日本内科学会雑誌
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96 巻 , 11 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
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特集●注目される感染症:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.インフルエンザの動向
II.人獣共通感染症
  • 西園 晃
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2400-2405
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    狂犬病ウイルスは,通常病獣の咬傷から唾液を介して感染し,末梢神経から求心性に上行し中枢神経に侵入する.脳内での増殖後は神経を遠心性に下降し全身の臓器に拡がる.臨床的には恐水症など典型的な狂躁型を示すものと麻痺型で経過するものがある.発症した後の救命はほとんど不可能なので,病獣からの曝露を受けた場合は,早急にワクチンの接種により発症予防をすることが肝心である.再興感染症の代表としての狂犬病について概説する.
  • 渡辺 彰, 高橋 洋
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2406-2412
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Q熱は,リケッチア類似のCoxiella burnetiiによる肺炎や気管支炎等の総称であり,一過性熱性疾患である.欧米では市中肺炎の第4~5位を占めており,血清抗体価の有意上昇で診断する.無治療でも死亡率は1~2%と予後良好であるが,一部に遷延例や慢性型もあるので確定診断例や強い疑いの例では積極的に治療する.偏性細胞内寄生性の本菌にβ-ラクタム薬は無効であり,テトラサイクリン薬やマクロライド薬,キノロン薬が奏効する.
  • 野崎 智義
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2413-2417
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    クリプトスポリジウムは,マラリア原虫やトキソプラズマと同様に,胞子虫網コクシジウムに属する原虫である.クリプトスポリジウムはヒト及び動物の腸管に寄生し,小腸上皮細胞に侵入し増殖する.これらの原虫は健常人には通常大きな病害性を示さないが,時に旅行者下痢症の原因となったり,水道水等の汚染により集団感染を起こす.また,HIV/AIDSなどの免疫不全患者の感染では劇症の下痢症・多臓器への感染により時に致死的な経過をたどることがある.本稿では日和見腸管感染症として重要なクリプトスポリジウム症の生物学・疫学・臨床,更に最新の診断,将来の新規治療標的などを含め概説する.
  • 加藤 孝宣, 高橋 和明
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2418-2422
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    この数年間でE型肝炎に関する常識は大きく変化した.かつては輸入感染症であったはずのE型肝炎は,今や国内感染の頻度が輸入感染を遥かに上回っている.そして国内感染の主な感染経路が動物由来であることが明らかとなってきた.鹿・猪・豚の肉や内臓を非加熱,あるいは不充分加熱状態で食することによりE型肝炎が起こり得る.原因不明の急性肝炎症例ではE型肝炎も選択肢の一つとして認識すべきである.
  • 佐々木 彰一
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2423-2428
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    牛の海綿状脳症は,ヒトへ感染して変異型Creutzfeldt-Jakob病(vCJD)を引き起こす,人獣共通感染症のひとつである.2007年4月現在,英国で165例のvCJDが報告され,わが国では2005年2月に第一例目が確認された.vCJD発症者のコドン129の遺伝子は全例メチオニンのホモ接合体で,ホモ接合体が多い東洋人は感染の危険が高い.治療法がなく,ヒトへの二次感染をいかに防御するかが最大の課題である.
III.蚊媒介性感染症
  • 只野 昌之
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2429-2434
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    デング熱やデング出血熱/デングショック症候群はフラビウイルス科に分類される四種類のデングウイルスの感染によって惹き起こされる疾患で,重症度の違いはシーケンシャルなデングウイルスの感染,感染時の宿主側の免疫応答,ウイルスの毒力等々が複雑に絡み合って生じると思われ,完全解明にはこれからも詳細な研究努力が必要である.予防可能なワクチンは開発途上にあり,特効的な治療法も無い.とくに,重症度の高い病態では死に至ることもある看過できない感染症である.
    起因ウイルスは節足動物媒介性で,主な媒介昆虫はネッタイシマカという熱帯性の蚊である.また,主たる感受性脊椎動物がヒトであることから,本症の流行地は熱帯の人口密集地域である.現在,温帯の日本国内ではネッタイシマカが生息していないので自然感染環が成立せず国内での自然感染は起こらないはずであるが,毎年数十例の発生が報告されている.国立感染症研究所のまとめによれば,報告地の気象条件等には依存せず,ほぼ人口に比例して全国から少数ずつ報告されている.これらの発生例は全てが輸入感染症で,検疫や地方衛生研究所,臨床家の努力(感心?)によって確認された.しかし,これらの報告数は氷山の一角に過ぎず実態は更に多いと推測される.将来,本症への関心が高まればさらに報告数が増え実態が明らかになると思われる.
