日本内科学会雑誌
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99 巻 , 4 号
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特集●甲状腺疾患:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.診療の進歩
II.診断へのアプローチ
  • 磯崎 収
    2010 年 99 巻 4 号 p. 707-712
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    潜在性甲状腺機能異常とは血中の遊離型ホルモンは基準値を示すがTSHは基準値をより上昇している潜在性甲状腺機能低下症およびTSHのみが基準値を下回る潜在性甲状腺機能亢進症に分類される.機能異常は軽度であるため治療の必要性はないと考えられていたが,近年の疫学的調査で心疾患等の発症や死亡率に影響を及ぼすことが判明し治療についても検討が行われた.潜在性機能低下症は妊娠時と妊娠希望者では速やかに補充療法を開始すべきとされている.他の患者では永続性,原因疾患,症状・徴候の有無,TSH値,甲状腺腫,年齢,合併疾患を考慮して決定する.TSHが0.1μU/ml未満の潜在性機能亢進症患者では閉経後,60歳以上,骨粗鬆症や心疾患を有する場合は甲状腺中毒症を是正すべきとされている.
  • 武田 京子
    2010 年 99 巻 4 号 p. 713-719
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    non-thyroidal illness(NTI:非甲状腺疾患)は,視床下部・下垂体・甲状腺系のset-pointの変化による中枢性甲状腺機能低下症に,血中・末梢組織への甲状腺ホルモンの供給が低下した状態であると考えられている.最近,iodothyronine deiodinase type 1(D1),D2,D3およびD1/D2,D1/D2/D3ノックアウトマウスの解析によりD1活性の低下はlow T3の主因ではなく,正常では発現していない筋肉や肝臓でのD3発現によっておこるT3代謝の増大が重要であると報告され注目されている.
  • 山田 正信, 森 昌朋
    2010 年 99 巻 4 号 p. 720-725
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    中枢性甲状腺機能低下症(CH)は,下垂体から分泌されたTSHの量的あるいは質的な低下で甲状腺への作用が減弱し発症する.意外にも多くのCHの血清TSH値は基準値内を示す.CHの約60%は下垂体腫瘍を原因とするが,近年,頭部外傷やくも膜下出血後,GH製剤や種々の薬剤,コントロール不良のBasedow病の母親から生まれた児などが新たな原因として加わった.CHは高LDL-C血症などの脂質異常症の原因となり適切な治療が必要である.
  • 平岩 哲也, 花房 俊昭
    2010 年 99 巻 4 号 p. 726-732
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    現在の甲状腺疾患診療において,超音波検査はなくてはならない画像診断ツールとなっている.甲状腺腫瘍性病変では,Bモード法のパターン認識により甲状腺乳頭癌の鑑別が可能となってきている.そして,カラードプラ法やエラストグラフィによる甲状腺濾胞癌の術前診断に期待がもたれている.甲状腺中毒症では,Basedow病と無痛性甲状腺炎の鑑別においてカラードプラ法の有用性が示されている.
III.治療ガイドライン―現状と問題点
  • 田上 哲也
    2010 年 99 巻 4 号 p. 733-740
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    Basedow病は,抗TSH受容体抗体による甲状腺機能亢進症である.治療法として,薬物療法,131I内用療法,手術療法の選択肢がある.抗甲状腺薬にはチアマゾール(MMI)とプロピオチオウラシル(PTU)がある.おもに効果と副作用の観点からMMIを第一選択薬とするが,催奇性の懸念から妊娠予定者や妊娠初期にはPTUが勧められる.いずれも副作用の多い薬剤であり,使いこなしには豊富な知識と経験が要求される.新薬の開発が望まれる.
