日本内科学会雑誌
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99 巻 , 1 号
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特集●膵炎:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.急性膵炎
  • 佐藤 晃彦
    2010 年 99 巻 1 号 p. 4-8
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    本邦における急性膵炎患者数は増加を続けており,急性膵炎全体に占める重症膵炎症例の割合も増加している.一方で,啓蒙により急性膵炎の病態や初期治療の重要性が広く認識されるようになったことや集学的補助治療の進歩を背景として,急性膵炎の致死率には大きな改善がみられる.急性膵炎の2大成因はアルコールと胆石であり,男性ではアルコール性膵炎が多く,女性では胆石性膵炎が多い.発症早期の主な死因は多臓器不全であり,後期死亡は主に感染性合併症に起因する.
  • 廣田 昌彦
    2010 年 99 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    膵腺房細胞では,分泌蛋白の品質管理・処理機構としてのオートファジーの結果,恒常的にトリプシンが生成するが,通常は膵分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)によりトリプシン活性は阻害されて急性膵炎は生じない.過度にトリプシンが活性化されてPSTI活性を超えると,連鎖的に膵消化酵素が活性化されて急性膵炎を生じる.また,虚血,自己消化,SIRS/sepsisの三病態が急性膵炎を重症化する主要機序である.
  • 武田 和憲
    2010 年 99 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    重症急性膵炎は治療が困難で死亡率が高いため特定疾患治療研究事業の対象疾患として公費負担の受給対象となっている.しかし,重症急性膵炎の救命率は改善し,全国調査で10%以下となったことから,公費負担の対象である重症膵炎を認定する重症度判定基準の改訂が行われ,2008年10月より新しい重症度判定基準に基づいて診療が行われている.これに伴い,ガイドラインにおける重症膵炎の高次施設への搬送基準も改訂された.
  • 真弓 俊彦, 鈴木 秀一, 小野寺 睦雄, 都築 通孝, 金 碧年, 井上 卓也, 貝沼 関志, 高橋 英夫
    2010 年 99 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    急性膵炎ではPancreatitis bundleに準じ,発症初期には,集学的治療を行い,原則的に手術は行わない.呼吸循環管理,十分な輸液,除痛を行う.重症度に応じた治療を行うが,軽症でもまず十分な輸液を心がける.重症例では全身管理が可能な施設へ転送し,蛋白分解酵素阻害薬の大量投与,予防的抗菌薬投与を行い,特殊療法の適応を考慮する.また,重症でも,経口摂取や経腸栄養が可能であれば早期から施行する.
  • 竹山 宜典
    2010 年 99 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    重症急性膵炎の治療では大量補液と全身モニタリングが基本となるが,重症膵炎の二大合併症である早期の臓器障害と後期感染に対して,その病態に基づいて的確に特殊療法を施行することが重要である.現時点では,腎不全を含む早期の臓器障害に対してはCHDFが,後期感染に対しては経腸栄養などの腸管対策と,膵局所療法としての蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所持続動注療法が適応となる.
II.慢性膵炎
  • 清水 京子, 白鳥 敬子
    2010 年 99 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎のわが国における疫学調査は旧厚生省および厚生労働省特定疾患難病対策研究事業の調査研究班により1970年から2002年までの間に過去5回行われた.受療者数,有病率,新規発症患者数ともに増加傾向にあり,性別ではいずれの時点でも男性が多い.成因別ではアルコール性が最も多く,飲酒と喫煙は慢性膵炎の危険因子であることが確認されている.徴候としては腹痛,背部痛が最も頻度が高く,慢性膵炎の進行とともに,疼痛は軽減し,消化吸収不良や膵性糖尿病が出現する.
  • 正宗 淳, 下瀬川 徹
    2010 年 99 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    わが国の慢性膵炎推計患者数(受療患者数)は45,200人(2002年)で,成因としてアルコール性が68%,特発性が21%を占める.慢性膵炎の発症と進展機序はいまだ不明な点が多いが,膵炎関連遺伝子の解析や,膵線維化を担う膵星細胞の同定により,分子レベルの解明が進んでいる.特に膵腺房細胞内におけるトリプシノーゲンの活性化と自己防御機構のバランスが崩れることが,膵炎発症の鍵であることが明らかとなった.
  • 片岡 慶正
    2010 年 99 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎臨床診断基準が根本的に改訂された.早期慢性膵炎の疾患概念を導入し,成因別にアルコール性と非アルコール性に分類し,治療により可逆性となる自己免疫性膵炎と閉塞性膵炎を膵の慢性炎症として別個に扱った.実態に応じて画像所見を中心とした診断体系となったが,反復する上腹部痛,膵酵素値の異常,膵外分泌障害,大量飲酒歴を診断項目に採用して総合的評価から従来診断困難であった早期慢性膵炎の診断が可能となった.
