血流内に微生物,菌体成分,毒素が侵入し,宿主がそれに反応して大量の炎症性サイトカインを放出し全身性炎症反応症候群(SIRS)を生ずる状態を敗寵症と定義し,適切な処置がない場合に臓器障害を伴う重症敗血症~ショックに陥り,高率に死に至る.微生物の侵入門戸が明らかな場合は血液培養後,想定されるすべての起因菌に対応できる抗微生物薬を1~2剤使用し,菌同定・薬剤感受性をもとに調整する.中心静脈栄養を中心とする医療技術の進歩はブドウ球菌を中心としたグラム陽性菌による血管内カテーテル関連血流感染症の増加を招いたが,一定の割合でグラム陰性桿菌による血流感染も存在し,後者はエンドトキシンショックを起こし,早期に予後不良の経過をとりうる.同様に,強力な抗がん治療に伴う発熱性好中球減少症も遭遇する機会が増えている.分離される菌の薬剤耐性のパターンは多様化しており,各医療施設の薬剤感受性を把握した上で抗菌薬の選択が考慮されなければならない.また,適切な支持療法は予後を左右するので病態を理解した上で,輸液,グルココルチコイド,プロテアーゼ阻害薬等を適宜使用する.
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