日本内科学会雑誌
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95 巻 , 1 号
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特集●生活習慣と肝臓病 : 診断と治療の進歩
内科学会ニュース
会告
Editorial
トピックス
  • 佐田 通夫, 上野 隆登, 森田 恭代
    2006 年 95 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    近年, 本邦では生活習慣の欧米化に伴い肥満などの代謝性疾患の増加が指摘されるようになった. また, これらの疾患に合併してみられる肝機能異常も注目されるようになったが, その原因の多くは非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) やアルコール性肝障害が占めている. また肥満が肝疾患の進展やその予後にも影響を及ぼすことが明らかになってきた. したがって肥満の改善を図ることがNAFLD, アルコール性肝障害の発症や慢性肝疾患の進展を抑えるためにも重要である.
  • 汐田 剛史
    2006 年 95 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    高脂血症により生じる肝障害として肝臓に著明に脂質が貯留した状態である脂肪肝が重要である. 脂肪酸は肝臓, 脂肪組織, 筋肉の間で運搬分布されるが, 遊離脂肪酸の肝臓へのインプットとアウトプットのアンバランスが脂肪肝の主要因である. 過栄養と運動不足を背景に生じるメタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積とインスリン抵抗性が関与する. 内臓脂肪の蓄積, インスリン抵抗性, 脂肪肝は密接に関連している.
III. アルコール性肝障害(ASH)
  • 高瀬 修二郎
    2006 年 95 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝障害は長期にわたる過剰の飲酒によって惹起される肝障害で, その発現はアルコールないしその代謝産物の直接的障害作用によっており, 性差や遺伝的素因, 栄養因子などが副次的な役割を果たすと考えられている. 日本におけるアルコール消費量はすでにプラトーに達していると推定されるが, 1日平均エタノール120gを摂取する大酒家は240万人にものぼると試算されており, 種々の臓器障害に加えてアルコール依存症対策も求められている.
  • 大平 基之, 高後 裕
    2006 年 95 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝障害は「アルコール性肝障害の診断基準試案 (高田班)」に従って診断する. その診断に際してはアルコール摂取歴の確実, かつ詳細な病歴聴取が必須であり, また禁酒により検査成績が改善することを確認する必要がある. さらにアルコール性肝障害患者では肝以外の種々の臓器に悪性疾患を含む合併障害を有する可能性があり, これらの疾患に対する検査も必要である. アルコール性肝障害に特異性の高い血清マーカーが臨床応用されていない現状では, その診断における医療面接と禁酒による経過観察の重要性を強調したい.
  • 中野 雅行
    2006 年 95 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    飲酒による肝障害それは栄養障害によると考えられていた時代があった. 現在ではアルコール, あるいはその代謝産物による肝障害というのは常識となっている. そして, 通常は “肝細胞” がアルコールに障害されて肝臓が悪くなると考えられているであろう. しかし, その病態としてアルコールあるいはその代謝産物であるアセトアルデヒドが肝細胞と同時に間葉系の細胞にも作用している, つまりアルコールには “肝細胞毒作用” と “線維産生刺激作用” があるということである.
  • 加藤 眞三, 山岸 由幸, 堀江 義則
    2006 年 95 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝障害の治療では, 肝臓に対する薬物治療とともにアルコール依存症の診断と治療が欠かせない. 内科医は, アルコール依存症者が身体的理由により医療機関に受診する窓口であり, 精神科医や自助グループへの連携に努めることが求められる. また, アルコール性肝障害は肥満が病態の進展に影響をもたらすため, 飲酒だけでなく食事や運動など生活習慣全体への指導も必要となる.
IV. 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
  • 後藤 隆, 芳野 竜太郎, 渡辺 純夫
    2006 年 95 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) は, 非飲酒家であるにも関わらず, 組織学的にアルコール性肝炎類似の病理組織像を呈することが特徴で, 食生活の欧米化やメタボリックシンドロームの増加とともに増えることが予想される. これまで原因不明と考えられていた肝硬変や肝細胞癌症例の一部にNASH進展例があることが明らかにされ, NASH症例を早期に診断し, 適切な治療を施すことが重要であると考えられる.
  • 西原 利治, 小野 正文, 大西 三朗
    2006 年 95 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    NASHはしばしばメタボリックシンドロームの肝臓における表現型といわれる. これは本症の96%が内臓脂肪型肥満を有し, 48%がHOMA-IR2.5以上のインスリン抵抗性, 66%が耐糖能異常を示し, 73%が収縮期血圧130mmHg以上あるいは拡張期血圧85mmHg以上, 40%が中性脂肪150mg以上, 28%がHDL-コレステロール40mg/dl未満, 27%が空腹時高血糖を示すことによる.
