X染色体性低リン血症性骨軟化症は,最も頻度の高い遺伝性低リン血症性くる病・骨軟化症であり,成長障害,低リン血症,尿細管におけるリン酸再吸収障害,ビタミンD代謝異常によって特徴づけられる.1995年に,本症の原因遺伝子として
PHEX(phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)が同定された
1).
PHEX遺伝子の産物はエンドペプチダーゼであると推察されるが,現在のところその基質は不明であり,本症の発症機序はいまだ明らかにはなっていない.本稿においては,
PHEX遺伝子同定の経緯および本症の発症機序についてのこれまでの知見を概説するとともに,臨床症状と診断,治療の現況についても述べる.
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