日本内科学会雑誌
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95 巻, 12 号
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内科学会ニュース
会告
特集●内科と救急医学の接点
Editorial
トピックス
I. 救急医療システム
  • アーノルド L. クリスチャン
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2395-2402
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 石松 伸一
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2403-2407
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    救急医療の現状を示す統計資料にはさまざまな報告があるが, 日本全体の内科的救急疾患について調査されたものはない. ここでは救急医療の疫学について述べるにあたり, 代表的救急患者を「救急自動車で搬送されたもの」と考え, 総務省消防庁の統計資料を中心に解説する.
  • 石見 拓, 川村 孝, 梶野 健太郎, 平出 敦, 行岡 秀和, 野々木 宏
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2408-2413
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    平成3年に救急救命士制度が導入されて以来, 病院前救護体制の整備が進んでいる. 病院外心停止例の救命率は, 除細動までに要する時間の短縮などに伴い年々改善してきているがいまだ不十分なものである. 今後は, 地域のメディカルコントロール体制を確立し, 個々の事例へのフィードバックだけでなく, ウツタイン様式によるデータ収集など地域の救急システムの質を客観的に検証するという姿勢を持って病院前救護体制の更なる改善を進める必要がある.
  • 森田 大
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2414-2418
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    救急医療体制の見直しが進められるさなか, 救命救急センターが外傷救急主体から脱皮し包括的な救急医療を担うには, 内科医がもつ多岐にわたる医学知識, 注意深い観察力・判断力が救命医療の中に求められる. 内科医の努力次第で, 自施設の医療活動の質を変えることが可能である. 院内の役割だけでなく, 院外の救急に関わる社会事象にも眼を向けながら, 救命医療に携わる内科医が増えることを期待する.
  • 寺沢 秀一
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2419-2423
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    我が国において主流であるICU型救急医による三次救急主体の救急体制がいくつかの限界を見せ始めたことと, 卒後臨床研修必修化の開始があいまって, 北米において主流であるER型救急医による診療, 教育が注目され始めている. しかし, 現時点では我が国でER型救急体制を導入するには, ER型救急医の養成の問題と, 外傷チームや総合内科のない施設でER型救急医だけを配備しても, 入院主治医の決定で困難が発生するという問題がある.
  • 瀧野 昌也
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2424-2428
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    新しい卒後臨床研修制度では, プライマリケアの基本的診療能力の養成が重視されており, 必修科目となる救急部門での研修でも, 目的は同様である. 臨床研修の到達目標のかなりの部分は救急部門での研修で達成できると期待され, とくにER形式の救急部門では効率的な研修が可能と考えられる. 救急研修に占める内科関連事項の割合は大きく, その背景には救急医学において内科的要素が増大しているという事実がある.
  • 木原 康樹
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2429-2432
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    著者の勤務する病院での救急受診状況を解析してみると, 従来云われてきた外科系急患の割合は少なく, 半数以上を内科系急患, とりわけ高齢慢性疾患患者の急性増悪, が占めている. この構図は高次救急に特化していないwalk-in ER型の救急部門を営む多くの病院に当てはまると想像される. ところがその救急部門を指導・運営する救急医の大半は外科系を基盤として研修してきているため, 構造的なひずみが生じている. 内科系医師の救急実態に対する認識も十分とはいえない. 病院群の再編, 地域における包括的患者ケアが大きく変化しつつある現在, 問題を注視してより良い方向への舵取りが望まれる. 一方, walk-in ER型救急部門は的確な管理指導を行えば, 素晴らしい卒後研修の場を提供する. 研修医たちを放任すれば全くその逆の結果になりかねないことに留意しながら, 救急を更に卒後研修教育システムの中に組み込む努力が求められている.
II. ガイドライン 2005
  • 諸角 純也, 太田 祥一
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2433-2440
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    昨年11月に救急蘇生の国際ガイドラインが改訂された. これに基づきわが国でも独自のエビデンスを採用しつつ広く意見を聴取しながら, 日本版救急蘇生ガイドラインが作成された. BLSでの要点は, 絶え間ない胸骨圧迫が強調され, それに伴いAEDによる除細動は1回のみ, その後すぐに胸骨圧迫となった. 一般市民向けには, 循環のサインの確認がなくなるなどさらにわかりやすく簡略化され, より普及するように配慮されている.
