農研機構研究報告
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表紙・目次・編集委員会・奥付
原著論文
  • 中西 愛, 竹内 善信, 田村 克徳, 片岡 知守, 佐藤 宏之, 田村 泰章, 坂井 真, 梶 亮太
    2026 年2026 巻24 号 p. 1-
    発行日: 2026/01/21
    公開日: 2026/01/21
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    「つやきらり」は早生で高温登熟性と耐倒伏性に優れる「泉1801」(後の「西海258号」)と早生で多収の良食味系統「関東222号」(後の「あきだわら」)の交雑後代より育成された品種である.育成地(福岡県筑後市)における「つやきらり」の出穂期および成熟期は「きぬむすめ」より2~4日遅く,暖地では“やや早”に属する.「つやきらり」の稈長は「きぬむすめ」と同程度,穂長はやや長く,穂数はやや少ない“偏穂重型”の草型である.耐倒伏性は「きぬむすめ」より強い“強”である.「つやきらり」の収量は「きぬむすめ」に対して,標肥移植で8%,多肥移植で14%,湛水直播で8%多収である.玄米の外観品質は「きぬむすめ」並かやや優れる.葉いもち圃場抵抗性は不明,いもち病真性抵抗性遺伝子型は“PiiPik”と推定される.縞葉枯病に“罹病性”,白葉枯病抵抗性は“やや弱”,穂発芽性は“難”,高温登熟性は“やや強”である.食味は「きぬむすめ」並の良食味である.以上の特性から,「つやきらり」は暖地・温暖地において高温登熟性と耐倒伏性に優れる多収の良食味品種として普及,活用が期待される.

  • 金 達英, 前田 英郎, 山口 誠之, 笹原 英樹, 松下 景, 長岡 一朗, 重宗 明子, 後藤 明俊, 梶 亮太, 中込 弘二
    2026 年2026 巻24 号 p. 11-
    発行日: 2026/01/21
    公開日: 2026/01/21
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    「あきあかね」は農研機構中日本農業研究センター 上越研究拠点において,多収・良質の系統「収7388」と良質・良食味でいもち病抵抗性に優れた系統「中部109号」の交雑後代より育成された晩生の多収・良食味品種である.出穂期,成熟期は育成地(寒冷地南部)ではともに“晩”に属し,「コシヒカリ」より成熟期は10日以上遅い.収量は標肥栽培で「日本晴」より14%多く,「あきだわら」とほぼ同等で多収である.玄米千粒重は「日本晴」より0.8 g程度大きく,粒大は“やや大”である.玄米外観品質は「日本晴」と同等に良質で,炊飯米の食味は「コシヒカリ」並みの極良食味である.いもち病抵抗性推定遺伝子型は“Pii,新規(Pik座)”と推定され,葉いもち圃場抵抗性は“中”,穂いもち圃場抵抗性は“やや強”である.白葉枯病圃場抵抗性は“中”,縞葉枯病には“罹病性”,穂発芽性は“中”,高温登熟性は“やや強”である.以上の特性から「あきあかね」は「コシヒカリ」との作業分散が可能で,生産コスト低減につながる多収性と一定水準の玄米外観品質が求められる業務用米の生産に向く品種として普及が期待される.

  • 横上 晴郁, 清水 博之, 安東 郁男, 荒木 均, 黒木 慎, 松葉 修一
    2026 年2026 巻24 号 p. 25-
    発行日: 2026/01/21
    公開日: 2026/01/21
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    「ゆきさやか」は,障害型耐冷性極強で白米アミロース含有率がやや低い「札系97100」(北海PL9」)と,障害型耐冷性が強く良食味の「空育160号」との交雑後代より育成された水稲良食味品種である.「ゆきさやか」の主要特性は,対象品種の「ほしのゆめ」と比べ,以下の通りである.出穂期・成熟期は同程度の“中生の早”,稈長,穂長は長く,穂数は少なく,草型は“穂数型”,耐倒伏性は同程度である.玄米収量は8%程度多く,千粒重は1.3 g程度重く,粒厚はやや厚い.障害型耐冷性は同程度の“強”で,いもち病抵抗性は,真性抵抗性遺伝子型“Pia, Pii, Pik”と推定され,圃場抵抗性は葉いもちが同程度の“弱”,穂いもちが同程度の“やや弱”である.葉鞘褐変病の発病は多い.玄米の外観品質はほぼ同等の“中上”である.白米アミロース含有率はやや低く,含有率の年次変動はやや少なく,白米タンパク質含有率はやや低い.炊飯米の食味は「粘り」,「柔らかさ」,「白さ」が優り,「総合評価」も優る.以上の特性から,北海道の上川(士別以南),留萌(中南部),空知,石狩,後志,日高,胆振,渡島,及び檜山の各支庁の稲作地帯での栽培に適する.

