日本内科学会雑誌
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96 巻, 10 号
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特集●膠原病:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.新しい検査の意義と使い方
  • 高崎 芳成
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2124-2131
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    抗核抗体(ANA)は細胞の核成分に対する自己抗体の総称で,膠原病を中心とする自己免疫疾患で高率に検出される.特異な疾患および病像との関連,さらに疾患活動性との相関を認めるものもあり,日常診療の場において有用な情報を提供する.ANAの測定には多くの異なる方法があるが,その結果を的確に解釈するためには,個々の抗体の特性を良く理解した上で,各症例の臨床症状を勘案しながら最終的な判断をする必要がある.
  • 三森 経世
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2132-2137
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年,関節リウマチ(RA)においてシトルリン化蛋白に対する自己抗体が注目されている.特にシトルリン化ペプチドを人工的に環状化した抗原を用いた自己抗体測定法(抗CCP抗体)は,RAにおける感度・特異度に優れ,早期診断の指標や関節破壊の予後予測因子としての可能性が報告されており,RAの新たな診断マーカーとして臨床応用が進んでいる.シトルリン化蛋白はRAにおける免疫異常の主要なターゲットと考えられ,RAの病因との関連が注目される.
  • 渥美 達也
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2138-2143
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    抗リン脂質抗体は,自己免疫性血栓症および妊娠合併症と定義される抗リン脂質症候群(APS)の診断のために測定される.抗カルジオリピン抗体,ループスアンチコアグラントがひろく測定されているが,抗β2-グリコプロテインI抗体とホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体も有用な検査法である.APS以外にも抗リン脂質抗体と関連する臨床症状があり,最近それらは抗リン脂質抗体関連疾患群として提唱された.
  • 大成 洋二郎, 服部 登, 河野 修興
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2144-2150
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    KL-6とSP-Dは共に,間質性肺炎に対する鋭敏な血清マーカーとして,診断や病勢把握,さらには予後予測因子として実地臨床にて頻用されている.一方,膠原病には高頻度に間質性肺炎が合併し,その臨床経過や予後を左右する重要な病態であると理解されている.血清KL-6やSP-Dを測定することにより,膠原病患者における間質性肺炎の合併をいち早く検出できる可能性があり,また,膠原病関連間質性肺炎と診断された場合には,これらのマーカーはその病勢を見る指標としても使用しうるものと期待される.ただし,測定値を解釈する際には,KL-6,SP-Dの生物学的特性と,その測定値が保持する有用性と問題点をしっかり把握しておく必要がある.
  • 鈴木 康夫
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2151-2158
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    骨代謝回転や骨形成/骨吸収の変化を,血液や尿検査で評価する指標が骨代謝マーカーである.骨基質のI型コラーゲン前駆体由来ペプチドや骨芽細胞機能を反映する分子が骨形成マーカーとして使用される.骨吸収マーカーにはI型コラーゲンの分解産物と破骨細胞活性に関連する分子がある.骨粗鬆症や代謝性骨疾患,悪性腫瘍の骨転移,慢性腎不全の診療に臨床応用されているが,関節リウマチにおいても変動が注目されている.
II.診断と治療の実際
  • 田中 良哉
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2159-2164
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデスは,多臓器病変を特徴とする代表的な膠原病で,患者数は約10万人と推定される.臨床症候,検査成績,画像所見などから総合的に診断を確定し,疾患活動性,臓器病変,重症度を総合的に評価して治療適応を決定する.初期治療は,ステロイド薬と免疫抑制薬が中心となるが,適応や使用量を十分に見極める必要がある.維持療法では臨床症候を把握し,疾患の増悪,日和見感染症などの副作用の発症に留意する.
