日本内科学会雑誌
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94 巻, 8 号
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  • 井形 昭弘
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1465-1466
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 浦上 克哉, 涌谷 陽介, 和田 健二, 中島 健二
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1467-1472
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年の疫学調査から老年期痴呆は著しく増加し,病型では脳血管性痴呆に代わってAlzheimer病(AD)が多くなってきている. ADの危険因子について加齢,頭部外傷, ADの家族歴,母親の高齢出産, Down症候群,アポリポ蛋白E4など報告されているが,両親の高齢出産や喫煙は重要と考えられる.調査法の問題点としてスクリーニング段階で痴呆症患者が少なからずもれており,その解決策としてタッチパネル式コンピューターを用いた簡易スクリーニング法が有用と考えられる.
  • 葛原 茂樹
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1482-1488
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    老年期の痴呆の診断は,まず認知機能障害が意識障害によるものか意識清明下で出現しているかを鑑別する.意識清明であれば,痴呆か,痴呆以外の認知機能障害(失語,失行,失認,軽度認知機能障害など)かを鑑別する.痴呆と診断したら,脳血管障害,内科疾患,脳神経外科疾患に続発した二次性痴呆か,脳の変性疾患かを区別する.変性疾患は,神経症候を伴う(皮質下性)か伴わない(皮質性)かに分けて,原因の鑑別をしていく.
  • 井関 栄三
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1489-1497
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    老年期には,加齢と関連した痴呆性疾患の他,多くの疾患ないし病態がしばしば痴呆を呈する.本稿では,痴呆性疾患の鑑別診断として,加齢と関連した痴呆性疾患を変性性痴呆と血管性痴呆に分け,変性性痴呆をAlzheimer型痴呆と非Alzheimer型痴呆に分けて述べた.前者については, Alzheimer病とAlzheimer型老年痴呆を比較し,後者については頻度の高いLewy小体型痴呆と前頭側頭型痴呆について述べた.
  • 東海林 幹夫
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1498-1504
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    老年期痴呆疾患の診断へのアプローチとして,診断の標準化や補助検査の要点について述べた.脳脊髄液tau, p-tau, Aβ40, Aβ42の測定はADと他の痴呆疾患との鑑別に特に有用で多施設共同研究によって感度80%,特異性80%を超え, evidenceを有する検査と思われた.特に早期ADやMCIで診断マーカーとしての有用性が指摘されている.血液Aβが測定されつつあり,今後の発展が期待されている.
  • 松田 博史
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1505-1512
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Alzheimer病を主とする痴呆性疾患に対するMRI診断は,その主目的がAlzheimer病の軽度認知機能障害の時期での早期診断,軽度認知機能障害の予後予測,ならびに他の痴呆性疾患との鑑別診断におかれるようになっている. PETやSPECTのごとく, MRIにおいても標準脳に形態変換した上での画像統計解析手法(voxel-based morphometry: VBM)の適用により,診断精度の向上がみられている.
  • 北村 伸
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1513-1520
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Alzheimer病のSPECTでとらえた脳血流所見の特徴は,側頭葉および頭頂葉の血流低下と後部帯状回の血流低下である.この所見は, Alzheimer病の診断と他の痴呆性疾患との鑑別に役立つ.頭頂葉内側および後部帯状回の血流低下はAlzheimer病発症早期より認められる所見とされていることから,軽度認知機能低下例の中からAlzheimer病の発症を予測することが脳血流SPECTで可能であることが考えられる.
  • 中村 重信
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1521-1528
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    痴呆に対して原因治療が望ましいが,試験段階であり,対症療法や非薬物療法が主体である.まず,痴呆の原因疾患を鑑別し,その疾患に沿った治療を進める. Alzheimer病の場合はドネペジルを投与する.脳血管性痴呆では危険因子を検索し,それを除去する.その他の痴呆では原因を明らかにし,原因疾患の治療を行う.行動・心理症状のある場合は非定型神経遮断薬を,抑うつのある例では抗うつ薬を,錐体外路症状のある時は抗Parkinson病薬を使用する.
