アイスランドの年金制度は、社会保障年金、職域年金、個人の年金貯蓄という3 つの柱からなる。 第 1 の柱の社会保障年金は強制加入であり、税財源により基礎的な年金を支給し所得制限がある。 第 2 の柱の職域年金は、被用者のみならず自営業者の強制加入の制度で、年金基金が運営を担っており、所得代替率 72%を目標とするが保証はしていないのでIMFは目標建て(Defined Ambition, DA)制度と位置付けている。アクチュアリーによる財政検証が毎年あり、資産と負債の差が 10%以上乖離した場合または5年間継続して5%乖離している場合、給付を増減するなどの規約を変更する必要がある。例えば2022年は資産と負債の差が10%以上乖離して、複数の年金基金で給付減額を実施することとなった。 第 3 の柱の任意加入の個人の年金貯蓄は、老後のための税制優遇のある個人勘定を有する確定拠出(DC)制度で、資産運用の選択肢が個人にある。 三つの柱を合わせると、全期間平均給与に対する所得代替率は 99%に達しており、また資産規模もGDPの1.7倍にのぼっている。
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