-2151
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)は,多臓器病変を特徴とする自己免疫疾患である.ステロイド薬などの非特異的な既存治療には副作用や治療抵抗性などの諸問題が山積している.一方,疾患活動性が高く,重症臓器病変を有する症例には,早期からの免疫抑制薬の併用の有効性が評価されてきた.さらに, CD20抗体療法は, SLEの治療目標を臨床症候の改善から臓器障害の進行抑制や寛解導入ヘシフトし,治療をブレークスルーする可能性が期待される.
  • 岩本 靖彦, 畑 耕治郎, 渡辺 和彦, 相場 恒男, 米山 靖, 古川 浩一, 五十嵐 健太郎, 月岡 恵, 菊池 正俊, 橋立 英樹
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2179-2181
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は21歳,男性.発熱,皮疹,全身倦怠感,高度な肝機能障害を認め入院した.ステロイド内服,ステロイドパルス療法を行ったが改善せず,シクロスポリンを使用し軽快した.成人Still病は特異的臨床症状,検査所見に乏しく,診断に苦慮することが少なくない.また高率に肝障害を合併するが,重症肝炎または肝不全を呈するものは少ない.本例のごとく重症肝炎を呈したステロイド抵抗性の症例ではシクロスポリン投与が有効であった.
  • 中川 智左, 武田 悦子, 大野 秀樹, 久保 正治, 西田 義治, 松本 重人, 柳 光司
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2182-2185
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ヒト混合型および速効型インスリン使用中の2型糖尿病患者で,早朝低血糖と日中高血糖を伴う著しい血糖変動を認めた.患者はインスリン抗体結合率高値で,糖尿病性細小血管症,慢性腎不全を合併していた.二重膜濾過法による抗体吸着および血漿交換療法後,半年間にわたり良好で安定した血糖コントロールを得た.ステロイド薬や免疫抑制薬を併用せず,抗体吸着や血漿交換の単独療法が奏功した例は検索し得た限り報告はなく,興味深い症例であると考えられる.
  • 山本 元久, 小原 美琴子, 鈴木 知佐子, 山本 博幸, 高橋 裕樹, 篠村 恭久, 野中 道夫, 今井 浩三
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2186-2188
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.発熱,両手指・膝関節痛,両下肢神経障害,肺浸潤影で, ANCA関連血管炎を発症,ステロイド加療中に頭痛,嚥下障害,嗄声が出現した.第IX・X神経障害および両側反回神経麻痺を認め,頭部造影MRIにて肥厚性硬膜炎と診断した.ステロイド大量投与および免疫抑制薬を併用し,硬膜炎は消失した.
  • 野浪 美千代, 田中 淳也, 畦地 英全, 近藤 雅彦, 桂田 哲, 西川 浩史, 浅越 健助, 大谷 由利子, 瀬古 修二, 井上 文彦, ...
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2189-2191
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,結核が再興感染症として注目されているが,腹部リンパ節結核は極めて稀な疾患である.今回我々は肝門部リンパ節腫脹・肝腫大を認め悪性リンパ腫と鑑別を要した肝門部リンパ節結核の一例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 柳瀬 敏彦
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2195-2199
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副腎ステロイドのDHEAは加齢とともに直線的低下を認め,老化指標,長生き指標としての有用性が報告されている.またDHEAには抗糖尿病,抗肥満,抗動脈硬化,抗骨粗鬆症などの有益な作用が報告されており,抗加齢療法としてのDHEA補充療法が試みられている.健康感,性欲,骨代謝,糖質代謝,体脂肪,血管内皮機能といった指標にある程度の有用性は認められているが,わが国独自のデータの集積が乏しく,今後の課題である.
  • 河野 道生
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2200-2207
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    骨髄腫はB細胞系の形質細胞が骨髄にて腫瘍性(単クローン性)に増殖している造血器腫瘍である.アルキル化薬等の従来の化学療法治療には極めて抵抗性であり, 5年生存率は高々30%に過ぎない.しかしながら,最近の骨髄腫細胞の細胞生物学的研究,特に増殖因子インターロイキン6 (IL-6)による増殖機構の解明,表面抗原解析からの不均一性とその生物学的意義,更には遺伝子発現プロファイリングからの層別化の試み等から,骨髄腫に対する分子標的治療の新たな試みが精力的に行われている.その中で,プロテアソーム・インヒビターであるPS-341 (Velcade〓)などは,今後骨髄腫に対する中心的な治療薬の一つになる可能性を示している.すなわち,骨髄腫細胞の増殖機構や遺伝子発現の変異などの基盤的研究の今後の更なる大きな発展から,新たな分子標的治療が展開し,その有効性が確認されてくることが予想される.
  • 佐藤 金夫, 金子 誠, 尾崎 由基男
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2208-2214
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞,脳梗塞,糖尿病などの動脈血栓性疾患の増加に伴って抗血小板療法は広く行われるようになり,再梗塞の予防に大きく寄与しているが,一部の施設を除いて薬効判定はほとんど行われていない.その理由として,血小板機能検査が煩雑で時間がかかるため多検体を処理できないという検査上の問題と,血小板機能をどのレベルに保てばよいのかという臨床評価上の問題が挙げられる.後者は検査法が確立されていない現在,目標を設定すること自体困難であることから,簡便,迅速,安価に行える検査法を開発することで臨床データが蓄積され,解決されると思われる.このような条件を満たす測定法は現在のところ確立されていないが,血液を前処理することなく,直接測定できる全血の血小板機能測定法の開発が進んでいる,これらの測定法による抗血小板薬の薬効評価が試みられており,今後の展開が期待されている.
  • 和田 隆志, 横山 仁, 金子 周一
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2215-2223
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ケモカイン・ケモカイン受容体は当初考えられていた白血球走化性因子に留まらず,受容体を介して実に多彩な機能を示すことが判明してきた.腎においても発生ならびに腎固有細胞の機能維持や増殖といった生理的機能に関与する.さらに経時的かつ病態特異的にヒト腎疾患の発症・進展機序にも深く関わっている.特に腎疾患の予後規定因子である進行性腎線維化への役割も示唆されている.この際,ケモカイン値測定は腎疾患の臨床的活動性を反映することから臨床検査診断への応用も考えられる.さらに中和抗体投与はじめケモカイン・ケモカイン受容体,関連する細胞内シグナル伝達機構分子を標的分子とする抗ケモカイン・ケモカイン受容体療法により腎疾患抑制効果が示されている.今後,ケモカイン・ケモカイン受容体を標的分子とした腎疾患治療戦略の構築と臨床応用が期待される.
  • 間野 博行
    2005 年 94 巻 10 号 p. 2224-2230
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ヒトゲノムプロジェクトが終了し我々の持つ蛋白質をコードする遺伝子の全体像が明らかになりつつある. DNAチップを用いることで,これら数万種類の遺伝子の発現量を任意の細胞・組織間で簡便に比べることが可能になった.現在急性骨髄性白血病や悪性リンパ腫など様々な造血器悪性腫瘍の患者サンプルをDNAチップで解析し,得られた遺伝子発現プロファイルの中から患者の長期予後にリンクするものをスクリーニングする試みが精力的に行われている.また最近は患者骨髄の単核球全体を解析するのではなく,極めて幼弱な造血幹細胞分画のみをあらかじめ純化した後DNAチップ解析を行う事も試みられている.同定された予後関連遺伝子群の発現量を基に各患者の予後を予測することがこれらのプロジェクトの目標であり,今後は遺伝予発現プロファイルに基づいた造血器悪性腫瘍の新しい分類法が提案されると期待される.
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