  • 岡上 武, 光吉 博則
    2006 年 95 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    NASHの病態形成にインスリン抵抗性とともに酸化ストレスが重要である. 本稿ではNASHの病態および治療における酸化ストレスの関わりについて概説する. 酸化ストレスは肝細胞脂肪変性に伴うミトコンドリア障害, CYP2E1の誘導によるスーパーオキサイド産生やペルオキシゾームからのH2O2産生, 鉄蓄積によるフェントン反応を介したヒドロキシルラジカルの発生などの結果, 脂質過酸化物や炎症性サイトカインが誘導され, 炎症, 線維化, 発癌を促進させる. NASH治療は体重のコントロールが第一で, 薬物治療ではインスリン抵抗性改善薬の有用性が注目されているが, 酸化ストレス制御による肝病態改善も多数報告されている. 今後, NASHにおける酸化ストレス障害の病態解明が進めば, より効果的な「抗酸化ストレス療法」の確立が期待できる.
  • 堀江 泰夫, 片岡 英, 大嶋 重敏, 佐藤 亘, 道免 孝洋, 渡辺 純夫, 鈴木 聡
    2006 年 95 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    遺伝子変異マウスのデータから脂肪肝は, さまざまな肝外因子に基づく血中遊離脂肪酸の増加や肝細胞における脂肪酸代謝異常に基づいて発症することが明らかにされている. 一方, NASHでみられる肝炎は, 脂肪酸の蓄積した肝細胞において, 生理的に許容された範囲を越えた酸化ストレスが脂肪酸酸化関連酵素の活性化に基づいて蓄積されることが一因であることが示されている. 遺伝子変異マウスはヒトにおける種々の疾患の病態を明らかにするきわめて有力な方法であり, 今後新たなNASHのモデルマウスの作成によりその病因・病態が明らかにされ, 効果的な治療法が開発されることが期待される.
  • 川中 美和, 山田 剛太郎
    2006 年 95 巻 1 号 p. 66-69
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    本邦において, 生活習慣病を基礎疾患とした非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) が増加傾向である. NASHは肝硬変へと進展する可能性があり, 早期診断・治療を要する. このため, NAFLD (非アルコール性脂肪肝疾患) 症例においては, 肝機能上昇症例やmetabolic symdromeの因子重複合併症例, インスリン抵抗性, 高感度CRP (hs-CRP) 高値例, 酸化ストレスマーカー高値症例においてはNASHの可能性を疑い, 肝生検による確定診断が望ましいと思われた.
  • 飯島 尋子, 森安 史典
    2006 年 95 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    近年NASHの存在概念が注目されてきたが, その早期診断は, 一般的に無症状であるため必ずしも容易ではない. NASHの診断は, 血液生化学検査, 超音波, CT, MRI検査では診断が不可能とされ, 組織学的診断に頼っているのが現状である. しかし, 日常の診療の中で, 多くの脂肪肝患者の中から線維化が進行するNASHを拾い上げることが重要であると考える. 造影超音波検査を使用したNASHの画像診断法を考案した.
  • 前山 史朗, 米田 正人, 中島 淳
    2006 年 95 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の肝生検組織像を概説した. 基本組織像は, 中等度以上の大滴性の脂肪化に線維染色 (鍍銀像) でアルコール性肝線維症 (ALF ; alcoholic liver fibrosis) の線維化パターンが加わったものが基本である. HE染色では実質の軽度から中等度までの壊死・炎症所見をみるが概して弱く, 門脈-実質境界域で限界板のpiecemeal necrosisの顕著な例は少ない. その他には, 肝細胞の風船様膨化, 核空胞化, 脂肪肉芽腫, 胞体内凝集傾向が種々の程度で重複して観察され, 約30%にマロリー小体 (MB) が出現する.
  • 河田 純男
    2006 年 95 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の治療は食事療法と運動療法が基本となる. 両者によっても十分な効果が得られない場合は薬物療法の対象となる. しかし, NASHにおける薬物療法としてEBMに基づいた治療方針は現在のところ得られていない. わずかに, ビタミンCとEの併用が有効であることが報告されている. パイロット試験として, チアゾリン誘導体やビグアナイド剤が有効であったとする報告がある. 一方, 薬物療法ではないが, 肝における鉄沈着による酸化ストレスを軽減するために, 瀉血療法をすすめる報告もある.
