日本内科学会雑誌
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97 巻 , 5 号
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
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特集●腎疾患:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.診断へのアプローチ
  • 森戸 直記, 山縣 邦弘
    2008 年 97 巻 5 号 p. 913-920
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    末期腎不全による透析患者の世界的な増加から慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)の疾患概念が提唱され,その早期発見と治療が早急な課題となっている.CKDの定義の一項目としての腎障害は,事実上検尿異常のなかでも蛋白尿の存在と同義語であり,蛋白尿は腎機能低下の危険因子であるだけでなく心血管疾患の発症の危険因子である.尿検査は簡便で安価であり,検尿異常の存在とその異常の種類(蛋白尿単独,血蛋白尿など),尿蛋白排泄量やその経過は,腎臓病の原因を知る上での基本的アプローチとしてきわめて重要である.
  • 今井 圓裕, 堀尾 勝
    2008 年 97 巻 5 号 p. 921-928
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎機能検査は糸球体濾過量(glomerular filtration rate;GFR)を見るものと,尿細管機能を見るものに分かれる.糸球体機能を反映するGFRはイヌリンを持続注入し,クリアランスを測定することにより求める.実際の臨床上は,血清クレアチニン値と年齢を用いてGFRを計算する推算式が用いられる.尿細管機能は近位尿細管の機能を見る検査と遠位尿細管・集合管機能を見る検査に分かれる.多くは負荷試験であり,適応を考慮して慎重に行うことが必要である.
  • 孫 大輔, 南学 正臣
    2008 年 97 巻 5 号 p. 929-933
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    BUN(血中尿素窒素)やクレアチニンは腎機能を推定するのに便利な指標であるが正確なものではない.特にBUNは脱水や心不全など腎血流が低下した状態では尿細管内での再吸収が亢進するため高値となる.一方,血清クレアチニンは,筋肉量にほぼ比例するため大きく変動することはなく,腎機能の指標として適している.しかし高齢女性,四肢切断者,筋萎縮者で低値となるので注意が必要である.
  • 土本 晃裕, 平方 秀樹
    2008 年 97 巻 5 号 p. 934-941
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎疾患,特に,慢性糸球体腎炎では,初期の自・他覚症状が乏しく,検診などで蛋白尿を指摘されてはじめてきづかれることも多い.腎疾患を組織学的に確定診断し,治療方針を決定し腎予後を推定するためには腎生検が最も重要な診断手技となる.一方,腎生検は,血流豊富な臓器である腎を穿刺する観血的検査なので出血は不可避で,常に出血合併症が最も問題となる.したがって,腎生検では,その適応と禁忌を充分に吟味し,合併症のリスクを最小限に留めなければならない.本稿では,腎生検の適応と禁忌,実施の手技,合併症について概説する.
  • 横山 仁, 山谷 秀喜, 浅香 充宏
    2008 年 97 巻 5 号 p. 942-947
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    健診などで尿異常あるいは腎機能障害を指摘された場合は,かかりつけ医が検尿ならびに推算糸球体濾過量(eGFR)を含めた二次評価を行い,1)0.5g/gクレアチニンまたは2+以上の蛋白尿,2)eGFR 50ml/min/1.73m2未満,あるいは3)尿蛋白と血尿がともに1+以上の陽性の場合に腎臓専門医に紹介する.基本的には,かかりつけ医が診療連携のもとに慢性腎臓病ステージ1~3の診療にあたる.
II.検査データの見方
  • 西川 和裕
    2008 年 97 巻 5 号 p. 948-954
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    IgA腎症や膜性腎症では腎組織に補体が沈着し局所での補体活性化を示すが,血中の補体は低下しない.より強力な補体活性化が持続するループス腎炎や膜性増殖性糸球体腎炎では低補体血症がみられる.低補体血症を呈する疾患・病態は限られている.血中補体価,C3,C4測定結果から補体欠損症が発見でき,補体活性化を伴う疾患では補体活性化経路判別による病態の解析が可能となる.ここでは,補体の概説,腎疾患との係わり,血中補体の見方を解説する.