  • 池田 学
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1529-1535
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    痴呆にみられる精神症状・行動異常(BPSD)の治療に関しては,有効な薬物療法が開発されつつある. BPSDの内容は,疾患毎に多岐にわたるので,治療の標的とする疾患ならびに症状を明確にして治療法を選択することが重要である.標的とするBPSDは,頻度が高く,介護負担の大きなもの,日常生活上大きな支障をきたしているものが候補となる.治療薬は,理論的に裏打ちされたものを慎重に選択し,投与量も慎重に決定することが重要である.
  • 田子 久夫
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1536-1540
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    痴呆には脳の病気以外にも数多くの問題が関与しており,生活機能障害をきたしている.当然行き届いた対策が求められるが,これを一カ所の施設でこなすのは困難である.そのため,諸機関の連携が課題となってきており,チームワークを有効に生かすことでむだな負担が軽減され費用の節約も期待される.連携の窓口ならびに中心には,患者の日常生活を把握しているかかりつけ医などの実地医家が位置することになる.これらの医師は連携を統括するためにも,痴呆に関する基本的な知識をあらかじめ身につけておく必要がある.
  • 八森 淳
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1541-1547
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    認知症は本人,家族,地域住民の生活に影響を与えることが多く「医学モデル」だけではなく「生活モデル」での視点が必要である.国際生活機能分類は「生活モデル」に立脚した概念であり,認知症の医療と介護を考える上で1つの指針となる.認知症は診断,予後推定,能力判定をするうえで患者の生活に基づいた情報が必要であり,治療においても非薬物療法,その人のNarrativeに基づいたケアなど介護の果たす役割は大きい.また,ケアのためには的確な診断と,疾病特異的な対応やアドバイスなど医師からの情報提供が求められる.このように医療と介護は認知症患者の治療やケアにおいて共助の関係にある.
  • 荒井 由美子
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1548-1554
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    在宅介護を円滑に継続する上で,家族介護者の介護負担の程度を客観的に把握することは,極めて重要である.本稿では,わが国における介護負担研究において,最も頻用されているZarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI),およびJ-ZBIの短縮版(J-ZBI_8)を紹介した上で,介護負担研究全般について概説し,あわせて筆者らが開発した在宅ケアの質評価法(HCQAI)について紹介した.
  • もの忘れクリニックの活動からみえてくるもの
    藤本 直規
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1555-1563
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    かかりつけ医は,早期診断のための窓口としてだけではなく,診断後の認知症ケアを支えるための多くの役割がある.また,認知症治療病棟は必要時にせん妄などの精神症状の治療を,一般病院は認知症患者の身体疾患の入院治療を担当するが,病院併設型のもの忘れ外来担当医は,入院中に起こる可能性の高いせん妄などの治療・看護体制を整備しなければならない.また,診療所併設のもの忘れ外来は,受診できない認知症患者への往診やケア困難例へのデイサービスなどを行うとともに,ケアマネジャーからの相談やケアスタッフへの指導を行うことで,認知症ケアネットワークにおいて,患者,介護者,医師,ケアマネジャーやケアスタッフ間の連携のためのコーディネーター役を果たすことができる.
  • 新井 誠
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1564-1568
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    2000年4月に新しい成年後見制度が施行されてから5年が経過した.成年後見制度申立件数は飛躍的に増大し,新制度は定着しつつある.しかし,医療の現場での認知度は低いのではないか.本稿ではとくに医療関係者を念頭に置きつつ,成年後見制度の権利擁護機能について論ずる.
  • 森 悦朗
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1569-1576
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性正常圧水頭症は,明らかな原因疾患がなく,脳室拡大に伴い,歩行障害を主体として痴呆,尿失禁をきたす病態をいう.髄液シャント術により症状の改善が得られるが,現在適切に診療されているとはいえない.最近特発性正常圧水頭症の診療ガイドラインが出版され,それを契機に適切な診療が行われることが期待できる.ここではそれをもとに特発性正常圧水頭症について概観する.
