日本内科学会雑誌
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98 巻 , 11 号
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特集●HIV感染症流行の現状と最新の治療
Editorial
トピックス
I.流行の現状
  • 市川 誠一
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2747-2753
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    世界では,いまだHIV感染の予防とHIV治療へのアクセスが十分でないことから,毎日,6,800人がHIVに新たに感染し,5,700人がAIDSにより死亡している.わが国においても,男性同性愛者や滞日外国人などHIV感染対策が脆弱な層においてHIV感染症が広がっており,これらの層に対するHIVや性感染症の情報の入手が容易となる環境,HIV感染リスクやそれに伴う相談,検査,医療などの支援環境を構築する対策が必要である.HIV感染症は,未だ公衆衛生上重大な課題である.
II.HIV感染と増殖のメカニズム
  • 児玉 栄一, 服部 俊夫
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2754-2761
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    HIVは後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome;AIDS)を引き起こすウイルスであり,また一方で遺伝子導入・治療のベクターとして用いられることから幅広い研究の対象となっている.抗レトロウイルス剤の作用やその耐性機序を知る上で複製機構の理解は必須である.本稿では現在臨床使用されている薬剤と治験中の薬剤がウイルス複製のどのステップを抑えているかを侵入,逆転写反応,組込み,転写,アッセンブリ,出芽の6ステップに分けて要約した.
III.HIVの感染経路
  • 藤井 輝久
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2762-2766
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    HIVの感染経路として,血液,精液・腟分泌液(性行為による感染),母子感染,の3つが挙げられる.感染が成立するために重要な因子の一つは,血液・体液中のウイルス量であり,感染者の血液・精液あるいは母乳中のウイルス量を抗HIV療法などで0にすることができたら,次の感染は成立しない.今後HIV感染症を診る医療者はただ診療するだけではなく,感染経路を正しく理解した上で,目の前の患者に対し二次感染の予防のために積極的に介入する必要がある.
IV.HIV感染症とエイズの診断基準
  • 味澤 篤
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2767-2773
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    HIV感染症は,抗体+抗原による第4世代のスクリーニングキットが使用されるようになって,感染後2~3週間で陽性が判明するようになった.しかしスクリーニング検査では必ず偽陽性が生じるので,確認検査としては,WB法+RT-PCR法が用いられている.WB法は急性感染期には陰性となってしまうために,RT-PCR法でのHIV-RNA量測定が必要となる.一方AIDSは,HIV感染者が,エイズ動向委員会で定められた23の疾患もしくは状態と判定された場合に診断される.
V.抗HIV療法
VI.HIV感染症の合併症
  • 安岡 彰
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2814-2821
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    HIV感染症に見られる日和見感染症は,新規患者の増加を反映して増加の一途にある.ニューモシスチス肺炎,カンジダ症,サイトメガロウイルス感染症,結核が4大疾患であるが,悪性リンパ腫やカポジ肉腫といった悪性腫瘍が増加してきている.また,HIVの指標疾患ではない悪性腫瘍もHIV感染者に増加しつつある.免疫再構築症候群への対処も含めて,今後の課題が残されている.
  • 四柳 宏, 小池 和彦
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2822-2826
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    HIVに感染した症例の6%がHBVに,20%がHCVに感染している.肝炎の治療方針はHBVあるいはHCVの単独感染でも,HIVとの重感染でも同様である.HBVとの重複感染では,抗HBV作用を有する核酸アナログに抗HIV作用があるため,核酸アナログの単独療法が難しいことが最大の問題点である.HCVとの重複感染では,肝線維化の進展がHCV単独感染よりも速いのにもかかわらず,抗ウイルス療法の効果が低いことが最大の問題点である.HIV感染症の予後は,抗レトロウイルス療法や日和見感染に対する治療の進歩により,合併するウイルス肝炎のコントロールに左右されるようになってきた.HIV感染症に合併するウイルス肝炎は通常のウイルス肝炎と異なる点がいくつかあり,その点を理解しておくことが大切である.
VII.感染拡大の阻止へ向けて
  • 俣野 哲朗
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2827-2834
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    世界におけるHIV感染者数の増大は深刻な問題である.エイズワクチン開発はHIV感染症克服のための必須の戦略として国際的重要課題であるが,未だに有効性の確立したものは得られていない.HIV感染症の特徴は,宿主獲得免疫誘導にもかかわらず持続感染が成立することであり,エイズワクチン開発には,獲得免疫誘導がウイルス感染制御に直結する従来の感染症に対するワクチンを超えた新たな戦略が必要である.この新たな挑戦の進展状況ならびに展望を紹介する.
  • 堀 成美
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2835-2842
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    公衆衛生領域におけるHIV感染症対策のゴールは,1)感染拡大を抑制し,個人や社会が受ける影響を小さくすること,2)ケアや治療を保障し,個人の健康の回復とさらなる感染拡大が抑制されることである.生涯医療費が約1億円といわれるHIV感染症の疾病負荷を最小限にすることは公衆衛生上の重要課題でもある.予算や施策の優先順位付けのためには明確なゴール設定,精度の高いサベイランス,エビデンスに基づいた介入が必要である.