  • 相馬 淳
    2008 年 97 巻 5 号 p. 955-961
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    IgGの異常は腎疾患と深く関わっており,最近,IgGの量的異常をサブクラスまで掘り下げて検討がされている.高IgG4血症に伴う腎障害はいわゆる"IgG4-related systemic disease"の一部分症である.また,サブクラス分析はある種の腎疾患の鑑別に用いることができる.IgGの質的異常ではmonoclonal immunoglobulin deposition diseaseという疾患概念が近年確立されたが,十分浸透しているとはいいがたい.早期の診断治療が予後を大きく左右するため銘記しておくべき疾患群である.
  • 比企 能之
    2008 年 97 巻 5 号 p. 962-970
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    IgA腎症の沈着IgAはIgA1優位だが,IgA1ヒンジ部は血清タンパクとして極めて例外的にO結合型糖鎖を持つ.本症患者血清及び沈着IgA1のこの糖鎖で,特にGal数の減少している事(糖鎖不全)が示唆された.また,動物実験で糸球体沈着性IgA1の糖鎖不全が示唆され,IgAの糸球体沈着に関与する可能性が想定された.本稿では最新の知見を中心にして,IgA糖鎖の面からIgA腎症の成因を論じる.
  • 湯澤 由紀夫, 伊藤 功
    2008 年 97 巻 5 号 p. 971-978
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎疾患,特に急性腎疾患ではより早期に障害を特定し治療を開始することが重要であるが,腎機能評価のスタンダードである血清クレアチニンの上昇は,腎不全の確立を特定するにほかならない.尿細管障害の鋭敏な指標として,尿中尿細管酵素,低分子量蛋白である尿中NAGや尿中β2ミクログロブリンが,海外ではα1ミクログロブリンが用いられている.急性腎障害をより早期に特定し治療成績を改善するべく,新たな優れたバイオマーカーの研究・開発が急がれている.
  • 有村 義宏
    2008 年 97 巻 5 号 p. 979-985
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎炎の中には,血清中に自己抗体を認め,この自己抗体が直接,間接的に腎炎の病態に関連している疾患がある.代表的な自己抗体として,抗糸球体基底膜抗体,抗dsDNA抗体,抗好中球細胞質抗体がある.これらの自己抗体は主に疾患標識抗体として,また治療の指標として臨床に利用されている.いずれの抗体が陽性の腎炎でも,診断が遅れると急速進行性腎炎症候群の経過で腎不全が進行することがあるため,早期の診断・治療開始が重要である.
  • 遠藤 正之, 仁科 良, 呉 瓊
    2008 年 97 巻 5 号 p. 986-993
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎生検組織標本は光学顕微鏡,蛍光抗体法,電子顕微鏡の3種類で観察する事が必要であり,なるべく薄く切られた切片で観察する事が重要である.糸球体疾患は病理組織診断にて確定診断が下され,患者の腎機能予後の推定ならびに治療方針の決定がなされる.本稿では,腎生検標本の標準的な染色とその特徴,標本を観察する上で必要な基本的病変の定義,比較的頻度が高い腎疾患の組織像と,典型的病理像を示す疾患について概説した.
III.治療法の実際
  • 伊藤 貞嘉
    2008 年 97 巻 5 号 p. 994-1001
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎障害患者の腎臓及び生命予後を改善させる為には,レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬を用い,十分な血圧管理と尿蛋白(アルブミン)の正常化を目指すことが肝要である.降圧目標は130/80mmHg未満で,尿蛋白が1g/日以上であれば,125/75mmHgとなる.尿蛋白は定量的に評価し,治療の臨床指標とする.尿蛋白の十分な減少のためには,しばしばRA系抑制薬の増量や併用が必要となる.腎機能が低下していても,尿蛋白がある時は少量から注意して使用することが望ましい.