  • 中野 桂子, 原田 雅教, 伊東 武志, 西山 孝三, 森田 浩, 佐々木 茂和, 沖 隆, 中村 浩淑
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1603-1605
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Fournier症候群は会陰部に発症する壊死性筋膜炎で,現在なお致死率の高い疾患である. Fournier症候群の患者背景には,糖尿病やアルコール多飲などの頻度が高い.我々は,罹病歴が短く,糖尿病性合併症を認めない36歳肥満2型糖尿病患者に発症したFournier症候群の1例を経験した.契機は柑橘類の過剰摂取と判断した.糖尿病患者の急性の合併症としてFournier症候群も重要と考え,報告する.
  • 有村 公一, 村井 弘之, 菊池 仁志, 重藤 寛史, 谷脇 考恭, 古谷 博和, 吉良 潤一
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1606-1608
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は45歳男性. 42歳時に噴門側部分胃切除を施行.術後,眼球運動障害と四肢脱力,体幹失調を2回繰り返した.頭部MRIで両側視床および中脳水道周囲に異常信号域を認め,血中ビタミンB1が著明に低下していた.入院当日よりビタミンB1を投与開始したところ2日目には眼球運動障害は消失, 2週間後には歩行可能となった.大酒家でなくても胃切除の既往を有する例では少量のアルコール摂取でも繰り返しWernicke脳症を起こす可能性が考えられた.
  • 名越 敏郎, 名越 康子, 川越 純志, 鬼塚 久充, 三嶋 和也, 伊達 晴彦, 今村 卓郎, 江藤 胤尚, 井手口 武史
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1609-1611
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,男性.動悸,気分不良が初めて出現し,近医を受診.待合室で意識消失し,心室細動を認めたため,電気的除細動を施行された.心電図でデルタ波を認め,電気生理学検査で副伝導路の順行性有効不応期は250msecと短かったためカテーテルアブレーションを施行した.無症候性WPW症候群は予後良好といわれているが,本症例は初発の頻拍発作が心室細動に至っており,注意を要すると思われた.
  • 谷口 智憲, 滝本 千恵, 内村 英輝, 小西 孝之助, 市原 淳弘, 林 晃一, 猿田 享男, 橋口 明典
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1612-1614
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    真性多血症とIgA腎症の合併報告は稀で,合併例でのlgA腎症は重症のことが多く,両者がお互いの進展を促進している可能性も想定されている.症例は55歳男性.以前より真性多血症を指摘され, 1~2カ月に一度,瀉血を施行していた.経過中,血尿,蛋白尿が出現し,徐々に腎機能増悪を認めるようになった.腎生検でIgA腎症と診断され,プレドニゾロン内服を開始したが治療抵抗性で,急速な腎機能悪化が見られた.
  • 石田 博
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1615-1617
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    19歳,女性.両下腿紫斑および蛋白尿をきたし,血清IL-10高値を呈したので精査したところ, MPO-ANCA関連血管炎を合併したHenoch-Schönlein purpura (HSP)およびMPO-ANCA関連血管炎性腎炎と判明した. IL-10が血管内皮細胞から産生されたことが強く示唆され,血清IL-10測定がMPO-ANCA関連血管炎の診断に有用である可能性が示唆された.
  • 森 亨
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1618-1624
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    日本の結核は罹患率で見て欧米の数倍のレベルを低迷している.患者の重症化,ハイリスク(医学的,社会経済的)集団ないし弱者への偏在化,集団感染や院内感染の増加といった質的にもやっかいな問題が目立つようになった.このような変貌への効果的な対応のために,結核予防法が大幅な改訂され2005年4月から実施されている.治療については,主治医と保健所に対してともに患者の規則的な受療(処方された薬の確実な服用)を確保することを明確に責務として規定し,結核治療の世界的標準となっているDOTSを日本の状況に適合させて実施していくこととなった.しかし一方法令で規定しきれない結核医療行政の問題も残されており,早期の解決が望まれる.例えば診断精度向上のための商業ラボにおける結核菌検査の外部精度管理の制度化,化学予防の年齢枠の撤廃,キノロン薬など未承認薬の早期承認,難治結核症例への体系的対応等々である.
