日本内科学会雑誌
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98 巻, 4 号
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会告
特集●糖尿病:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.診断と関連検査の進歩
II.治療の進歩
III.合併症対策の進歩
  • 船津 英陽
    2009 年 98 巻 4 号 p. 768-772
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病網膜症(以下,網膜症)の病態においてサイトカインの一つである血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor,VEGF)が中心的な役割を担っている.近年,網膜症に対する新たな治療法として,抗VEGF療法が施行されるようになってきた.特に,増殖網膜症における血管新生に対しては即効性を示す.今後,進展過程の異なるステップに対する新たな薬物治療の開発が期待される.
  • 羽田 勝計
    2009 年 98 巻 4 号 p. 773-778
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症は,1998年より,我が国の透析療法導入原疾患の第1位であり,その数も年々増加している.従って,腎症の早期診断と適切な治療が重要である.診断には尿アルブミン値の測定が必須であり,微量アルブミン尿(30~299mg/gCr)で早期腎症と診断する.治療法としては,高血糖の是正および糸球体高血圧の是正が重要である.さらに,集約的治療により,remission(寛解),regression(退縮)が期待される.
  • 馬場 正之
    2009 年 98 巻 4 号 p. 779-786
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病神経障害の臨床診断には,アキレス腱反射と内踝振動覚の検査が必須で,本邦糖尿病患者の40%程度が神経障害ありと判定される.病期判定には表在覚低下の広がり,自律神経症状,足関節や趾背屈力の評価が必要になる.足皮膚乾燥と足背部の短趾伸筋筋萎縮は,他覚的に確認可能な重要な末梢神経障害徴候である.治療については,軽症期以前であれば血糖コントロールとアルドース還元酵素阻害薬が進行抑制に有用である.
  • 河野 茂夫
    2009 年 98 巻 4 号 p. 787-793
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病足病変(diabetic foot)は治療が遅れると重症化し,切断を余儀なくされることも多い.足病変ハイリスク群を抽出し,定期的なフットケアによる発症予防を行うことが最も重要である.足病変が発症したら(1)成因(神経障害や血流障害),(2)外因(靴擦れや外傷など),(3)感染の有無,(4)重症度,(5)緊急度を迅速に診断する.重症感染症と重症下肢虚血の治療が救肢に最も重要であり,そのためには集学的なチーム医療体制の構築が求められる.
  • 曽根 博仁, 山田 信博
    2009 年 98 巻 4 号 p. 794-801
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者には初期から動脈硬化疾患(糖尿病大血管障害)が多発する.糖尿病患者において,大血管障害を予防するためには,血糖のみならず血清脂質,血圧,生活習慣など多くの因子に対する総合的管理が必要である.糖尿病患者に対する血圧や血清脂質の治療管理目標値は一般より厳しく設定されているが,目標値に達しない患者は多い.一方,大血管障害の頻度やリスクファクターには人種差がみられるが,日本人の大規模前向きデータは十分でなく,今後さらに蓄積する必要がある.
IV.最近の話題
  • 西村 理明
    2009 年 98 巻 4 号 p. 802-808
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    現在,糖尿病患者における日々の血糖変動を見る手段として,血糖自己測定(SMBG)が最も普及している.しかし,このSMBGだけでは血糖変動を詳細に捉えることが困難な症例も存在する.この問題を解決すべく,持続血糖モニター(continuous glucose monitoring:以下CGM)が欧米で開発され,すでに臨床応用されている.最新型のCGM機器は,リアルタイムで血糖値並びにそのトレンドを示すことができるので,糖尿病の管理に新たな時代をもたらすことは間違いないと確信している.
  • 宮川 潤一郎, 美内 雅之, 難波 光義
    2009 年 98 巻 4 号 p. 809-816
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    インクレチン関連薬といわれるGLP-1の受容体アゴニストあるいはアナログ,およびGLP-1の分解酵素であるDPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)の阻害薬は糖尿病治療においてマルチポテンシャルな作用を有しており新たな糖尿病治療薬として期待されている.前者ではエクセナチドおよびリラグルチド,後者ではシタグリプチンおよびビルダグリプチンが最も開発が進んでおり,これらの登場で糖尿病治療は新時代を迎えると言っても過言ではない.
