慢性心不全症例の20~40%に閉塞型または中枢型睡眠時無呼吸(CSAS)が出現し,QOL低下,心不全進展に関連している事,その治療がQOLと予後の改善をもたらす事が報告されている.CSASの発現には,睡眠時の不顕性肺うっ血(J受容体刺激),交感神経系亢進,呼吸中枢化学受容体のPCO
2に対する感受性亢進,循環時間遅延などが深く関連している.無呼吸低呼吸指数と運動負荷時心肺応答VE/VCO
2slopeの間に有意の正相関が認められることから,運動時PCO
2上昇に対する換気亢進は,労作時の息切れや運動耐容能低下にも密接に関連していると考えられる.この様な病態に対し,β遮断薬をはじめとする心不全治療の強化と,夜間酸素療法(HOT),持続陽圧呼吸(CPAP),サーボコントロール補助換気(ASV)の導入が有効である.さらに,本邦多施設臨床試験(CHF-HOT)により実証された夜間HOTの機序と効用について言及する.
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