日本内科学会雑誌
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97 巻 , 7 号
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特集●悪性リンパ腫:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.悪性リンパ腫の基礎
  • 大島  孝一
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1515-1523
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫の分類は,非常に複雑になっており,このような複雑が必要であろうかと,常に一般内科の先生がたから,疑問の声が上がっている.しかしながら,医療の進歩に従い,悪性リンパ腫の一部は治るものとなってきた.しかしながら,治らない悪性リンパ腫があるのも事実である.悪性リンパ腫の分類は,この予後を予測し,治療戦略を立てることにおいて非常に重要である.この点を念頭におき,分類を解説したい.
  • 瀬戸 加大
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1524-1530
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫のうち,特にB細胞性リンパ腫では染色体転座が病型の形成に重要な役割を担っている.しかし,染色体転座だけでは腫瘍化せず,他のゲノム異常や微小環境が特定のリンパ腫発症に重要な役割を担っている.各病型には特徴的な染色体転座以外に,特徴的なゲノムコピー数異常領域が関与するということがアレイCGHによる網羅的解析により明らかになってきた.
  • 安川 正貴
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1531-1536
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    特定のウイルスや細菌が発症や進展に関与している悪性リンパ腫があり,その分子機構の解析が進んでいる.EBウイルスは,Burkittリンパ腫,Hodgkinリンパ腫,鼻腔NK/T細胞リンパ腫,膿胸関連リンパ腫,日和見リンパ腫などさまざまな疾患と関連があるが,ウイルス関連タンパク質の発現パターンがそれぞれ異なっている.成人T細胞白血病・リンパ腫はHTLV-1感染によって発症する疾患であり,Taxに加えてHBZが発症機構に重要であることが最近注目されている.Helicobactor pyloriは,胃のMALTリンパ腫と関連があり,API2-MALT1キメラ遺伝子が認められない症例では除菌のみによって腫瘍の消失が期待できる.HHV-8(KSHV)感染によって,primary effusion lymphomaと呼ばれる特異なリンパ腫がHIV感染者を中心に発症することも知られている.これらの病原体関連リンパ腫の発症機構解明や治療法選択には,病原因子とともに宿主因子,とりわけ生体の免疫防御機構を十分に理解する必要がある.
II.診断へのアプローチ
  • 田丸 淳一
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1537-1545
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫の診断には科学・医学の進歩に伴いさまざまな手法が応用され,現在ではこれらの結果を総合的に判断して診断を進めてゆくことが一般的になってきている.免疫形質,遺伝子形質検索の重要性は言うまでもないが,さらには疾患自体を規定するごとき染色体・遺伝子異常の検索も忘れてはならない.このような状況下において,病理組織形態学の重要性は今も昔も変わりないが,一方ではさまざまな手技の応用が可能になったことにより悪性リンパ腫の組織亜型分類のより詳細な診断が要求されてきているのも事実であろう.
  • 鳥塚 達郎
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1546-1552
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    FDG-PETは腫瘍の糖代謝情報を反映した画像診断であり,X線CTやMRIなどの形態画像やGaシンチグラフィでは診断困難な病変の評価に有効である.一度の撮影で全身の病態を評価できることから,悪性リンパ腫ではとくに治療前の病期診断や治療後の効果判定,残存病巣の診断において有用性が高い.悪性リンパ腫の診療にFDG-PETを用いることによって診断精度が向上し,患者の治癒率が高くなることが期待される.
  • 一迫 玲
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1553-1560
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年,悪性リンパ腫の細胞表面マーカー検索の一手法としてフローサイトメトリーが実用化され,病理組織切片を使用した免疫組織化学と併用した免疫学的表現型検索が広まりつつある.免疫組織化学ではマーカーの存在を顕微鏡下で確認できるのに対し,フローサイトメトリーで得られる電気的なシグナル情報をもとにした百分率値だけでは判定や評価が困難なこともある.そのため,フローサイトメトリーによってリンパ腫細胞の帰属を決定して診断に役立てるには「二重染色の展開図を読んで異常細胞群を見出す」という読図作業が不可欠であり,検出の効率性と診断精度の向上を求めた工夫が図られている.
  • 野村 憲一
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1561-1567
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    染色体・遺伝子検査は,悪性リンパ腫の診断に有用である.遺伝子検査は,良悪性の鑑別に用いる.免疫グロブリン遺伝子,あるいはT細胞レセプター遺伝子の再構成はサザンブロッティングで検出する.染色体異常は,組織診断に重要なエビデンスとなる.染色体解析は,通常,G染色法で行う.SKYやFISHを併用することで,より詳細な情報を得ることも可能である.染色体・遺伝子検査は,治療法の選択や予後の推定にも有用である.
III.病態と治療
  • 小椋 美知則
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1568-1580
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Hodgkinリンパ腫の全病期の予後は,過去30年間に劇的に改善してきているが,これは,多剤併用化学療法の開発によるものが大である.初発限局早期症例にはABVD療法を短コース(4コース)実施した後に病変部位への区域照射(involved field radiotherapy;IFRT(20~30Gy))を実施することが,標準的治療法であり,初発進行期症例にはABVD療法の6~8コースが標準的治療法である.初発進行期で予後不良因子を保有していても,up-frontでの自家造血幹細胞移植併用の大量化学療法の意義はなく,また,化学療法での寛解後に初発時のbulky病変に対して後照射を実施することの有用性もない.多剤併用化学療法による寛解後の,初回再発例や難反応例に対しては,救援化学療法への奏効後の自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法が標準的治療法である.本稿では,Hodgkinリンパ腫の病態,標準的治療法,研究的治療法について高度なエビデンスを中心にして紹介する.