V. 肥満をめぐる進歩
  • 田村 信司
    2006 年 95 巻 1 号 p. 87-93
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    脂肪組織はアディポサイトカインと総称される種々の生理活性物質を分泌しており, 過栄養に基づくアディポサイトカインの分泌異常がメタボリックシンドロームの発症・進展に深く関与していることが明らかになった. その中でもアディポネクチンはキー分子と考えられている. 近年, アディポネクチンの分泌低下とNASHとの関係が示され, アディポネクチンがNASHの病態解明や治療法開発において重要な分子として注目されている.
  • 池嶋 健一, 佐藤 信紘
    2006 年 95 巻 1 号 p. 94-99
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    NASHの発症や進展にはアディポサイトカインが極めて重要な役割を果たしていることが示唆されている. 主に脂肪組織から産生されるレプチンは, 肝臓における炎症反応を制御すると共にインスリン感受性, 脂質代謝の調節因子として作用する一方, 活性化肝星細胞がレプチンを産生し, TGF-βの発現亢進や星細胞へのオートクライン活性化機構などを介して肝線維化を増強するサイトカインとして機能していることが明らかになった.
座談会
認定内科医トレーニング問題
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 根木 茂雄, 秋澤 忠男
    2006 年 95 巻 1 号 p. 140-147
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換えヒトエリスロポエチン (rHuEPO : recombinant human erythropoietin) の登場により腎性貧血の治療は大きな変貌を遂げた. 透析期のみならず保存期腎不全患者においても貧血の改善, 輸血の減少以外に広範な臨床効果をもたらした反面, 赤芽球癆 (pure red cell aplasia : PRCA) などの新たな有害事象も発生し, 目標Hb値 (Ht値) の設定などを含め, 解決しなければならない課題も多い. 腎性貧血治療のガイドラインは欧米で確立されたが, わが国でも2004年に日本透析医学会により「慢性血液透析患者における腎性貧血治療のガイドライン」が発表され, 今後血液透析患者以外の腎性貧血治療のガイドラインの策定が待たれている.
  • 谷口 正実
    2006 年 95 巻 1 号 p. 148-157
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    NSAID不耐症は, 気道型と皮膚型に分かれる. 前者は, いわゆるアスピリン喘息 (NSAID過敏喘息) であり, プロスタグランディン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ (COX) 阻害作用を持つNSAIDsにより, 強い喘息発作と鼻症状をきたし, 成人喘息の約10%を占める. 一方, 皮膚型は, 慢性蕁麻疹患者に合併しやすい. NSAID過敏喘息の典型的臨床像は, 成人後に発症する非アトピー型重症喘息で, 好酸球性鼻茸副鼻腔炎を合併し, 嗅覚低下を伴うことである. また好酸球浸潤性の中耳炎や胃腸炎を合併することもある. その特徴的病態として, システイニルロイコトリエンの過剰産生があり, 鼻茸副鼻腔がその産生源として重要である. またCOX2阻害薬は安全に使用できることが多くの報告で確認され, 本症の本態は, COX1阻害薬過敏と考えられつつある. 臨床上注意すべき点として, 問診にてもNSAIDs誘発歴の無い症例が少なくないこと, 発作増悪しうるNSAIDsは, あらゆる剤型 (内服や坐薬だけでなく, 貼付, 塗布薬など) が含まれること, 静注用ステロイドの急速静注で発作が増悪しやすいこと, などが挙げられる.
  • 園生 雅弘, 畑中 裕己
    2006 年 95 巻 1 号 p. 158-164
    発行日: 2006/01/10
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    敗血症・SIRSと多臓器障害に陥った患者が, 重度の軸索性ニューロパチーを発症することがある. 多くの例は重症疾患の回復後, 人工呼吸器離脱困難ないし四肢の弛緩性麻痺があることで気付かれる. 重症疾患多発ニューロパチー (critical illness polyneuropathy ; CIP) と命名されたが, 同様の状況でミオパチーによる麻痺を起こすとする報告もある (critical illness myopathy ; CIM). 両者は鑑別困難なことも多く, critical illness polyneuromyopathyの統一的用語も提唱されている. 全身性ないし遠位優位の弛緩性麻痺と腱反射低下消失を呈するが, 脳神経は保たれる. 重症患者での神経学的評価はしばしば困難なので, 診断には電気生理学的検査が有用である. 神経伝導検査でCMAP・SNAPの振幅低下, 針筋電図で脱神経がみられる. 特異的治療はないが, 厳格な血糖コントロールが発症予防に役立つかもしれない. 原疾患を乗り切れば予後は比較的良好で, 完全回復例もみられる.
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