窒化層の組織と硬さに及ぼす窒化前加工と添加元素の影響に関する基礎的な知見を得るため,高圧下ねじり(HPT)加工によって試料中に種々なひずみ量を付与した純鉄とFe-M(M=Al, Cr)2元フェライト合金を843 Kで3.6 ksプラズマ窒化して,窒化による組織と硬さの変化を調査した。その結果,純鉄およびFe-1Cr合金では,拡散層硬さに及ぼす加工の影響は小さいのに対して,Fe-1Al合金では,無加工材の窒化では起きないAlNの析出が加工によって促進されるため,大きく表面硬化することが明らかとなった。また,化合物層においては,いずれの試料も加工によりその厚さが均一になると同時に化合物層内のγ’粒径が微細化した。この変化は,特に無加工材で針状γ’が生成するFe-1Al合金で顕著に見られた。
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