熱帯農業研究
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原著論文
  • 内野 浩二, 岩田 浩二, 久木田 等, 熊本 修
    2019 年 12 巻 2 号 p. 59-64
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/02
    ジャーナル フリー

    ビワ‘なつたより’における大果生産技術を確立するために,果実重と開花日,果房当たり果実数および積算温度との関係を調査した.果実重は,11月中旬~1月上旬開花では60 gを超え,1月中旬開花では最小であった.果房当たり果実数2個では同3個および4個よりも,果実重がやや大きかった.開花が遅くなると,果形指数は大きくなり,果実縦断面の形は短卵形から円形になった.果実重と成熟日数および基準温度0 ℃の積算温度との間には,有意な二次相関が認められ,果実重は成熟日数145~160日,基準温度0 ℃の積算温度1,750~1,900 ℃・日で最大となった.積算温度の基準温度を0~13 ℃の範囲で1 ℃単位で変更した場合,基準温度10 ℃のとき,積算温度の変動係数は最も小さく,そのときの積算温度は532 ℃・日であった.

  • 渡邉 健太, 寳川 拓生, 川満 芳信
    2019 年 12 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/02
    ジャーナル フリー

    塩類を多量に含む灌漑水は作物の生産性を低下させる要因の一つだが,サトウキビ生産に利用される灌漑水の塩濃度の範囲や塩濃度とサトウキビの関係を調査した報告は日本国内では限られている.そこで,国内サトウキビ産地の水源を対象に水質調査を行うとともに,塩化ナトリウム(NaCl)濃度の異なる灌漑水を用いたポット栽培試験を行い,その影響について明らかにした.沖縄本島および5つの離島を含む計54地点の水源から採取した灌漑水を分析した結果,全採水地において最も多く含まれていたイオンはCl-であった.一部の地域を除き次に濃度が高かったのがNa+であったことから,この2つが灌漑水に含まれる主要なイオンであると考えた.灌漑水のイオン濃度は採水地や水源の種類によって大きく異なり,全イオン濃度は貯水池の多くで500 mg L-1以下であったのに対し,南大東島の池沼水には2500 mg L-1を超えるものも確認された.この結果をふまえ,次に灌漑水中NaCl濃度を3000 mg L-1まで変化させたポット試験を行った.NaCl濃度の増加にともないサトウキビの仮茎長および生葉数が減少する傾向が見られたが,500 mg L-1以下では乾物生産および糖蓄積への負の影響はほとんど確認されなかった.一方,NaCl濃度が1000 mg L-1以上となると,茎部,葉身乾物重および搾汁液中糖度の低下が見られた.灌漑水サンプルの全イオン濃度を説明変数,電気伝導率(EC)を目的変数として回帰分析を行ったところ,決定係数は0.995ときわめて高かったことから,簡易的に測定したEC値から塩濃度の把握が可能だと考えた.ポット試験の結果と合わせ,ECが250 mS m-1以上の灌漑水を用いている圃場では塩害が生じている可能性があることが示唆された.

  • -アヘロ灌漑地区とアウトグローワーの比較-
    山根 裕子, 一條 洋子, 浅沼 修一
    2019 年 12 巻 2 号 p. 73-91
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/02
    ジャーナル フリー

    本研究では,ケニア西部ビクトリア湖岸地域に分布する大規模灌漑稲作地域(NIBスキーム)とアウトグローワーと呼ばれる小規模農家が稲作を営む地域3か所を対象に,稲作と稲作経営の実態を分析した.調査の結果NIBスキームとアウトグローワー・スキームとでは稲作の規模にも成果にも大きな差がみられた.NIB農家の作付水田面積は世帯当たり約1 haとアウトグローワーのほぼ2倍あり,イネの単収も4.5t ha-1と1.5倍以上高かった.この単収の差には肥料や農薬の投入量の多さに加え,除草の回数やタイミングも影響していると考えられた.このため世帯あたりのコメ生産量はNIB農家の方が多く,販売量も約3.5t/世帯であり,アウトグローワーではその約3割に留まった.稲作に投入した費用はNIB農家ではアウトグローワーの約2倍に及んでいたが,販売額から経営費を差し引いた現金所得でみると,アウトグローワーに対し5倍から最大26倍に差が及んだ.全ての対象地域において,経営費の中で最も高い割合を占めていたのは賃労費で,アウトグローワーでも費用の8割を賃労費に費やしていた.その一方で,肥料や農薬の購入費は非常に小さかった.アウトグローワーでは賃労費を確保するために貴重な財産である家畜を販売して捻出するなど生計基盤に影響する手段を取る農家も多くみられた.

  • 團 晴行, 沖 陽子, 廣内 慎司
    2019 年 12 巻 2 号 p. 92-99
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/02
    ジャーナル フリー

    コメの増産に向けた数々の研究開発が進められているガーナ内陸低湿地において,稲田の灌漑面積比率の低さや既存の水田水利施設の老朽化が稲作振興の課題の一つとなっている.被覆植物を活用して水田水利施設を補強する技術の開発にあたっては,導入植物群落の過繁茂と拡大を制御する抑草・防除方法の確立が不可欠となる.このため,農家が容易に取り組むことのできる手鎌を用いた草刈に着目した抑草・防除方法を確立するための試験を行った.手鎌による草刈後に一度,50倍に希釈したブタクロール,グリホサート,プロパニルを200mL m-2となるように散布しても,草刈せずに散布した場合と殺草効果に違いはなかった.また3剤は,地上部を2週間から4ヶ月の間抑草するに留まり,完全に根絶させるには至らなかった.刈込み直後に2ヶ月程度の湛水状態にすることにより,ギョウギシバ(Cynodon dactylon)は2週間では健全な再生が困難であること,オキナワミチシバ(Chrysopogon aciculatus)とイヌシバ(Stenotaphrum secundatum)を根絶できることを明らかにした.また,手鎌による草刈は刈高を地際1cm未満とすることで,全供試植物の抑草技術として有効であり,さらには,定着する2ヶ月以内に地際で数回,刈込むことによって根絶できることを実証した.

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