    最近は確定診断の決め手となる実験室内診断法も進歩しており,簡便かつ迅速な抗体検査キットやウイルス遺伝子診断法の普及によって,国立感染症研究所や大学研究機関,各都道府県の公衆衛生研究所はもとより臨床検査機関でも受け入れ易くなった.
    本症の世界分布はヒトの移動により世界各地に広がって今に至っていると推察されるが,近年は航空機による移動手段の普及により,本症のグローバル化はとどまるところを知らない.我が国においても,日本人観光客の海外渡航先はアメリカやヨーロッパだけではなく東南アジア,中南米,アフリカと多様になり,旅行者が感染する機会も増えているようだ.そのことは国立感染症研究所のまとめた報告数と渡航先,渡航目的にも現れている.さらに,今問題になっている地球温暖化が進めば,将来の日本もデング感染症の常在地になることは否めず,各方面が準備態勢を整えておくことは重要であろう.
  • 貫井 陽子, 高崎 智彦
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2435-2441
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    ウエストナイル熱は1999年米国ニューヨーク市での流行を契機に全米へ感染が拡大し,世界的に注目を集めている.本邦でも2005年に米国旅行後の患者で感染が確認されている.感染は蚊に吸血されることにより成立するが,これまでに輸血,臓器移植,母乳を介した感染の報告もある.診断は,病原体検出及び血清学的診断により行う.現時点でヒトに対し有効な特異的治療法や認可されたワクチンはない.
IV.性感染症
  • 塚田 訓久
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2442-2449
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    本邦ではHIV(human immunodeficiency virus)感染症は依然増加している.抗HIV療法の進歩により,HIVの増殖を効率的に抑制し破壊された免疫系を再構築することは,多くの症例で可能となってきた.治療薬のさらなる進歩により,より効果的かつ安全な治療が可能となると思われるが,体内からHIVを排除することは不可能であり,治療は生涯継続する必要がある.長期治療による毒性や薬剤耐性HIVの出現の問題もあり,新規感染予防の重要性はますます高まっている.
  • 高橋 祥一, 茶山 一彰
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2450-2455
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    我が国でのB型慢性肝炎の感染経路のほとんどが母児感染である一方,成人のB型急性肝炎の大部分は性感染によるものであり,特に元来本邦に存在しなかったgenotype Aの感染例が近年多く見られる.
    B型急性肝炎の重症化例に対しては,積極的に核酸アナログを投与し,肝炎の進展を抑えるべきであるが,性感染による急性B型肝炎ではHIV(ヒト免疫不全ウイルス)との重感染の可能性があり,投薬時には薬剤耐性ウイルスの出現に対する配慮が必要である.
  • 松本 光司, 吉川 裕之
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2456-2464
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    ヒトパピローマウイルス(HPV;human papillomavirus)は現在90以上の型が分離されているが,HPVの型によって感染部位と生じる疾患が異なる.子宮頸癌の90%以上からHPV DNAが検出され,我が国ではHPV16,18,31,33,35,52,58型の7タイプがとくにハイリスクである.海外ではワクチンがすでに市販されており,ワクチンによる感染予防が現実のものとなってきた.
V.病院内感染症
  • 朝野 和典
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2465-2469
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    緑膿菌は,もともと抗菌薬に耐性のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌であるが,緑膿菌に有効な数少ない抗菌薬(カルバペネム系をはじめとするβラクタム系,フルオロキノロン系,アミノ配糖体系抗菌薬など)にすべて耐性になった緑膿菌を多剤耐性緑膿菌と呼ぶ.多剤耐性緑膿菌は,院内感染をひき起こす代表的な細菌のひとつであり,いったん感染症を発症するとわが国では有効な抗菌薬が無いため最も難治な細菌感染症といえる.