  • 小林 幸夫
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1581-1587
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    低悪性度リンパ腫の各病型には固有の病態があり,様々な分子基盤が判明してきている.病理診断とくにトランスフォーメーションの認識が重要である.治療では開始時期を始めとして一部共通の治療戦略が必要であり,より毒性の少ない方法が模索されている.
  • 新津 望
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1588-1594
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)は,細胞形態や生物学的特性がさまざまな「不均一な集団」である.DLBCLの治療は,リツキシマブの導入により大きく変化し,高齢者DLBCLに対しリツキシマブ併用CHOP療法がCHOP療法の生存割合を大きく上回ったと報告されて以来標準治療が大きく変化している.しかし,若年者DLBCLに対してはリツキシマブを化学療法に併用することにより治療成績の改善は見られたが,約半数の症例しか長期生存が期待できず,未だ標準治療は確立していない.今後,病態やリスクに応じた更なる治療体系の確立が望まれる.
  • 山口 素子
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1595-1601
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    NK細胞由来のリンパ腫は1990年代に疾患概念が確立された.節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型は東アジアや中南米に多く,鼻腔とその周辺に好発する稀な疾患で,Epstein-Barr virusが腫瘍細胞に検出される.限局期例では診断後早期の放射線照射(>46Gy)が治療のポイントである.放射線療法・化学療法同時併用療法,およびetoposideとL-asparaginaseを含む化学療法が新規治療として期待されている.
  • 磯部 泰司
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1602-1610
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Burkittリンパ腫は,節外病変を主徴とする急速進行性の成熟B細胞腫瘍である.免疫不全を伴う場合Epstein-Barr virusとの関連が強く,c-Mycの恒常的転写活性亢進と細胞死からの回避が本疾患の発症要因と考えられる.中枢神経系浸潤例は予後不良で,小児科領域で開発された大量methotrexateおよびcytarabine療法を組み込んだ強力な化学療法により,成人例の予後も改善している.
  • 佐藤 一也, 鳥本 悦宏, 高後 裕
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1611-1619
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    末梢性T細胞リンパ腫は,リンパ腫の約10%を占める不均一な疾患単位の非Hodgkin T細胞性リンパ腫であり,病因も不明な点が多い.標準的治療法が未確立で,初回治療としてはCHOP療法等が選択されるが,治療効果は不十分で予後不良である.自家,同種造血幹細胞移植も行われるが有用性は明らかではない.生命予後の改善のためには,今後モノクローナル抗体等の新規治療法との併用治療も含めて,標準的治療法の確立が望まれる.
IV.最新のトピックス
  • 伊豆津 宏二
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1620-1626
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    リツキシマブはCD20を標的とした抗体医薬でB細胞リンパ腫に対して特異的に作用する.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫ではリツキシマブ併用CHOP療法が標準的な初回治療となり,これまでより治癒率が向上している.濾胞性リンパ腫ではリツキシマブ単剤療法や各種のリツキシマブ併用化学療法が行われ,生命予後の改善が期待できる.この他,CD20抗体に放射性アイソトープを結合させたイブリツモマブ・チウキセタンなどの免疫抱合体による治療も注目されている.T細胞リンパ腫に対する抗体医薬の開発も始まっている.
  • 長藤 宏司
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1627-1636
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    標準的な放射線化学療法で治癒が望めない悪性リンパ腫症例に対して,造血幹細胞移植は根治的な治療として期待されている.再発期の中等度悪性リンパ腫で,救援療法に感受性の場合,自己造血幹細胞移植の適応が確立している.ろ胞性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫に対しても,自己および同種造血幹細胞移植の有用性が示されつつある.今後,我が国でも前向きの臨床試験を行い,臨床的な根拠を示す必要がある.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 工藤 正俊
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1681-1689
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌は手術やラジオ波治療等により根治的療法を行っても年率10~20%程度,再発することが知られている.2年以内の早期再発は肝内転移再発が中心であり,2年以降の晩期再発は多中心性再発が多いということも一般に知られている.肝癌の根治後の再発を制御することは肝細胞癌患者の予後を向上する上では不可欠である.現在まで開発中の製剤としてはインターフェロン,レチノイド,あるいは血管新生阻害薬の分子標的薬等が検討されているが,臨床で最も行われているのはインターフェロンによる再発抑制,予後改善の試みである.インターフェロンによる再発抑制,予後改善の論文はRCTで8編が報告され,case control studyの論文も6編報告されている.この14編の論文から結論付けられることは少量で長期,特に48週だけでなく,2年以上,可能な限り投与を続ける維持療法が1回目再発をやや遅らせ,2回目,3回目再発を抑制し,最終的には予後の向上につながるものと考えられる.今後レチノイドや,分子標的薬による大規模臨床試験の結果も多いに期待されるところである.
  • 中川 正法
    2008 年 97 巻 7 号 p. 1690-1696
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    HIV感染症は,高活性抗レトロウイルス療法(HAART)により「死に至る病い」から「コントロール可能な慢性疾患」へと変貌した.HAARTによりエイズ脳症を含む神経合併症(neuroAIDS)の頻度は著明に低下したが,免疫再構築症候群,薬剤耐性例での日和見感染,薬剤関連末梢神経障害,脳血管障害などが増加しており,その病態の解明・治療戦略が今後の重要な課題である.世界的にはHIV感染者数・AIDS患者数ともに頭打ち傾向にある中で,わが国ではHIV感染者・AIDS患者数は年々増加している.神経症状がないHIV感染者でも比較的初期より脳血流が低下しており,今後,神経内科医,感染症科医,臨床心理士,神経病理医などとの学際的な協力のもとHIV感染者を感染早期より長期間フォローアップする体制が必要である.
専門医部会
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シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
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シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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