熱処理
Online ISSN : 2188-4064
Print ISSN : 0288-0490
ISSN-L : 0288-0490
56 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
学術論文
  • 南部 紘一郎, 江上 登
    原稿種別: 学術論文
    2017 年 56 巻 6 号 p. 329-333
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル 認証あり

    本研究では表面欠陥を有するSUP10の疲労強度におよぼす微粒子衝突処理の影響について検討を行った。表面欠陥は0.2,0.4,0.6 mm径のドリルを使用して加工し,表面欠陥の深さはドリル径の1/2とした。微粒子衝突処理材,ショットピーニング処理材および未処理材について4点曲げ疲労試験を実施した。その結果,微粒子衝突処理材の場合,ショットピーニング材よりも表面欠陥による疲労強度低下に対する抑制効果が高いことを明らかにした。この要因として,ドリル穴底の硬さの向上に加え,残留応力の影響が考えられる。

  • 杉浦 幸彦, 江上 明, 竹内 勉, 高山 広司
    原稿種別: 学術論文
    2017 年 56 巻 6 号 p. 334-339
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル 認証あり

    Co基超合金HA188*(以降はAlloy 188)は,一般的には高温環境下で使用される。ガスタービン高温部品のように,高温環境下でクリープ疲労損傷を受けると,機械的特性は低下する。本研究では,この低下した機械的特性を熱処理により回復させることを試みた。その結果,材料の機械的特性を回復できる熱処理条件を見いだした。具体的には,Alloy 188に1000℃において引張応力80 MPaのクリープ疲労損傷を与えると室温引張試験時の伸びと絞りが低下した。低下した伸びと絞りは,1100℃,1 h,ファン冷却を行うと回復することを見いだした。*HA188はHaynes International, Inc.の商標

  • 髙木 節雄, 赤間 大地, 土山 聡宏
    原稿種別: 学術論文
    2017 年 56 巻 6 号 p. 340-344
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル 認証あり

    炭素を含むマルテンサイト鋼において,焼入れた際に生ずる自己焼戻しは部材の機械的特性を左右する重要な課題であり,工学的な観点から,自己焼戻しの程度を定量的に評価することが求められている。本研究では,bcc鉄中の炭素の拡散係数を基にして,焼入れ中に起こる自己焼戻しの程度を炭素元素の拡散面積で評価する方法を検討した。その結果,マルテンサイトの自己焼戻しは,500〜350℃の温度域を冷却する際に顕著に起こること,40℃/s以上の速い冷却を実現できれば,自己焼戻しの影響を200℃ −1 hと同程度またはそれ以下に抑制できることなどを明らかにした。

技術論文
  • 澤田 俊之
    原稿種別: 技術論文
    2016 年 56 巻 6 号 p. 345-351
    発行日: 2016/02/28
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル 認証あり

    衝突で塑性変形しない高硬度投射材を微粒子ショットピーニングに用いる場合,投射材の硬さではなくヤング率がショットピーニング効果に影響する支配因子になると予想される。硬さ,密度,粒径,粒子形状が同等で,ヤング率の異なる2種類の微粒子投射材を用い,ショットピーニング効果に及ぼす投射材ヤング率の影響を明らかにした。

    結果として,高ヤング率投射材を用いると,最大圧縮残留応力値およびナノ結晶粒層厚さが増大した。考察の結果,高ヤング率投射材を用いると反発係数が小さくなり,より大きい運動エネルギーが被処理材の表面に付与され,これらの現象に影響することが示唆された。

  • 里見 宣彦, 金山 信幸, 渡邉 陽一, 高井 治
    原稿種別: 技術論文
    2017 年 56 巻 6 号 p. 352-360
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル 認証あり

    オーステナイト系ステンレス鋼は,低温プラズマ浸炭を施すことにより,表面層に高硬さと耐食性とを兼ね備えた拡張オーステナイト相(S相)が形成されることが知られている。本研究では,高効率に安定したS相を形成させることを目的に,アクティブスクリーン法と直流低温プラズマ浸炭法を組み合わせた方法を用いて,SUS304およびSUS316鋼のS相形成に及ぼす処理温度ならびに処理ガス濃度の影響を調べた。得られたS相の厚さ,硬さ,格子定数および残留応力を測定すると共に,ボール・オン・ディスク試験を用いた耐摩耗性評価および塩水噴霧試験による耐食性の評価を行った。その結果,処理温度733 K,CH4ガス濃度10.5mass%で処理すれば,耐食性ならびに耐摩耗性共に優れたS相を効率よく形成させられることがわかった。

feedback
Top