  • 御前 隆
    2010 年 99 巻 4 号 p. 741-746
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    アイソトープ内用療法は安全で確実な治療法であるが,実施前には晩発性甲状腺機能低下症の可能性について,十分な説明と合意が必要である.適応は他治療の失敗例とは限らず,第一選択としてもよい.禁忌は妊婦・授乳婦である.治療前にはヨード制限を行い,甲状腺摂取率を測定する.治療後は甲状腺組織の破壊による一過性甲状腺中毒症に注意し,甲状腺眼症や心不全などの合併症悪化がないか定期的な観察が必須である.また,周囲の無用な被曝や汚染を減らすための指導・管理を行う.
  • 清水 一雄
    2010 年 99 巻 4 号 p. 747-754
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    わが国の甲状腺癌取り扱い規約では甲状腺癌は4種類に大別され,悪性リンパ腫を加えた5種類を甲状腺悪性腫瘍として分類している.生物学的特徴が個々の腫瘍で異なるためそれぞれの疾患に対し対応が異なることを認識する必要がある.組織学的には濾胞細胞由来の分化癌(乳頭癌,濾胞癌),未分化癌と傍濾胞細胞由来の髄様癌に分類される.悪性リンパ腫は非上皮性の悪性腫瘍で橋本病が基礎疾患として存在する.治療方法は,手術療法,内分泌療法,外照射や内照射(131Iなど)による放射線療法,化学療法があり,それぞれの病理組織型や進行度によって選択される.甲状腺乳頭癌,濾胞癌,髄様癌は,手術療法が第1選択となる.一方,未分化癌では,手術療法は気道閉塞等による窒息,血管浸潤による大出血など防ぐ一時的な対症療法,緩和治療としての意味を持つにすぎず,放射線療法,化学療法が選択されるが予後不良である.
IV.難治性甲状腺疾患
  • 廣松 雄治
    2010 年 99 巻 4 号 p. 755-762
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    甲状腺眼症(Basedow病眼症)はBasedow病の25~50%,橋本病の2%にみられる.遺伝因子を背景に環境因子が誘因となり,何らかの自己免疫異常が生じて,TSH受容体や外眼筋抗原などに対する自己免疫機序により発症する後眼窩組織の炎症性疾患である.上眼瞼後退,眼瞼浮腫,眼球突出,涙液分泌低下,結膜・角膜障害,複視,視力低下など多彩な眼症状を呈する.眼症の診察にはCAS(clinical activity score)に加えてMRI(magnetic resonance imaging)による活動性,重症度の評価,QOL(quality of life)の評価が重要である.眼症の専門の医療機関への紹介の基準やMRIによる眼症の診療指針を提案する.
  • 赤水 尚史
    2010 年 99 巻 4 号 p. 763-768
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    甲状腺中毒クリーゼは「生命が危険となるような激しい症状を呈する甲状腺中毒症」であり,多臓器における非代償性状態を特徴とする.甲状腺基礎疾患としては,Basedow病が最も多い.かつては甲状腺亜全摘術後発症する外科的甲状腺クリーゼが多かったが,現在は内科的甲状腺クリーゼがほとんどである.臨床症状に基づいて診断されるが,明確な診断基準は国際的にも確立されておらず,疫学データも乏しい.日本甲状腺学会と日本内分泌学会は共同して,『甲状腺クリーゼの診断基準の作成と全国疫学調査』を臨床重点課題と定め,新診断基準に基づいた全国疫学調査を実施した.その調査結果に基づいて,発症実態の解明,診断基準の改訂,予後規定因子の解析,治療指針の作成が予定されている.
  • 小西 美絵乃, 盛田 幸司, 田中 祐司
    2010 年 99 巻 4 号 p. 769-775
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    粘液水腫性昏睡は,甲状腺機能低下症が基礎にあり,直接あるいは何らかの誘因で中枢神経系の機能障害をきたす内分泌救急疾患である.稀であるが,1990年以後も死亡率が20~50%と高いと報告されている.粘液水腫顔貌や中枢神経症状に加え,低体温,循環不全,呼吸不全など,障害が多臓器に渡ることが多い.甲状腺ホルモンを直ちに開始する必要があるが,投与ホルモンの種類,経路,量には未だ確立されたものがない.現在,日本甲状腺学会が「粘液水腫性昏睡の診断基準と治療指針」を作成中であり,診断基準第三次案も合わせて報告する.