  • 中尾 俊之
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1002-1007
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎疾患の食事療法では,腎機能低下の程度と蛋白尿の程度により,たんぱく質と食塩,カリウム,リン摂取量を「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版(日本腎臓学会)」に則って適応する.また総エネルギー必要量は性別,年齢,身体活動レベルにより推定し,患者の体重変化を観察しながら調整を加える.食事指導を有効に生かすためには,medical professionalsによるチーム医療体制が必須であり,患者に対し,繰り返し反復した指導ができる診療システムを構築することが重要である.
  • 野島 美久
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1008-1015
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    副腎皮質ステロイド薬は多くの原発性・続発性腎疾患の第一次選択薬である.一方,免疫抑制薬はステロイドに抵抗性を示す症例に対して一般に投与される.また,一部の疾患では免疫抑制薬の積極的な使用が腎予後を改善させるとされてきた.しかし有効性と安全性のエビデンスは必ずしも十分ではなく,感染症を始めとする重篤な副作用も多い.各薬剤の特性を理解し,十分なインフォームドコンセントを取得した上で使用すべきである.
  • 三浦 直人, 今井 裕一
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1016-1020
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    IgA腎症は,主に健診などの尿異常で発見され,腎生検でIgA優位の沈着を伴うメサンギウム増殖性腎炎である.1968年にBerger & Hinglaisによって報告された当初は,予後良好な疾患とされていた.その後20年以上の長期観察によって全体の約60%は比較的腎機能も保持される一方で,約30%の患者が末期腎不全に至ることが判明した.さらに5~10%は半月体形成を伴い急速に進行し5~10年以内に腎不全に至る危険がある.進行を規定する因子として,(1)蛋白尿1.0g/日以上,(2)高血圧,(3)発見当初からの腎機能低下があげられている.治療法としては,抗血小板療法,fish oil,副腎皮質ステロイド薬,免疫抑制薬,ACE/ARBが報告されてきた.2001年にHottaらが扁桃摘出+ステロイドパルス療法を報告し,完全寛解を目指す治療法としてわが国で広まり,年間500~600名で実施されている.治療成績も1年後の尿正常化率が約50%である.有望な治療法として期待されているが,今後,寛解後の再発率,長期腎生存率などを検討する必要がある.
  • 花岡 一成
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1021-1027
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    多発性嚢胞腎は両側腎臓,肝臓を中心に多発性の嚢胞が出現し,腎機能が徐々に低下する遺伝性疾患で,同時に脳・心血管系の異常,腸管憩室などの合併症を伴う全身疾患である.これまでは腎嚢胞の拡大を抑制する治療がないため,腎障害が進行するまで放置されることが多かったが,責任遺伝子が発見されて以来,腎嚢胞の形成・拡大の病態が解明されてきた.降圧治療に加え,V2受容体抑制薬の治験など新たな治療が検討されている.
  • 四方 賢一
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1028-1034
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症は透析療法導入原因疾患の第一位を占める重要な疾患である.糖尿病性腎症の発症には,罹病期間,血糖,血圧,脂質が関与している.腎症の診断は臨床経過,検尿所見と腎機能などを総合的に判断して行うが,早期診断のためにはアルブミン尿を測定する.腎症を早期に診断して,血糖,血圧,脂質を厳格にコントロールし,レニン・アンジオテンシン系を抑制することによって,アルブミン尿を陰性化させること(寛解)が可能である.
IV.最近の話題
  • 渡辺 毅
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1035-1043
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(CKD)は,日本人で10%の高頻度な病態で,末期腎不全と心血管イベントの最も重要な危険因子の一つであるが,早期発見・介入で治療可能である.CKD対策の現実的課題は,世界的CKD啓蒙運動の推進とCKDの主な病因である生活習慣病対策と連携した健診システムによる患者の早期発見と地域医療機関,医療スタッフの診療連携による効率的な診療ネットワークの構築である.有効で実現可能なシステム作成と実現に向けた政策立案を目指す国家レベルの研究が開始されている.