  • 吉田 敦
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2470-2475
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    ペニシリン系,セフェム系抗菌薬を広く分解する酵素が基質拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamases:ESBLs)である.特に大腸菌,肺炎桿菌,プロテウスなどの腸内細菌において,ESBLs産生菌が報告されている.ESBLs産生菌による感染症は,治療できる抗菌薬が非常に限られていること,さらにESBLs産生菌は施設内感染の原因となりうることから,治療と感染対策の両面にわたって,十分な認識と対策が必要である.現在その増加が指摘されており,今後も厳重な監視を行っていかなければならない.
  • 小林 宣道, 長嶋 茂雄
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2476-2483
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    病院感染,施設内集団感染として起こる胃腸炎・下痢症の大部分はロタウイルス,ノロウイルスを中心とするウイルスによるものである.近年の分子疫学的研究により,ロタウイルスのG血清型G9,G12やノロウイルスの遺伝子型GII/4など,世界的な流行ウイルスの型が明らかになりつつあり,それらの蔓延が懸念されている.胃腸炎ウイルスは感染力が強く,環境中でも比較的安定である.また無症候性感染や症状回復後のウイルス排出も見られる.したがって集団感染の抑制には,標準予防策・接触感染予防策の徹底に加え,胃腸炎患者の早期発見,原因ウイルスの同定と,迅速な物理的封じ込めの実施が必要である.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 西川 哲男, 齋藤 淳, 大村 昌夫
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2539-2545
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    最近の疫学試験にて,高血圧に占める原発性アルドステロン症(PA)の頻度は5~10%と報告され,決して稀な疾患ではないものと考えられている.PAは外科的処置にて治癒が期待される疾患でありその鑑別は治療法の選択の上で重要となる.一方,本邦でのPA診断基準は確立されていない.そこで,日本内分泌学会並びに厚生労働省“副腎ホルモン産生異常に関する調査研究(藤枝班)”の要請にて全国から新進気鋭の研究者をメンバーとしてアルドステロン症検討委員会が平成18年4月に設立された.最初に,PAのスクリーニング法に関して検討を行い以下の提案を行った.(1)プライマリースクリーニングを行うことが重要であるので,対象は高血圧患者全例とする.(2)方法は座位にて血漿レニン活性(PRA:ng/ml/hr)・血中アルドステロン濃度(PAC:ng/dl)を同時測定する.(3)PAのスクリーニング診断基準(カットオフ値)はPAC/PRA比(aldosterone-renin ratio:ARR)>20とする.(4)治療中の症例に関しては,降圧薬を2週間Ca拮抗薬(+α遮断薬)のみに変更して採血を行い,同様の診断基準を用いる.PAスクリーニング法の検討の際に,診断確定法・対象患者が論文ごとに異なっているが,本検討委員会ではPAのスクリーニング法としてARR>20がガイドラインとして広く高血圧診療に用いられるものと考えられた.さらに,アルドステロンの自律性分泌を明らかにする上で各種負荷試験を行い副腎静脈サンプリングあるいは,CTにて局在診断を行う.
  • 上嶋 健治
    2007 年 96 巻 11 号 p. 2546-2553
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    従来,循環器疾患治療の原則は安静であり,運動療法は禁忌とみなされていた.しかし,心臓リハビリテーション(心リハ)が運動耐容能だけでなくQOL(quality of life)や生命予後までも改善することが報告されてきた.とくに心筋梗塞後の死亡率を大幅に改善するとともに,ステント留置例にも早期から安全に実施できることが明らかにされた.また,心リハはACC/AHAの慢性心不全のガイドラインでもクラスIのエビデンスレベルで有効性が証明されている.本邦でも1988年に心筋梗塞症例に心リハの保険診療が認められて以降,現在まで狭心症,開心術後,大血管疾患,慢性心不全,末梢動脈閉塞性疾患にも適用拡大されてきた.しかし,欧米では心リハが当初の身体機能の回復から,冠危険因子是正や冠動脈病変退縮を目的とした予防活動に変貌しつつある.その中で,本邦の「エクササイズガイド2006」は,メタボリックシンドロームを念頭に置き,運動の実践方法を提示したものといえる.このように,心リハは,循環器患者の「回復の医学」でもあり,健常者も含めた「予防の医学」でもある治療効果の大きい先進医療である.
専門医部会
診療指針と活用の実際
四国支部教育セミナーまとめ
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
プライマリ・ケアにおける内科診療
知っておきたい新しい医療・医学概論
シリーズ:revisited(臨床疫学・EBM再探訪)
シリーズ:EBM
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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