V.最近の話題
  • 西川 光重
    2010 年 99 巻 4 号 p. 776-785
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    種々の領域で使用される多くの薬剤が甲状腺機能異常を起こしうる.永続性のBasedow病タイプの甲状腺中毒症には抗甲状腺薬を投与するが,破壊性甲状腺中毒症タイプの場合は一過性であるので通常,対症療法で経過観察する.甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの合成・分泌を抑制するものと,代謝を促進したり,吸収を阻害したりするものなどがある.原因薬剤を中止するかどうかは個々の症例によるが,中止できない場合は甲状腺ホルモン製剤で治療するか,薬剤の内服方法を工夫するなどして対処する.
  • 光武 範吏, 山下 俊一
    2010 年 99 巻 4 号 p. 786-791
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    広島・長崎での原爆被爆者やチェルノブイリ原発事故後の疫学調査などより,外部被曝のみならず放射性ヨードによる内部被曝によるものと考えられる晩発性甲状腺癌が誘発される事が確認された.発癌リスクには線量依存性があり,被爆時の年齢と強い逆相関性が認められる.特に低年齢,5~10歳未満では顕著であり,この時期の被曝を避ける事がもっとも重要である.近年の分子生物学の進歩により,放射線誘発癌の分子メカニズムも次第に明らかになりつつある.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 間野 博行
    2010 年 99 巻 4 号 p. 837-841
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肺癌はがん死因の第一位を占める予後不良の疾患であり喫煙者に好発するが,その発症メカニズムはほとんど不明のままであった.今回我々は非小細胞肺癌の5%前後の症例において,2番染色体短腕内に微少な逆位が生じ,その結果受容体型チロシンキナーゼALKの細胞内領域が微少管結合タンパクEML4と融合した新しい活性型融合キナーゼEML4-ALKが生じることを発見した.同様な融合型キナーゼであるBCR-ABLの阻害薬STI571が慢性骨髄性白血病に著効することから,EML4-ALK陽性肺癌症例にALK阻害薬が全く新しい分子標的療法になると期待される.実際,EML4-ALKを肺胞上皮特異的に発現するトランスジェニックマウスは生後まもなく肺腺癌を多発発症するが,同マウスにALK阻害薬を投与すると肺癌は速やかに消失した.また我々はALKの新たな融合キナーゼKIF5B-ALKを肺癌において発見しており,ALK特異的阻害薬がこれらALK融合型肺癌症例の共通の治療薬になると期待される.
  • 古瀬 純司
    2010 年 99 巻 4 号 p. 842-848
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    膵癌は全体の5年生存率が5~10%と最も予後不良の疾患である.予後改善には薬物による化学療法が必須であり,切除後補助療法から遠隔転移例までどのステージでも行われている.現在,gemcitabine(GEM)が膵癌に対する標準治療薬として広く用いられているが,その効果は十分なものではない.より有効な治療法の開発が大きな課題であり,質の高い臨床試験が必要である.切除後補助療法ではGEMとS-1との比較試験やGEM+S-1併用療法などの試みが行われている.遠隔転移と局所進行例に対する化学療法では分子標的薬を含めた多くのGEM-based併用療法を中心に臨床試験が行われてきたが,いまだGEM単独を超える標準治療は確立していない.GEM耐性後の2次治療についてもS-1,irinotecan,oxaliplatinなどを用いた新しい治療法による臨床試験も行われつつある.また,切除不能局所進行癌ではこれまで5-FUによる化学放射線療法が標準治療とされてきたが,より有望な化学放射線療法の開発に向けた取り組みが行われている.
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