日本内科学会雑誌
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96 巻, 12 号
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特集●医学教育の現状と展望
Editorial
トピックス
I.卒前医学教育の現状
II.新臨床研修制度の影響
  • 福井 次矢, 高橋 理, 徳田 安春, 大出 幸子, 野村 恭子, 矢野 栄二, 青木 誠, 木村 琢磨, 川南 勝彦, 遠藤 弘良, 水嶋 ...
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2681-2694
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    平成16年度に開始された新医師臨床研修制度が研修終了時の研修医の臨床能力にどのような影響をもたらしたのかを調査する目的でアンケート調査を行った.旧制度下の研修医(平成15年3月の2年次研修医)に比べて新制度下の研修医(平成18年3月の2年次研修医)は,調査対象となった幅広い臨床能力の修得状況(自己評価)が全般的に著しく向上し,以前認められていたような大学病院の研修医と研修病院の研修医との差がほとんど認められなくなった.また,調査対象となった82の症状·病態·疾患と4種類の医療記録すべてについて,旧制度下の研修医に比べて新制度下の研修医の経験症例数·記載件数が有意に多かった.新医師臨床研修制度による研修医の幅広い臨床能力修得という目的は達成される方向にあることが示唆された.
  • 森田 孝夫
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2695-2702
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    新臨床研修制度が導入されてから顕在化した問題の背景には,学部教育への職業教育の導入と特定機能病院である大学病院の教育上の役割の変化がある.現状の混乱を終息させるには,職業教育に対する理解と教育の場を地域に拡大するのを許容する寛大さが大学人に求められている.一方で,卒前臨床実習と卒後臨床研修の重複を排除し,整合性を計るとともに,地域性を考慮したマッチングシステムを構築することが不可欠である.
  • 岸田 明博
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2703-2707
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    新医師臨床研修制度は研修医だけではなく,指導医側にも大きな変革をもたらした.研修医にとっては研修先が多岐にわたることを意識させることとなり,ややもすれば受動的な傾向の強い医学生に,医師としての人生に対して能動的に取り組む姿勢を持たせることとなった.当初,指導医層には新医師臨床研修制度導入により,教育という業務の増大を懸念する声もあったが,屋根瓦方式により,外来や手術といった本来の業務に以前にも増して専念できる結果となった.また,研修医への指導が自らへのインセンティブとなり,新たな気持ちでの学習の機会を持つこととなった.新医師臨床研修制度により,卒後初期研修の大枠は決定されたが,その細則や指導法には不明な点も少なくない.その点に関して,"独り立ちのできる臨床医の育成"を目標とした"Hands-on"方式による実践的研修と,"屋根瓦方式"による研修医チームの編成が大きな成功の鍵を握っている.初期研修において大切なことは,個々の疾患の勉強ではなく,自らに適した勉強法を身につけることであり,また,どんな困難にも自信を持って挑戦できるような"強い精神力"とそれを支える"平静の心"の基礎を築く点にある.この両者にさらに英語力が加われば,"世界に通用する本物のプロ"への道は自然に拓けてくるはずである.
  • 佐土原 道人
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2708-2714
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    新医師臨床研修制度で,「臨床研修指導医」が定義され,指導医の役割にも変化が起きている.自らの専門領域の指導に加え,プライマリ·ケアを中心とした臨床能力の指導が求められ,医師としての人格の涵養などの情意領域の指導も求められるようになった.臨床研修の到達目標に従った臨床研修医の評価と指導を直接行うのが指導医の主な業務である.新制度に伴う指導医の役割の変化と現場での工夫を概説する.
  • 堀之内 秀仁
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2715-2721
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    多診療科をローテーションする新臨床研修制度の導入により,研修医はより幅広い疾患を経験し,研修目標達成度も有意に増加している.その一方で,短期間ローテーションの影響,研修医から後期研修医·若手医師への業務移行,研修医の研修·労働状況の管理の必要性が出現している.これらの諸問題に加え,今後は若い医師の妊娠·出産·育児への対応,後期研修を中心としたキャリアパスをいかに提供するかがポイントとなってくる.
  • 齋藤 英彦
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2722-2726
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    平成16年4月から始まった新医師臨床研修制度も4年目に入り軌道に乗ってきた.良医の養成という点で正当な評価を得ているが,これを一つのきっかけとして始まった診療科の偏在,医師需給への影響,将来の基礎医学志望者の減少などが危惧されている.5年以内の見直しという当初の計画どおり「どのように改善するか」を検討しつつある.医師の卒前,卒後初期,卒後後期,生涯教育の一貫した流れの中での位置付けが重要である.
