現在実用化されつつある固形癌治療のゲノムバイオマーカーには,治療効果予測マーカーと副作用予測マーカーがある.前者には乳癌のトラスツズマブ治療における
HER2遺伝子増幅(過剰発現),非小細胞肺癌の抗EGFR阻害薬治療における
EGFR遺伝子変異,大腸癌・非小細胞肺癌の抗EGFR抗体治療における
KRAS遺伝子変異,消化管間質腫瘍の抗チロシンキナーゼ阻害薬治療における
C-KIT遺伝子変異,後者にはカペシタビンの副作用に関連する
DPYD遺伝子変異(あるいは多型),イリノテカンの副作用に関連する
UGT1A1遺伝子多型がある.これらに続くものとして予後予測マーカーがある.複数遺伝子の発現プロファイルによる予後予測の検討が乳癌・大腸癌等で進められている.ゲノムバイオマーカーの臨床的意義を確立するためには,マーカー陽性群と陰性群に分けたランダム化比較試験が必要であり,その成果に期待が寄せられている.
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