9番と22番染色体の相互転座によって生じる
bcr-ablキメラ遺伝子が,慢性骨髄性白血病(CML)の原因である.ABLチロシンキナーゼ阻害剤(TKI),メシル酸イマチニブ(グリベック
®)は,CMLの治療・予後を大きく改善した.しかし臨床応用から約10年が経過し,耐性や副作用などの問題点も明らかとなってきた.耐性化の原因はBCR-ABL依存性と非依存性に大別される.BCR-ABL依存性の中でも,イマチニブが標的とするABLキナーゼドメインのATP結合領域の点突然変異が最も大きな問題となる.耐性克服を目的にポスト・イマチニブ薬と呼ばれるダサチニブやニロチニブなどの第二世代ABL TKIsが開発され,日本でも2009年3月より臨床使用が開始されている.これら第二世代ABL TKIsを,それぞれの変異ABLに対する効果の違いや副作用の特性を踏まえた上で使用することで,CML治療成績の向上が期待される.
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