  • 佐久間 肇, 竹田 寛, 中野 赳, 市川 泰崇, 平野 忠則, 牧野 克俊
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1625-1631
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心臓領域のMRイメージング(MRI)の最近の進歩に伴って,虚血性心疾患の診断におけるMRIの役割は大きく変わりつつある.心臓の遅延造影MRIは病理学的な心筋梗塞組織の分布を反映する画像診断法であり,解像度が高いため心内膜下梗塞も鮮明に描出され,心筋梗塞症例における心筋バイアビリティ診断などに高い有効性が示されている.冠動脈MRAはwhole heart coronary MRAの開発によって実用性が大きく向上し,放射線被ばくの心配がなく造影剤投与を行わずに冠動脈狭窄を評価できることから,冠動脈病変の新しいスクリーニング検査法として注目を集めている.本稿では,心臓領域の造影MRIと冠動脈MRAの最近の進歩と有用性について解説する.
  • 丸山 弘樹, 近藤 大介, 下条 文武
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1632-1639
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全により透析者数の増加が続く中,腎疾患の発症進展に関与する遺伝的素因の解析が待たれている.本稿では,透析導入に至る二大疾患である原発性糸球体腎炎のIgA腎症と糖尿病性腎症における疾患感受性遺伝子について,これまでの報告をもとに概説する.
  • 中村 哲也, 白川 勝朗, 山岸 秀嗣, 中野 道子, 菅家 一成, 玉野 正也, 菅谷 仁, 平石 秀幸, 寺野 彰
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1640-1646
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    カプセル内視鏡は小型のカプセル状の内視鏡で,被検者が自ら飲み込むだけで検査を行うことができる, 21世紀の新しい内視鏡検査法である.現在最も普及しているのは,小腸を対象とした画像撮影専用タイプ(PillCamTMSB, GIVEN Imaging社)である.最大の適応は,上部・下部消化器内視鏡など従来の検査で原因が不明の消化管出血で, Crohn病やNSAIDsによる副作用の評価なども適応とされている. 2005年2月末までに世界で17万件以上も行われていて,日本でも現在認可申請中である.最近,食道専用の新しいカプセル内視鏡(PillCamTMESO)が開発され,欧米で使用が始まった.大腸用のカプセル内視鏡も開発中で,国産の小腸用カプセル内視鏡も臨床試験が開始された.近い将来,筒型やチューブ型など従来の内視鏡とは全く異なるこれらの新しいカプセル内視鏡によって消化器内視鏡診断や治療が劇的に変化し,一般臨床にも大きな影響をおよぼすものと思われる.
  • 三森 経世
    2005 年 94 巻 8 号 p. 1647-1653
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年の関節リウマチ(RA)治療の進歩は著しく,我国でも新しい抗リウマチ薬や生物学的製剤が相次いで認可され, RAにおける治療の選択肢が飛躍的に増加しつつある.しかしその反面,重篤な副作用の問題や高薬価による医療費高騰の問題があり, RAの標準的な治療を提供するためのガイドラインが必要となった.本邦ではエビデンスに基づくRAの診療ガイドラインが2004年に発表されており,薬物療法のみならず,手術療法およびリハビリテーションについても言及され,個々の治療法についてはエビデンスレベルなどから勘案した「推奨度」が設定された.薬物療法では抗リウマチ薬が中心となり,非ステロイド抗炎症薬およびステロイドを補助的に用い, RAの診断より3カ月以内に抗リウマチ薬を開始することを強く推奨している.
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