  • 荒牧 まいえ, 人見 重美
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2843-2848
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    針刺し防止対策には,標準予防策の徹底,安全機材の活用,適切な廃棄システムの確立などが有効である.針刺しが起こった場合に速やかに対応できるよう,各施設でマニュアルを作成し,全職員に周知しておく必要がある.曝露者に特別な背景(妊娠,B型肝炎,腎障害など)がある場合や,薬剤耐性HIVの曝露を疑う場合は,予防内服用の抗ウイルス薬を注意して選択する必要がある.
座談会
MCQ
今月の症例
  • 山藤 栄一郎, 若杉 聡, 平田 信人, 西野 洋
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2877-2878
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    胃石は我が国では多くは植物性胃石(柿胃石)であるが,13%は再発の報告がある.症例は,巨大胃潰瘍からの出血を契機に胃石が発見されたものである.その後絶飲食であったにも拘わらず,最初の胃石回収から2日後に新たな胃石を認め,短期間での胃石再発症例であった.
  • 工藤 立史, 橋本 整司, 佐々木 洋彰, 中垣 祐, 眞岡 知央, 石川 康暢, 西尾 妙織, 望月 俊雄, 小池 隆夫
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2879-2881
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の男性.1995年より関節リウマチ及び関節リウマチに伴う器質化肺炎(BOOP)にて加療中であった.2008年1月に初めて顕微鏡的血尿を指摘され,その後急速な腎機能障害の進行を認め同年6月当科紹介初診となった.潜血の他,蛋白尿も認め急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を疑い入院予定とした.しかしBOOPが急速に増悪し,近医にてステロイドの内服加療が開始された.その後徐々に腎機能は改善傾向を示し,入院時には腎機能は改善傾向を示し,尿蛋白の陰性化も認めた.経皮的腎生検を施行し,結果は半月体形成性糸球体腎炎(pauchi-immune type)であった.なおANCAは陰性であった.関節リウマチに関連する腎障害としては薬剤性やアミロイドーシスが有名であるが,腎炎そのものは稀とされる.さらに半月体形成性糸球体腎炎を示す少数の過去の報告例でもp-ANCA関連腎炎が大半を占める.また,BOOPと半月体形成性糸球体腎炎との合併例の報告は未だに無い.本例ではステロイドの加療によりBOOPと腎炎が同時に改善しているなど関節リウマチに伴う合併症を考察する上で稀少で示唆に富む症例と考えここに報告する.
  • 荻原 唯子, 森 聖二郎, 岩間 水輝, 沢辺 元司, 金澤 伸郎, 古田 光, 金原 嘉之, 田村 嘉章, 荒木 厚, 井藤 英喜
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2882-2884
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.インスリン非依存性の空腹時低血糖を頻発し,脾腫瘤摘除により低血糖は消失した.脾腫瘤の組織所見は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(サルコイドーシス)であった.摘出術前後で血清インスリン様増殖因子-II(IGF-II)濃度は変化しなかったが,IGF-I濃度は半減した.摘出したサルコイド結節にはIGF-II発現は認められなかったが,IGF-I mRNA発現は正常脾組織の1.8倍であった.
  • 猿木 紘子, 小片 展之, 河崎 孝弘, 岡 陽子, 古賀 一郎, 藤森 新, 寺本 民生
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2885-2887
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    感染性肺動脈瘤は肺結核や肺膿瘍,敗血症などに伴って発症し,しばしば喀血をきたす稀な疾患である.症例は48歳男性.肺炎のため入院して抗菌薬で治療していたところ,自他覚症状は改善してきていたが,第8病日に突然喀血した.造影CTにて感染性肺動脈瘤による出血が疑われた.観血的処置を考慮しつつ,抗菌薬による治療を続けたところ,再喀血はきたさず瘤陰影は消失した.
医学と医療の最前線
  • 永井 敏雄, 小室 一成
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2888-2893
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    重症心不全の予後は,内科的薬物療法,外科手術,CRTDや補助循環装置などの進歩にもかかわらず不良である.心筋再生医療は新しい治療として注目され,細胞移植治療やサイトカイン治療が臨床応用され,主として心筋細胞保護や血管新生作用による心機能改善効果が認められている.しかし,重症心不全を治癒させるためには,心筋組織自体を新生または補充する必要があり,胚性幹細胞や誘導型多能性幹細胞由来の心筋細胞の移植細胞としての実用化,心筋分化誘導因子の作用ネットワークの解明,有効な細胞移植床の開発など多くの課題が残されている.
  • 長瀬 美樹
    2009 年 98 巻 11 号 p. 2894-2902
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年,アルドステロン/ミネラロコルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)系の過剰な活性化が腎臓病の成因として注目されている.アルドステロン投与ラットやメタボリックシンドロームモデルラットなど,アルドステロン過剰状態ではリガンド依存性にMRが活性化され,糸球体足細胞障害,蛋白尿,腎障害が生じやすい.これらは塩分過剰摂取時に顕著となり,MR拮抗薬が有効である.一方,血中アルドステロン濃度が高くなくても標的臓器においてMR活性化による障害が生じうることがわかってきた.筆者らは,低分子量G蛋白Rac1がアルドステロン非依存性にMRを活性化すること,Rac1とMRのクロストークが慢性腎臓病モデルの病態に深く関与することを見いだした.今後,メタボリックシンドローム患者の腎障害に対するMR拮抗薬の有用性や,慢性腎臓病の新たな治療薬としてのRac阻害薬の可能性に期待がもたれる.
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