  • 梅原 久範, 田中 真生, 正木 康史, 福島 俊洋
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2165-2170
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    強皮症(全身性硬化症;Systemic Sclerosis:SSc)は,硬化病変が皮膚だけにとどまらず消化管,肺,腎などに及ぶ全身性疾患である.皮膚硬化の範囲により,広汎性と限局性に分けられる.疾患標識自己抗体として抗トポイソメラーゼI抗体(抗Scl-70抗体)と抗セントロメア抗体がある.臓器病変として肺線維症,腎性高血圧症,心筋病変,吸収不良症候群などが重要で予後は臓器合併症の重症度に左右される.
  • 川合 眞一
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2171-2176
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)は,原因不明の炎症性ミオパチーであり,自己免疫疾患と考えられている.PMの診断は近位筋の筋力低下,血清筋原性酵素濃度の上昇,筋電図での筋原性変化,筋生検所見によるが,DMでは顔面などに特徴的皮疹を認める.筋外症状としては,急性間質性肺炎合併例の予後は悪い.治療は大量ステロイド療法が一般的だが,メトトレキサートなどの免疫抑制薬や大量免疫グロブリン療法も試みられる.
  • 尾崎 承一
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2177-2188
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    血管炎は罹患血管サイズに基づき分類される(Chapel Hill分類).大型血管炎と中型血管炎では細胞性免疫の関与(肉芽腫形成性自己反応性T細胞),小型血管炎では液性免疫の関与(抗好中球細胞質抗体や免疫複合体など)が主要な発症機序である.血管炎は多彩な臓器症状と炎症所見を呈する.早期診断,早期治療が重要であり,ステロイド薬や免疫抑制薬が用いられる.寛解後も感染症と再燃に注意する必要がある.
  • 亀田 秀人, 竹内 勤
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2189-2195
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    関節リウマチの診断は新たな自己抗体や画像診断の進歩により向上した.治療はメトトレキサートが中心であるが,生物学的製剤による腫瘍壊死因子阻害の普及に伴い,治療目標を臨床的寛解に設定することが現実となった.関節や関節外臓器に非可逆的なダメージを集積させないことが予後の向上に不可欠であり,最初に患者が受診する実地医家の役割はますます重要となっている.
  • 野々村 美紀, 宮坂 信之
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2196-2200
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    混合性結合組織病は全身性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎の症状が混在し,抗U1-RNP抗体陽性の重複症候群とされる疾患である.Raynaud現象,特徴的な指ないし手背の腫脹(ソーセージ様腫脹)を高頻度に認める.一般に副腎皮質ステロイド薬によく反応し予後良好とされるが,肺高血圧症のような予後不良の臓器症状を合併しうるため注意が必要である.
  • 住田 孝之
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2201-2205
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Sjögren症候群(Sjögnre’s syndrome,SS)は病因として自己免疫の関与が考えられており,特徴ある症候としてドライマウス,ドライアイ,関節炎を呈する全身性疾患である.診断は厚労省の診断基準に従い,病理検査,口腔検査,眼科検査,血清検査によりなされる.腺症状に対しては対象療法であるが,活動性の高い臓器病変にはステロイド,免疫抑制剤の投与も必要となる.40~60歳代の女性がドライマウス,ドライアイ,関節痛,微熱を訴える場合,SSの可能性を考慮する必要がある.
  • 大田 明英
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2206-2213
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    成人Still病は原因不明の全身性炎症性疾患であり,発熱,関節症状,皮疹,炎症所見,高フェリチン血症等を特徴とする.山口らの分類基準が診断に有用であるが,確定診断には他の熱性疾患を十分に除外する.基本的治療薬はステロイドであり,治療抵抗例にはメトトレキサートやシクロスポリン等の免疫抑制薬が,また近年は生物学的製剤が有効とされる.一般に予後は良好であるが,マクロファージ活性化症候群の合併は重症化しやすい.