  • 小林 伸哉, 石井 卓朗, 山口 誠之, 平林 秀介, 竹内 善信, 黒木 慎, 佐藤 宏之, 前田 英郎, 根本 博, 安東 郁男, 太田 ...
    2026 年2026 巻24 号 p. 45-
    発行日: 2026/01/21
    公開日: 2026/01/21
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    「オオナリ」は,「タカナリ」の脱粒性を改良する目的で育成した水稲多収品種であり,「タカナリ」のγ線突然変異原処理を行った後代から,脱粒性が改良された系統を選抜して育成された.「オオナリ」の出穂期は,原品種「タカナリ」と同程度で,育成地では“やや早”である.稈長及び穂長は,「タカナリ」と同程度でそれぞれ“短”及び“やや長”である.穂数は「タカナリ」よりやや多い.また,「タカナリ」の特徴を引き継ぎ,稈は太く耐倒伏性はかなり強い.「オオナリ」の脱粒性は,「タカナリ」の“易”に対し“中”程度に改良されている.この結果,収穫期の収量ロスが少なくなるため,「オオナリ」の粗玄米重は,早植多肥区で940 kg/10aであり,「タカナリ」に比べて7%程度多収となる.「オオナリ」は,わが国トップクラスの収量性を持つ多収品種であり,北関東地方を中心に飼料用米や加工用米での作付けが進んでいる.「オオナリ」栽培時には,深い種子休眠性及び4-HPPD阻害型除草剤感受性に対して留意する必要がある.

  • 笹谷 絵梨, 菊池 彰夫, 島村 聡, 菱沼 亜衣, 平田 香里, 松本 直, 加藤 信, 河野 雄飛, 湯本 節三, 高田 吉丈, 境 哲 ...
    2026 年2026 巻24 号 p. 61-
    発行日: 2026/01/21
    公開日: 2026/01/21
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    東北地域ではダイズシストセンチュウ(以下SCN)レース3抵抗性ダイズ品種に寄生可能なSCNが発生しており,より高度な抵抗性を有する品種が求められている.「リョウユウ」は,東北北部地域の主力品種である「おおすず」を種子親,病虫害複合抵抗性を有する「刈交1908F1」を花粉親として交配し,さらに「おおすず」を種子親として戻し交配を行った後,選抜・固定を進めることにより,2022年に農研機構東北農業研究センターにおいて育成された. 秋田県大仙市で実施した生産力検定試験の結果から,「リョウユウ」の成熟期や茎の長さは「おおすず」と同等で,類似した栽培特性を備えており,東北北部地域等の寒冷地における栽培に適する.子実の大きさは“やや大”,へその色は“黄”,種皮の地色は“黄白”であり,豆腐や煮豆等の加工に適する.また,ダイズモザイクウイルスのA,A2,B,C,D系統,ラッカセイわい化ウイルスおよびSCNレース1,3に対して抵抗性を示す.SCNレース1抵抗性は,寄生性が強いSCNに対して抵抗性を示すため,既存のレース3抵抗性品種に寄生可能なSCNが発生している圃場に「リョウユウ」を導入することで,その被害を抑えることが期待される.

  • 山口 学, 山田 知哉
    2026 年2026 巻24 号 p. 83-
    発行日: 2026/01/21
    公開日: 2026/01/21
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    飼料自給率を高める牛肉生産体系の確立のため,放牧やイネ発酵粗飼料(イネWCS)などの地域で自給できる粗飼料を活用し,高品質な牛肉生産が可能な肥育技術の検証を行った.供試牛は放牧地で分娩され,13ヵ月齢まで放牧育成した黒毛和種去勢牛6頭を用いた.13ヵ月齢で放牧を終了した後,肥育は牛舎において個別に飼養した.肥育給与プログラムは,17ヵ月齢以降の濃厚飼料の給与量を一定とし,イネWCS由来のTDN比が30%前後(一日あたり原物で12~13 kg)になるプログラムとした.イネWCS採食量は成長に伴って徐々に低下したものの,肥育試験期間の全給与TDN中のイネWCS由来のTDN比は31.8%であった.6頭の平均体重は発育曲線の上限と同等に推移し,肥育試験終了時(28.7ヵ月齢)の平均体重は917.5 kgであった.枝肉成績はA-5が4頭,A-4が1頭,A-3が1頭であった.以上のことから,13ヵ月齢まで放牧育成した肥育もと牛を用い,肥育用飼料としてイネWCSをTDNベースで約3割給与する肥育プログラムにより,従来と遜色ない増体と肉質が得られることが示された.

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