  • 伊藤 鉄英, 中村 太一, 藤森 尚, 大野 隆真, 安田 幹彦, 新名 雄介, 内田 匡彦, 五十嵐 久人, 高柳 涼一
    2010 年 99 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎の治療は病期で異なり,代償期では,反復する再燃と疼痛予防が主体であり,過度の膵刺激を避ける食事療法,蛋白分解酵素薬を中心とした薬物療法が重要である.非代償期では消化吸収障害および膵性糖尿病のコントロールが重要であり,低栄養状態を避けるため,適切な量の脂肪摂取をさせた上で,十分量の消化酵素薬を投与する.そのうえで糖尿病に対するインスリン量などを決定する必要がある.
  • 乾 和郎, 芳野 純治, 三好 広尚, 服部 昌志, 山本 智支
    2010 年 99 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    膵石,膵管狭窄,仮性嚢胞は膵管内圧を上昇させて疼痛の原因となり,病態をさらに悪化させる.ESWLと内視鏡を併用した膵石治療での膵石消失率は70%以上で,症状緩和率も高い.膵管狭窄治療の主流は内視鏡的膵管ステンティングで,症状改善と膵石治療としても有効である.膵仮性嚢胞の治療にはEUS下嚢胞ドレナージと内視鏡的膵管ドレナージがある.確実で安全な治療を行うには症例の蓄積と手技の工夫,処置具の開発が重要である.
  • 木原 康之, 原田 大
    2010 年 99 巻 1 号 p. 68-70
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎患者の生存率は10年後で70%,20年後で45%であり,標準化死亡比(SMR)は3.6である.アルコール性慢性膵炎のSMRは非アルコール性慢性膵炎より高く,飲酒を継続した慢性膵炎患者の生存率は禁酒した慢性膵炎患者より有意に低い.慢性膵炎の死因としては悪性新生物が最も多く,臓器別でみると膵臓,胆道系,肝臓,大腸でSMRが高く,特に膵癌ではSMRが7.33に達する.慢性膵炎は良性疾患であるが,膵癌をはじめとする種々の悪性腫瘍を合併することが多く,予後不良の疾患であることを充分認識する必要がある.
III.自己免疫性膵炎
  • 中沢 貴宏, 大原 弘隆
    2010 年 99 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    日本膵臓病学会自己免疫性膵炎診断基準2002年をみたす自己免疫性膵炎の年間受療数は900人,有病患者数は人口10万対0.71人と推計された.発症年齢は60歳代にピークが認められ,これは全体の45%で,さらに46歳以上が全体の96%を占めた.男女比は2.77対1であり,自己免疫性膵炎は中年の男性に多いことが特徴であった.黄疸,肝障害,軽度の腹痛,膵腫大や膵腫瘤の精査目的で発症する症例を多数認めた.
  • 川 茂幸, 浜野 英明, 上原 剛
    2010 年 99 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は病因に自己免疫学的機序の関与が考えられる膵炎で,血中IgG4の上昇と,病変局所へのIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴的に認める.膵腫大と膵管の不整狭細像,膵内胆管の狭窄が本疾患に特徴的な病態で,病理所見としてlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisを認める.また全身諸臓器に多彩な膵外病変を認め,膵病変と同様な病態が背景に存在すると考えられ,自己免疫性膵炎を包括する,IgG4が関連する全身性疾患が想定されている.
  • 岡崎 和一, 内田 一茂, 池浦 司, 高岡 亮
    2010 年 99 巻 1 号 p. 82-90
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎の診断には膵癌や胆管癌など腫瘍病変との鑑別が極めて重要であり,これらの除外を前提に,(1)膵画像所見,(2)血液学的所見,(3)病理組織所見などを組み合わせた診断基準により総合的に診断されている.未だ国際的に統一された診断基準は確立されていないが,専門家のみならず一般臨床医も使用することを念頭に作成されたわが国の診断基準と海外の診断基準を比較しながら,本症の診断と鑑別診断の現状についてのべた.
  • 西森 功
    2010 年 99 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎では閉塞性黄疸や糖尿病の管理が必要となることが多い.ステロイドによる初期治療のレジメンはほぼ確立され,閉塞性黄疸の合併が良い適応となる.ステロイド維持療法についてのコンセンサスは得られていないが,膵外胆管の狭窄を合併した例では再燃が多く,維持療法の継続が推奨される.再燃例の治療として,日本ではステロイド剤の再投与あるいは増量,欧米では免疫抑制剤による治療が行われている.両治療ともほぼ全例で再寛解を得ているが,各薬剤の適応や再燃寛解後の投与期間は今後の検討課題である.
