クリオグロブリン(Cryo)は寒冷で沈殿し,加熱により再溶解する免疫グロブリンで,免疫複合体である.構成する免疫グロブリンにより3型に分類され,腎病変は混合型Cryo血症が関与し, HCV肝炎との関連があきらかになっている.腎外病変として紫斑,低補体価を認める.軽度の尿所見異常からネフローゼ症候群を呈し,腎生検所見ではI型膜性増殖性腎炎所見で,血管炎所見も併存する.免疫組織所見では, Cryoの成分が沈着する.高倍率の電顕所見でCryoの繊維状管状構造物を認める. Cryo血症の組織所見には多様性が認められる.
治療では薬物療法としてステロイド療法,免疫抑制剤が使用されるが,ステロイド治療は肝炎ウイルスの増加も報告されコンセンサスがえられていない.インターフエロン療法,クリオフィルトレーションなど産生抑制と除去がこころみられている.インターフエロン療法では中止後にリバウンド現象が認められる.脾臓摘出が有効であっだ一例を経験している.成因,治療ともに未解決である.予後は良好ではなく,感染症,心不全,肝不全死がみられる.
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