農研機構研究報告
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2021 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
表紙・目次・編集委員会・奥付
総説
  • 松﨑 守夫
    原稿種別: 総説
    2021 年2021 巻6 号 p. 1-9
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2022/02/01
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    土壌有機物は不均一な有機物の混合物であり,その半分は有機炭素によって構成される.土壌有機物は,土壌に還元された有機物が土壌微生物によって分解されたものである.土壌有機物は土壌の陽イオン交換容量を増加させる.また,団粒形成に寄与し,土壌の排水性,保水性を向上させる.土壌微生物は土壌有機物を分解して増加するため,土壌有機物が多いほど,土壌微生物の保持するバイオマス窒素が増加する.バイオマス窒素は,地力窒素と関係が深いとされている.ただ,バイオマス窒素の増加にともなって,土壌有機物量は減少すると考えられる.土壌有機物量は,土壌へ供給される有機物量と,土壌微生物による分解量によって決定される.土壌への有機物供給量を増加させる処理としては焼畑,堆肥連用などがある.土壌有機物の分解を促進する処理としては水田の畑転換,ダイズ作などがある.従って,水田転換畑におけるダイズ作では,著しく土壌有機物の分解が促進されると考えられる.地力窒素を利用しつつ,土壌有機物を維持するためには,土壌微生物による分解量以上に,土壌へ有機物を供給する必要がある.そのためには,堆肥などの有機物を連用することが有効と考えられる.

原著論文
  • 黒木 慎, 山口 誠之, 石井 卓朗, 小林 伸哉, 平林 秀介, 竹内 善信, 後藤 明俊, 春原 嘉弘, 加藤 浩, 佐藤 宏之, 常松 ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年2021 巻6 号 p. 21-29
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2022/02/01
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    「ほしみのり」は,良食味,縞葉枯病抵抗性の「関東209 号(さとじまん)」と良質,良食味の「越南171 号」の交雑後代より育成された,早生,良食味品種である.育成地(農研機構谷和原水田圃場(茨城県つくばみらい市))における「ほしみのり」の特徴は以下の通りである.出穂期,成熟期はともに“やや早”に属し,「朝の光」よりやや早い.「朝の光」と比較して,稈長,穂長は長く,穂数は少ない.草型は“穂重型”である.収量は,「朝の光」に対して,晩植・標肥区で19%,早植・標肥区で8% 多い.炊飯米の食味は「コシヒカリ」並の良食味である.玄米の外観品質は“中の上”,高温登熟性は“やや弱”である.いもち病真性抵抗性遺伝子Pia を持つと推定され,圃場抵抗性は,葉いもちが“中”,穂いもちが“やや弱”である.縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-i を持ち,縞葉枯病には“抵抗性”で,白葉枯病抵抗性は“中”である.穂発芽性は “難”である.以上の特性から,「ほしみのり」は,北関東を中心とした麦あと晩植地帯向けの品種として,普及・活用が期待される.

  • 石黒 浩二, 大塚 しおり, 原 尚資, 森下 敏和, 鈴木 達郎, 本田 裕
    原稿種別: 研究論文
    2021 年2021 巻6 号 p. 31-41
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2022/02/01
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    北海道農業研究センターにおいて,ソバ新品種「キタミツキ」を育成した.「キタミツキ」は,「端野43」と「キタワセソバ」の交配後代から選抜した.「キタミツキ」は,「キタワセソバ」よりも子実重が重く,育成地では「キタワセソバ」比111-126%である.深川市では同比103%(5 月下旬播種)および104%(6 月上旬播種),旭川市/ 幌加内町では同比142%,札幌市では同比118%である.また,全ての試験地において「キタミツキ」の容積重は「キタワセソバ」より重く,ルチン含量は高い.実需者による食味評価では,「キタワセソバ」と同水準との評価を得ている.北海道を中心に普及することが見込まれる.

  • 永井 孝志
    原稿種別: 研究論文
    2021 年2021 巻6 号 p. 43-52
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2022/02/01
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    地球温暖化対策や生物多様性保全などの環境保全型農業に関する研究成果の普及にあたっては,生産者の類型化によって潜在的ユーザーとなりうる層を絞り込み,その特性に合った普及活動をしていくことが重要である.本研究では,生産者に対する環境保全型農業の取り組みやそれに関する特性についてのアンケート調査を行い,因子分析やクラスター分析を用いて生産者を5 つのクラスターへ類型化した.クラスター毎に環境保全型農業の取り組み割合は大きく異なっており,類型化がユーザー層の絞り込みに効果的であることが示された.具体的には,日常生活での環境意識が高い農家,もしくは情報技術の活用度が高い大規模農家のクラスターで環境保全型農業の取り組み割合が高かった.また,地球温暖化対策と生物多様性保全の取り組み割合が最も高いクラスターがそれぞれ分かれるなど,環境保全型農業の内容によってターゲットが変わりうることも示唆された.さらに,環境保全型農業の取り組み割合が高い集団の情報源として,インターネット(クチコミではなく公的機関のサイト),書籍,セミナー・講演会があり,これらのチャネルを通じた普及活動が有効であることも示唆された.

  • 藤田 直聡, 辻 博之, 有岡 敏也
    原稿種別: 研究論文
    2021 年2021 巻6 号 p. 53-65
    発行日: 2021/03/30
    公開日: 2022/02/01
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    農研機構が機械メーカー,糖業,農業協同組合と設立したコンソーシアムで開発した,てん菜新技術である「短紙筒狭畦移植機」,「自走式多畦収穫機」の利用が,作付面積と所得に与える影響について,北海道の農業生産法人を対象に,線形計画法を用いて試算を行った.試算においては,将来予測される生産者の経営規模の拡大,構成員や従業員の減少を想定した条件を設定し,新技術の導入による労働競合緩和が作物の作付面積と所得に及ぼす影響を評価した. これらの新技術は,導入に当たって,多額の投資を要するため,個別による導入ではなく,作業受委託組織を通して利用するものとした. その結果,経営耕地面積を10%拡大し,労働力が0.5 人減少した場合,利用する機械,栽培方法ともに従来と変わりがなければ,小麦の作付面積が増え,所得は現状より低くなる.なぜならば,4 月下旬~5 月中旬に,てん菜の定植作業と,タマネギの定植およびバレイショの播種作業(植え付け)の作業競合が,大きな制約となるからである.これに対し,新技術を利用した場合は,労働力が0.5 人減少しても,作業競合が緩和されるため,経営耕地面積を拡大しても,所得は現状より高くなる.

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