熱処理
Online ISSN : 2188-4064
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54 巻, 1 号
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技術論文
  • 澤田 俊之
    2014 年 54 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2014/04/14
    ジャーナル フリー
    粉末高速度工具鋼への高硬度微粒子投射材を用いたショットピーニング効果に及ぼす,粉末高速度工具鋼の硬さおよび粗大炭化物形態の影響を検討した。被処理材に用いる粉末高速度工具鋼として,成分および熱処理条件により,硬さ範囲を65.5〜69.4 HRCで変化させ,また,粗大炭化物の生成量を変化させた材料を作製した。高硬度微粒子投射材には,著者らが開発した1200 HVの高硬度を有するFeCrB微粒子投射材を用いた。ショットピーニング面において,算術平均粗さ(Ra)はおおむね被処理材の硬さとともに低下し,最大圧縮残留応力値は粗大炭化物を低減した被処理材を除き被処理材の硬さとともに増加した。得られた最大圧縮残留応力値は,理論式による予測値の±8%の範囲で一致した。一方,粗大炭化物を低減した粉末高速度工具鋼のショットピーニング表面は,同等硬さの他の被処理材と比較し,微粒子投射材との衝突による塑性流動が顕著であるとともに,大きな最大圧縮残留応力が付与された。このことから,粉末高速度工具鋼における粗大炭化物は硬質であるため微粒子投射材との衝突によるマトリックスの塑性流動を抑制し,その結果,付与される最大圧縮残留応力値が小さくなると推察された。
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