III.専門医研修コースと専門医制度
  • 下条 文武
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2727-2731
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    平成14年4月,厚生労働省による「学会専門医」の広告開示が承認された.これに対応して,認定内科医を一階とし,認定内科医資格取得後3年以上の研修を修了した後に「認定内科専門医」の受験資格が得られるとする,新二階建制が制定された.内科系13学会(subspecialty)の専門医制度との整合性もとられた.また,平成16年度に始まった臨床研修を修了した認定内科医受験資格者に対応できるように,研修カリキュラムと受験資格も大きく改訂された.
  • 池田 康夫
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2732-2736
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    欧米に比べ遅れて発足した我国の専門医制度であるが,その制度を整備する道程は決して平坦ではなかった.最近になって漸く我国の医療における専門医の意義に関する議論が国民的関心事となり,各学会では専門医制度の充実に向けた取組みが進んでいる.高い知識·技術水準や倫理観をもつ医師の認定を行う各学会の専門医制度の整備·標準化を患者の視点にたってとりまとめる役割を果たす日本専門医認定制機構の充実が強く望まれている.
  • 小泉 俊三
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2737-2743
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    最近,日本医師会が生涯教育推進の立場から検討を開始した認定総合医制度や厚生労働省の標榜総合科構想などを通じて総合診療(医)が注目されている.GeneralistとしてのCore Valueを共有するプライマリ·ケア関連3学会(*)は合同への協議を重ねているが,認定制度の検討に当たっては僻地から大学病院に至るまで,"診療の場"に特有のコンピテンシーを,従来の内科医との違いも含め,医学生はもとより,国民に分りやすく示す必要がある.

IV.生涯教育
  • 北村 聖, 永井 良三
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2744-2750
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    医学教育は社会のさまざまな面と接点があり,多様な価値観が含まれる.最新の医学知識を身につけるだけでなく,職業専門人としての教育も求められる.とくに学生時代に学ぶ知識や技能と,現場で求められる知識·技能の解離の大きいことが,多くの混乱を招いている.しかし知識不足だけが,混乱の原因ではない.医療のあり方や,医学研究の進む方向が十分に議論されてこなかったことも一因と思われる.医療安全の問題は,近代化をめざす医療システムの根本に関わる問題であり,医学教育,なかんずく生涯教育の恰好の課題である.また,近年の臨床研究の停滞は,これまでの実験医学のあり方を基本から見直す機会を与えた.医療者の生涯教育で取り組むべき重要な課題であることが明らかになったと言える.本稿では,我が国の生涯教育の現状と課題,さらに今変わりつつある医療と医学の考え方について紹介した.
  • 橋本 信也
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2751-2757
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    医師の生涯教育はパブリックミッション(公的使命)を背負ったプロフエッショナルの責務である.しかし一方で近年,医療安全,医療の質の向上という観点からプロフエッショナルとしての医師の能力を問う声が大きくなってきた.それに対応するために生涯教育も転換を図ることが迫られている.従来の講演会偏重の受動的学習から参加型の能動的学習に変えようとする米国,英国の最近の動向をみることにする.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 諏訪 昭
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2804-2811
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    膠原病において高率に合併する肺高血圧症(PH)は難治性病態の一つであり,診断および治療法の開発は重要な課題であった.近年,心ドップラーエコー法による診断法の精度は向上し,プロスタサイクリン持続静注療法やエンドセリン受容体拮抗薬が承認され治療法は大きく進歩をした.膠原病性PHは主に肺動脈性肺高血圧症(PAH)であるが,間質性肺病変によるPHや慢性肺血栓塞栓症によるPH,肺動脈末梢の血管炎によるPHなどもみられる.また,膠原病性PAHは,免疫異常や炎症などの側面をもつ.膠原病性PAHの病態を解明し,ステロイドや免疫抑制薬,血管拡張療法による特異的な治療法を確立することにより,予後の改善が期待される.
  • 平野 勉
    2007 年 96 巻 12 号 p. 2812-2818
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    多くの慢性腎臓病(CKD)には脂質異常症が続発するが,その成因にはアルブミン尿と腎機能低下の要因が複雑に関連する.CKDにおける脂質代謝異常が腎疾患を悪化させるリスクとなることのみならず冠動脈疾患のリスクであることが指摘されている.強力なLDLコレステロール低下薬であるスタチンは腎機能低下を抑制し,タンパク尿を軽減させることがメタ解析で示されている.強力なトリグリセリド低下とHDLコレステロール増加作用を有するフィブラートはタンパク尿を低下させる可能性があるが,腎機能低下症例では排泄が遅延するため慎重に投与すべきである.様々な脂質代謝改善薬の腎機能に対する影響をみたも小規模の臨床研究はあるが,脂質低下療法がどの程度タンパク尿を改善し,どの程度腎機能の保持に寄与するかについては大規模で長期的な介入試験の集積が必要である.
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