  • 佐野 統
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2214-2219
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    リウマチ性多発筋痛症(PMR)は高齢者に発症する体幹近位部の上肢帯,下肢帯,こわばりを主訴とする原因不明の炎症性疾患である.側頭動脈炎(TA)を合併することがしばしばある.特異的な臨床所見に乏しいため,鑑別診断に苦慮することも多いが,TAの合併がない場合は低用量のステロイドが著効する予後良好な疾患である.赤沈値の高度の亢進とCRPの上昇がみられ,自己抗体は陰性である.筋電図や筋生検像に異常はみられない.TA合併例では大量のステロイドが必要である.ステロイド抵抗例には免疫抑制薬やTNF-α阻害薬が有用である.
  • 広畑 俊成
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2220-2225
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Behçet病は再発性口腔内アフタ性潰瘍,皮膚症状,外陰部潰瘍,眼病変を4主症状とする原因不明の炎症疾患である.特殊病型として,腸管の潰瘍性病変を示す腸管Behçet,大小の動静脈の病変をきたす血管Behçet,脳幹・小脳・大脳白質の病変を主体とする神経Behçetがあり,これらは患者の生命予後を左右することから,眼病変ともに極めて重要なウェートを占める.近年,難治性眼病変に対する抗TNF-α抗体療法の有用性が証明され,特殊病型にも応用が期待される.
III.最近の話題
  • 横田 俊平
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2226-2234
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    リウマチ学の発展に伴い小児期のリウマチ性疾患,若年性特発性関節炎と全身性エリテマトーデスの治療戦略は著しく進化し,治療には生物学的製剤など新しい概念に基づいた薬剤が導入され,「慢性疾患」の汚名を返上する時代となった.他のリウマチ性疾患,若年性皮膚筋炎,血管炎症候群,Behçet病,若年性全身性皮膚硬化症,自己炎症症候群,線維筋痛症などの現状での問題点,最近の進歩についても触れた.成人に比べ生命予後の長い病児達が,健康な子どもたちと同様の生活が営めるようにすることが小児リウマチ医の役割である.
  • 西岡 久寿樹
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2235-2240
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    線維筋痛症は中高年の女性を中心に発症原因が不明の特有の全身の筋骨格系を中心とする中枢性の疼痛疾患である.その病態は精神症状から消化管,粘膜症状など多彩な症状を呈する.一方,本症は客観的データが乏しいために診断や病態の把握に困難を招くことも多く,一般内科医やかかりつけ医の臨床的な面での対応は未だ遅れている.最近,厚生労働省の研究班を中心に病因,病態の解明が進められている.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 西井 基継, 猪又 孝元, 和泉 徹
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2296-2304
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    心ポンプ機能の破綻を露呈する劇症型心筋炎は,生命危機を引き起こす疾患として認識せざるを得ない存在となっている.それ故,心筋組織炎症の病態解明は重要な課題である.現在,解明の突破口として注目を浴びているのがサイトカインである.また,劇症型心筋炎に対する,有効な手段として機械的補助循環装置が挙げられるが,この治療方針の決定にサイトカインが有用である可能性も最近報告された.
  • 柳田 素子
    2007 年 96 巻 10 号 p. 2305-2310
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    従来の腎疾患治療法は予防的であり,慢性腎不全に陥った腎臓を元に戻す薬は未だ存在しない.近年薬理量のBone morphogenetic protein(BMP)-7を投与すると一旦完成した腎障害が修復され,腎機能が回復することが報告された.しかしながらBMP-7を全身投与すると作用が腎臓に限局せず,副作用が予想される.本項ではBMPとその調節因子に関する最近の知見を紹介するとともに,筆者らが発見した新規腎臓特異的BMPアンタゴニストUSAG-1の機能およびUSAG-1を標的とした腎疾患治療薬の可能性について概説したい.
専門医部会
診療指針と活用の実際
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
プライマリ・ケアにおける内科診療
知っておきたい新しい医療・医学概論
シリーズ:revisited(臨床疫学・EBM再探訪)
シリーズ:EBM
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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