  • 畑中 哲生
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2441-2446
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    advanced cardiovascular life support (ACLS) では心停止を1. 心室細動/心室頻拍 (VF/VT), 2. 無脈性電気活動 (PEA), 3. 心静止の3型に分けて対応する. VF/VTでは電気的除細動が, PEAと心静止では原因の検索と解除が特に重要である. 心停止の型にかかわらず, ACLSの成功の最大の鍵は良質なCPRであり, 薬剤の選択や投与のタイミングは第二義的なものに過ぎない.
  • 柴田 義久, 花木 芳洋
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2447-2453
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    徐脈や頻脈の治療の目標は, 血行動態の不安定な患者をすばやく同定し治療することである. 不安定な患者には薬物治療に頼ることなく, 躊躇せずに経皮ペーシングや同期カルジオバージョンを行う必要がある. 安定した患者には12誘導心電図を記録し不整脈診断を行い, 専門医へのコンサルテーションを行う. 心電図診断ではなく臨床的評価の重要性を強調したアルゴリズムを紹介する.
  • 高山 守正
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2454-2462
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    内科と救急医学の接点として急性心血管疾患は緊急診療の対象となる事が多く, ガイドラインのもつ意義は重大である. 最近の一年で国際ガイドラインが改訂され, 続いて各領域での診療指針も次の時代を迎えつつある. 新たな視野に立った蘇生法での30対2に変更された胸骨圧迫心臓マッサージ法の根拠は何であったのか. 対象疾患の中心の急性冠症候群では急速に診療方針がshape-upされている. 基礎実験が心肺停止例の生存率改善へどのように結びついたか. 新しいエビデンスに基づいた重要度の再評価による改訂が様々なテーマで行われており, それぞれ医師も蓄積された知識を改訂する必要がある. これは同時に次の進歩へと継げるプロセスであり, 客観的視点での新たな課題抽出と評価が続けられる.
  • 遠藤 智之, 篠澤 洋太郎
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2463-2468
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    アナフィラキシーは極めて短時間に呼吸と循環に生命のリスクを来たす全身性の重篤な病態である. 迅速な患者評価と, 適切な処置・投薬により呼吸と循環の安定化を図らねばならない. 即効薬はエピネフリンであり, 現在はアナフィラキシー既往者に対するエピネフリン自己注射キットの処方が可能である. アナフィラキシーの初期対応を習得するには挿管困難を再現できるシミュレーターを用いたチームトレーニングが有用である.
III. トピックス
座談会
トレーニング問題
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 塚本 雄介, 松尾 清一
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2553-2558
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease, CKD) という新しい疾患概念が米国で2002年に発表された. この病名は慢性に経過する腎臓病すべてをその原因にかかわらず総称し, 腎機能の低下を共通項としている. この病名が創設された最大の理由は慢性の腎機能低下 (すなわちCKD) が心血管病による死亡リスクを増加させることにあり, 高血圧, 糖尿病と並んで重大な危険因子であることを広く国民に認知させることが緊急の課題であるためである. 血清クレアチン値による腎機能の推定を普及させ, 早期発見, 早期治療介入を徹底することで, 心血管病死と末期腎不全患者の減少をめざす慢性腎臓病対策が世界で始まっている. また腎臓病診療の国際的ガイドライン作成も国際機構KDIGO (Kidney Disease : Improving Global Outcome) のもと始まっている. 日本でも統一した用語や方法論のもとに慢性腎臓病対策を推し進めるために日本慢性腎臓病対策協議会が発足した.
  • 門田 淳一
    2006 年 95 巻 12 号 p. 2559-2565
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    慢性気道感染症にはびまん性汎細気管支炎をはじめとして気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患のうち気道病変優位型である慢性気管支炎が含まれ, 欧米においてはとくに嚢胞性線維症があげられる. その病態の類似点として, 気道における粘液・水分の過剰分泌, 中枢気道の好中球の過剰集積, 末梢気道におけるリンパ球の集積, 最終的に緑膿菌の持続感染の成立があげられる. 気道の炎症進展には種々の要因・原因物質が関連しているが, とくに緑膿菌が気道に付着すると, 気道上皮細胞からのinterleukin-8などのサイトカイン産生による好中球浸潤や粘液の産生が誘導されて気道上皮障害が起こり, さらに緑膿菌は付着し易くなるという悪循環が形成される. その過程において, 緑膿菌は増殖・定着し, バイオフィルムを形成して, 宿主免疫および抗菌薬から逃避する. 従って, 宿主側の過剰炎症と菌側の機能とのinteractionを制御することが慢性気道感染症の治療戦略には重要であり, マクロライド系抗菌薬はその両者を抑制する点において極めてユニークな薬剤である.
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