  • 神澤 輝実, 宅間 健介, 安食 元, 江川 直人, 藤原 純子, 小泉 浩一, 佐々木 常雄
    2010 年 99 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は,硬化性胆管炎,硬化性胆嚢炎,硬化性唾液腺炎,硬化性涙腺炎,後腹膜線維症などの多彩な膵外病変を伴う.自己免疫性膵炎に合併する膵外病変の組織像は膵臓と同様にTリンパ球とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤を伴う線維化であり,ステロイドが奏功する.また全身諸臓器にはIgG4陽性形質細胞の密な浸潤が認められることより,我々はIgG4関連硬化性疾患という新しい全身疾患の概念を提唱した.線維化と閉塞性静脈炎を生じる膵,胆管,胆嚢,唾液腺,後腹膜などにおいて臨床徴候を呈する.高率にリンパ節腫大を伴い,腫瘤を形成することより,診療当初は悪性腫瘍を疑われることが多いが,無益な外科手術を行わない為にも,本症を念頭におくことが肝要である.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 南学 正臣
    2010 年 99 巻 1 号 p. 136-141
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(CKD)患者では,eGFRが60ml/minをきるとエリスロポエチン産生不足による腎性貧血が起こりうる.腎性貧血は組織での低酸素状態の原因となり,Cardio-renal anemia syndromeを引き起こし,血管病変を中心とした全身の臓器障害を進行させ,またそれがCKDの進展を加速することから,その治療の重要性が注目されている.造血刺激薬erythropoiesis stimulating agents(ESA)による治療は多面的な臓器保護効果も期待できるが,様々な臨床研究の結果,現時点では透析前のCKD患者と腹膜透析患者ではHb 11~13g/dL,血液透析患者ではHb 10~12g/dLを目標にESAで治療することがよいとされている.注意すべきはESA治療抵抗性患者の存在で,そのような患者は根底に慢性炎症や酸化ストレスがある可能性があり,いたずらにESAを増量するのではなく,ESA治療抵抗性の原因を検索しそれに対処することが重要である.
  • 飯田 真介
    2010 年 99 巻 1 号 p. 142-149
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    難治性の形質細胞腫瘍である多発性骨髄腫患者の治療は,生存期間延長という観点からみるとメルファラン+プレドニゾン(MP)療法の開発以来40年近く進歩がみられなかった.しかしサリドマイド,レナリドミド,ボルテゾミブの登場により再び大きな進歩が訪れようとしている.いずれの薬剤も骨髄腫細胞に対するアポトーシス誘導効果のみでなく,骨髄微小環境をも治療標的としている点が特徴である.これらの新規薬剤によって再発・再燃患者の生存期間中央値が1年以上延長しただけでなく,最近では高齢の未治療患者に対してもMP療法と新規薬剤の併用によって,若年患者に対する大量メルファラン療法に匹敵する高い完全奏効割合が得られるようになった.また化学療法剤のみでは極めて予後不良であったt(4;14)/t(14;16)転座陽性病型に対しても,新規薬剤の高い治療効果が報告されつつある.今後は,本邦においても骨髄腫患者の年齢や病型に応じた新たな至適治療法を確立する必要がある.
  • 高地 雄太, 山本 一彦
    2010 年 99 巻 1 号 p. 150-155
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    膠原病・リウマチ性疾患の多くは,環境・遺伝因子によって発症する多因子疾患である.従来より,HLA遺伝子多型と各疾患の感受性との関連が知られていたが,近年,ゲノム全体を探索対象とするゲノムワイド関連解析が可能となったことにより,非HLA遺伝因子の解明が急速になされつつある.これらの疾患には,PTPN22TNFAIP3CTLA4などの共通遺伝因子が存在する一方で,関節リウマチにおけるPADI4遺伝子のように,疾患特異的な遺伝因子も存在する.したがって,これらの遺伝因子の組み合わせによって,個人における各疾患への感受性が規定されているものと考えられる.また,遺伝因子を複合的に解析することによって,個人の病態予測・治療反応性予測にも応用されることが期待されるが,遺伝因子には少なからず人種差が存在するため,今後,日本人における全貌を明らかにする必要がある.
専門医部会
シリーズ:内科医に必要な救急医療
シリーズ:検査法の理解と活用
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
シリーズ:一目瞭然! 目で見る症例
シリーズ:指導医のために
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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