近年,糸球体上皮細胞及びスリット膜関連蛋白の構造・機能に関する研究が飛躍的に進み,巣状糸球体硬化症の原因・発症機構に関する理解が急速に深まってきている.さらに,これらの研究をとおして,糸球体上皮細胞に対するより選択的な標的治療の開発の可能性も高まってきた.これら基礎研究の急速な発展の一方で,臨床的には特発性巣状糸球体硬化症によるネフローゼ症候群は,難治性・ステロイド抵抗性を示すことが多く,末期腎不全に至る率が非常に高い.また,現在でも巣状糸球体硬化症を含む難治性ネフローゼ症候群に対する治療法はまだ確立されていない.
このような状況の中で,厚生労働省特定疾患「進行腎障害に関する調査研究班」は富野班から松尾班に引き継がれ,「難治性ネフローゼ症候群」分科会が日本人にあった新たな診療指針の作成に向けて精力的に活動している.特に日本腎臓学会の腎臓病総合レジストリーシステム(JRBR=Japan Renal Biopsy Registry,JKDR=Japan Kidney Disease Registry)と連携することにより,日本腎臓学会の協力のもとに調査研究が推進され,その成果が大きく期待されている.
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