熱帯農業研究
Online ISSN : 2187-2414
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17 巻, 1 号
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研究報文
  • 山本 雅史, 桑原 佳大, 窪田 瑛水, 島田 温史, 吉﨑 由美子, 渡部 由香, 朴 炳宰, 香西 直子
    2024 年17 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    ジャーナル フリー

    鹿児島県大隅半島南部の特産香酸カンキツである辺塚ダイダイの遺伝的特性および果実品質を調査した.CAPS(cleaved amplified polymorphic sequence)分析の結果,辺塚ダイダイはブンタン由来の細胞質を備え,カブス(ダイダイ),紅甘夏(ナツミカン)およびキミカンと近縁であった.供試した辺塚ダイダイ4種類では核および葉緑体のCAPS遺伝子型に差異が認められなかった.4か年間にわたり果実品質を調査したところ,利用盛期の9月下旬から10月頃には,果皮に緑色が残り,滴定酸度は約4%であった.果実重は成熟に伴い増加を続け,10月下旬で約100 gであった.有機酸組成ではクエン酸の割合が約97%であった.アスコルビン酸含量は19.2~28.0 mg・100 mL-1であった.香気成分ではリモネンが最も多く81.2%であった.γテルピネンの9.8%,βミルセンの2.6%,αピネンの1.4%,p-シメンの1.2%,サビネンの1.1%がそれに続いた.辺塚ダイダイに特徴的な香気成分は認められなかった.香気の官能評価でも辺塚ダイダイに特徴的な項目は確認できなかった.これらのことから,辺塚ダイダイは一つの特徴的な香気があるのではなく,香りのバランスが他の香酸カンキツと異なることで,特徴的な香りを形成していることが示唆された.

  • 木﨑 賢哉, 吉松 孝宏, 内野 浩二, 杉浦 俊彦
    2024 年17 巻1 号 p. 12-17
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,12月~1月に露地栽培のアボカド‘ベーコン’の葉温と気温を計測し,寒害発生との関係を調査した.試験は4回実施し,うち3回は放射冷却が強くなる晴天となり,葉の褐変や落葉などの寒害が発生した.寒害が発生した試験における最低気温は高い順に-3.1 ℃,-4.5 ℃,-5.1 ℃であった.各試験の最低気温を記録した日の早朝(4~7時)における平均葉温は,それぞれ-5.3 ℃,-6.9 ℃,-6.9 ℃,平均葉温と最低気温の差は,それぞれ,2.2 ℃,2.4 ℃,1.8 ℃であった.以上の結果から,冬季の晴天日の早朝において,‘ベーコン’の葉温は日最低気温より2 ℃前後低下することが明らかとなった.葉に寒害が発生したのは平均葉温が-5.3 ℃以下の試験で,室内において実施された先行研究の寒害が発生する葉温と矛盾しなかった.本研究により,日最低気温が-3 ℃より低くなると,アボカド‘ベーコン’では寒害が発生する危険性が高くなることが示された.

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