農研機構研究報告
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2019 巻, 1 号
特集 スマート農業
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
表紙・目次・奥付
巻頭言
ミニレビュー
  • 寺谷 諒
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 3-11
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    農業従事者の高齢化等により,農業経営体数は減少している.今後,地域農業を維持していくことが求められるが,そのためには,離農予測モデルにより将来の農業経営体数を予測するとともに,離農に伴う供給農地面積を事前に把握することが重要である.一般に,社会システムの分析や予測の実施には社会モデリング・シミュレーションのいくつかの手法が用いられており,離農予測モデルでもそれらの手法が応用されている.離農予測モデルについては,これまでマルコフモデルを用いた手法が非常によく用いられてきた.マルコフモデルは,広域地域を対象とした場合には,予測精度も高く有用な手法である.一方で,マクロ的に集計された推移確率行列の値を用いるため,個々の農業経営体の属性を十分に考慮できず,またより狭い範囲の地域の予測は難しい.そこで,個々の農業経営体ごとに離農予測を行い,その結果を積み上げるミクロ的手法も近年提案されている.農研機構においても,機械学習とマイクロシミュレーションを利用して,市町村単位でも精度が高い推計結果が得られる農業経営体数予測モデルを開発した.

  • 長南 友也
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 13-17
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    水稲の直播栽培は,水田作経営の規模拡大のための省力化技術として全国で広がりを見せている.直播栽培では種籾を本田に直接播種するため,圃場の均平状態はイネの苗立ちや収量に大きく影響する重要な要素である.しかしながら,均平作業は非常に時間のかかる作業であり,経営規模の拡大のためには更なる省力化が求められている.GNSS レベラーはGPS に代表される衛星測位によって高さ制御を行うレベラーで,一般的に使用されているレーザーレベラーよりも高効率で均平作業ができる.近年の技術革新によって,安価な1 周波タイプのGNSS 受信機でも水田の均平作業に十分な精度を持つようになった.さらに,GNSS によって得られた位置情報をもとに作成した高低差マップを活用することでも省力化が期待される.また,前作収穫後に均平作業を行う前年整地体系を取り入れることによって春先の労働時間を削減することが可能となり,高低差マップと組み合わせることで,より省力的かつ効率的な均平作業が可能となる.

  • 辻 博之, 澁谷 幸憲, 西脇 健太郎
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    北海道において急速に普及しつつあるトラクタの自動操舵技術が,オペレータの負担軽減,作業精度の向上効果に及ぼす影響を調査し,それらが農作業に及ぼす影響について検討した.また,北海道における可変施肥技術の開発状況を概説した.オペレータの精神的な負担の指標となる唾液中のアミラーゼ活性は,ダイズの中耕作業において自動操舵を利用することによる低下が認められ,長時間の作業におけるオペレータの負担軽減に寄与していると考えられた.また,自動操舵の利用による作業精度の向上は,播種作業では設定どおりの栽植密度を可能にし,整地作業では作業工程を減らす効果が認められた.可変施肥技術は,追肥に用いられるセンサベースの可変追肥が導入された。これに加え,過去に実施した可変施肥の結果や,センシングにより土壌肥沃度の圃場内のむらを把握して施肥マップを作成し,基肥の可変施肥が検討されている.

  • 建石 邦夫
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    市販のコンバインに容易に外付け可能で低コストな圃場毎の収量を計測可能な装置を試作した.コンバインから外部の穀粒を排出する機構であるアンローダの排出速度が穀粒の見かけ密度の関数で有ることを示し,穀粒水分から排出速度が推定可能であることを示した.アンローダ先端に設置された光電センサのON/OFF により排出時間を測定し,コンバイン・穀粒毎で異なる排出速度との積を計算することで収穫質量を推定する.水分がほぼ一定条件の基礎試験では,水稲籾,コムギ,オオムギ,大豆についてアンローダの排出速度の変動は少なく,質量推定の標準誤差は1.0 ~2.8%であった.営農現場で行った圃場収量計測試験では,水分が大きく変化したため排出速度の変動は大きかったが,収穫水分を利用した補正を行うことで外れ値を除いた収穫質量の推定誤差は± 20%,± 10% 以内であった.

  • 松本 浩一
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 33-37
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    現在,スマート農業技術の社会実装に向けて,スマート農業技術に対する技術評価研究の要請が高まりつつある.そこで本稿の目的は,水田作経営を対象としてスマート農業技術を中心に,既存研究におけるスマート農業技術の経営的評価手法を俯瞰した上で,今後求められる手法の展開方向を明らかにすることである.そのために本稿では,まず既存の農業技術の経営的評価手法について概観した.その結果,農業技術の経営的評価手法には数理計画法が利用されており,特に線形計画法は計画モデルの定式化が簡便で,操作性が高いために,農業経営の生産構造に影響を与える農業技術の導入効果を定量的に解析するために有用性が高い手法であると整理した.次に,スマート農業技術の経営的評価について,水田作経営におけるロボット農機と多圃場営農管理システムに対する経営的評価の既存研究から,スマート農業技術に対する経営的評価においても,従来の線形計画法の評価に準じた視点で解析することで,手法の拡張によって評価できると整理した.しかし,従来の手法では,とらえられる導入効果にも制約があるため,今後は,その範囲を拡張した手法の構築が必要であることを提示した.