  • 佐々 真理子, 岩永 康裕, 山田 祐一郎
    2009 年 98 巻 4 号 p. 817-823
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    血糖が不安定なインスリン依存状態の患者に,内因性のインスリンを分泌する膵β細胞を補充する方法の一つとして,ドナーの膵臓から分離した膵島を用いる膵島移植がある.わが国でも2004年に開始され,生体内にある一定量の膵β細胞が存在することは,無自覚低血糖や重症低血糖の軽減などに効果が得られることが報告されている.今後,iPS細胞などから分化させた膵β細胞やブタの膵島を用いた異種移植ができれば,糖尿病患者にとって福音になるであろう.
  • 泉 和生, 加藤 昌之, 野田 光彦
    2009 年 98 巻 4 号 p. 824-833
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病は,患者の生活の質のみならず,社会的にも大きな影響を及ぼす.2007年の国民健康・栄養調査によると,わが国の20歳以上の国民のうち,「糖尿病が強く疑われる人」,「糖尿病の可能性が否定できない人」を併せると2,210万人と推計される.このような状況から,「糖尿病予防のための戦略研究(Japan Diabetes Outcome Intervention Trial;J-DOIT)」という大規模臨床研究が開始されており,本稿ではこれについて概説する.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 小林 芳夫
    2009 年 98 巻 4 号 p. 868-874
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    以前は敗血症の代表的な疾患は亜急性細菌性心内膜炎であったが,現在,亜急性細菌性心内膜炎は感染性心内膜炎と呼称が変わりいくつかの血中から菌が検出される疾患とともに敗血症から除外されるようになった.これに加えてSIRSの概念を導入したセプシスも敗血症を構成する新しい疾患概念として登場した.セプシスはsepsisの邦語訳であるが菌血症が必要とされないためあえてセプシスと表記した.血中菌の証明は血液培養のみであったが,現在は遺伝子診断法を応用したハイブリゼップ®法,DNAマイクロアレイ法,real-timePCR法などがある.血液培養法では震盪培養法が永く使われてきたが攪拌培養法が開発された.
  • 衞藤 義勝
    2009 年 98 巻 4 号 p. 875-882
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Fabry病(Anderson-Fabry disease)は,60種余り存在するライソゾーム蓄積病内の一つであり,厚生労働省の特定疾患治療研究事業対象疾患に指定されている.X染色体上にあるαガラクトシダーゼA(α-GAL)遺伝子の異常によりα-GAL活性が不足あるいは欠損し,グロボトリアオシルセラミド(GL-3:スフィンゴ糖脂質の1種)が腎臓,心臓,皮膚,自律神経系を初め全身の血管内皮細胞,網内系細胞に蓄積し,様々な症状がひきおこされる.特に幼児期からの四肢の激痛,疼痛,無汗症,皮膚の血管角被腫(angiokeratoma),年齢が進むにつれ心症状(心不全,不整脈,弁膜症など),腎臓症状(たんぱく尿,腎不全),脳血管症状(脳梗塞,頭痛など),角膜混濁などの眼症状,難聴など多彩な臨床症状を呈する.遺伝形式はX連鎖の劣性遺伝をとるが,多くの女性保因者も臨床症状を呈するという特徴がある.頻度としては約4万人に1人とされているが,最近新生児マススクリーニングで3,000~4,000人に1人と発生頻度は高い.腎不全患者の約0.5%,左室肥大患者の4~5%,若年性脳卒中患者の4%程度にFabry病患者が存在するといわれており,各科に渡ることから内科領域でも注目されている疾患である.Figure 1にFabry病の今日までの歴史を示した.
  • 竹内 勤
    2009 年 98 巻 4 号 p. 883-889
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    治らない身近な難病といわれた関節リウマチは,今や,寛解が現実的な治療目標になった.その原動力はMTXと生物学的製剤である.我国においても2003年以降生物学的製剤が導入され,本年新たに承認された2剤を加え,4剤を使いこなさなければならない時代へと突入した.いよいよ本格的な生物学的製剤によるリウマチ治療の時代が幕を切って落とされた.その概要について解説する.
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