  • 今井 裕一, 北川 渡
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1044-1047
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    酸塩基平衡の基本として教えてきたHederson-Hasselbalchの式は,pH=6.1+log[[HCO3-]/{0.03×PaCO2}]であるが,logの計算は臨床現場では不可能である.一方,Hendersonの式は,
    [H]濃度(nmol/l)=24×PaCO2 / HCO3
    で求められ,掛け算と割り算で求められる.pH=7.20から7.50までの範囲では,pHの小数点以下の数字と[H+]濃度を足すと80になるという関係がある.すなわち,Hendersonの式で[H+]濃度を計算した値からpHを推定することが可能となる.代償機構が正常に作動しているかを判断するために,代謝性アシドーシス,代謝性アルカローシスでは,実測PCO2=実測HCO3-+15にあてはまった数字であれば,呼吸性代償は正常に行われている.一方,急性呼吸性アシドーシスでは,実測HCO3-=0.1×実測PCO2+21,慢性呼吸性アシドーシスでは,実測HCO3-=0.2×実測PCO2+17,慢性呼吸性アルカローシスでは,実測HCO3-=0.35×実測PCO2+11,慢性呼吸性アルカローシスでは,実測HCO3-=0.5×実測PCO2+5という関係になる.これらに合致していれば,腎臓での代償は正常に行われていることを示している.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 中野 孝司
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1090-1097
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    中皮腫は治療に抵抗する極めて悪性の腫瘍であり,20世紀後半の大量のアスベスト消費を原因として,世界的に急増し,我が国の患者数は2006年に1,000人を超えている.胸膜,腹膜,心膜,および,極めて稀に精巣鞘膜に発生し,上皮型,肉腫型,二相型の3組織亜型がある.肉腫型の予後が最も悪い.腹膜中皮腫は胸膜中皮腫と異なり,女性の比率が高く,低悪性度の組織亜型も存在する.早期の胸膜中皮腫に胸膜肺全摘術が行われるが,局所再発率が高い.中皮腫化学療法は悲観的であったが,新規葉酸拮抗薬とシスプラチンとの併用で生存期間が有意に延長することが示され,新たな治療戦略が生まれている.従来,中皮腫はアスベストを扱う職域に発生する職業関連腫瘍と捉えられてきたが,一般環境の低濃度曝露での発生も知られるようになり,一般住民を対象にアスベスト検診が行われている.
  • 黒川 峰夫
    2008 年 97 巻 5 号 p. 1098-1104
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    造血系では造血幹細胞からあらゆる成熟血球が秩序だって産み出される.造血幹細胞について自己複製,増殖,分化,局在など,さまざまな動態が知られるようになり,造血系は個体レベルで最も解析の進んだ幹細胞システムの一つとなっている.造血幹細胞の局在する場をニッチとよぶが,最近になってニッチの実態解明が大きく進んだ.造血幹細胞を制御する分子機構は多岐にわたるが,なかでもニッチにおけるシグナルと,遺伝子発現を制御する転写因子に関して,多くの鍵分子の同定がなされている.さらに造血幹細胞制御に関わる転写因子の中には,その異常が白血病発症と深く関わるものがある.これらの知見は,白血病発症に関する理解を深めるとともに,白血病幹細胞の動態解明にも大きく貢献している.本稿ではこれらのテーマについて最近の成果を紹介するとともに,転写因子の例としてAML1を取り上げ,幹細胞制御と腫瘍発症の関係について考察する.
Letters to the Editor
専門医部会
診療指針と活用の実際
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
プライマリ・ケアにおける内科診療
総合内科専門医の育成のために
シリーズ:指導医のために
シリーズ:EBM
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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