  • 芦澤 武人
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 39-41
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    イネ稲こうじ病は穂に暗緑色の病粒が生じる病害で,病粒が混入したり胞子で着色したりした玄米は規格外になる.販売種子では病粒の混入によるクレーム返品が発生し問題となる.本病を防除するためには農薬散布が有効であるが,発病が気象条件により左右され,また,散布適期が短いため,効果的な散布時期の判断は難しい.そこで,日本全国で利用が可能な1km- メッシュ農業気象データを利用して圃場単位で本病の薬剤散布に適した日を判定し,薬剤散布を支援するシステム(ウェブプログラム)を開発した.本システム上で,イネの品種,移植日,土壌菌量,薬剤の種類を選択し,必要な電子メール情報を選択して登録すると,発生量の予測を含む薬剤散布に必要な情報が電子メールで配信さ れる.特に薬剤散布適期開始日の情報を得てから,幼穂が1 ~5cm の大きさに生長しているのを確認後,薬剤散布を行うことにより,的確な防除がなされ発生を抑制できる.

  • 岡田 邦彦, 菅原 幸治
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 43-45
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    露地野菜で定時・定量出荷が求められる加工業務用契約生産を行う場合,気象条件の影響を受けて生育が変動する条件下で,契約量に合わせて出荷量を調整するため,生産・出荷現場では大変に苦労している.そこで,生育予測を用いた収穫期予測を用いたレタス・キャベツ出荷調整支援システムを開発している.これは,圃場ごとに定植日を起点とする葉齢増加モデルシミュレーションから,収穫期を予測し,収穫期に達したものは,自動的に「圃場在庫」に繰り入れられる.そして,実際の出荷量も「圃場在庫」から繰り出されるため,単純化した出荷調整が可能となる.このほか,契約栽培の現場では,出荷量予測の基礎的データである定植期別作付面積が十分でない場合があるため,衛星データを用いた作付状況推定法も開発を進めているほか,年間出荷計画に対応した作付計画策定支援システムについても試作して,生産現場での運用検証を行っている.

  • 鈴木 翔, 坂田 賢, 若杉 晃介
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 47-53
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    本報告では,戦略的イノベーション創造プログラム「次世代農林業創造技術(アグリイノベーション創出)」による稲作の圃場水管理を遠隔または自動で制御するシステム(圃場水管理システム)の開発および実証試験の結果を示した.圃場水管理システムの開発では,特に給排水口制御装置の一体化,小型化,構成部品の削減,筐体の材質選定などにより作製費用の削減を図った.また,バッテリーの負荷削減を目的として,電力消費を抑制するための制御方針の改良,モーター出力の効率化を実施した. 所内圃場と現地圃場6 地区で実施した実証試験では以下の効果が認められた.すなわち,水管理時間に関して,圃場水管理システムを導入した試験区で要した水位確認と携帯情報端末を用いた操作の時間合計と,未導入の対照区で要した給排水操作および自宅や事務所などの起点から対照区までの移動の時間合計を比較したところ,所内圃場で85%,現地圃場平均で1 筆あたり80%,10a あたり85%の時間削減が認められた.また,圃場水管理システムの導入は,長大かつ急傾斜法面を有する圃場での遠隔操作や,寒冷地で低温障害回避のための深夜の自動灌漑など,労働条件の緩和にも貢献した.

  • 島崎 昌彦
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 55-60
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    近年の日本のカンキツ産業では,収益性向上のための高品質果実生産,およびSociety 5.0 に向けてのICT 活用の機運が高まっている.高品質果実生産に有効な技術として,マルドリ方式が開発され普及が進んでいる.マルドリ方式は,有効な利用のためには緻密な栽培管理技術が必要であるとともに,必要エネルギーの小さい点滴かんがいを利用することから,ICT に馴染みやすい技術である.これまで農研機構およびその他の研究機関において,マルドリ方式をより高度に利用するための様々なICT 利用技術の開発が進められてきた.本報では,それらの技術を中心に,高品質カンキツ生産のためのICT 利用技術を紹介し,今後の展望を述べる.

  • 石塚 直樹
    原稿種別: ミニレビュー
    2019 年2019 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2022/02/01
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    日本の農業において,農業者の高齢化・離農さらに担い手・新規就農者の不足は喫緊の課題となっている.政府は Society5.0 の実現を目指しており,「スマート農業」により,農業における様々な課題解決を図ろうとしている.スマー ト農業を実現するために最も重要となるのが「情報」であり,「情報」を得るための道具の多くが「センサ」である.情報を得るセンシングを非接触・非破壊で行うのが「リモートセンシング」であり,特に画像によるリモートセンシングは,視覚の代わりとなるものである.それゆえ,人工衛星やドローンなどに搭載されたカメラからの画像は,「スマート農業の目」ということができる.スマート農業の目となる技術である「リモートセンシング」について,農研機構農業環境変動研究センターを中心に農研機構における研究事例を紹介するとともに,今後の方向性を提示する.

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